🌐 This site is also available in English Visit English Site →
🌐 English

磁気熱量効果と磁気冷凍 技術解説

← 機能性材料の解説一覧へ戻る

TECHNOLOGY EXPLAINER

磁気熱量効果と磁気冷凍
― 「磁場で温まる」は簡単、難しいのは繰り返しても落ちない効果と、冷蔵庫に要る温度差

磁性体は、磁場をかけると温まり、外すと冷えます。この「磁気熱量効果」を使う磁気冷凍は、圧縮機もフロン冷媒も使わない冷却方式として、1976年の最初の実験から50年近く研究されています。それでも製品にならないのは、材料の「効果の大きさ」だけでは決まらないからです。 この記事では、効果の原理(ΔS と ΔTad)、ガドリニウム・La-Fe-Si・Mn-Fe-P-Si・ホイスラー合金の違い、一次相転移とヒステリシスの問題、能動的磁気再生(AMR)サイクル、実証機の到達点、そして熱電・弾性熱量・電気熱量との比較を、一次情報の範囲で整理します。比較は、磁場・温度スパン・試料の形態などの条件を揃えて読みます。

構成:査読論文(Scripta Mater.、Phil. Trans. R. Soc. A、Prog. Mater. Sci.、Nat. Mater.、Appl. Therm. Eng.、Int. J. Refrig.、Commun. Eng.)、BASF・Haier・Astronautics の共同発表、中国商務部の公告、IEC・JIS の書誌ページを使用/確認日 2026年10月10日

磁場を変えながら、材料の温度応答を測る例です
図1 概念画像(ImageGenで生成)。磁場を変えながら、材料の温度応答を測る例です。磁場の変化だけで冷蔵庫が完成するわけではなく、熱を運ぶ仕組みも必要です。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 磁気冷凍とは何か(3行でつかむ)
  2. 原理 ― ΔS と ΔTad、そして理論上の上限
  3. 候補材料 ― Gd、La-Fe-Si、Mn-Fe-P-Si、ホイスラー合金
  4. 一次相転移とヒステリシス
  5. AMR サイクルと、材料を「形にする」難しさ
  6. 実証機の現在地 ― 磁場源の移り変わりと、温度差の壁
  7. 固体冷却との比較 ― 条件を揃えて
  8. 資源と供給
  9. 限界と、確認できなかったこと
  10. 評価・標準の読み方
  11. 用語集
  12. 参考資料(一次情報)
  13. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=企業の計画・理論上の見積もり・停止中の措置で、実績が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。法令・措置は、公布(発表)/施行/停止を区別して書きます。

この記事の数値の読み方

磁気熱量効果の数値は、磁場の変化量(1 T か 2 T か 5 T か)、測定法(直接か間接か)、試料の形態(バルクか粉末か)、温度で大きく変わります。この記事では、これらを添えて示します。実証機の値は試作機の報告された最大値で、量産品の性能ではありません。冷却能力・温度差・効率は同じ運転点で出た値とは限らないため、異なる機種の値を並べても優劣は示しません。 企業の計画は「未確定/将来」として区別し、価格と価格の予測は扱いません。

1. 磁気冷凍とは何か(3行でつかむ)

  • 原理:磁性体に磁場をかけると、磁気モーメントがそろってエントロピーが下がり、断熱なら温度が上がります(逆に磁場を外すと冷える)。この変化が磁気熱量効果で、温度変化 ΔTad と等温のエントロピー変化 ΔS で表します事実[参考資料2]
  • 難しさ:室温付近の材料で1 T の磁場をかけたときの ΔTad は2〜4 K 程度にとどまり、冷蔵庫に要る温度差(約49 K)には届きません。そこで、効果を再生器にためて温度差を積み上げる「能動的磁気再生(AMR)」サイクルが使われます。材料・磁石・熱交換・流体の動かし方の全体設計の問題です事実[参考資料2・3・4]
  • 現在地:試作機は40台以上と報告され、2015年には共同開発のワインクーラー試作機が発表されましたが、市販の製品は本稿では確認できませんでした。大きなヒステリシス、材料を再生器の形に加工する難しさ、磁場源のコストが、残る壁として挙げられています事実[参考資料2・4・9]
この記事でいちばん大事な一行

磁気冷凍の材料評価は、「ΔS が大きいか」ではなく、「実際の磁場の変化で、繰り返しても落ちない ΔTad が出るか」で決まります。そして装置としては、「どれだけ大きな効果か」より「どれだけ大きな温度差を、どれだけ効率よく作れるか」が問われます事実[参考資料1・2・4]。

2. 原理 ― ΔS と ΔTad、そして理論上の上限

Gutfleisch らは、磁気熱量効果を「外部磁場の変化で試料の温度とエントロピーが可逆的に変わること」と定義しています。磁場を断熱でかければ全エントロピーは一定で、磁気的なエントロピーが下がった分、格子のエントロピーが増えて温度が上がり(ΔTad)、等温でかければ、試料と周囲のあいだで熱 Q=TΔS_m が移動します事実[参考資料2]。 Sandeman は、これを連続体の熱力学の式で書いています。ΔS(T, Hmax)=∫(∂M/∂T)H dH、ΔTad(T, Hmax)=∫(T/Cp)(∂M/∂T)H dH です[参考資料1]。磁化の温度変化(∂M/∂T)が大きい転移の近くで、効果が大きくなります。

S–T 図で見る磁気熱量効果(概念図) 縦軸はエントロピー S、横軸は温度 T。青=磁場ゼロ、橙=磁場あり。縦の矢印が等温の ΔS、横の矢印が断熱の ΔTad。曲線の形と数値は説明用です。 ① 二次転移(Gd など) T S ΔS ΔTad 転移は連続的で、ヒステリシスはない ② 一次転移(ヒステリシスなし) T S ΔS ΔTad 転移温度が磁場で右へ動き、平行四辺形になる ③ 一次転移(ヒステリシスあり) T S 可逆 点線=冷却側、実線=加熱側。可逆な幅は縮む ※ 磁場をかけると磁気エントロピーが下がる。断熱では全エントロピーが一定なので、格子のエントロピーが増えて温度が上がる(Gutfleisch ら[参考資料2])。 ※ ③の「可逆」の矢印は、冷却側の曲線(青の点線)から、磁場ありの加熱側の曲線(橙の実線)までの幅で、Gutfleisch らの図2の考え方を、本稿が簡略に描き直したものです。熱量の見積もりは Q=TΔS[参考資料2]、ΔTad の式は Sandeman[参考資料1]。
図2 概念図(ベクター作図)。S–T 図で見た磁気熱量効果。左:連続的な二次転移(Gd など)、中:一次転移(ヒステリシスなし)、右:一次転移(ヒステリシスあり)。曲線の形と数値は説明用です。Gutfleisch ら[参考資料2]の図の考え方を本稿が簡略に描き直したもので、実在の材料のデータではありません。

磁化は、実験で測りやすい量です。そのため多くの論文は、等温の磁化測定からマクスウェルの関係式で ΔS_m を求めています(間接法)。Gutfleisch らは、「ΔS_m が大きいことは、良い磁気冷媒であるための十分条件ではない」と述べ、ΔTad の実測が少ないことも指摘します[参考資料2]。Sandeman は、実機の再生器の損失を考えると、永久磁石で得られる1 T で ΔTad が少なくとも1 Kが、冷媒としての最低限の目安になる、と述べています[参考資料1]。

本稿の計算(1):理論上の上限と、実測の距離

Sandeman は、一次転移の理想化モデルから、ΔTad の最大値を (Msat·T·μ0Hmax / Cp)1/2 と導いています[参考資料1]。Fe-Rh について、Msat=約120 A·m²/kg、式量159、Cp=6R(R は気体定数)を使うと、Cp=6×8.3145÷0.159=約314 J/(kg·K) です。本稿の計算T=300 K(室温の例)、μ0Hmax=2 T とすると、上限は約15 Kで、論文の記す15 K と一致します。1 T なら約11 K(√(120×300×1÷314))です。

Fe49Rh51 の直接測定は、1.95 T で12.9 K ですから、2 T の上限の約86%(12.9÷15.1)に達します。一方、1 T に換算した3.6 K は、1 T の上限の約34%です[参考資料2]。多くの材料の ΔTad は、2 T で4〜7 K 程度で、理論の最適値には遠い、と Sandeman は述べます[参考資料1]。

前提と限界:理想化した一次転移のモデルで、温度とCpを一定とする近似です。Fe-Rh のデータで検算しただけで、他の材料の上限ではありません。1 T への換算は、線形とは限らない値です。

素材技術者の視点①:「ΔS が大きい」は入口にすぎない

論文の多くが ΔS_m の数字を競うのは、測りやすいからです。ところが、冷凍機が欲しいのは、永久磁石で出せる磁場の変化で、再生器を動かしたときに繰り返し出る ΔTadです。Sandeman は、熱電の ZT のような単一の性能指数は、磁気冷凍では定まっていない、と指摘します。材料と装置は切り離せず、「良い材料」とは「装置の損失に余裕を与える材料」だとも述べます[参考資料1]。

相対冷却能力(RCP)のように、ΔS を温度範囲で積分した指標も使われますが、Gutfleisch らはこれを「しばしば誤解を招く」と言い[参考資料2]、Sandeman は、定義を甘くすると、飽和磁化が同じなら材料どうしが似た値になってしまう、と説明します[参考資料1]。素材技術者としては、論文の ΔS・RCP を見たら、磁場の大きさ、ΔTad の有無、サイクル条件の有無を最初に確認するのが安全です(本記事による解説)。

3. 候補材料 ― Gd、La-Fe-Si、Mn-Fe-P-Si、ホイスラー合金

室温付近(270〜320 K)で、1〜2 T の磁場変化で大きな効果を示す材料が候補です。Gutfleisch らは、現在の試作機の冷媒を、転移の次数とヒステリシスの幅で3つに分けています。比較のため、文献の ΔTad と ΔS_m を、1 T の磁場変化に線形に直した値で示します(スケーリングは線形とは限らない、と著者自身が断っています)事実[参考資料2]。

材料(区分)1 T 換算の ΔTad・ΔS_m特徴・課題(出典の記述)
Gd(二次転移、ヒステリシスなし)ΔTad 約2.5 K、ΔS_m 約3 J/(kg·K)ベンチマーク。延性があり、熱交換器に加工しやすい。一方、希土類で、大量に使うと高価になるとされる[2]。キュリー温度294 K[4]
La-Ca-Sr-Mn-O(マンガン酸化物、二次転移)ΔTad 約1.5 K、ΔS_m 約5低コストで耐食性が良いが、効果は小さい[2]
La(Fe,Co,Si)13(一次転移、ヒステリシス小)ΔTad 約1.5 K、ΔS_m 約5もろく、特別な加工経路が要る。Co を増やすと転移温度は室温に近づくが、ΔS と ΔTad は下がり、一次から二次に変わる[2]
La(Fe,Mn,Si)13Hx(同、水素化)ΔTad 約3.5 K、ΔS_m 約10水素化で粉末になり、バルクの板にできない。樹脂で固めて熱交換器にすると、効果が薄まる[2]。Vacuumschmelze 社が商業生産した粉末の記述がある[2]
Mn-Fe-P-Si(Fe2P 型、一次転移)ΔTad 約2.8 K、ΔS_m 約11安価で毒性の少ない元素。熱伝導率が低く、運転周波数を制限する。体積変化でもろい。B の添加で、10,000回のサイクルでも割れなかった例[2]
Ni-Mn-In-Co 系ホイスラー合金(一次転移、ヒステリシス大)ΔTad 約3〜4 K、ΔS_m 約10〜20効果は大きいが、ヒステリシスが約10 K と大きく、2回目以降の磁場印加では同じ効果が出ない。小ループで可逆な ΔTad は約3 K[2]
Gd5(Si,Ge)4(一次転移、ヒステリシス大)ΔTad 約3.5 K、ΔS_m 約4〜101997年に発見された最初の巨大磁気熱量材料。ヒステリシスのため、小さな磁場では効率が大きく下がる[2]
Fe49Rh51(一次転移)ΔTad 約3.6 K、ΔS_m 約11直接測定で、1.95 T に対し12.9 K と、2 T 以下で最大。ロジウムの原料コストが、実機のバルクの再生器を妨げる[2]

すべて事実(Gutfleisch ら[参考資料2]、Gd のキュリー温度は Moya ら[参考資料4])。試料の形態(バルク、粉末、高分子結合)と測定法が異なる値の並置で、優劣を示すものではありません。

室温付近の候補材料:1 T あたりの ΔTad と ΔSm Gutfleisch らが文献値を1 T に線形に直した値(スケーリングは線形とは限らない)。棒の色はヒステリシスの区分、範囲は薄い棒で示す。 ΔTad(K) ΔSm(J/(kg·K)) Gd 二次転移・ヒステリシスなし ≈ 2.5 ≈ 3 La-Ca-Sr-Mn-O(マンガン酸化物) 二次転移・低コスト ≈ 1.5 ≈ 5 La(Fe,Co,Si)13 一次転移・ヒステリシス小 ≈ 1.5 ≈ 5 La(Fe,Mn,Si)13Hx 一次転移・ヒステリシス小(粉末) ≈ 3.5 ≈ 10 Mn-Fe-P-Si 一次転移・ヒステリシス小 ≈ 2.8 ≈ 11 Ni-Mn-In-Co 系ホイスラー合金 一次転移・ヒステリシス大 ≈ 3–4 ≈ 10–20 Gd5(Si,Ge)4 一次転移・ヒステリシス大 ≈ 3.5 ≈ 4–10 Fe49Rh51 一次転移・ロジウムが高価 ≈ 3.6 ≈ 11 ※ 値は Gutfleisch らの整理[参考資料2]。Heusler 合金は、ヒステリシスのため2回目以降の磁場印加ではこの値が出ず、小ループで可逆に使える ΔTad は約3 K(1.93 T)とされる。 ※ Fe49Rh51 は、直接測定で1.95 T に対して12.9 K という報告があり、2 T 以下で最大の値とされる[参考資料2]。ロジウムの原料コストのため、実機の再生器には向かない。 ※ 試料の形態(バルク、粉末、高分子結合)と測定法が異なる値の並置で、優劣を示すものではありません。
図3 概念図(ベクター作図)。表の値を、ヒステリシスの区分で色分けして示した図です。1 T 換算は Gutfleisch らが文献値を線形に直したもので、ばらつきと条件の違いを含み、材料の優劣を示すものではありません。値は[参考資料2]によります。
本稿の計算(2):高分子結合の La(Fe,Mn,Si)13Hx は、何を失うか

Gutfleisch らは、水素化した La(Fe,Mn,Si)13Hx 粉末をエポキシで固め、完全緻密な複合材にしたときの値を示しています。1.93 T の磁場変化で ΔTad は4.9 K(Gd 金属は5.1 K、La(Fe,Co,Si)13 は3.1 K)、体積あたりの ΔS_m は63 mJ/(cm³·K)(バルクの La(Fe,Co,Si)13 は70、Gd は40)、熱伝導率は約5 W/(K·m) です[参考資料2]。

本稿の計算体積あたりの ΔS_m で比べると、複合材は Gd の約1.6倍(63÷40)、バルクの La(Fe,Co,Si)13 の約0.9倍(63÷70)です。同論文は、熱伝導率が、バルクの La(Fe,Co,Si)13 や Gd の約2.5分の1で、この複合材を使う装置の最大運転周波数は、バルク材の装置の約1.5分の1になる、と述べます[参考資料2]。

前提と限界:ΔTad の磁場が材料ごとに1.93 T と同一でも、試料の形態(粉末の複合材、バルク、金属)が違います。体積基準の ΔS_m は、質量基準の値とは優劣が変わりうる点にも注意が要ります(Moya らも、質量基準では密度の低い試料が有利に見えると指摘します[参考資料4])。

4. 一次相転移とヒステリシス

大きな ΔS は、一次相転移の「不連続さ」から生まれます。ところがその不連続さは、行きと帰りで転移の温度がずれるヒステリシスも連れてきます。Gutfleisch らは、ヒステリシスを「巨大磁気熱量材料の実用化を遅らせる主な要因の一つ」とし、磁気冷凍機は磁化と消磁を速く繰り返すため、平衡状態の S–T 図(連続的な昇温・降温で得た図)は運転条件を反映しない、と述べます事実[参考資料2]。

  • 可逆な効果の幅が縮む:ヒステリシスがあると、2回目以降の磁場印加では、最初の1回の ΔTad は出ない。可逆に使える範囲は、転移温度の磁場によるシフトと、ヒステリシスの幅で決まる[参考資料2]
  • サイクルで測る必要:一次転移材料の ΔS_m の多くは、最大値が出やすい「不連続な」測定手順で得られ、実際の運転条件とは遠い。Gutfleisch らは、サイクル条件での ΔTad と ΔS_m の測定が、材料の適性評価に必須だと結論します[参考資料2]
  • 高速で悪化:一次転移は核生成と成長で進むため、磁場の変化が速すぎると材料が追従できず、ヒステリシスが広がる。高い周波数の運転で問題になる[参考資料2]
  • 機械的な劣化:転移の体積変化が応力を生み、転位・微小な割れ・粉砕を起こす。LaFe11.8Si1.2 では、最初の冷却で2〜6 µm の割れが入ることが X 線トモグラフィーで見られた[参考資料2]
本稿の計算(3):ヒステリシスが効率を何割削るか(モデル)

Masche らは、1次元の能動的再生器のモデルに、ヒステリシスによるエントロピー生成 qhys の項を足して、冷却性能への影響を計算しました。qhys が0.5%から1%に増えると、COP は最大で50%下がる。高い周波数では、材料の内部発熱のため、さらに悪化します。比熱が小さく、等温エントロピー変化が大きい材料ほど影響を受けにくく、比熱の小さい材料は qhys が2%でも正の COP と冷却能力を保ち、比熱の大きい材料は0.04%までしか耐えられない、とも報告しています事実(数値モデルの結果)[参考資料7]。

前提と限界:モデルは、一定形状の再生器と仮定した計算上の材料で、実在の材料・装置の値ではありません。qhys と実際のヒステリシス幅(K)の対応は、この記事では扱いません。

ヒステリシスを減らす方向として、Gutfleisch らは次を挙げます[参考資料2]。(a)三重臨界点(一次転移が二次転移に変わる点)に近づける。ただし、次数が変わると効果が下がることがある。(b)親相と生成相の体積差と結晶構造の差を小さくする。(c)ほかの外場を併用する。Ni-Mn-In-Co では、圧力(4.4 K/kbar で転移温度が動く)を併用すると、磁気的なヒステリシスが大きく減ると報告されています。(d)転移を完全には進めず小ループで動かす。Ni45.7Mn36.6In13.5Co4.2 の直接測定では、1.93 T で ΔTad が−8 K ですが、ヒステリシスが約10 K あるため、2回目では出ず、小ループでは可逆な ΔTad は約−3 K でした。

素材技術者の視点②:ヒステリシスは、大きな ΔS の「裏返し」

Gutfleisch らは、「転移の不連続さが大きな ΔS_m を生む」としています[参考資料2]。つまり、ヒステリシスをゼロにする設計は、不連続さ(=大きな ΔS)も削る方向に働きます。一次相転移の材料設計は、「効果の大きさ」と「可逆に使えること」の間の釣り合いを、組成(La-Fe-Si の Co・Mn・Si・H、Mn-Fe-P-Si の Mn/Fe・P/Si・B)と微細組織(粒の大きさ、割れ)で取る仕事です。

素材から見ると、Mn-Fe-P-Si の B 添加(体積の不連続な変化をなくして割れを抑え、10,000回のサイクルでも壊れなかった例)や、La-Fe-Si の水素化(転移温度を室温へ動かすが、水素量の調整と長期の安定性が課題)は、いずれも「組成で転移の性格を調整する」例です。同時に、熱的な安定性(水素の保持)と機械的な安定性(割れ)が、材料の寿命として効いてきます[参考資料2](本記事による解説)。

5. AMR サイクルと、材料を「形にする」難しさ

磁気熱量効果の1回の温度変化は小さいので、冷蔵庫に使うには、温度差を積み上げる仕組みが要ります。Brown が1976年に、ガドリニウム板を流体の中に置いて出し入れし、「再生器」を使って47 K の温度差を作ったことが、室温付近の磁気冷凍の出発点です。当時の Gd 単体の ΔT は、7 T で約14 K でした事実[参考資料4]。その後、Steyert が1978年に、固体の再生器の中に温度勾配をためる能動的磁気再生(AMR)の原理を提案しました[参考資料3]。

AMR サイクルの4段階(概念図) 固体の再生器ベッドの中に温度勾配をため、液体は熱を運ぶだけの役にする。左が低温端、右が高温端。 ① 磁化 流体は止める 磁場 ON 冷端 温端 流体は動かない ベッド全体が ΔTad だけ昇温 ② 流す(冷→温) 磁場は ON のまま 磁場 ON 冷端 温端 流体 → 温端で放熱 流体が熱を受け取り、温端で放熱 ③ 消磁 流体は止める 磁場 OFF 冷端 温端 流体は動かない ベッド全体が ΔTad だけ降温 ④ 流す(温→冷) 磁場は OFF のまま 磁場 OFF 冷端 温端 ← 流体 冷端で吸熱 流体が冷やされ、冷端で冷熱を取り出 す ※ サイクルの記述は Franco らの総説[参考資料3]によります。再生器の温度勾配が、1回の ΔTad より大きな温度差(スパン)を作る点が、この方式の核心です。 ※ 流体の切り替え(バルブ)は、10 Hz 以上、熱交換は20〜50 ミリ秒で理論効率の80〜90%という目標が挙げられている(Gutfleisch ら[参考資料2])。
図4 概念図(ベクター作図)。AMR サイクルの4段階。再生器ベッドの固体が、磁気冷媒と蓄熱体を兼ね、液体は熱を運ぶだけ。サイクルの記述は Franco らの総説[参考資料3]によります。実在の装置の構造・温度分布を示すものではありません。

AMR の要は、再生器の中に温度勾配をためることです。Franco らの整理では、磁化で再生器が昇温し、流体を冷端から温端へ流して熱を運び、温端で放熱します。次に消磁で再生器が降温し、流体を温端から冷端へ流して冷やし、冷端で冷却対象から熱を取ります[参考資料3]。Gutfleisch らは、磁気冷凍機が製品になる前に解決すべき課題を4つ挙げています事実[参考資料2]。

  1. 永久磁石(Nd-Fe-B など)の磁場で十分な冷却能力が出る、低コスト・低ヒステリシスの冷媒
  2. 0.5〜1.2 T の磁場変化を作る磁石系の価格の大幅な低減
  3. 熱交換流体の切り替えを、10 Hz 以上で行えるバルブ
  4. 磁性材料から液体への熱の受け渡しを50〜20ミリ秒に縮め、その時間で理論効率の80〜90%を出すこと
磁気再生器、循環流体、二つの熱交換器を分けた試作装置例です
図5 概念画像(ImageGenで生成)。磁気再生器、循環流体、二つの熱交換器を分けた試作装置例です。磁場の切替えと液の流れを同期させる点が重要です。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
素材技術者の視点③:材料は「形」にして初めて性能になる

課題4が示すとおり、磁性材料は、細かく真っすぐな流路を持つ多孔質の構造にして、液体との接触面積を最大化する必要があります。しかし、加工の過程で磁気熱量効果が落ちることがあり、バルクで大きな効果を示す材料が、サブミリの流路の熱交換器にすると控えめな効果しか出さない例が報告されています[参考資料2]。

Gutfleisch らが挙げた具体例は、第3章のとおりです。La-Fe-Si は、もろく粉になるので、樹脂結合の板にすると効果が薄まります。Gd は延性があり加工しやすい。Mn-Fe-P-Si は熱伝導率が低く、周波数が上がらない。選択的レーザー溶融で、La(Fe,Co,Si)13 の波状の流路を持つブロックと細い棒の列を作り、106回以上の磁場の印加に耐えた例もあります[参考資料2]。組成の設計と同じくらい、加工経路(粉末・焼結・接着・積層造形)が材料の価値を決めます(本記事による解説)。

素材技術者の視点④:冷媒が希土類フリーでも、磁場源は希土類磁石

Gutfleisch らは、磁石系が装置の最も高価な部分で、ライフサイクル分析でも環境負荷が最も大きい、と述べます。磁場源には Nd-Fe-B の永久磁石が前提で、磁場は0.5〜1.2 T の変化を作る設計が目指されています[参考資料2]。したがって、Mn-Fe-P-Si のようなレアアースを使わない冷媒を選んでも、装置全体では、ネオジム磁石(Dy・Tb を含みうる)への依存が残ります。

この意味で、磁気冷凍は、本シリーズ「永久磁石とレアアース」編の供給の問題と地続きです。同時に、一次転移の材料が評価される理由の一つは、小さな磁場(1〜2 T)で大きな効果を使えることで、磁石の使用量を減らせるからです[参考資料2](本記事による解説)。

6. 実証機の現在地 ― 磁場源の移り変わりと、温度差の壁

Franco らの総説は、世界の室温磁気冷凍機の試作を整理しています。初期の装置は、超電導磁石(5〜7 T)で動かしていました。Zimm らの1997年の装置は5 T の超電導磁石を使い、10 K のスパンで600 W を18か月動かしたと記されています。その後、永久磁石(主に Nd-Fe-B)の装置が増え、2001年の Astronautics の装置は1.5 T の永久磁石で動きました事実[参考資料3・4]。永久磁石で得られる磁場は約1.6 T までです。これは磁場が小さくなるほど冷媒のΔTadが小さくなり、AMR で積み上げる必要が増えることを意味します(本記事による解説)。

試作機の最大磁場と磁場源(報告された最大値、年は報告年) 丸=永久磁石(Nd-Fe-B など)、四角=超電導・電磁石。同じ運転点の値ではなく、装置の規模・材料も異なります。 1975 1985 1995 2005 2015 2025 0 2 4 6 8 最大磁場(T) 永久磁石は約1.6 T まで Brown 1976 Green 1990 Zimm 1997 Chubu/Toshiba 2000 Rowe 2001 Astronautics 2007 DTU 2012 Masche 2022 (DTU) Kirol 1987 ※ 出典:Franco らの総説の第8章[参考資料3]。2022年の点は Masche らの試作機(DTU)の報告[参考資料5]。Brown の1976年の磁場源は、資料により超電導磁石[3]と電磁石[4]と記述が分かれ、図では四角で示した。 ※ 永久磁石の機種は、Franco らが「Fe-Nd-B(ネオジム磁石)」と記すものが多い(Kirol と Dacus 1987、Astronautics 2001・2007、Cooltech 2005 など)。
図6 概念図(ベクター作図)。試作機の最大磁場と磁場源の移り変わり。年は報告年、値は報告された最大値で、同じ運転点の値ではありません。Franco らの総説の第8章と、2022年の Masche らの試作機(DTU)の報告[参考資料3・5]から作図しました。Brown の1976年の磁場源は資料により記述が分かれるため、図では超電導・電磁石側の四角で示しています。
本稿の計算(4):冷蔵庫に要るスパンを、足し算で確かめる

Moya らは、冷蔵庫に必要な冷媒の温度差(スパン)を、庫内温度と外気温の差に、2か所の熱交換で失う分を足して見積もっています。本稿の計算庫内3 ℃・外気32 ℃なら、32−3=29 K に、熱交換の差として10 K ずつ2回分(計20 K)を足して49 K。冷凍庫(−18 ℃)なら、32−(−18)=50 K に20 K を足して70 Kです。これは Moya らが示す約49 K と約70 K に一致します[参考資料4]。

前提と限界:熱交換器の差10 K は Moya らの見積もりの設定で、実際の機器の値ではありません。外気32 ℃は、冷蔵庫の評価の規格が使う周囲温度の一つと同じです(第10章)。

ここで、試作機の「到達点」を、冷蔵庫に要るスパンと並べて見ます。

冷蔵庫に必要な温度スパンと、試作機が報告したスパン(K) 試作機の値は、報告された最大スパンで、冷却能力ゼロ(無負荷)に近い条件を含みます。実際の運転点の値ではありません。 冷蔵庫(庫内3 ℃、外気32 ℃)に必要な Th−Tc Moya ら:熱交換の10 K の差を含む ≈ 49 冷凍庫(−18 ℃)に必要な Th−Tc 同上 ≈ 70 Brown 1976:Gd 板、7 T ほぼ無負荷 47 Victoria 2013:Gd 0.65 kg、1.6 T 永久磁石 0.8 Hz、50 W を併記 33 Tura ら 2011:Gd 0.11 kg、1.47 T 永久磁石 最大スパン 29 DTU 2012:Gd、1.24 T 永久磁石 約2 Hz、約200 W を併記 20 Masche ら 2023(DTU):Gd 3.8 kg、1.44 T 14 K で452 W、COP 3.2 14 Moya ら引用:Gd、1.5 T の機種 51 W は18 K、9 W は40 K 18 熱電(ペルチェ)モジュール、参考 最大スパン70〜80 K、運転は30〜40 K ≈ 70–80 0 20 40 60 80 温度スパン(K) ※ 必要なスパン:Moya ら[参考資料4]。Brown・Victoria・Tura・DTU:Franco ら[参考資料3]。Masche ら(DTU):[参考資料5・6]。熱電:Wang ら[参考資料8]。 ※ 最大スパンと最大の冷却能力は同じ運転点で出ているとは限らない。冷却能力が大きい機種ほど、スパンは小さい傾向にある(本稿の読み取り)。
図7 概念図(ベクター作図)。冷蔵庫に必要なスパン(破線、赤)と、試作機が報告したスパン。試作機の値は報告された最大スパンで、無負荷に近い条件を含み、実際の運転点の値ではありません。必要なスパンは Moya ら[参考資料4]、試作機は Franco ら[参考資料3]と Masche ら[参考資料5・6]、熱電モジュールは Wang ら[参考資料8]によります。
  • スパンが足りない:永久磁石の機種で、報告された最大のスパンは、Victoria 大学の2013年の機械(Gd 0.65 kg、1.6 T、0.8 Hz)の33 K で、このときの冷却能力は50 W です。冷蔵庫に要る49 K には届いていません[参考資料3]
  • 冷却能力とスパンはトレードオフ:Moya らが取り上げる、1.5 T の永久磁石と Gd の機種は、18 K で51 W を出し、40 K では9 W に下がります[参考資料4]。大きな冷却能力が出る機種ほど、スパンは小さい傾向がある(本記事の読み取り)
  • 大型化で冷却能力は伸びた:Masche らの2022年の試作機(DTU、Gd 3.83 kg、1.44 T)は、COP 4以上で800 W 超を報告しています(スパンは10 K 超)[参考資料5]。2023年の報告では、14 K のスパンで452 W、COP 3.2、第二法則効率15.5%。部分負荷(245 W)では COP 6.2、29.7%でした[参考資料6]
  • 効率の位置づけ:Moya らは、最も引用される試作機が、スパン10 K でカルノーの約40%、20 K で約20%を達成し、蒸気圧縮の冷蔵庫は最大で約60%に達する、と整理しています[参考資料4]
本稿の計算(5):AMR の「増幅率」

Gd の ΔTad は、1 T あたり約2.5 K です(第3章の表)。本稿の計算磁場1.6 T まで線形に伸びると仮定すると、約2.5×1.6=約4 Kになります。Victoria の33 K のスパンは、この約8倍(33÷4)、冷蔵庫に要る49 K は約12倍(49÷4)です。つまり、再生器は、材料1回分の温度変化を、8〜12倍に積み上げる仕事をしています。

前提と限界:ΔTad が磁場に線形に比例するという粗い仮定で、実際の Gd は温度と磁場で異なります。1.6 T の ΔTad の実測値ではなく、概算です。スパンは試作機の最大値(無負荷に近い条件を含む)と比べているため、実際の運転での増幅率ではありません。

本稿の計算(6):第二法則効率から、カルノー COP を逆算する

Masche らは、14 K のスパンで COP 3.2・第二法則効率15.5%、部分負荷で COP 6.2・29.7%を報告しています[参考資料6]。第二法則効率は、COP をカルノー COP で割った値ですから、本稿の計算カルノー COP は 3.2÷0.155=約20.6、6.2÷0.297=約20.9と、ほぼ同じです。カルノー COP=Tc/(Th−Tc) で、スパン14 K なら、Tc は約288〜293 K(15〜20 ℃)と読めます。

前提と限界:2つの運転点が同じ温度条件(14 K のスパン)だという仮定の逆算で、論文に温度が明記されているわけではありません。COP は冷却能力と電力で決まり、周辺機器(ポンプ・モーター)の損失を含むかどうかは論文で定義が異なる場合があります。

企業の発表は、目標と実績を分ける

BASF・Haier・Astronautics は、2015年1月の CES 2015 で、磁気熱量ヒートポンプで冷やす「実証用(proof-of-concept)のワインクーラー」を発表しました。マンガンと鉄を基にした材料(BASF とデルフト工科大学が開発)を使うこと、「理論的な研究では、磁気熱量効果の冷凍システムは蒸気圧縮方式より最大35%省エネになりうる」こと、Haier が「今後数年のうちに市場への導入を計画」していることが述べられています未確定/将来[参考資料9]。これは企業の発表で、理論上の主張と計画です。本稿の調査では、市販された製品の確認はできませんでした。

素材技術者の視点⑤:同じスパン・同じ負荷・同じ磁場で比べる

試作機の報告は、冷却能力、スパン、COP、磁場、周波数、冷媒の質量が、機種ごとにばらばらです。「800 W」と「33 K」を並べても、どちらが優れているかは言えません。比べるなら、スパン、冷却能力、磁場、冷媒の質量を揃えた上で、COP または第二法則効率を見る必要があります。「冷媒の質量あたりの冷却能力」も、材料を評価する際に有用です(本記事による解説)。

Gutfleisch らも、磁気冷凍機の目標として、低コストの冷媒、安価な磁石系、10 Hz 以上のバルブ、50〜20ミリ秒の熱の受け渡しと理論効率の80〜90%を並べており、材料1つの改善では済まないことを示しています[参考資料2]。

7. 固体冷却との比較 ― 条件を揃えて

磁気熱量効果は、固体冷却(圧縮機と冷媒ガスを使わない冷却)の一つです。熱電(ペルチェ)、電気熱量、弾性熱量が仲間で、いずれも外場(電場、応力、磁場)で固体の温度やエントロピーを変えます。Wang らは、これらの方式を比較する総説で、方式ごとに外場の種類が違うため、同じ物差しでの単純な比較はできないことを示しています事実[参考資料8]。次の表は、一次文献に記載のある値の並置で、優劣の表ではありません。

方式外場報告された ΔTad(条件)特徴・課題(出典の記述)
磁気熱量(Gd)磁場294 K、5 T で ΔT 13 K(ΔS 11 J/(kg·K))磁場源の永久磁石は約1.6 T まで。Mn-Fe-P-Si(Mn1.24Fe0.71P0.46Si0.54)は1 T で3.0 K[4]
電気熱量(バルクセラミクス)電場PbSc0.5Ta0.5O3:25 kV/cm で1.8 Kバルクセラミクスの値は小さい[4]
電気熱量(P(VDF-TrFE) 系の薄膜)電場1,200〜3,000 kV/cm で12〜21 K非常に高い電場での値。薄膜の試料の値[4]
弾性熱量(NiTi)応力0.65〜0.9 GPa で17〜28 K潜熱は10〜15 J/g(ΔTad に直すと20〜30 K 相当)[4・8]
熱電(ペルチェ)電流モジュールの最大スパン70〜80 K、運転は30〜40 K・数十 W最大スパンは大きいが、実際の運転は30〜40 K・数十 W の範囲と報告されている[8]

すべて事実(Moya ら[参考資料4]、Wang ら[参考資料8])。外場の単位(T、kV/cm、GPa)が異なり、試料の形態(バルク、薄膜)と測定温度も違います。優劣や効率の序列を示すものではありません。

Wang らは、再生(AMR のように、材料自身に温度勾配をためる仕組み)でスパンを広げられる幅も整理しています。弾性熱量では約2倍、電気熱量では5倍超です[参考資料8]。本稿のここまでの整理と合わせると、固体冷却の各方式は、「ΔTad の小ささを再生で補う」点で共通し、どの方式も、材料に加え、外場を作る機構(磁石、高電圧、応力を加える機構)が装置の大きさとコストを決める、と読めます(本記事による解説)。

8. 資源と供給

磁気冷凍の資源の問題は、冷媒と磁場源に分かれます。冷媒では、ベンチマークの Gd は、中国商務部の公告2025年第18号(2025年4月4日、公布日から実施)に、Sm・Gd・Tb・Dy・Lu・Sc・Y の7元素の金属・合金・酸化物・化合物が含まれます事実[参考資料11]。第18号は施行済みで、後の公告第70号の暂停の列挙には含まれていません[参考資料13]。

  • Ho:公告2025年第57号(2025年10月9日公布)は、Ho の永久磁石材料・磁歪材料とともに、含钬的磁制冷材料(Ho を含む磁気冷凍材料)を対象に挙げています。公告第70号(2025年11月7日)により、2026年11月10日まで暂停(一時停止)の状態です[参考資料12・13]。期限後の扱いは未確定/将来(確認できなかった)
  • La・Fe・Mn・Si・P:La(Fe,Si)13 系や Mn-Fe-P-Si 系の主成分の元素は、本稿が確認した公告2025年第18号・第57号の7元素・5元素の列挙には含まれません。ただし、この記事は個別の合金・部品がどの品目に当たるかを判断しません
  • 磁場源:装置の磁石系は Nd-Fe-B が前提で、Tb・Dy を含む Nd-Fe-B 磁石は第18号の対象に含まれます。「永久磁石とレアアース」編で扱う供給の問題は、そのまま磁気冷凍機に及びます[参考資料1・2]

つまり、冷媒を Gd から Mn-Fe-P-Si や La-Fe-Si に替えても、磁場源の希土類磁石への依存は残ります(視点④)。レアアース価格や市場の予測は、この記事では扱いません。

9. 限界と、確認できなかったこと

(1) 値の読み方

第3章の1 T 換算の値は、Gutfleisch らが文献値から線形に直した概算で、試料の形態(バルク、粉末)と測定法(直接、間接)が混在します。試作機のスパン・冷却能力・COP は、報告された最大値や運転点の値で、同じ条件で揃っていません。

(2) 確認できなかったこと

磁気熱量効果(ΔS・ΔTad)の測定を直接定める規格は確認できませんでした。市販の磁気冷凍機の製品・性能、BASF・Haier・Astronautics が2015年に述べた製品化計画の結果は確認できていません。公告第70号の期限(2026年11月10日)後の扱いも確認できていません。固体冷却の各方式の最新の試作機(エラストカロリック・電気熱量の実機)の値は、Wang らの総説(2023年)の範囲で、その後の更新は確認していません。

(3) 範囲外

磁気熱量効果を使った極低温の冷却(断熱消磁)、水素液化の磁気冷凍、Gd5(Si,Ge)4 の相の詳細、熱磁気発電、価格と価格の予測は扱っていません。永久磁石は「永久磁石とレアアース」編、希土類を使わない磁石は「レアアースフリー磁石」編を参照してください。熱電は、比較の対象として第7章で触れるにとどめます。

この記事のまとめ
  • 磁気熱量効果は、1 T で ΔTad が2〜4 K 程度です。冷蔵庫に要る約49 K(冷凍庫は約70 K)には、再生器で約8〜12倍に積み上げる必要があります事実/本稿の計算
  • 一次相転移の材料は、大きな ΔS とヒステリシスが表裏です。ヒステリシスが増えると、モデル上は COP が最大で半分に下がります事実
  • 材料は、形にして初めて性能になります。粉末は樹脂で固めると効果が薄まり、熱伝導率が下がり、運転周波数も下がります事実
  • 試作機は、永久磁石で最大33 K のスパン(50 W)、または14 K で452 W まで届きました。冷蔵庫に要る49 K にはまだ届いていません事実
  • 製品化は、企業の計画の段階です。2015年の発表は計画で、市販品は確認できませんでした未確定/将来

10. 評価・標準の読み方

磁気冷凍の「性能」は、階層ごとに別のものを測ります。材料(ΔS、ΔTad、比熱、転移温度、ヒステリシス)、磁場源(永久磁石の Br・HcJ・(BH)max と、機械の中の空隙磁場)、機械(冷却能力、スパン、COP)、製品(冷蔵庫の消費電力量)です。このうち、材料の磁気熱量効果そのものを測る規格は、本稿では確認できませんでした。

評価項目ISOIEC・IEEEJISASTM(番号・題名のみ)測定条件で値が変わる点
磁気熱量効果(ΔS_m、ΔTad)の測定確認できなかった確認できなかった(IEEE も)確認できなかった確認できなかった間接法は等温磁化曲線から、直接法は断熱での温度変化の実測。論文は条件(磁場、温度、磁場の変化速度)を明記して読む。直接測定では、磁場の変化速度が約3 T/s 必要で、遅いと2%の誤差に収まらない、との報告がある[10]
比熱容量 Cp(ΔTad の換算に使う)確認できなかった確認できなかった確認できなかったASTM E1269-24「Standard Test Method for Determining Specific Heat Capacity by Differential Scanning Calorimetry」(確認した版:E1269-24)[16]題名のとおり示差走査熱量測定による比熱容量の試験方法。磁場中の比熱の測定を定めるかは、本稿では確認していない
家庭用冷蔵庫の消費電力量(製品の評価)確認できなかったIEC 62552-3:2015「Household refrigerating appliances – Characteristics and test methods – Part 3: Energy consumption and volume」(第1版、2015-02-13)[14]
IEEE:確認できなかった
JIS C 9801-3:2015「家庭用電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の特性及び試験方法-第3部:消費電力量及び内容積の算出」(IEC 62552-3 の MOD、2015年6月22日制定)[15]確認できなかったIEC のページは、エネルギー試験の周囲温度が2つ(16 ℃と32 ℃)規定されたと説明する。機器全体の評価で、冷媒(磁気熱量材料)の評価を定めるものではない
磁場源の永久磁石(Br・HcJ・(BH)max)確認できなかったIEC 60404-5:2015(第3版)[17]。IEEE:確認できなかったJIS C 2501:2019「永久磁石試験方法」(IEC 60404-5:2015 の MOD)[17]ASTM A977/A977M「Standard Test Method for Magnetic Properties of High-Coercivity Permanent Magnet Materials Using Hysteresigraphs」(確認した版:A977M-07〔2013年再承認〕)[18]規格は磁石の材料特性を測る。機械の中の空隙磁場(磁気回路で決まる)は、これらの規格の測る量ではない。詳細は「永久磁石とレアアース」編
磁気冷凍機の性能(冷却能力・スパン・COP)確認できなかった確認できなかった確認できなかった確認できなかった試験の規格は確認できず、論文ごとに運転点(周波数、流量、スパン、負荷)が異なる。COP は、ポンプ・モーターの損失を含むかで値が変わりうる(本記事による注意)

各行の規格の番号・題名・版は事実(IEC Webstore、JSA の閲覧用プレビュー、BSI Knowledge の書誌ページ、Arnold の技術ノートで確認)。表の整理は本稿の計算に当たる編集作業です。ASTM の規格は、ASTM のサイトを開かず、ASTM 以外の公開資料で番号・題名を確認した範囲のみ記載し、試験条件・手順・合否基準は書いていません。規格の本文は有料で確認していません。

規格の読み方の注意

  • 材料の ΔS を測る規格がなければ、論文の値の比較は条件確認から始まる。磁場の大きさ、測定法(直接・間接)、試料の形態、温度範囲を確認し、サイクル条件で測った ΔTad かどうかを見る
  • 冷蔵庫の規格は製品の評価で、材料の評価ではない。IEC 62552-3 と JIS C 9801-3 は、冷蔵庫が使う電力量と内容積の測り方を決めます。磁気冷凍機が、その試験でどういう成績になるかは、規格を満たしたことを示す資料を、本稿では確認していません
  • 永久磁石の規格値は、機械の磁場を保証しない。磁石の Br・HcJ は材料の値で、機械の空隙磁場は磁気回路で決まります

11. 用語集

磁気熱量効果(MCE)
外部磁場の変化で、物質の温度やエントロピーが可逆的に変わる現象。
ΔTad(断熱温度変化)
断熱で磁場を変えたときの温度変化。
ΔS_m(等温エントロピー変化)
等温で磁場を変えたときのエントロピー変化。熱 Q=TΔS_m に対応。
マクスウェルの関係式
磁化の温度変化から ΔS を求める熱力学の式(間接法の根拠)。
二次相転移/一次相転移
二次は連続的な転移。一次は不連続で、熱ヒステリシスを伴う。
熱ヒステリシス
昇温と降温で転移の温度がずれること。
三重臨界点
一次転移が二次転移に変わる点。
AMR(能動的磁気再生)
固体の再生器が磁気冷媒と蓄熱体を兼ね、温度勾配をためるサイクル。
再生器
熱を一時的にためる多孔質の構造。流体が通る。
スパン
高温端と低温端の温度差(Th−Tc)。
COP
成績係数。冷却能力を、投入した仕事で割った値。
第二法則効率
COP を、同じ温度条件のカルノー COP で割った値。
相対冷却能力(RCP)
ΔS を温度範囲で積分して作る指標。誤解を招きやすいとされる。
固体冷却
圧縮機と冷媒ガスを使わない冷却の総称(熱電、磁気熱量、電気熱量、弾性熱量など)。
電気熱量効果
電場の変化による温度変化。
弾性熱量効果
応力の変化による温度変化。NiTi の相変態で報告。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Sandeman K. G. “Magnetocaloric materials: The search for new systems”, Scripta Mater. 67, 566–571 (2012), DOI 10.1016/j.scriptamat.2012.02.045(プレプリント arXiv:1201.3113 を確認) — doi.org/10.1016/j.scriptamat.2012.02.045
  2. Gutfleisch O. ほか “Mastering hysteresis in magnetocaloric materials”, Phil. Trans. R. Soc. A 374, 20150308 (2016), DOI 10.1098/rsta.2015.0308(プレプリント arXiv:1604.08487 を確認) — doi.org/10.1098/rsta.2015.0308
  3. Franco V. ほか “Magnetocaloric effect: From materials research to refrigeration devices”, Prog. Mater. Sci. 93, 112–232 (2018), DOI 10.1016/j.pmatsci.2017.10.005 — doi.org/10.1016/j.pmatsci.2017.10.005
  4. Moya X., Kar-Narayan S., Mathur N. D. “Caloric materials near ferroic phase transitions”, Nat. Mater. 13, 439–450 (2014), DOI 10.1038/nmat3951 — doi.org/10.1038/nmat3951
  5. Masche M. ほか “Performance assessment of a rotary active magnetic regenerator prototype using gadolinium”, Appl. Therm. Eng. 204, 117947 (2022), DOI 10.1016/j.applthermaleng.2021.117947 — doi.org/10.1016/j.applthermaleng.2021.117947
  6. Masche M. ほか “Efficient modulation of the magnetocaloric refrigerator capacity”, Int. J. Refrig. 145, 59–67 (2023), DOI 10.1016/j.ijrefrig.2022.10.005 — doi.org/10.1016/j.ijrefrig.2022.10.005
  7. Masche M., Ianniciello L., Tušek J., Engelbrecht K. “Impact of hysteresis on caloric cooling performance”, Int. J. Refrig. 121, 302–312 (2021), DOI 10.1016/j.ijrefrig.2020.10.012 — doi.org/10.1016/j.ijrefrig.2020.10.012
  8. Wang Y. ほか “Towards practical elastocaloric cooling”, Commun. Eng. 2, 79 (2023), DOI 10.1038/s44172-023-00129-5 — doi.org/10.1038/s44172-023-00129-5
  9. BASF(Haier、Astronautics との共同発表) “Premiere of cutting-edge cooling appliance at CES 2015″(2015年1月、ニュースリリース。企業の発表) — basf.com/…/2015/01/p-15-100
  10. Ghorai S. ほか “A Setup for Direct Measurement of the Adiabatic Temperature Change in Magnetocaloric Materials”, IEEE Trans. Instrum. Meas. 72 (2023), DOI 10.1109/TIM.2023.3272387(プレプリント arXiv:2210.11509 を確認) — doi.org/10.1109/TIM.2023.3272387
  11. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第18号「公布对部分中重稀土相关物项实施出口管制的决定」2025年4月4日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_5e663d0b…
  12. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第57号「公布对部分中重稀土相关物项实施出口管制的决定」2025年10月9日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_9510f263…
  13. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第70号「公布暂停实施…的决定」2025年11月7日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_da147202…
  14. IEC “IEC 62552-3:2015 Household refrigerating appliances – Characteristics and test methods – Part 3: Energy consumption and volume”(IEC Webstore の書誌ページ) — webstore.iec.ch/en/publication/21803
  15. 日本規格協会(JSA) “JIS C 9801-3:2015 家庭用電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の特性及び試験方法-第3部:消費電力量及び内容積の算出”(閲覧用プレビュー) — webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_09801_003…
  16. BSI Knowledge “ASTM E1269-24” 書誌ページ(BSI の書誌ページ。ASTM のサイトではない) — knowledge.bsigroup.com/…/differential-scanning-calorimetry-1
  17. IEC/日本規格協会(JSA) “IEC 60404-5:2015″(IEC Webstore)と “JIS C 2501:2019 永久磁石試験方法”(閲覧用プレビュー) — webstore.iec.ch/en/publication/22142、webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02501…
  18. Arnold Magnetic Technologies “What is the Magnetic Hysteresis Loop”(TECHNote TN 1501 rev.2015a。参考文献に ASTM A977M-07〔2013年再承認〕の番号・題名を記載) — arnoldmagnetics.com/…/Tech-Notes_Hysteresis-Loop.pdf

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
磁気熱量効果の定義(磁場で温度・エントロピーが可逆に変わる)、ΔS と ΔTad の関係、1 T 換算の材料の値(Gd、La-Ca-Sr-Mn-O、La(Fe,Co,Si)13、La(Fe,Mn,Si)13Hx、Mn-Fe-P-Si、ホイスラー、Gd5(Si,Ge)4、Fe49Rh51)と特徴・課題、高分子結合の複合材の値(ΔTad 4.9 K、ΔS_m 63 mJ/(cm³·K)、熱伝導率約5 W/(K·m)、運転周波数が約1.5分の1)、RCP が誤解を招くこと、ΔS が大きいことは十分条件ではないこと、ヒステリシスの影響と低減策、AMR の課題4点、磁石系が最も高価で環境負荷が大きいことGutfleisch ら(2016)
出典2 https://doi.org/10.1098/rsta.2015.0308
事実
ΔS と ΔTad の積分式、永久磁石の1 T で ΔTad が少なくとも1 K という目安、ΔTad の最大値の式 (Msat·T·μ0Hmax/Cp)1/2 と Fe-Rh の約15 K、多くの材料が2 T で4〜7 K、単一の性能指数が定まっていないことSandeman(2012)
出典1 https://doi.org/10.1016/j.scriptamat.2012.02.045
事実
Brown 1976・Steyert 1978、Zimm 1997(5 T、10 K で600 W、18か月)、Astronautics 2001(1.5 T 永久磁石)、試作機の最大磁場・磁場源・スパンの年表(図6・図7の値)、Victoria 2013(33 K、50 W、Gd 0.65 kg、1.6 T、0.8 Hz)、AMR サイクルの記述(図4)、Nd-Fe-B の使用Franco ら(2018)の総説
出典3 https://doi.org/10.1016/j.pmatsci.2017.10.005
事実
冷蔵庫・冷凍庫に必要なスパン(約49 K・約70 K)、Gd の294 K・5 T の ΔS 11 J/(kg·K)・ΔT 13 K、Mn-Fe-P-Si の1 T で3.0 K、最も引用される試作機の効率(10 K でカルノーの約40%、20 K で約20%、蒸気圧縮は最大約60%)、1.5 T の Gd 機の51 W(18 K)・9 W(40 K)、電気熱量(1.8 K、12〜21 K)・弾性熱量(17〜28 K)の値Moya ら(2014)の総説
出典4 https://doi.org/10.1038/nmat3951
事実
DTU の試作機(Gd 3.83 kg、1.44 T、COP 4以上で800 W 超、スパン10 K 超)、2023年の報告(14 K で452 W、COP 3.2、第二法則効率15.5%、部分負荷245 W で COP 6.2・29.7%)Masche ら(2022、2023)
出典5 https://doi.org/10.1016/j.applthermaleng.2021.117947
出典6 https://doi.org/10.1016/j.ijrefrig.2022.10.005
事実
ヒステリシスによるエントロピー生成が0.5%から1%で、COP が最大50%低下すること(数値モデル)、比熱が小さい材料の許容範囲Masche ら(2021)
出典7 https://doi.org/10.1016/j.ijrefrig.2020.10.012
事実
熱電モジュールの最大スパン70〜80 K・運転30〜40 K・数十 W、NiTi の潜熱10〜15 J/g と ΔTad 換算20〜30 K、再生によるスパンの拡大(弾性熱量約2倍、電気熱量5倍超)Wang ら(2023)
出典8 https://doi.org/10.1038/s44172-023-00129-5
事実
2015年1月の磁気冷凍ワインクーラーの試作機の発表、Mn と Fe を基にした材料、「理論的な研究で最大35%省エネ」、Haier の「今後数年のうちに市場導入を計画」。市販品は確認できなかったBASF・Haier・Astronautics のニュースリリース(企業の発表・目標)
出典9 https://www.basf.com/global/en/media/news-releases/2015/01/p-15-100
未確定/将来
直接法の ΔTad 測定で、磁場の変化速度が約3 T/s 必要(2%の誤差)Ghorai ら(2023)
出典10 https://doi.org/10.1109/TIM.2023.3272387
事実
公告2025年第18号(Gd を含む7元素、公布日から実施)、第57号(Ho の磁気冷凍材料を含む、2025年10月9日公布)、第70号(第57号などを2026年11月10日まで暂停、第18号は列挙に含まれない)。期限後の扱いは確認できなかった商務部・海関総署の公告
出典11 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_5e663d0bfec7452dabd950d0f0e42153.html
出典12 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_9510f263c3c246d8936fbfa684a58ca8.html
出典13 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_da147202d0934ddebe252772e95ed7b3.html
事実(第70号の期限後は未確定/将来)
規格:IEC 62552-3:2015(周囲温度16 ℃・32 ℃)、JIS C 9801-3:2015(MOD)IEC Webstore、JSA の閲覧用プレビュー
出典14 https://webstore.iec.ch/en/publication/21803
出典15 https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_09801_003_000_2015_j_ed10_ch.pdf
事実
規格:ASTM E1269-24(題名)。ASTM のサイトは開かず、BSI の書誌ページで確認BSI Knowledge
出典16 https://knowledge.bsigroup.com/products/standard-test-method-for-determining-specific-heat-capacity-by-differential-scanning-calorimetry-1
事実
規格:IEC 60404-5:2015、JIS C 2501:2019、ASTM A977M-07(題名のみ。ASTM のサイトは開かず、Arnold の参考文献で確認)IEC Webstore、JSA の閲覧用プレビュー、Arnold TN 1501
出典17 https://webstore.iec.ch/en/publication/22142
出典18 https://www.arnoldmagnetics.com/wp-content/uploads/2017/10/FINAL_Tech-Library_Tech-Notes_Hysteresis-Loop.pdf
事実
Fe-Rh の ΔTad の上限約15 K(2 T)・約11 K(1 T)と、実測(12.9 K、3.6 K)との比86%・34%、高分子結合材の体積あたり ΔS_m の比(Gd の約1.6倍、バルクの約0.9倍)、冷蔵庫・冷凍庫のスパンの足し算(49 K・70 K)、Gd の ΔTad 約4 K(1.6 T)に対するスパンの増幅率(約8倍・約12倍)、第二法則効率から逆算したカルノー COP(約20.6・約20.9)と Tc(約288〜293 K)本稿の計算。Sandeman の式(Cp=6R、Msat=120 A·m²/kg、T=300 K)、Gutfleisch らの値、Moya らの見積もり設定、Masche らの COP・効率を仮定。線形近似・2つの運転点が同じ条件という仮定を含み、実測や装置の性能ではない本稿の計算
磁気熱量効果の測定を定める規格、磁気冷凍機の試験規格、市販の磁気冷凍機の製品・性能、BASF らの製品化計画の結果、公告第70号の期限後の扱い、固体冷却の最新の試作機の値、価格と価格の予測本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかった、または本稿の方針で扱わなかったため記載していない解説
「ΔS が大きいは入口にすぎない」「ヒステリシスは大きな ΔS の裏返し」「材料は形にして初めて性能になる」「冷媒が希土類フリーでも磁場源は希土類磁石」「同じスパン・負荷・磁場で比べる」という読み取り公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図2〜4・6・7が実際の測定図・実データではなく説明のための作図であること。図1と図5がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文、企業のニュースリリース、中国商務部の公告、規格団体の書誌ページ)に限定しています。規格の本文は有料のため確認していません。ASTM International のサイトは、同団体が AI の利用を禁じる旨を表示しているため、開いていません。 一部の値は総説(Franco ら、Gutfleisch ら、Moya ら)に集約された値を引用しており、原論文は個別に確認していません。ΔTad・ΔS・スパン・冷却能力は、材料の形態・磁場・運転点が異なる報告値の並置で、優劣を示すものではありません。構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 磁気熱量効果の測定を定める規格、市販の磁気冷凍機の製品・性能、2015年の製品化計画の結果、公告第70号の期限後の扱いについては、確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図2〜4・6・7はベクター作図、図1と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・材料・製品の実物を示すものではありません。