主要成果
Astera Labsは、業界で初めて銅および光インターコネクトの両方をカバーするPCIe 7.0信号調整ポートフォリオ「Aries 7」を公開しました。このポートフォリオには、フラッグシップであるスマートリタイマーに加え、スマートリドライバ、スマートオプティカルドライバ、および光TIA(トランスインピーダンスアンプ)が含まれています。これにより、ハイパースケーラーやOEM、ODMなどの顧客は、PCIe 7.0の128 GT/sという高速データレートにおいて、基板上の数センチメートルのトレースから、複数ラック間にまたがる50メートル以上の光ケーブルまで、同一のプラットフォームで接続距離を拡張できるようになります。
技術・詳細
Aries 7の技術的な特徴は、多様なデバイスクラスを単一のソフトウェアスイート「COSMOS」で統合管理し、監視、デバッグ、動的なチューニングを可能にした点にあります。また、スマートリタイマーとスマートリドライバは「OCP Signal Conditioner Standard Footprint」をサポートしており、基板の再設計を行うことなく信号調整デバイスを交換できる「スマートスワップ」を実現しています。
特に注目されるのが、同社初となる光デバイスであるスマートオプティカルドライバと光TIAです。これらは低電力かつ高密度なニアパッケージオプティクス(NPO)およびリニアプラガブルオプティクス(LPO)向けに設計されており、DSP(デジタル信号処理)を省略したリンクに適した線形性と動的チューニング機能を備えています。これにより、光ポートあたりのアナログコンテンツが増加し、送信レーンごとのドライバと受信レーンごとのTIAという構成が可能になります。
背景・業界の文脈
PCIe 7.0への移行に伴い、物理的な制約が厳しくなっています。Gen 6からGen 7への移行でデータレートは128 GT/sへと倍増しますが、挿入損失予算は32 dBから36 dBへの上昇に留まります。その結果、信号調整デバイスが必須となるまでの有効なPCBトレース長が、約14インチから10インチへと短縮されます。この到達距離の低下が、信号調整シリコンの採用率(アタッチレート)を高める要因となっています。
また、Astera Labsの事業構造においても、従来のリタイマー事業の成長が成熟期に入っています。2026年第2四半期時点でAriesの売上高は過去最高を更新したものの、全社売上高に占める割合は2023年の約90%から53%まで低下しており、ファブリックスイッチのScorpioやイーサネットモジュールのTaurusが急速に拡大しています。スケールアップトポロジーにおいて、ポイントツーポイントの調整よりもスイッチシリコンが優先される傾向にあるため、リタイマー需要の平坦化というリスクを抱えていました。
今後の展望
Aries 7は、成熟したリタイマー事業を光通信への導入路へと転換させる戦略的な製品です。2027年に本格化が見込まれるNPO(ニアパッケージオプティクス)の導入タイミングに合わせて光シリコンを投入することで、新たな成長エンジンとする狙いがあります。また、2028年にはCPO(共同パッケージオプティクス)アーキテクチャの導入が進むと見られています。
今後のスケジュールとしては、2026年第4四半期に一部のハイパースケーラー、OEM、NPO顧客向けにサンプリングを開始する予定です。また、2026年10月12日から15日にサンノゼで開催されるOCP Global Summitにて、PCIe 7.0の銅および光リンクのデモンストレーションが行われます。
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