主要成果
オークランド大学と米国メリーランド大学および米国国立標準技術研究所(NIST)の研究チームは、光周波数コム(Optical Frequency Combs)をチップサイズに小型化する画期的な手法を開発し、その成果を学術誌『Nature』に発表した。この技術により、これまで装置の巨大さとコストが障壁となり研究室内に限定されていた「光の物差し」を、通信ネットワークや精密センサー、携帯型原子時計などの実用的なデバイスへ統合することが可能になる。
技術・詳細
光周波数コムとは、等間隔に並んだ数百万もの精密な光の周波数(色)を生成する技術であり、時間、距離、化学信号を極めて高い精度で測定できる。本研究の核心は、周波数コムの生成設計を根本的に反転させた点にある。
- 従来の手法: 単一のレーザー光をカスケード状に広げ、広いスペクトルをカバーさせる設計であった。
- 新設計: スペクトルの両端に位置する、1オクターブ(周波数が2倍)離れた2つのレーザーから開始する。システムが自動的にその2つの境界間のすべての光周波数を埋めることで、既存のアーキテクチャで課題となっていた性能問題を克服した。
研究チームは、このチップベースのシステムを用いて、精密な光周波数の生成、低ノイズのミリ波信号の生成、および統合光時計の読み出しという、周波数コムの3つの核心的タスクを実証した。
背景・業界の文脈
研究室規模の光周波数コムは、2005年にノーベル物理学賞を受賞したジョン・ホールとテオドール・ヘンシュによって1990年代後半に先駆的に開発された。これにより世界で最も精密な「光格子時計(光原子時計)」の実現が可能となったが、チップ統合型のデバイスにおいては、制御と安定化が極めて困難であることが長年の課題となっていた。本研究は、2021年にオークランド大学のミロ・エルキンタロ教授がチップスケールの周波数コム生成の新たな方法を模索し、2024年に米国チームとの共同研究で概念実証(Proof-of-Concept)に成功したことで結実した。
今後の展望
サイズ、重量、消費電力、およびコストの削減が進むことで、光周波数コムの量産化と消費者向け製品への移行が期待される。具体的な応用例としては、GPS衛星信号に依存しないナビゲーションシステムや、地下の鉱床分布をマッピングする携帯型光原子時計、通信における同期技術、環境の微小な変化を検知する高感度センサーなどが挙げられる。なお、エルキンタロ教授、モイユ氏、スリニヴァサン氏は、本研究の内容に基づき暫定特許を出願している。
元記事: https://www.photonicsonline.com/doc/university-s-research-advances-ultra-precision-laser-tech-0001
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



