COMPANY PROFILE / 機能性材料
信越化学工業
― 希土類の分離から焼結ネオジム磁石までを自社でつなぐ、日本の総合素材メーカー(磁石事業に絞って)
信越化学工業は、半導体シリコンや塩化ビニル樹脂、シリコーンで知られる総合素材メーカーです。 本稿は、そのうち希土類磁石に絞ります。同社は1960年代から希土類の分離・精製を行い、 1976年にサマリウム・コバルト磁石、1986年にネオジム磁石の量産を始めました(会社の沿革)。 いまは武生工場(福井県)を中心に、日本・フィリピン・タイ・ベトナム・中国で磁石をつくり、 重希土の使用量を減らした製品の開発とリサイクルを強みに挙げています。 一方で、磁石の売上・利益・生産量は開示されていません。公開資料で確認できる範囲だけを書きます。
- 30秒でわかる信越化学工業と、機能性材料での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 機能性材料の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(簡潔に)
- 機能性材料にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は機能性材料で何を目指しているか
- 機能性材料分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかる信越化学工業と、機能性材料での立ち位置
1926年9月16日設立会社概要(2026年3月31日時点)
証券コード 4063磁石は電子材料セグメントに含まれる
コバルト磁石/1986年 ネオジム磁石会社の沿革。前者は「世界初の商業生産」と会社が記載
タイ・ベトナム・中国分離・精製は武生工場(福井県)
減らした製品とリサイクルAnnual Report 2026の「競争優位」の記述
永久磁石の分野でMP Materialsや Niron Magnetics が「新しい供給網」として語られるのに対し、 信越化学工業は数十年前から希土類の分離・精製と磁石の製造をつないできた、既存の担い手です 事実。 会社全体の成長戦略の説明(Annual Report 2026)は半導体シリコンやフォトレジストなど半導体関連が中心で、磁石は電子材料セグメントの一部です。 公開資料からは磁石の売上・生産量・利益が分からないため、規模を数値で論じることはできません 未確定/将来。 一方、重希土(テルビウム・ジスプロシウムなど)の使用量を減らす技術については、会社が特許と製品グレードを公開しています。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は「信越化学工業株式会社」で、英文では Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.。 子会社に半導体シリコンの信越半導体、米国の塩ビ会社 Shintech などがあり、 磁石を扱うのは信越化学工業の磁性材料事業部とその海外の磁石子会社です。混同しないよう区別して書きます。 会社の英文資料では会計年度を「FY2025」(2025年4月〜2026年3月)と呼びます。本稿は「2026年3月期」に読み替えて書きます。 ロゴは公式サイトに掲載されているものです。
公式サイト:https://www.shinetsu.co.jp/en/3. 機能性材料の世界で、この会社はどこにいるか
信越化学工業は素材・原料メーカーで、この分野の中心は焼結ネオジム(Nd-Fe-B)磁石です。 会社は同じ磁石をモーターに組み込む磁気回路・磁石組立品や、ハードディスクのボイスコイルモーター用の磁石組立品も扱いますが、 本稿は材料としての磁石に絞ります。 永久磁石の基本は本シリーズの技術解説「永久磁石とレアアース」、 重希土を使わない・減らす方向の技術は「レアアースフリー磁石」と併せて読むと整理しやすくなります。 同じ分野の企業解説では、MP Materials(レアアースの採掘・分離と磁石)と Niron Magnetics(窒化鉄の新しい磁石)があります。
4. 会社の規模(簡潔に)
会社全体の規模は次のとおりです。磁石の事業規模は開示されていません 事実。
| 指標(百万円) | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 連結売上高 | 2,561,249 | 2,573,969 |
| 連結営業利益 | 742,105 | 635,204 |
| 電子材料セグメントの売上高 | 934,312 | 1,015,765 |
| 電子材料セグメントの営業利益 | 324,760 | 344,537 |
| 研究開発費(会社全体) | 73,129 | 77,819 |
| 設備投資(会社全体) | ― | 339,706 |
| 設備投資(電子材料セグメント) | 245,500 | 212,366 |
| 指標 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 連結従業員数 | 27,342人 | 2026年3月31日 |
| 電子材料セグメントの従業員数 | 13,566人 | 2026年3月31日 |
| 資本金 | 1,194億円 | 2026年3月31日 |
上の数字は会社全体と電子材料セグメント全体のものです。電子材料セグメントの設備投資2,124億円の主な内訳は、 会社の説明によれば半導体シリコンの高品質化と、フォトレジストの生産設備で、磁石は挙がっていません。 磁石の売上・営業利益・設備投資・研究開発費はいずれも非公表で、本稿では推計しません 未確定/将来。
5. 機能性材料にかけているリソース
4点それぞれについて、一次情報で確認できたか/できなかったかを表にします。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 磁石に関わる人員数は非公表。磁性材料事業部、武生工場にある磁性材料研究センターを持つ。電子材料セグメント全体は13,566人 | 事実(人数は非公表) |
| 金(設備投資・研究開発) | 磁石単独の設備投資・研究開発費は非公表。沿革には、ベトナムの磁石ブロック・加工工程の能力増強(2023年、2024年)、日本の加工能力の増強(2022年)、武生工場の磁石ブロック工程の能力増強(2025年)が記載されている(金額なし) | 事実(金額は非公表) |
| 外部への出資・買収・合弁・事業売却 | 磁石分野で他社を買収・出資した記載は確認できなかった。海外の磁石生産・販売は、会社が出資する子会社(フィリピン、ベトナム=100%出資で連結、タイは非連結子会社、中国福建省)で行う。リサイクルでは、ダイキン工業・日立製作所・東京エコリサイクルとの協業を2026年に開始。なお、プロテリアル(旧日立金属)は2025年8月の告知で、焼結希土類磁石の特許の一部を信越化学工業にも実施許諾している(中国での製造・販売に制限)と記載している | 事実(買収等は確認できず) |
| 大学・研究機関・公的資金との連携 | Annual Report 2026、決算説明会の要旨、磁石専用サイトのいずれにも、磁石分野の大学・国立研究所との共同研究や、公的補助金の記載は確認できなかった | 確認できず |
主要な拠点・設備の状況
| 拠点・設備 | 内容(会社の沿革・資料) | 段階 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 武生工場(福井県越前市) | 希土類の分離・精製(1967年に量産開始、1987年に溶媒抽出の量産プラント)。磁性材料研究センターを併設。磁石ブロック工程の能力を2025年に増強 | 稼働 | 1945年設立〜2025年 | 出典10・14 |
| Asahi Branch Plant(日本) | 焼結磁石の加工・磁気回路の組立。粒界拡散(GBDP)の量産を2012年に開始。加工能力を2013年・2022年に増強 | 稼働 | 1984年〜 | 出典10 |
| ベトナム子会社(ハイフォン) | 磁石のリサイクルを2013年に開始、磁石ブロック工程を2016年、加工工程を2019年に開始。2023年・2024年に能力増強。会社の社員メッセージは、精製・リサイクルから完成品まで一か所に統合した一貫生産を述べ、新工場の建設計画に触れる | 稼働(新工場は計画) | 2013〜2024年 | 出典3・10 |
| フィリピン・タイ・中国(福建省)の子会社 | フィリピン(1999年)、タイ(2006年)、中国福建省長汀(2013年)で操業開始 | 稼働 | 1999〜2013年 | 出典10・11 |
| リサイクル | 磁石加工で出る磁粉のリサイクルを2007年から、使用済み磁石のリサイクルを2013年3月から実施(会社の記載)。2026年から、業務用空調機のコンプレッサーの磁石を回収・再利用する国内初の循環システムの自動化設備を開発し、2027年に本格運用を始める計画 | 稼働/計画 | 2007年〜2027年(計画) | 出典1 |
ネオジム磁石は一般に、高温のモーター内で逆磁界にさらされると磁化を失いやすく、これを防ぐ性質が保磁力(HcJ)です(一般的な説明)。 テルビウム・ジスプロシウムなどの重希土は、保磁力を高めるために使われます。 会社は粒界拡散合金法を、「重希土を適切な位置にごく少量置いて、保磁力を大幅に高める」技術として説明し、 重希土を結晶粒の境界(粒界)付近に濃縮させることで、従来の「二合金法」に比べて保磁力をさらに高め、残留磁束密度の低下を抑えられるとしています 事実。 会社は2004年に開発を始め、2008年にNシリーズで生産を開始、2012年に量産を始めたと沿革に記載しています。
会社が公開するNシリーズの一覧(メーカー公称)で、同じ「N52」クラスの2製品を比べると、 N52-F(垂直磁界プレスタイプ)はBr 1.41〜1.47 T、HcJ 995 kA/m以上、N52UH-HGF(粒界拡散タイプ)はBr 1.40〜1.46 T、HcJ 1,910 kA/m以上です。 Brがほぼ同じ範囲で、HcJの下限が約1.9倍になっています(1,910÷995) 本稿の計算。 これは同じ会社の同じ一覧のなかの比較で、他社製品との優劣を示すものではありません。 一覧には測定温度などの条件が書かれていないため、使用温度での保磁力は読み取れません。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 1945年 | 武生工場を設立 | 希土類・磁石の拠点 |
| 1961〜1969年 | 希土類の研究開始(1961年)、分離・精製の量産開始(1967年)、サマリウム生産開始(1969年) | 原料側の技術の蓄積 |
| 1970〜1976年 | 希土類磁石の研究開始(1970年)。1976年にSmCo磁石の量産を日本で開始(会社は「世界初の商業生産」と記載) | 磁石事業の始まり |
| 1983年 | ハードディスク用ボイスコイルモーターの磁石の量産を開始 | HDDが長く主要な用途に |
| 1985〜1986年 | ネオジム磁石の試作(1985年)、日本での量産開始と、ニッケルめっき技術の確立(1986年) | 主力のNd-Fe-B磁石 |
| 1987年 | 希土類の溶媒抽出の量産プラントを建設 | 分離・精製の量産 |
| 1998〜2006年 | 全自動の磁石製造工場(1998年)。フィリピン(1999年)、タイ(2006年)で操業開始 | 海外の生産拡大 |
| 2004〜2012年 | 粒界拡散法(GBDP)の開発(2004年)、Nシリーズでの生産開始(2008年)、Asahi Branch Plantでの量産開始(2012年) | 重希土を効率よく使う技術 |
| 2007〜2013年 | リサイクル工場(2007年)、国内のリサイクル操業(2008年)、ベトナムでのリサイクル操業(2013年)、中国福建省の拠点(2013年) | 資源の循環 |
| 2016〜2019年 | ベトナムで磁石ブロック工程(2016年)、加工工程(2019年)を開始 | 一貫生産拠点の形成 |
| 2022〜2025年 | 日本の加工能力増強(2022年)、ベトナムのブロック・加工能力増強(2023年、2024年)、武生のブロック工程増強(2025年) | 供給能力の増強 |
| 2026年 | ダイキン工業・日立製作所・東京エコリサイクルと、業務用空調機のコンプレッサー磁石を回収・再利用する協業を開始。決算説明会(4月・7月)で、重希土の使用量削減や原料問題への対応を言及 | 調達リスクへの対応 |
7. 今後の計画
さらなる削減策2026年4月の決算説明会での発言(目標)
いずれも会社の計画・発言であり、達成された事実ではありません 未確定/将来。
次はいずれも公式資料で確認できませんでした 未確定/将来。
磁石の売上・営業利益・生産量・世界シェア/磁石向けの設備投資額/ ベトナム新工場の規模・投資額・稼働時期/主要顧客の名称(会社はHDD向けと自動車向けを挙げるのみ)/ 重希土の調達先と在庫/大学・公的機関との共同研究。
8. この会社は機能性材料で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 磁石は原料から製品まで自社で一貫することを強みとしている | Annual Report 2026が磁石の競争優位に「原料から始まる一貫生産システム」と複数拠点での安定供給を挙げる | 事実 |
| 重希土の使用量の削減とリサイクルが、差別化の軸 | 同じ箇所に「重希土の使用量を大幅に減らした製品の開発とリサイクルの推進」 | 事実 |
| 2026年の発言は、中国の輸出管理を意識した重希土の確保策 | 2026年4月・7月の決算説明会で、重希土の使用削減と「原料問題への複数の対策」に言及。中国は2025年4月にジスプロシウム・テルビウムを含む品目を輸出管理の対象とした | 推測 |
| 磁石は会社全体の成長の中心ではない | Annual Report 2026の成長要因は半導体(AI、データセンター、新拠点の伊勢崎キャンパス)が中心。磁石は用途の例示にとどまる | 推測 |
| ベトナムを一貫生産の中核として育てている | リサイクル(2013年)からブロック・加工(2016〜2019年)、能力増強(2023〜2024年)、新工場計画 | 推測 |
2026年4月の決算説明会の要旨では、磁性材料について「年末までに重希土の使用をさらに減らす方法を見つけるなど、原料問題に複数の対策で取り組んでいる」と述べられています。 7月には「顧客と共に重希土の使用を最小限にする緊急対応を進めている」と述べました 事実。 会社はこの対応の理由を明示していませんが、中国商務部は2025年4月4日の公告第18号で、ジスプロシウム・テルビウムなどの中重希土の関連品目に輸出管理を実施しています 事実。 この二つを結びつけると、会社の動きは重希土の調達リスクに対する防衛策と読めます。ただし、会社が因果関係を述べたわけではなく、本稿の解釈です 未確定/将来。
9. 機能性材料分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
製品は焼結ネオジム磁石「Nシリーズ」が中心です。会社の説明では、主にネオジム・鉄・ホウ素からなり、 資源的に比較的豊富なネオジムと鉄を主原料とする高性能磁石で、用途はHV・EV・FCVの駆動モーターや発電機、電動パワーステアリング、産業用モーター、家電のモーター(エアコンのコンプレッサーなど)、デジタルカメラやスマートフォンのカメラのアクチュエータです 事実。 同社は別に、ハードディスク用ボイスコイルモーターの磁石組立品も扱います。
| タイプ(メーカー公称) | 代表的なグレード | 残留磁束密度 Br [T] | 保磁力 HcJ [kA/m] | 最大エネルギー積 (BH)max [kJ/m³](MGOe) |
|---|---|---|---|---|
| 垂直磁界プレスタイプ | N52-F | 1.41〜1.47 | 995以上 | 382〜422(48〜53) |
| 垂直磁界プレスタイプ | N50TH-MF | 1.38〜1.44 | 1,353以上 | 366〜406(46〜51) |
| 粒界拡散タイプ | N52UH-HGF | 1.40〜1.46 | 1,910以上 | 374〜422(47〜53) |
| 粒界拡散タイプ | N50UH-HGF | 1.38〜1.44 | 1,989以上 | 358〜406(45〜51) |
| 平行磁界プレスタイプ | N31ZA | 1.07〜1.14 | 2,387以上 | 207〜255(26〜32) |
上の値は会社が「Nシリーズ一覧」に載せたメーカー公称のグレード範囲で、保磁力は下限値(「以上」)です。 一覧には測定温度・測定法が記載されていません。異なる条件・他社の値と並べて優劣を論じることは、本稿はしません 事実。 会社の製造工程の説明では、希土類鉱石から高純度酸化物を分離・精製し、真空誘導炉で溶解、微粉砕(数ミクロン)、磁場中成形(異方性をつける)、焼結(密度は成形時の約50%から真密度の100%近くへ、体積は約50%減)、時効処理、磁気特性の検査、機械加工とめっきへ進みます。
会社の説明によれば、磁場中成形には、磁石を磁界に垂直に押す垂直磁界プレスと、平行に押す平行磁界プレスがあり、 同じグレードなら垂直磁界プレスのほうが高性能になる一方、リング磁石は平行磁界プレスでしか作れません 事実。 上の表でも、垂直磁界プレスのBrが1.4 T前後であるのに対し、平行磁界プレスのN31ZAは1.07〜1.14 Tで、保磁力が非常に高いグレードが並びます。 形状(リングか板か)の制約が、最大性能を決めてしまうわけです。 また、焼結後は収縮で寸法が変わるため、ダイヤモンド砥石による研削でそろえ、さびやすいNd-Fe-B磁石はニッケルめっきなどの表面処理を施す、と同社は述べています。 磁石の「性能」は材料の組成だけでなく、成形の向き・形状・表面処理まで含めた工程で決まります。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 重希土の調達 | 会社は2026年に、重希土の使用削減と原料問題への複数の対策に言及。中国商務部は2025年4月4日の公告第18号で、ジスプロシウム・テルビウムなどの関連品目に輸出管理を実施した。2025年10月以降の追加措置とその停止などの経緯は、本稿では政府文書で確認していない | 事実(影響の程度は確認できず) |
| 磁石事業の透明性 | 磁石の売上・利益・生産量が開示されず、事業の採算や競争力を外部から検証できない | 事実 |
| 用途の偏り | 会社はHDD向けの強い需要と自動車向けの拡大を述べる。需要が特定用途に偏る場合の変動は、公表資料から定量化できない | 推測 |
| 特許の独占と代替技術 | 粒界拡散合金法の特許について、会社は第三者に実施許諾しない方針を明記している。特許は期限があり、また代替の拡散法や重希土を使わない磁石(本シリーズの別稿)が進めば、差別化が変わる可能性 | 推測 |
| 会社全体の方針との関係 | 会社の成長投資は半導体材料に集中しており、磁石への投資優先度は資料から読み取れない | 推測 |
| リサイクル協業の実現 | 空調機磁石の循環システムは2027年の本格運用が計画で、回収量・採算は未公表 | 事実(目標は未確定) |
12. 用語集
- 焼結ネオジム磁石
- ネオジム・鉄・ホウ素の粉を磁場中で成形し、高温で焼き固めた磁石。モーター用で最も強い市販の永久磁石。
- 残留磁束密度(Br)
- 磁化した後に磁石に残る磁束の強さ。単位は T(テスラ)。
- 保磁力(HcJ)
- 逆向きの磁界に耐えて磁化を保つ強さ。単位は kA/m(または Oe)。
- 最大エネルギー積((BH)max)
- 磁石の性能を表す代表値。単位は kJ/m³(または MGOe)。
- 粒界拡散法
- 焼結後の磁石に重希土を結晶粒の境界から拡散させ、保磁力を高める技術。
- 重希土
- テルビウム・ジスプロシウムなど。保磁力を高めるために少量使われる。
- 垂直・平行磁界プレス
- 磁場中成形で、磁界の向きと押す向きが垂直か平行か。垂直のほうが高性能、リングは平行。
- ボイスコイルモーター(VCM)
- HDDのヘッドを動かすモーター。磁石を使う。

13. 出典
- 信越化学工業 Annual Report 2026(2026年8月公開)。事業概要、磁石の競争優位、リサイクルの経緯、ダイキン工業等との協業、電子材料セグメントの数値と従業員数。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2026/08/Annual-Report_2026.pdf
- 信越化学工業 Financial Section(2026年3月期、Annual Report 2026)。連結業績、セグメント別売上・営業利益、設備投資、研究開発費、連結子会社一覧。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2026/08/Financial-Section.pdf
- 信越化学工業 Annual Report 2025「Sources of Our Competitiveness」。ベトナム工場の一貫生産と新工場計画(社員メッセージ)。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/Sources-of-Our-Competitiveness.pdf
- 信越化学工業 Annual Report 2025「Business Activity」。磁石の磁力(フェライト比)、HDD・自動車向けの販売方針、電子材料セグメントの数値。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/Business-Activity.pdf
- 信越化学工業 2026年3月期決算説明会(電話会議)の要旨(2026年4月28日)。磁性材料の原料問題と重希土の削減への言及。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/08/20260428_summary_E.pdf
- 信越化学工業 2027年3月期第1四半期決算説明会(電話会議)の要旨(2026年7月24日)。重希土の使用削減の緊急対応への言及。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2026/08/20260724_summary_E.pdf
- 信越化学工業 会社概要(2026年3月31日時点)。所在地、設立、資本金、連結従業員数、主要製品。 https://www.shinetsu.co.jp/en/company/profile/
- 信越化学工業 製品ページ「Neodymium magnet」(Nシリーズの説明と用途)。 https://www.shinetsu.co.jp/en/products/electronics-materials/neodymium-magnet/
- 信越化学工業 希土類磁石サイト「N Series Lineup」(グレード別の磁気特性)。 https://www.shinetsu-rare-earth-magnet.jp/e/products/data_nd.html
- 信越化学工業 希土類磁石サイト「Shin-Etsu History」(磁石事業の沿革 1945〜2025年)。 https://www.shinetsu-rare-earth-magnet.jp/e/profile/history.html
- 信越化学工業 希土類磁石サイト「Network」(本社・工場・海外拠点)。 https://www.shinetsu-rare-earth-magnet.jp/e/profile/network.html
- 信越化学工業 希土類磁石サイト「Raw material to sintering Block」(分離・溶解・成形・焼結の工程)と、加工・めっきの工程。 https://www.shinetsu-rare-earth-magnet.jp/e/masspro/sintering_p.html
- 信越化学工業 希土類磁石サイト「Announcement GPD alloy method」(粒界拡散合金法の特許告知と技術説明)。 https://www.shinetsu-rare-earth-magnet.jp/e/notice/
- 信越化学工業 Shin-Etsu Rare Earth サイト(武生工場のISO9001・ISO14001の記載)。 https://www.rare-earth.jp/en/
- 中華人民共和国商務部・税関総署 公告2025年第18号「一部の中重希土関連品目に輸出管理を実施する決定」(2025年4月4日、英語版)。 https://english.mofcom.gov.cn/Policies/AnnouncementsOrders/art/2025/art_0dd87cbee7b045bf93fabe6ab2faceee.html
- Google Patents US7488393B2「Rare earth permanent magnet」(出願人:信越化学工業)。粒界拡散合金法の特許告知に挙げられた番号の確認用。 https://patents.google.com/patent/US7488393B2/en
- 信越化学工業 2027年3月期第1四半期 決算短信(2026年7月24日)。戦略スライドに「磁石事業の原料問題への対応」。 https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2026/07/20260724_con_E.pdf
- 信越化学工業 公式サイト(ロゴの取得元)。 https://www.shinetsu.co.jp/en/
- プロテリアル 告知「Sintered Nd-Fe-B Magnets」(2025年8月5日)。焼結希土類磁石の特許と実施許諾先(信越化学工業を含む)。 https://www.proterial.com/e/pdf/pi20250805ec.pdf
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月10日/Troy Technical
本稿の数値は信越化学工業のAnnual Report、決算説明会の要旨、会社の磁石専用サイトと、中国商務部の公式発表に基づきます。磁石に関する数値は、会社が公開した範囲に限ります。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。