主要成果
NVIDIAは、半導体設計、製造、テストの全工程においてAIと加速コンピューティングを導入し、製造効率を劇的に向上させる「AI-defined fabs(AI定義ファブ)」を推進している。具体的には、新しく導入されたCUDA-Xライブラリ「cuPotential」が、原子および分子の相互作用をシミュレートするAIエージェントの構築を可能にし、GPU最適化済みのワークフローをさらに2-3倍加速させる。また、オープンソースの3Dデータ処理ライブラリ「NanoVDB」はLam Researchにおいてシミュレーションを30倍高速化し、画像処理ライブラリ「NPP」はKLAのチップ製造検査を加速させている。
技術・詳細
AI-defined fabsでは、エンジニアがデジタルツイン上で材料のモデリングや検査データの分析、プロセス変更のテストを行うことで、生産効率の最適化と問題解決を図る。これを支えるのが以下のCUDA-Xポートフォリオである。
- NVIDIA cuPotential: 原子レベルのシミュレーションを加速し、電気的な力などの相互作用を高速にモデル化する。Synopsysが材料シミュレーションへの導入を開始している。
- NVIDIA cuESTおよびcuDSS: 電子挙動のモデリング(cuEST)と複雑なエンジニアリングシミュレーションの解決(cuDSS)を行う。SynopsysのQuantumATKではcuESTにより最大30倍、S-DeviceではcuDSSにより12倍の高速化が確認された。
- NVIDIA cuLitho: チップパターンのプリント計算を加速させる。
また、AIエージェントの活用も進んでおり、CadenceはNemotronオープンモデルとCUDA-Xを用いて、熱やストレスの最適化を8倍高速化する「AuraStack AI Super Agent」などを展開している。Voltaiのプラットフォーム「Voltaire」は、cuDSS等の活用により、数ヶ月かかっていた複雑な電気・熱・機械シミュレーションを1日にまで短縮した。
背景・業界の文脈
高度なチップへの需要が高まる中、半導体製造プロセスは極めて複雑になっており、従来の設計・製造手法では対応が困難になっている。Applied Materials、Cadence、KLA、Lam Research、Siemens、Synopsysなどの業界リーダーは、開発速度の向上、歩留まりの改善、生産能力の拡大を目的として、NVIDIAの加速コンピューティングおよびAIスタックを採用している。
今後の展望
半導体エンジニアリングの完全な自律化に向けた取り組みも始まっている。ChipAgentsはNVIDIAと共同で、仕様策定からグラフィックデータシステムまでのエンドツーエンドのワークフローを評価する新しいAIベンチマーク「Build-A-Chip Bench」を開発中である。これにより、業界全体で自律的な半導体エンジニアリングへの進捗を定量的に測定することが可能になる。
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