sonpiretigene isteparvovec|光遺伝学療法の治験計画と性能

Eye Care Network – Ophthalmology Times アメリカ
概要
光遺伝学(オプトジェネティクス)を用いた遺伝子治療薬sonpiretigene isteparvovecが、地理的萎縮(GA)患者を対象とした第2相試験へ移行することが決定した。スターガルト病患者への単回投与で視力改善が確認され、GAモデルの非ヒト霊長類でも強い網膜電気反応が示されている。既存のGA治療薬が病変の進行抑制に留まる中、失われた視機能の回復を実現する新たなアプローチとして期待される。
詳細

主要成果

Nanoscope Therapeutics社が開発するsonpiretigene isteparvovec(son-vec、旧称MCO-010)が、地理的萎縮(GA)患者を対象としたランダム化第2相試験に直接進むことが発表された。通常必要とされるGA集団での第1相安全性試験を省略して移行する判断の根拠となったのは、スターガルト病患者における視力改善データと、GAモデルの非ヒト霊長類における網膜電気反応の強化という2つの研究成果である。

スターガルト病患者を対象としたオープンラベル第2相試験では、萎縮が黄斑に限定されていたサブグループにおいて、平均12文字(ETDRS文字)の視力改善が認められた。また、別のSTARLIGHT試験(6名の成人対象)では、48週時点で最高矯正視力(BCVA)が平均5.5文字改善し、ウェアラブル拡大鏡を用いた測定では13.3文字の改善が確認されている。安全性については、結膜下出血や眼圧上昇、硝子体細胞の出現が見られたが、網膜剥離や眼内炎などの深刻な有害事象は報告されていない。

技術・詳細

本治療法は、従来の遺伝子置換療法とは異なり「光遺伝学(オプトジェネティクス)」を採用している。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、多特性オプシンをコードする遺伝子をONバイポーラ細胞(双極細胞)に届ける仕組みである。光受容細胞が変性した後も生存していることが多い双極細胞に、直接光に反応する能力を持たせるため、特定の原因変異に依存しない「ミューテーション・アグノスティック(変異不問)」なアプローチとなる。投与は診療所での硝子体内注射によって行われる。

背景・業界の文脈

加齢黄斑変性(AMD)に伴う地理的萎縮(GA)は、米国内で約100万人が影響を受けているとされる。2023年にFDAが承認したpegcetacoplan(Syfovre)およびavacincaptad pegol(Izervay)の2つの補体阻害薬は、GA病変の進行を遅らせる効果はあるが、失われた視力を回復させる機能は持っていない。光受容細胞がすでに消失した網膜機能を回復させる承認済み治療法は現在存在しない。なお、光遺伝学の基礎を築いたKarl Deisseroth氏、Peter Hegemann氏、Georg Nagel氏の3名には、2026年のノーベル生理学・医学賞が授与されている。

今後の展望

son-vecは網膜色素変性症(RP)においても開発が進んでおり、2026年9月にはFDAが製品名「Mogenry」として生物学的製剤承認申請(BLA)を受理した。GAへの適用については、GA患者が病変縁に機能的な光受容細胞を保持していることが、治療効果にどう影響するかを検証する必要がある。今後は、ランダム化第2相試験で広範な患者集団への有効性を検証し、結果が肯定的であれば、規制当局の承認を目指した第2b/3a相試験へと進む計画である。

元記事: https://www.ophthalmologytimes.com/view/aao-2026-optogenetic-gene-therapy-heads-to-phase-2-trial-in-geographic-atrophy

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