TECHNOLOGY EXPLAINER
ACF実装(異方性導電フィルム)
― 接着剤のなかの粒子が、上下だけをつなぐしくみ
ACFは、熱硬化性の接着剤に導電粒子を分散させたフィルムです。電極のあいだに挟んで熱圧着すると、上下の電極だけが導通し、横方向は絶縁されたまま接着されます。 ディスプレイのICやフレキシブル基板の実装に使われ、はんだが使えないITO電極や、熱に弱い部材でも接続できます。 この記事では、構造、実装方式、圧着条件、ファインピッチ化、評価と不良までを、メーカーの技術資料と論文で整理します。

- ACFとは何か(3行でつかむ)
- 構造 ― 接着剤と導電粒子
- なぜ上下だけ導通し、横は絶縁されるのか
- 素材技術者の視点①:粒子が「金属の玉」ではなく「めっきした樹脂球」である理由
- 実装方式 ― COG・COF・FOG・FOB など
- 熱圧着の工程と、圧着条件(温度・圧力・時間)
- 素材技術者の視点②:流動とゲル化の「競争」を設計する
- ファインピッチ化 ― 粒子を小さく、絶縁し、そして並べる
- 本稿の計算:ランダムな分散で、なぜ端子が不足するのか
- 接続信頼性の評価
- 接続不良 ― 捕捉不足・ショート・はく離
- 素材技術者の視点③:収縮力は「導通の源」であり「はく離の源」でもある
- 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
製品の数値は「メーカー公称」で、製品グレードと試験条件が違う値を並べて優劣を論じることはしません。
1. ACFとは何か(3行でつかむ)
ACFは Anisotropic Conductive Film(異方性導電フィルム)の略称です。日本語では「異方導電フィルム」「異方性導電膜」などとも呼ばれます。 「異方性」とは、方向によって電気の通りやすさが違うことです。
- どんな材料か:熱硬化性のエポキシ樹脂などに導電粒子を分散させたフィルムです。熱圧着すると、圧着の方向(上下)には導電性を、面の方向には絶縁性を示します。レゾナックの解説による説明です事実
- 何ができるか:デクセリアルズは、ACF単体で「接着」「導通」「絶縁」の3つの機能を果たすと説明しています。一度に多数の電極を接続でき、はんだ工法より微細な接続(ファインピッチ化)が可能で、110℃〜180℃ほどの低温で実装できるとしています事実
- どこで使われるか:スマートフォンやタブレット、テレビなどのフラットパネルディスプレイで、ICチップやフレキシブル基板をガラス基板に接続します。カメラモジュールやICカードにも使われます事実
ACFの難しさは「導通」ではなく「絶縁」と「捕捉」の両立にあります。 端子が小さく、間隔が狭くなるほど、端子の上に粒子を十分な数だけ載せることと、隣の端子とつながる粒子を出さないことが互いに矛盾します。 この矛盾をどう解いてきたかが、ACFの40年の歴史です(本記事による整理)。
接着剤そのものの化学(エポキシ樹脂の硬化など)は、本シリーズ「エポキシ樹脂」編で詳しく扱います。 チップと基板の熱膨張差については「熱膨張係数」編、液状の樹脂でチップ下の隙間を埋める方式は「アンダーフィル」編を参照してください。
2. 構造 ― 接着剤と導電粒子
ACFは、接着剤(バインダ)の層のなかに、導電粒子が散らばったフィルムです。 接着剤は、熱で硬化するエポキシ樹脂やアクリル樹脂が使われます事実[参考資料1]。

| 項目 | 公表されている内容(メーカー公称・論文) | 出所 |
|---|---|---|
| フィルムの厚さ | デクセリアルズ:10〜45 μm。レゾナック:10〜45 μm | [参考資料1・6] |
| 幅・長さ | デクセリアルズ:幅0.5〜20 mm、長さ10 m〜最長300 m。レゾナック:幅0.4〜20 mm程度 | [参考資料1・6] |
| 供給形態 | リール巻き。保護フィルムと剥離フィルムで挟んだ3層タイプと、剥離フィルムのみの2層タイプがある(デクセリアルズ) | [参考資料1] |
| 導電粒子 | 樹脂の核にニッケルや金をめっきし、表面を絶縁体でコーティングしたものが代表的(デクセリアルズ)。真球状の樹脂にNiをコートした直径3〜20 μmのグレードがある。AuやPdをめっきした粒子もある(レゾナック) | [参考資料1・6] |
| 接着剤 | ほとんどが熱硬化性樹脂。アクリル系、カチオン・エポキシ系、アニオン・エポキシ系など。熱硬化性は冷蔵保管が必要(レゾナック) | [参考資料6] |
すべて事実(メーカー公称。製品のグレードによって異なります)。
導電粒子の進化
デクセリアルズの記述では、ACFの導電材料は次のように変わってきました事実[参考資料1・3]。 最初のACFは100 μm程度のカーボンファイバーを使い、数年後に約半分の50 μmの金属粒子になりました。 1988年に樹脂にニッケルや金をめっきした粒子が生まれ、1990年代に粒子の表面を絶縁コーティングする技術が開発されました。 その後、粒子径は5 μmから2.8 μmまで小さくなっています。
3. なぜ上下だけ導通し、横は絶縁されるのか
ACFを電極のあいだに挟んで熱圧着すると、まず加熱で接着剤が溶けて流れ、電極と粒子のあいだにあった樹脂が押しのけられます。 そのうえで、向かい合う電極に挟まれた粒子が押しつぶされて電極と接触し、導電パスができます。 粒子の最表面の絶縁コートは、つぶれるときに壊れて電流が流れます。
いっぽう、電極に挟まれなかった粒子は、樹脂のなかを端子の間に移動し、絶縁コートも壊れません。 そのため、隣り合う端子がつながることはありません事実[参考資料1]。 最後に、接着剤が熱硬化して固まり、電極どうしを接着・固定・封止します事実[参考資料6]。
レゾナックの渡辺(2005)は、粒子と電極の電気的な接続は、弾性変形した粒子の復元力と、接着剤の硬化収縮力とのバランスによって確保されると説明しています事実[参考資料10]。 つまり、導通は一度つぶせば終わりではなく、粒子がたえず電極を押し返す力と、樹脂が電極どうしを引き寄せる力が、使用中も釣り合い続けることで保たれます。 この点は、第11章の「接続不良」と、第12章の素材技術者の視点③につながります。
4. 素材技術者の視点①:粒子が「金属の玉」ではなく「めっきした樹脂球」である理由
導電粒子というと、金属の球を想像しがちです。 ところが、レゾナックの渡辺(2005)によれば、ACFの開発当初はNi粒子が使われていたものの、ディスプレイの高精細化で70 μmピッチ以下が求められると、金属粒子では凝集して絶縁が確保できないうえ、硬いパネル電極との接続で十分な信頼性が得られないという問題が出ました事実[参考資料10]。
そこで実用化されたのが、接着剤の比重や熱膨張係数に近い樹脂粒子に、金属めっきをした粒子(直径3〜10 μm)です事実[参考資料10]。 材料の側から見ると、ここには3つの意図が読み取れます(本記事による解説)。
- 変形する:樹脂の核は押されるとつぶれ、電極との接触面積が広がります。硬い金属球は点で接するだけです。
- 復元する:つぶれた樹脂球は戻ろうとして、電極を押し返し続けます。これが前章の「復元力」です。
- 周囲になじむ:比重と熱膨張係数が接着剤に近いため、樹脂のなかで沈みにくく、温度が変わっても樹脂と一緒に動きます。熱膨張の考え方は、本シリーズ「熱膨張係数」編と共通です。
いっぽう、金属電極どうしを接続する用途では、ニッケル粒子が今も有効とされています。 粒子の表面が「いがぐり状」で、電極表面の酸化膜を破るのに向いているためです事実[参考資料10]。 粒子の硬さ・形・表面は、相手の電極に合わせて選ぶのです。
5. 実装方式 ― COG・COF・FOG・FOB など
ACFで何を何に接続するかによって、実装方式の呼び名が変わります。 ディスプレイでは、ガラス基板上の透明電極(ITO)とドライバーICを接続する必要があります。 レゾナックは、ITOははんだと共晶をつくらないため、はんだ接続は使えないと説明しています事実[参考資料6]。 ここにACFが使われる理由があります。
| 略称 | 正式名 | 何と何を接続するか | 主な使われ方(資料の記述) |
|---|---|---|---|
| COG | Chip on Glass | ICチップ ⇔ ガラス基板 | 中・小型ディスプレイ。ICを直接実装する |
| COF | Chip on Flex(Chip on Film) | ICチップ ⇔ フレキシブル基板 | COFにICを載せ、FOGでガラスにつなぐ |
| FOG | Flex on Glass(Film on Glass) | フレキシブル基板 ⇔ ガラス基板 | 狭額縁・ベゼルレスのスマホなど。大型ディスプレイでも一般的 |
| FOB | Flex on Board | フレキシブル基板 ⇔ リジッドなプリント基板 | ディスプレイの入力側など |
| FOF | Flex on Flex | フレキシブル基板 ⇔ フレキシブル基板 | ディスプレイに限らない |
| FOP | Flex on Plastic | フレキシブル基板 ⇔ プラスチック基板(PET、COP、CPIなど) | タッチセンサーの周辺など |
| COP | Chip on Plastic | ICチップ ⇔ プラスチック基板 | フレキシブルな有機EL(OLED)。デクセリアルズの記述 |
すべて事実(レゾナック[参考資料6]、デクセリアルズ[参考資料3]の記述を表にまとめたもの)。
ディスプレイ以外にも、カメラモジュールのCMOSセンサーやCCDなど高温に弱い部品、ICカード、マイクロLED、半導体の2次実装などで使われている、とレゾナックは説明しています事実[参考資料6]。 同社は、マイクロLEDについて「ACF実装が検討されています」と書いており、実績としては書いていません。 そのため、本稿でもマイクロLEDへの適用は未確定/将来として扱います。
デクセリアルズの製品一覧は、用途別に整理されています。中・小型ディスプレイ向けのCOG用とFOG用、大型ディスプレイ向けのFOG用(ガラス基板とCOFの接続)とFOB用(COFと入力基板の接続)、車載向けのFOB用(IATF 16949規格に適合とされています)、ICカード向け、はんだ・コネクター代替向け、タッチパネル向けなどです事実[参考資料5]。
デクセリアルズは、ACFの限界として、異なる形状の部品を同時に実装するのは難しいこと、そして接着剤なので、コネクターのように自由に脱着できないことを挙げています事実[参考資料1]。
6. 熱圧着の工程と、圧着条件(温度・圧力・時間)
ACFによる実装の手順は、デクセリアルズとレゾナックの解説でほぼ共通しています事実[参考資料1・6]。
- 基板の洗浄:接合面の汚れを落とします。ガラス基板では、アルコールや有機溶剤、プラズマ洗浄、UV洗浄などで清浄度を保ちます(レゾナック)。
- ラミネート:ACFを基板に貼り、セパレーター(PET)フィルムを付けたまま加熱・加圧します。
- セパレーター剥離:フィルムを剥がします。
- アライメント:接続したいチップやフレキシブル基板の電極と、基板の電極の位置を合わせます。
- 本圧着:再び加熱・加圧して接合します。
レゾナックは、熱圧着の注意点として、ヒーターヘッドの温度管理、ヒーターヘッドとガラス基板の平行の維持、接合後の導電粒子の形状・抵抗値・接着力の確認を挙げています事実[参考資料6]。
圧着条件は、製品グレードごとに違う
圧着条件は、ACFのグレードと、相手の部材(耐熱性・電極の大きさ)によって大きく変わります。 次の表は、レゾナックの製品ページに「実装条件」として掲載されている値です。いずれも「以上(≥)」の下限値で、メーカー公称です。
| グレード(メーカー公称) | 用途 | 最小接続面積 | 最小スペース | 温度 | 時間 | 圧力 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| AC-8000系 | ICチップ用 | 600 μm² | 10 μm | ≥ 140 ℃ | ≥ 5 s | ≥ 40 MPa(総電極面積あたり) |
| AC-10000系 | COF用 | 3,000 μm² | 10 μm | ≥ 170 ℃ | ≥ 5 s | ≥ 3 MPa |
| AC-3000系 | FPC用 | 12,000 μm² | 15 μm | ≥ 160 ℃ | ≥ 5 s | ≥ 3 MPa |
| AC-7000系 | FPC用 | 29,000 μm² | 15 μm | ≥ 180 ℃ | ≥ 5 s | ≥ 3 MPa |
| AC-9000系 | COF用 | 50,000 μm² | 50 μm | ≥ 160 ℃ | ≥ 5 s | ≥ 3 MPa |
| AC-2000系 | FPC用・COF用 | 50,000 μm² | 50 μm | ≥ 180 ℃ | ≥ 10 s | ≥ 3 MPa |
レゾナック製品ページ[参考資料7・8]。事実(メーカー公称)。圧力の基準面積は、ICチップ用では「総電極面積あたり」と脚注がありますが、FPC・COF用には脚注がなく、基準面積は確認できませんでした。試験に用いた基板や、時間・温度の上限は同ページに記載がありません。
ほかに、ACFの一般的な特長として、レゾナックは「100℃〜240℃程度の低温で、かつ4秒〜60秒の短時間で接続できる」と説明し事実[参考資料6]、はんだ代替用のMFシリーズでも同じ範囲(100〜240℃、4〜60秒)を掲げています[参考資料9]。 フィルム基板用の製品ページには、低温・短時間の例として「170℃/5秒」が書かれています[参考資料7]。
研究論文に見る圧着条件の例
査読付き論文(オープンアクセス)の実験例も紹介します。 Fangら(2024)は、市販の2種類のACF(粒子径およそ20 μmのACF-1と、およそ5 μmのACF-2)を用いて、フレキシブル基板どうし(Flex on Flex)を、ボンダー(Finetech PICO 145)で接続しました事実[参考資料12]。
| ACF(論文中の呼称) | 仮圧着 | 本圧着(論文の標準条件) | 低圧実験で接続抵抗が最良だった条件 |
|---|---|---|---|
| ACF-1(粒子径 約20 μm) | 80 ℃・1 MPa・2 s | 150 ℃・0.67 MPa・15 s | 170 ℃・0.67 MPa(時間は標準と同じ) |
| ACF-2(粒子径 約5 μm) | 80 ℃・1 MPa・2 s | 200 ℃・0.67 MPa・10 s | 220 ℃・0.67 MPa(時間は標準と同じ) |
Fangら(Materials 2024)の実験条件[参考資料12]。事実(論文の実験例。特定の製品の公称値ではありません)。論文の本文には、標準の圧着圧力を「1 MPa」とする記述と、表の「0.67 MPa」とが混在しているため、本稿は表の値を示しました。
レゾナックのICチップ用ACF(AC-8000系)の圧力は「40 MPa以上(総電極面積あたり)」です。これを力に直してみます本稿の計算。
- 最小接続面積の端子1つ:40 MPa × 600 μm² = 40×10⁶ N/m² × 600×10⁻¹² m² = 2.4×10⁻² N = 約24 mN
- 仮に総電極面積が2 mm²のIC:40 MPa × 2 mm² = 約80 N(約8 kgf)
前提と限界:「総電極面積あたり」の圧力を、電極の面積に均等にかかる圧力として扱いました。実際には、ヘッドの平行度や、チップの反り、緩衝材の有無で、端子ごとの力は一様になりません。 総電極面積2 mm²は本稿が置いた仮の値で、実在のICの値ではありません。
7. 素材技術者の視点②:流動とゲル化の「競争」を設計する
レゾナックの渡辺(2005)は、熱硬化性のACFの接続について、次の趣旨を述べています事実[参考資料10]。
- 熱硬化性接着剤は、加熱で流動するが、すぐにゲル化し始める。
- そのため、流動している間に所定の圧力(通常2〜3 MPa)が加わらないと、粒子と電極のあいだの接着剤を押しのけられず、導電粒子を介した電気的な接続を確保できない。
- だから、ACFを硬化させるための加熱と同時に、接着剤が流動する時間に圧力を加えられるよう、プロセスを制御することが重要である。
材料の側から読むと、これは「流れる」と「固まる」の競争です(本記事による解説)。 加熱を始めると、樹脂の粘度はいったん下がって流れ、その後は硬化反応が進んで粘度が急上昇します。 粘度が下がっている間に電極の上の樹脂を排除できなければ、粒子は電極に届きません。 デクセリアルズが「反応率が想定以下なら、硬化に必要な熱エネルギーが不足していた」としてFT-IRで反応率を測る[参考資料4]のも、この競争の結果を確かめるためと読めます。
もうひとつの設計課題は、「速く固まる」と「長く保存できる」の両立です。 同じ論文は、熱硬化性接着剤をACFに使うには、数秒〜20秒ほどの加熱・加圧で接続できる速硬化性と、作業性の面から室温で2週間以上のポットライフが必要だとしています。 著者らは、潜在性硬化剤を分散させたエポキシ樹脂系で、170℃・15〜20秒の速硬化と室温で1か月以上のポットライフを両立できたと述べています事実[参考資料10]。 それでも、レゾナックは熱硬化性ACFに冷蔵保管が必要としており[参考資料6]、デクセリアルズも、熱硬化タイプは常温に放置しただけで硬化反応が進むため規定の温度での保管が必要だと説明しています[参考資料4]。
低温化の手段としては、アクリレートなどのラジカル硬化系があります。同論文は、エポキシ硬化系に比べて約30℃の低温化を実現した例を紹介しています事実[参考資料10]。 硬化の機構(アミン・酸無水物・潜在性硬化剤)の基礎は、本シリーズ「エポキシ樹脂」編を参照してください。
8. ファインピッチ化 ― 粒子を小さく、絶縁し、そして並べる
ディスプレイの高精細化で、電極の間隔(ピッチ)は年々狭くなりました。 デクセリアルズは、高精細化するモバイル機器のディスプレイで、ICチップの電極間の距離が10 μmまで微細化されていると書いています事実[参考資料1]。 レゾナックは、カーボンファイバーを導電粒子にしたそれまでのフィルムは対応できる接続ピッチが500 μm以上だったが、金属粒子を使って1984年に小型液晶TVで実用化し、1992年に100 μm以下、現在のANISOLMでは20 μmを達成したと述べています事実[参考資料6]。
| 手段 | 何をするか | 資料の記述 |
|---|---|---|
| ① 粒子の小径化 | 粒子径を小さくして、端子の間に入りにくくする | デクセリアルズ:粒子径が5 μmから2.8 μmへ[参考資料1] |
| ② 絶縁被覆粒子 | 粒子の表面を絶縁体で覆い、粒子どうしが触れてもつながらないようにする | 1990年代に開発(デクセリアルズ)[参考資料1・3]。COGの狭ピッチ対応にも採用(レゾナック)[参考資料10] |
| ③ 二層構成 | 粒子を含む層と、接着剤だけの層を重ね、電極の上に粒子が集まりやすくする | レゾナック:粒子の捕捉性が単層の約2倍に向上[参考資料10] |
| ④ 粒子の整列 | 粒子を決めた位置に並べて固定する | デクセリアルズ「ArrayFIX」(2016年に発売)[参考資料2・3]、レゾナック「粒子超分散配置型(PAL-ACF)」(2016年に発表)[参考資料6] |
すべて事実(各社の公表資料。4つに整理したのは本記事によるもの)。
粒子を増やす方法が、行き止まりになった理由
従来のACFは、粒子を樹脂に分散させていました。デクセリアルズは、面積あたりの粒子の数が増えれば、端子に捕捉される確率は上がるが、ディスプレイの高精細化が進み、2010年代に入るころから、その方法は限界を迎えつつあったと述べています。 粒子を増やしすぎると端子の間に目詰まりして、ショートの危険が高まるためです事実[参考資料2]。
その答えが、「粒子を増やすのではなく、逆に減らし、意図した位置に規則的に並べる」という方法でした事実[参考資料2]。 ただ並べるだけでは足りません。従来のACFでは、加熱・加圧された樹脂のなかで粒子が動いて端子の間へ逃げていましたが、整列型では粒子が動かないよう流動を抑える樹脂も開発されました。 圧着時に粒子がほとんど移動しないので、ショートの危険も減らせる、という説明です事実[参考資料2]。
| 項目 | 従来のACF | 粒子整列型ACF | 変化 |
|---|---|---|---|
| 粒子の量 | 6万個 | 2.8万個 | 53%削減 |
| 最小接続面積 | 1,300 μm² | 300 μm² | 77%低下 |
| 最小の端子間隔 | 12 μm | 10 μm | 17%狭く |
デクセリアルズの解説ページ[参考資料2]の比較値。事実(メーカー公称)。比較した製品・試験条件・粒子量の単位(面積あたりか総数か)は同ページに記載がありません。端子間隔の単位は同ページでは「μ㎡」と書かれていますが、同ページの別の箇所に「最小バンプ間隔10μm」とあるため、本稿はμmとして読みました(本記事による解説)。
整列型には、設計上の利点もあります。デクセリアルズによれば、従来のACFは端子あたりの粒子捕捉数が正規分布のような確率分布に従うのに対し、整列型は粒子の位置を事前に設計しているため、捕捉数が極めて安定します。 そのため、実際にデバイスを試作しなくても、配線や端子の設計をコンピュータ上で検討できるとしています事実[参考資料3]。 また、整列型は従来のACFの実装設備をそのまま使えるため、新たな設備投資は不要としています[参考資料2]。 デクセリアルズは、COP(Chip on Plastic)接続が求められるフレキシブル有機ELで需要が伸びているとも書いています[参考資料3]。
9. 本稿の計算:ランダムな分散で、なぜ端子が不足するのか
「粒子を樹脂にばらまくと、端子の上に載る数がばらつく」ことを、簡単な統計で確かめます本稿の計算。
- 仮定①:粒子が端子の上にランダムに載り、1端子あたりの捕捉数 N はポアソン分布に従う(平均 λ 個)
- 仮定②:3個以上捕捉できれば十分。「3個以上」は、渡辺(2005)が、50 μm□のAuバンプと粒径4 μmの粒子で温度サイクル試験(−40℃/100℃、500サイクル)をしたとき、粒子数が3個以上で接続抵抗が安定したとする例から借りた基準です事実[参考資料10]
- 仮定③:ICの端子数は1,000本
1端子で捕捉数が3個未満になる確率は P(N≤2)=e−λ(1+λ+λ²/2)です。 たとえば λ=10 のとき、P=e−10×(1+10+50)=約0.28%です。 1,000端子のうち少なくとも1端子が不足する確率は、1−(1−P)1000=約94%になります。 λ=15 に増やすと P は約0.0039%、1,000端子のどれかが不足する確率は約3.8%まで下がります。
前提と限界:実際の粒子は、樹脂の流動で動きますし、同じ大きさの端子でも、バンプの形状や粒子径で必要な数が変わります。 λ や端子数は本稿が置いた仮の値で、実在の製品の粒子数ではありません。 デクセリアルズが述べる「正規分布のような確率分布」と、ここで使ったポアソン分布は同じではありませんが、平均が大きいときは似た形になります(本記事による解説)。
この計算から読み取れるのは、ランダムな分散で「全端子が合格」を保証するには、平均捕捉数を、必要数(ここでは3個)の何倍にも上げなければならないということです。 ところが、平均を上げる(粒子を増やす)ほど、端子の間にも粒子が増え、ショートの確率が上がります。 整列は、この「捕捉」と「絶縁」のトレードオフを、統計ではなく設計で解く手段と言えます(本記事による解説)。
10. 接続信頼性の評価
ACFの接続は、「つながっているか」だけでなく、「つながり続けるか」を確かめる必要があります。 デクセリアルズは、トラブルが起きたときの分析の流れとして、次の項目を挙げています事実[参考資料4]。
| 評価項目 | 何を見るか | 方法・条件の例 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 外観 | 圧着前:気泡・保護フィルムの剥離・劣化。圧着後:ボイド、異物、圧痕、粒子の分散状態 | 金属顕微鏡など | [参考資料4] |
| 反応率 | 接着剤が想定どおり硬化したか | FT-IRで赤外線の吸収を測る(エポキシ系・アクリル系とも) | [参考資料4] |
| 断面観察 | 粒子が正しくつぶれて導通しているか。端子の間の粒子が絶縁を保っているか | グラインダーで断面を削り観察。粒子径が3 μm以下になり、断面を正しく切る技能が必要 | [参考資料4] |
| 接着力 | 想定どおりの力で接着しているか。どう壊れるか(破壊モード) | COGは水平方向(せん断)、FOGは水平と垂直の両方向で測る | [参考資料4] |
| 異物 | 混入した異物の成分と由来 | FT-IR(有機物)、SEM・EDX(無機物) | [参考資料4] |
| 保存状態 | 規定の温度で保管されていたか | 使用者への聞き取り | [参考資料4] |
| 接続抵抗・絶縁抵抗 | 導通と絶縁の電気特性 | 論文の例:接続抵抗は10 mAで測定し1 Ω未満、絶縁抵抗は20 Vで測定し約10¹² Ωの水準 | [参考資料12] |
| 温度サイクル試験 | 温度変化にくり返しさらされたあとの接続抵抗 | 論文の例:−40℃/100℃、500サイクル | [参考資料10] |
| 高温・高湿試験 | 湿気を含んだあとの界面のはく離 | 論文の例:85℃/85%RH、500時間 | [参考資料10] |
| 曲げ試験 | フレキシブルな用途での電気特性の変化 | 論文の例:曲げ半径1 mm、1サイクル2秒、サイクル数は10〜5000回の範囲で設定 | [参考資料12] |
すべて事実(デクセリアルズの分析手順[参考資料4]と、論文の実験条件[参考資料10・12])。論文の条件は特定の実験での設定で、規格で定められた試験条件ではありません。
Fangら(2024)の曲げ試験は、中国の国家標準 GB/T 38001.61-2019(論文中の表記は「Mechanical Stress Test Method for flexible display parts」)に沿って行ったと、論文は述べています事実[参考資料12]。 なお、フレキシブルディスプレイ・モジュールの曲げ・巻き・ねじり・伸ばしに対する機械的な安定性の試験方法を定める国際規格として、IEC 62715-6-1(Flexible display devices - Part 6-1: Mechanical test methods - Deformation tests、2018年4月20日発行の第2版)が、IECのウェブストアに掲載されています事実[参考資料13]。 GB/T 38001.61と IEC 62715-6-1 の対応関係は、本稿では確認していません。 ACFの評価に特化した国際規格(IEC・JISなど)の番号は、本稿の調査範囲では確認できなかったため、記載していません。
11. 接続不良 ― 捕捉不足・ショート・はく離
ACFの不良は、大きく3つの姿に整理できます(本記事による整理)。
| 症状 | 資料に書かれている原因・背景 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 捕捉不足(オープン) | 端子が小さくなると、載る粒子の数が減る。COGは、チップのバンプを接続端子とするため、接続面積がTCP接続のおよそ1/10になり、2,000〜2,500 μm²ほどの電極上に十分な数の粒子を捕捉することが課題だった[参考資料10]。ACFの樹脂が十分に排除されないと、粒子が電極に届かない(第7章) | 断面観察、接続抵抗の測定[参考資料4] |
| ショート | 粒子を増やしすぎると、端子の間に粒子が詰まる[参考資料2]。金属粒子は凝集して絶縁が確保できない例もあった[参考資料10] | 絶縁抵抗の測定、断面観察 |
| はく離 | COGで、ICの大型化にともなって接着界面にかかる応力が増え、高温・高湿試験(85℃/85%RH、500時間)後に界面はく離が起きた例[参考資料10]。基板表面の洗浄が不十分で汚染があると、はく離のおそれが高まる[参考資料6]。粒子の小さいACFは、曲げによる応力でめっき層が割れ、電極パッドからはがれやすいことが、有限要素法と実験で報告されている[参考資料12] | 接着力と破壊モード、高温・高湿試験後の観察[参考資料4・10] |
| 硬化不足 | 反応率が想定以下なら、硬化に必要な熱エネルギーが不足していた[参考資料4]。ヒーターヘッドの温度管理や、ヘッドと基板の平行も影響する[参考資料6] | FT-IRによる反応率 |
| 異物・ボイド | デクセリアルズは、接着材料の接着後に発生する最も多いトラブルは異物の混入だとしている[参考資料4]。ボイド(空隙)も外観で確認する | 金属顕微鏡、FT-IR、SEM・EDX |
| 保管不良による性能低下 | 熱硬化タイプは、常温に放置しただけで硬化反応が進む。保管が適正でないと、同様のトラブルがくり返される[参考資料4] | 保管状態の聞き取り |
すべて事実(各資料の記述の整理。原因は資料が挙げた例で、網羅した一覧ではありません)。
やり直し(リワーク)の難しさ
デクセリアルズは、実装後のリワークを念頭に置く場合には、アクリル樹脂を使ったACFを推奨しています。 硬化したエポキシ樹脂は溶剤に溶けず、残さを削り取る作業になるため、基板を傷めるケースが多いからです。 本圧着後は、実装部をヒートガンやホットプレートなどで温めてFPCを剥がし、基板の配線間に残った樹脂をMEKやNMPなどの溶剤と綿棒で除去します。 ただし、FPCはカールすることが多く、FPC側の配線間の掃除が難しいので、FPCの再利用は推奨していないとしています事実[参考資料1]。 同社は、リワーク自体を推奨しているわけではなく、信頼性の評価で問題がないことを確認したうえで行うよう述べています。
レゾナックも、接着力が強いアクリル樹脂系のグレードは、FOG・FOB・FOF・FOPなどFPCとの接続に定評があり、汚染に強いタイプとしてはアニオン・エポキシ系のグレードを挙げています。 どちらも、有機溶剤を適切に選べば、リワークの剥離・除去条件を見出せるとしています事実[参考資料6]。
12. 素材技術者の視点③:収縮力は「導通の源」であり「はく離の源」でもある
Won-Keun Kim・池田徹・宮崎則幸(九州大学)は、ACFによる接合部の信頼性を研究した論文(2003)の概要で、次のように述べています事実[参考資料11]。
- ACFによる接合部は、樹脂の収縮によって、バンプの間に圧力を発生させ、これによって導通を確保する。
- いっぽうで、樹脂の収縮は、半導体チップや基板との接合部をはく離させる推進力にもなる。
- そのため、両者のバランスのとれた設計が必要になる。
著者らは、異種材界面のき裂の応力拡大係数を用いて接合強度を評価する手法を提案し、チップとACFの界面の残留応力が、ACFと基板の界面よりも高いという結果を報告しています[参考資料11]。
これは、第3章で見た「粒子の復元力と、接着剤の硬化収縮力のつりあい」の、裏側の話です(本記事による解説)。 収縮力を高めれば、粒子を電極に強く押しつけられて導通は安定しますが、界面に残る応力も増え、湿気や温度変化が加わったときに、はく離の起点になります。 素材の側でできる調整は、次のように整理できます。
- 低応力化:渡辺(2005)は、大型ICのCOGで高温・高湿試験後に界面がはく離した例に対し、ACFの低応力化が接着性の向上に有効であり、低応力タイプを使うと、同じ試験(85℃/85%RH、500時間)後も界面のはく離がなかった例を示しています[参考資料10]。
- 低弾性率化とフィラー充填:有機基板へのフリップチップ実装では、ICと基板の熱膨張係数の差による応力を減らすことが信頼性の要点で、接着剤の低弾性率化や、フィラー充填による熱膨張率・吸水率の低減が検討されてきたと述べています[参考資料10]。
熱膨張の差が応力になる考え方は本シリーズ「熱膨張係数」編、フィラー充填と界面の考え方は「ポリマーブレンドとフィラー」編、チップ下の封止の考え方は「アンダーフィル」編と共通しています。 ただし、ACFは「導通のために圧力が必要」という点で、これらの材料とは目的が違います。
- ACFは、接着・導通・絶縁を1枚で担う熱硬化性の接着フィルムです。向かい合う電極に挟まれた粒子だけがつぶれて導通します事実
- 導電粒子は金属の玉ではなく、めっきした樹脂球が主流です。変形して接触面積を稼ぎ、復元力で電極を押し返します事実
- 圧着条件はグレードごとに違い、レゾナックの公表値では温度は140〜180℃以上、時間は5秒以上、圧力はFPC・COF用で3 MPa以上です事実
- 難しさは「流れる」と「固まる」の競争と、「捕捉」と「絶縁」の両立にあります。整列型は後者を設計で解く方法です事実
- ランダム分散では、平均10個でも、1,000端子のうち1端子以上が3個未満になる確率は約94%です本稿の計算
- 収縮力は導通の源であり、はく離の源でもあります。低応力化がその調整手段のひとつです事実
13. 課題と、本稿で確認できなかったこと
(1) 絶縁被覆の材質と厚みが確認できなかった
デクセリアルズは、粒子の最表面を「絶縁体でコーティング」と書いていますが[参考資料1]、被覆の材質や厚みは、本稿が参照した公開資料では確認できなかったため記載していません。 図2では、被覆を薄い輪郭線で概念的に表しています。
(2) 圧着条件は「下限値」しか確認できない
レゾナックの製品ページは「以上(≥)」の値を示しており、推奨される上限値や、圧力の基準面積(FPC・COF用)は確認できませんでした。 デクセリアルズの製品一覧ページ[参考資料5]には、個別の圧着条件は載っていませんでした。 実際の条件は、メーカーへの問い合わせと、評価による決定が前提です。レゾナックも、熱圧着の温度や時間の設定は相談を受けるとしています[参考資料6]。
(3) 評価の規格と、合否の基準が確認できなかった
本稿が示した温度サイクルや高温・高湿の条件は、論文の例です。ACFの接続信頼性を評価する規格の番号と、合否の基準は、本稿の調査範囲で確認できませんでした。
(4) 粒子の面密度の標準的な値が確認できなかった
デクセリアルズの比較値(6万個→2.8万個)は、単位が書かれていません。一般的な粒子の面密度の目安は、公開資料で確認できなかったため、第9章の計算では、平均捕捉数を仮の値としました。
(5) マイクロLEDなど新しい用途は将来の話
レゾナックは、マイクロLEDのACF実装を「検討されています」と書いています[参考資料6]。 粒子径2 μm台のACFの開発などの報道もありますが、本稿は一次情報(メーカーの公式資料)で確認できた範囲にとどめ、ここでは扱いません未確定/将来。
(6) 市場規模・シェアは使っていない
ACFの市場規模やメーカー別シェアには、調査会社の推計や報道の数字があります。本稿は、それらを使っていません。
14. 用語集
- ACF
- Anisotropic Conductive Film。導電粒子を熱硬化性樹脂に分散させたフィルム状の接続材料。
- 異方性
- 方向によって性質が違うこと。ACFでは、上下は導電、面方向は絶縁。
- バンプ
- ICチップの電極に付ける突起状の端子。金(Au)などが使われる。
- ITO
- 酸化インジウムスズ。ディスプレイの透明電極に使う。はんだと共晶をつくらない。
- COG
- Chip on Glass。ICチップをガラス基板に直接実装する方式。
- COF
- Chip on Flex(Film)。ICチップをフレキシブル基板に実装する方式。
- FOG
- Flex on Glass(Film on Glass)。フレキシブル基板をガラス基板に接続する方式。
- FOB
- Flex on Board。フレキシブル基板をプリント基板に接続する方式。
- FOF/FOP/COP
- それぞれ、フレキシブル基板どうし/フレキシブル基板とプラスチック基板/ICチップとプラスチック基板の接続。
- FPC
- フレキシブルプリント基板(回路)。折り曲げられる薄い配線板。
- ファインピッチ
- 電極の間隔が非常に狭いこと。ピッチは電極の中心間の距離。
- 捕捉
- 導電粒子が向かい合う電極に挟まれて、接続に使われること。
- 絶縁被覆粒子
- 表面を絶縁体で覆った導電粒子。つぶれると被覆が壊れて導通する。
- ゲル化
- 熱硬化性樹脂が硬化反応で流動性を失い、ゼリー状になること。
- ポットライフ
- 混合・保存した材料が、使える状態を保つ期間。
- 潜在性硬化剤
- 常温では反応せず、加熱すると反応を始める硬化剤。保存性と速硬化を両立する。
- ヒーターヘッド
- 熱圧着装置で、熱と圧力を加える部分。
- ポアソン分布
- まれな事象の数のばらつきを表す確率分布。本稿の計算で使用。
- FT-IR
- フーリエ変換赤外分光。官能基の吸収から、反応率や異物の成分を調べる。
- ArrayFIX/PAL-ACF/ANISOLM
- それぞれデクセリアルズの粒子整列型ACF、レゾナックの粒子超分散配置型ACF、同社のACFのブランド名。
15. 参考資料(一次情報)
- デクセリアルズ「異方性導電膜(ACF)の基礎知識」TECH TIMES 2020年11月25日(最終更新 2024年1月30日) — techtimes.dexerials.jp
- デクセリアルズ「粒子整列型異方性導電膜「ArrayFIX」の基礎知識」TECH TIMES 2020年11月25日 — techtimes.dexerials.jp
- デクセリアルズ「粒子整列型異方性導電膜「ArrayFIX」 そのメリットと拡大する市場」TECH TIMES 2022年1月17日 — techtimes.dexerials.jp
- デクセリアルズ「最先端の異方性導電膜(ACF)実装をサポートするデクセリアルズの分析技術」TECH TIMES 2020年11月25日 — techtimes.dexerials.jp
- デクセリアルズ「異方性導電膜(ACF)、導電性フィルムの製品一覧」製品ページ — dexerials.jp
- レゾナック「ACF(異方導電フィルム・異方性導電膜)とは?用途、使い方、種類と剥離対策を徹底解説」 — resonac.com
- レゾナック「ACF(異方導電フィルム)フィルム基板接続用」製品ページ(ACシリーズ) — resonac.com
- レゾナック「ACF(異方導電フィルム)ICチップ接続用」製品ページ(AC-8000系) — resonac.com
- レゾナック「ACF(異方導電フィルム)はんだ代替接続用」製品ページ(MFシリーズ) — resonac.com
- 渡辺伊津夫(日立化成工業)「異方導電接着フィルム」材料応用講座 第2回、エレクトロニクス実装学会誌 Vol.8 No.4, pp.346-351, 2005(DOI 10.5104/jiep.8.346)。レゾナックのサイトに掲載されたPDF — resonac.com
- Won-Keun Kim、池田徹、宮崎則幸(九州大学)「異方性導電樹脂接合部の接合信頼性評価」エレクトロニクス実装学会誌 Vol.6 No.2, pp.153-160, 2003(DOI 10.5104/jiep.6.153)。概要ページ — jiep.or.jp
- Fang Y. ほか“Size Effects of Au/Ni-Coated Polymer Particles on the Electrical Performance of Anisotropic Conductive Adhesive Films under Flexible Mechanical Conditions” Materials 2024, 17(7), 1658(DOI 10.3390/ma17071658)。オープンアクセス(PMC) — ncbi.nlm.nih.gov
- IEC(国際電気標準会議)IEC 62715-6-1:2018 “Flexible display devices - Part 6-1: Mechanical test methods - Deformation tests” ウェブストアの規格ページ(題名と適用範囲のみ確認) — webstore.iec.ch
16. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| ACFが熱硬化性樹脂に導電粒子を分散させたフィルムで、熱圧着により上下方向に導電性、面方向に絶縁性を示すこと。膜厚10〜45 μm、幅0.4〜20 mm程度。100〜240℃・4〜60秒程度で接続できること。ITOははんだと共晶をつくらないためはんだ接続が使えないこと。COG・FOG・COF・FOB・FOF・FOPの定義。1984年の液晶TVでの実用化、カーボンファイバー系の対応ピッチ500 μm以上、1992年に100 μm以下、PAL-ACF(2016年発表)、ANISOLMの接続ピッチ20 μm・幅0.4 mm。コンスタントヒート方式とパルスヒート方式。ヒーターヘッドの温度管理・平行維持・接合後の確認。導電粒子(Niコートの樹脂球で直径3〜20 μm、Au・Pdめっき)。熱硬化性が大半で冷蔵保管が必要。アクリル系・アニオン・エポキシ系のグレードとリワーク | 出典6 https://www.resonac.com/jp/solution/tech/acf.html | 事実 |
| 1977年の製品化、「接着」「導通」「絶縁」の3機能、110〜180℃程度の低温実装。導電粒子の代表的構造(樹脂核+Ni・Au+絶縁コート)と、挟まれなかった粒子が絶縁を保つこと。フィルム厚10〜45 μm、幅0.5〜20 mm、長さ10〜300 m、3層タイプと2層タイプ。実装の5ステップ。電極間距離10 μmまで微細化。異なる形状の部品の同時実装が難しく脱着できないこと。導電材料の変遷(約100 μmのカーボンファイバー、50 μmの金属粒子、1988年のめっき樹脂粒子、1990年代の絶縁コート、粒子径5→2.8 μm)。アクリル系のリワーク推奨と手順、FPC再利用の非推奨 | 出典1 https://techtimes.dexerials.jp/bonding/what-is-acf/ | 事実 |
| 粒子を増やす方法の限界(ショートの危険)、粒子を減らして整列させる着想、流動を抑える樹脂、粒子量6万→2.8万個(53%削減)、最小接続面積1,300→300 μm²(77%低下)、最小端子間隔12→10 μm(17%)、既存設備を使えること | 出典2 https://techtimes.dexerials.jp/bonding/what-is-paf/ | 事実 |
| COG・FOG・FOBの定義。ArrayFIXの2016年の発売。従来ACFの捕捉数が正規分布のような確率分布に従い、整列型は事前に予測できること。COP接続の需要。PAF300・400・700の3シリーズ | 出典3 https://techtimes.dexerials.jp/bonding/advantage-of-paf/ | 事実 |
| 分析項目(外観、反応率のFT-IR測定、断面観察、COGのせん断方向とFOGの水平・垂直方向の接着力、異物のFT-IR・SEM・EDX、保存状態)。粒子径3 μm以下で断面を切る技能が必要なこと。接着後の最多のトラブルが異物混入であること。熱硬化タイプが常温でも硬化が進み、規定温度での保管が必要なこと | 出典4 https://techtimes.dexerials.jp/bonding/dxc-analysis/ | 事実 |
| デクセリアルズ製品一覧の用途別の区分(COG用、FOG用、FOB用、車載向け、ICカード向け、はんだ・コネクター代替向け、タッチパネル向け)、IATF 16949規格への適合の記載 | 出典5 https://www.dexerials.jp/products/acf/ | 事実 |
| レゾナックの実装条件(AC-8000系 ≥140℃・≥5 s・≥40 MPa、AC-10000系 ≥170℃、AC-3000系 ≥160℃、AC-7000系 ≥180℃、AC-9000系 ≥160℃、AC-2000系 ≥180℃・≥10 s、FPC・COF用 ≥3 MPa)、最小接続面積・最小スペース、「170℃/5秒」の例、MFシリーズの100〜240℃・4〜60秒 | 出典7 https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/77/001.html出典8 https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/77/002.html出典9 https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/77/004.html | 事実 |
| ACFが1984年に製品化され、金属めっき樹脂粒子(直径3〜10 μm、接着剤に近い比重・熱膨張係数)が70 μmピッチ以下で実用化された経緯。Ni粒子のいがぐり状表面が酸化膜の破壊に有効なこと。接続機構(弾性変形した粒子の復元力と接着剤の硬化収縮力のバランス)。熱硬化性接着剤の流動とゲル化、通常2〜3 MPaの圧力。速硬化(数秒〜20秒)と室温ポットライフ2週間以上。潜在性硬化剤分散エポキシで170℃・15〜20秒、室温で1か月以上。ラジカル硬化系で約30℃の低温化。粒子数3個以上で温度サイクル(−40℃/100℃、500サイクル)後の接続抵抗が安定。COGの接続面積がTCPの約1/10(2,000〜2,500 μm²)、二層構成で捕捉性が約2倍、絶縁被覆導電粒子。85℃/85%RH・500時間のはく離例と低応力ACFによる改善。有機基板へのフリップチップ実装での低弾性率化・フィラー充填 | 出典10 https://www.resonac.com/sites/default/files/2022-12/solution_ACF01.pdf | 事実 |
| ACF接合部で、樹脂の収縮がバンプ間に圧力を生んで導通を確保する一方、チップや基板との界面をはく離させる推進力にもなること。チップ/ACF界面の残留応力がACF/基板界面より高いという結果 | 出典11 https://www.jiep.or.jp/old/publish/journal/pdf/62/62a04.pdf | 事実 |
| 2種類の市販ACF(粒子径約20 μmと約5 μm)の仮圧着(80℃・1 MPa・2 s)と本圧着の条件(150℃・0.67 MPa・15 s、200℃・0.67 MPa・10 s)、低圧実験での最良条件(170℃・220℃、0.67 MPa)、接続抵抗1 Ω未満、絶縁抵抗約10¹² Ω、曲げ試験の条件、粒子が小さいほどめっき層の割れやはく離が起きやすいという結果、GB/T 38001.61-2019に沿った曲げ試験 | 出典12 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11012521/ | 事実 |
| IEC 62715-6-1:2018の題名(Flexible display devices - Part 6-1: Mechanical test methods - Deformation tests)、適用範囲(曲げ・巻き・ねじり・伸ばし)、2018年4月20日発行の第2版 | 出典13 https://webstore.iec.ch/publication/59479 | 事実 |
| マイクロLEDへのACF適用(「ACF実装が検討されています」という記述) | 出典6 https://www.resonac.com/jp/solution/tech/acf.html | 未確定/将来 |
| 40 MPa×600 μm²=約24 mN、総電極面積2 mm²で約80 N(約8 kgf)。ポアソン分布による「3個未満」の確率(λ=8・10・12・15・20)と、1,000端子のどれかが不足する確率(約100%・約94%・約41%・約3.8%・約0.05%) | 本稿の計算。圧力は電極面積に均等にかかる、粒子の捕捉数はポアソン分布に従う、3個以上で十分、端子数1,000本、総電極面積2 mm²は、いずれも本稿が置いた仮定。3個以上は渡辺(2005)の例を借りた仮の基準 | 本稿の計算 |
| 導電粒子の絶縁被覆の材質・厚み | 本稿が参照した公開資料では確認できなかったため記載していない | 解説 |
| レゾナックの圧着条件の上限値、FPC・COF用の圧力の基準面積 | 製品ページが下限値(≥)のみを示し、脚注もないため確認できなかった | 解説 |
| ACFの接続信頼性を評価する規格の番号と合否基準、GB/T 38001.61-2019とIEC 62715-6-1の対応関係 | 本稿の調査範囲では確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 粒子の面密度の標準的な値、デクセリアルズの比較値(6万個→2.8万個)の単位と比較条件 | 同社のページに記載がなく、確認できなかった。端子間隔の単位は「μ㎡」と書かれているが、同ページの「最小バンプ間隔10μm」から、本稿はμmと読んだ | 解説 |
| 導電粒子はめっきした樹脂球で、変形・復元・周囲へのなじみという3つの意図があるという読み取り。「流れる」と「固まる」の競争という整理。整列は「捕捉」と「絶縁」のトレードオフを設計で解くという整理。収縮力が導通とはく離の両方の源であるという整理。不良を3つの姿に整理したこと。手段を4つに整理したこと | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| ヒーロー画像と図1がAI生成イメージであり、図2〜図7が説明のための作図であること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(メーカーの公式な技術資料・製品ページ、学会誌・査読付き論文、規格団体のページ)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 製品の数値はメーカー公称で、製品グレードや試験条件が異なる値を並べて優劣を論じていません。 導電粒子の絶縁被覆の材質と厚み、圧着条件の上限と圧力の基準面積、ACFの評価規格と合否基準、粒子面密度の標準値については、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 図1とヒーロー画像はAI生成イメージ、図2〜図7はベクター作図(図6は本稿の計算を含む)であり、いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。