COMPANY PROFILE / 次世代蓄電
レッドウッド・マテリアルズ
― 使用済み電池の回収・リサイクルを主力に、再利用パックによる蓄電システム(Redwood Energy)へ広げた米国の非上場企業
次世代蓄電の話題でRedwood Materialsの名前が出るのは、使用済みの電池を回収して金属を取り出すリサイクルと、EV電池を蓄電システムに再利用するRedwood Energyの両方を、1社で手がけるからです。会社は、年20GWh超の電池を受け入れ、ネバダ州で2025年に6万トン超の鉱物を生産したと述べています。2025年6月にはCrusoe向けに12MW/63MWhのマイクログリッドを構築し、2026年にはGM・Rivianとの設置計画を発表しました。ただし、数字の多くは会社の自己申告で、非上場のため財務の裏づけがありません。DOEの20億ドルの融資は2023年の条件付き約束で、実行の状況は確認できませんでした。本稿は、同社の公式サイトの投稿と、査読論文、SECの開示(Tesla)に基づき、何が確認でき、何が確認できないかを整理します。
- 30秒でわかるRedwood Materialsと、次世代蓄電での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 次世代蓄電の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- 次世代蓄電にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は次世代蓄電で何を目指しているか
- 次世代蓄電分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるレッドウッド・マテリアルズと、次世代蓄電での立ち位置
蓄電システム(従)使用済み電池から鉱物を回収し、再利用パックで蓄電も提供
Redwood Materialsは、使用済み電池の回収・リサイクルを主力とし、2025年から「使用済みのEV電池パックを蓄電システムに再利用する」Redwood Energyを加えた非上場の会社です 事実。 蓄電の事業では、2025年6月にCrusoe向けに12MW/63MWhのマイクログリッドを約4か月で立ち上げ、会社は稼働率99.2%と述べています。2026年4月にはRivian、6月にはGMとの再利用パックの設置計画を発表しました。 一方、数字の多くは会社の自己申告です。受け入れ量・生産量・稼働率について、第三者が確認した公開資料は、環境負荷の査読論文(2021年の実運用データ)を除き確認できませんでした。 DOEの20億ドルの融資は条件付き約束(2023年)で、実行の状況は確認できません 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:社名は Redwood Materials(法人名はRedwood Materials Inc.)です。蓄電事業の名称は Redwood Energy、再利用パックを束ねる自社の電力変換・制御技術は Pack Manager です。ロゴは同社の公式サイトのヘッダーで使われているロゴ(SVG)で、元は濃い背景用の明るい色のため、白い背景で見えるように色だけを濃い茶色に変更しています(形は変更していません)。
公式サイト:https://www.redwoodmaterials.com/3. 次世代蓄電の世界で、この会社はどこにいるか
図1のとおり、Redwoodは「使用済み電池から材料へ」を担うリサイクル側に主な位置を置き、そのうえで再利用パックを使う蓄電システムに事業を広げています。 会社は、受け入れた電池の多くに使用可能な容量の50%以上が残っているとして、リサイクルの前に定置用蓄電として使う、と説明しています(会社の説明) 事実。 このため、Redwoodは電池メーカーに電池を供給する側であると同時に、電池メーカーや自動車メーカーの使用済みパックを受け取る側でもあります。 本シリーズの技術解説「電池リサイクルと二次利用」「電池材料の資源と調達」「系統用蓄電システム」「データセンターと蓄電」もあわせて参照してください。
4. 会社の規模
非上場のため、売上・利益・従業員数は公表されていません。公式資料と、会社が公開した数字を示します。数字の多くは会社の自己申告です 事実。
| 項目 | 確認できた内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 設立・創業者 | 2017年設立。JB Straubel氏が2019年にTeslaを離れてRedwoodに専念(会社の沿革)。Teslaの10-Kは、同社の経営者・取締役の関係先としてRedwoodを挙げ、取引は軽微と記載 | 出典2・18 |
| 拠点 | ネバダ州スパークスの「Tahoe Campus」(屋根のある面積200万平方フィート超、約900エーカー)と、サウスカロライナ州バークレー郡(キャンパス用地600エーカー超)の「Carolina Campus」。サンフランシスコに研究開発拠点 | 出典2・9・10 |
| 資金調達 | 2021年7月に7億ドル超(シリーズC)、2023年8月に10億ドル超(シリーズD。累計の株式調達は約20億ドルと会社が説明)、2025年10月に3億5,000万ドル、2026年1月に最終クローズで4億2,500万ドル(シリーズE。Eclipse主導、NVentures・Google・Capricorn・Goldman Sachs Alternativesなど) | 出典5・6・16・19 |
| 電池の受け入れ量 | 年20GWh超(EV約25万台分)。北米でリサイクルされるリチウムイオン電池と材料の約90%(会社の説明) | 出典3・7 |
| 鉱物の生産量 | ネバダ州で2025年に6万トン超(会社の説明)。サウスカロライナ州の初期の操業で年2万トン(追加) | 出典9・10 |
| 経営陣 | 2026年5月にDeepak Ahuja氏がCFO、2026年9月にCal Lankton氏がCOOに就任(会社の投稿)。売上・従業員数は非公表 | 出典20 |
「受け入れ量」「生産量」「稼働率」は、会社の投稿の数字です。たとえば「約90%」は、会社が自社に集まる量を北米全体と比べた主張で、比較の算定の資料は確認できませんでした。 また、「生産量(トン)」に含まれる品目(金属、塩、混合物)と、リサイクル由来か購入原料由来かの内訳は、投稿に書かれていません 未確定/将来。
5. 次世代蓄電にかけているリソース
非上場のため、人員・研究開発費・設備投資額の多くは非公表です。公式資料で確認できる範囲を、4点に分けて示します。
| リソースの種類 | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 従業員数は非公表。サンフランシスコの研究開発拠点を2025年に開設、2026年2月に面積を4倍に拡大(蓄電の開発を加速するため)。2023年の投稿は、ネバダのDOE対象事業で約1,600人の常勤雇用と3,400人の建設雇用を見込むと記載(計画)。サウスカロライナでは今後10年で1,500人超の雇用を見込む(会社の計画) | 事実/人数は非公表 |
| 金 | これまでの調達:シリーズC 7億ドル超、シリーズD 10億ドル超、シリーズE 4.25億ドル。サウスカロライナの計画は35億ドルの投資と100GWh分の正極・負極部材(2022年の発表。現在の計画の更新は確認できず)。研究開発費は非公表 | 事実/一部非公表 |
| 外部への出資・買収・合弁・事業売却 | Redwoodが他社へ出資・買収した記載は、確認した公式資料になし。受ける側として、シリーズDにCaterpillar Venture Capital・Microsoftの気候イノベーション基金など、シリーズEにNVentures・Googleなどが出資 | 確認できず/受ける側は事実 |
| 提携(調達・供給・導入) | 回収・リサイクル:Toyota(2022年)、Volkswagen(2022年)、Ultium Cells(GMとLG Energy Solutionの合弁。2024年)、BMW、Isuzuなど。供給:Panasonicが米国カンザス州の新工場向けに高ニッケル系正極材を調達(2022年の発表)。蓄電:Crusoe、GM、Rivian、Caterpillarなど | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | DOEのローン・プログラム室(ATVM)から20億ドルの条件付き約束(2023年2月9日)。マイルストーン式の分割融資と会社が説明。融資の実行・取り下げの状況は確認できず(DOEの案件一覧のページは、本稿の取得範囲では表の内容を読み取れなかった)。DOEのArgonne国立研究所が、リサイクル材料由来の正極の性能を確認したと会社が発表(2022年10月)。環境負荷の評価は、スタンフォード大学が主導した査読論文(Nature Communications、2025年) | 事実(会社の説明)/一部確認できず |
次に、主要な設備と事業の状況です。段階は会社の投稿の表現のままです。
| 設備・事業 | 場所 | 規模 | 段階 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| Tahoe Campus(リサイクル・精製) | 米国ネバダ州 | 2025年に鉱物6万トン超 | 稼働(会社の説明) | 2025年 | 出典9・10 |
| Carolina Campus(回収の第1期) | 米国サウスカロライナ州バークレー郡 | 年2万トン(初期) | 稼働を開始(第1施設が鉱物を回収中)。全体の計画(35億ドル、100GWh分の部材)は2022年の発表で、現在の進行は確認できず | 2025年11月6日 | 出典9 |
| Crusoe向けマイクログリッド | 米国ネバダ州スパークス | 12MW/63MWh | 稼働(約4か月で構築。稼働率99.2%と会社が説明)。さらに20のデータセンターモジュール分へ拡大の計画 | 2025年6月〜2026年3月 | 出典8 |
| GMのミシガン州の工場 | 米国ミシガン州 | 約100パック、1.5MW/7.2MWh | 計画(設置を予定) | 2026年6月9日 | 出典11 |
| Rivianのノーマル工場 | 米国イリノイ州 | 100パック超、当初10MWh | 提携を発表(導入の計画) | 2026年4月14日 | 出典12 |
| 陽極用銅箔 | 米国ネバダ州 | 計画は年100GWh分 | 2023年1月に生産を開始したと会社が説明。現在の生産量は確認できず | 2023年2月9日 | 出典4 |
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2017年 | 設立(会社の沿革) | ― |
| 2021年7月28日 | シリーズC 7億ドル超(T. Rowe Price主導) | 大型の外部資金の最初 |
| 2022年 | Toyota(6月)、Volkswagen(7月)との回収・リサイクルの提携。Panasonicが高ニッケル系正極材の調達を発表(11月15日)。サウスカロライナ州に新キャンパスを発表(12月14日、35億ドル) | 回収の入口と、材料の出口を確保する構想 |
| 2023年2月9日 | DOEから20億ドルの条件付き約束(ATVM)。陽極用銅箔の生産を開始 | 融資は実行の条件つき(状況は未確認) |
| 2023年8月29日 | シリーズD 10億ドル超 | 累計の株式調達は約20億ドルと会社が説明 |
| 2024年5月 | Ultium Cellsと、製造時の端材のリサイクルで提携 | GMとLG Energy Solutionの合弁の端材を受け入れ |
| 2025年6月 | Redwood Energyを開始(6月27日の投稿)。Crusoe向けの12MW/63MWhのマイクログリッドを約4か月で構築 | 「リサイクルの前に再利用」へ事業を広げた |
| 2025年7月16日 | GMと、新品の米国製電池と再利用パックを使う蓄電の拘束力のない覚書(MOU) | MOUは最終契約とは限らない |
| 2025年10月23日 | シリーズE 3億5,000万ドル(Eclipse主導、NVentures参加) | 蓄電の拡大が資金の使途の柱 |
| 2025年11月6日 | サウスカロライナで重要鉱物の回収を開始(初期の年2万トン) | 第2のキャンパスの稼働 |
| 2026年1月28日 | シリーズEの最終クローズ(4億2,500万ドル、Googleが参加) | ― |
| 2026年3月24〜25日 | Crusoeとの協業を拡大(追加20モジュール)。蓄電システムがUL 9540Aの第6版などの試験に適合と会社が説明(UL Solutionsで試験) | 会社の自己申告。試験報告書は未確認 |
| 2026年4月14日 | Rivianと蓄電の提携 | 自動車メーカーの工場での再利用 |
| 2026年6月9日 | GMと電池ライフサイクル全体での提携(ミシガン州の工場への設置計画) | 端材・使用済みパック・再利用の3段階を1社と |
| 2026年9月21日 | Cal Lankton氏がCOOに就任 | ― |
7. 今後の計画
データセンター分当初の約7倍の計算規模(会社の説明)。完了時期の記載なし
上の数字は会社の計画・見込みであり、実績ではありません 未確定/将来。ほかに、公式資料には次の計画があります。
- GMのパック:約1万個の使用済みEVパックが、再利用(Redwood Energy)向けに回ってくる見通し(2026年6月の投稿)
- サウスカロライナ:今後10年で1,500人超の雇用を見込み、長期的には回収・精製・製造の大規模なキャンパスにする構想
- 将来の電池供給:2030年までに、使用済み電池が蓄電市場の50%超を供給しうる、と会社は述べる(会社の見方)
売上・利益・従業員数・研究開発費/DOEの融資の実行・取り下げの状況/正極材と陽極用銅箔の現在の生産量/サウスカロライナの大規模計画の最新の進行/Redwood Energyの蓄電システムの出荷量・累計の導入量/UL 9540Aなどの試験報告書/ 稼働率99.2%の算定の前提。いずれも、確認した公式資料に記載がありません。
8. この会社は次世代蓄電で何を目指しているか
会社が直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 目指す姿は「重要鉱物の国内供給源」と「国内の蓄電」の2本柱 | トップページが「米国の重要鉱物の確保と、エネルギーを動かす」を掲げ、シリーズEの発表が「重要鉱物」と「系統用蓄電」の2つの中核事業を述べている | 事実(会社の説明) |
| リサイクルの前に再利用(蓄電)を挟み、電池の価値を延ばす | 「多くのパックに使用可能な容量の50%超が残る」として、蓄電システム→リサイクルの順を説明 | 事実(会社の説明) |
| 差別化は「関税なし・米国製の電池」と低コスト | Redwood Energyのページが「100%国内の電池、輸入関税(新品の電池費用の75%超になりうる)を避ける」と主張(会社の主張) | 事実(会社の主張) |
| 需要の主役としてAIデータセンターと自動車メーカーの工場を想定 | Crusoe(モジュール式データセンター)、GM・Rivianの工場への設置 | 事実(会社の説明)/推測 |
| 電池の「出口」より、回収の入口(自動車メーカーとの提携)を押さえる戦略 | Toyota・VW・Ultium Cells・BMW・GM・Rivianなど、回収・リサイクルと再利用の提携が多数並ぶ一方、材料の販売先として確認した範囲で名前が出るのはPanasonic(2022年)だけ | 推測 |
最後の行の根拠は、会社の提携の並び方です。トップページの提携先9社と、2026年の発表(GM、Rivian)は、電池を「戻してくれる側」(自動車メーカー、電池メーカー、電力・計算の事業者)が中心で、 回収した材料を買う側として、確認した範囲で具体的に名前が出るのは、2022年に発表されたPanasonicの正極材の調達だけです 事実。 2022年の計画(陽極用銅箔と正極材を年100GWh分つくる)と比べて、2025〜2026年の発表が蓄電と鉱物の回収に重心を置いていることから、事業の重心が材料の製造から「回収と蓄電」へ移っていると読めますが、 これは本稿の推測で、会社が方針の変更を述べたわけではありません 未確定/将来。
9. 次世代蓄電分野の提携マッピング
Redwoodの提携の特徴は、自動車メーカー(GM、Toyota、VW、BMW、Rivianなど)が、使用済み電池の「出し手」であると同時に、再利用された蓄電の「使い手」にもなることです 事実。 GMは、端材(Ultium Cells経由)、使用済みEVパック、再利用による蓄電の3段階すべてでRedwoodと組む最初の自動車メーカーと会社は説明しています。 一方、DOEの融資は条件付き約束、GMとの覚書は拘束力がなく、Rivianの案件は導入の計画の段階で、契約の強さはそれぞれ異なります。
10. 提供している技術・製品・サービス
製品・サービスの数字は、同社の投稿・公式ページに載る会社の説明です。多くは試験条件・算定の前提が記載されていません。本稿は、他社との比較や優劣づけをしません。
| 項目 | 公式資料の記載(会社の説明) | 確認できなかったこと |
|---|---|---|
| 回収・リサイクル・精製 | 使用済み電池・製造端材を受け入れ、リチウム、ニッケル、コバルト、銅を回収。年20GWh超を受け入れ。ネバダで2025年に6万トン超(会社の説明) | 回収率・品目の内訳・純度、処理の方式の詳細 |
| 環境負荷(第三者の評価) | 査読論文(Nature Communications、2025年)は、Redwoodの2021年の実運用データをもとに、使用済みLIBから電池級の材料をつくる環境負荷が、従来の採掘由来より少なくとも58%低いと報告。電力の使用が最大の要因で、電力源によって温室効果ガスが最大5倍変わる | 2021年以降の工程の変更、現在の値 |
| Redwood Energy | 新品と再利用の電池を使う大規模な蓄電システムの設計・統合・導入。Pack Managerで異なるパックを1つのシステムに統合。DC/DCコンバーターは15年以上と会社は説明。出力・エネルギーを保証 | システムの定格・効率・寿命の仕様、使用するセルの化学・形状 |
| 運用実績(会社の主張) | Crusoe向けの12MW/63MWh。稼働率99.2%(運転開始から2026年3月まで) | 算定の前提、劣化の実測値 |
| 安全性(会社の説明) | UL 9540Aの第6版(2026年)の設置レベルの大規模火災試験などに適合。UL Solutionsで試験を実施と会社が説明。設計は、熱とガスがこもる状況をつくらない方向 | 試験報告書、試験の範囲・結果の詳細 |
| 材料(過去の計画) | 陽極用銅箔(2023年に生産開始と説明)、高ニッケル系の正極材(Panasonic向け、2022年の発表)。Argonne国立研究所がリサイクル材料由来の正極の性能を確認したと会社が発表(2022年) | 現在の生産量・販売先 |
Redwoodの仕事は、素材の側から見ると2つの出口を持ちます。1つは材料としての回収(正極のニッケル・コバルト・リチウム、負極集電体の銅など)、もう1つはパックのまま再利用する道です 事実。 再利用では、使用済みパックはメーカー、化学、劣化の度合いが異なるため、会社はPack Manager(DC/DCコンバーターを使い、異なるパックを1つのシステムにつなぐ技術)を中核に置いています 事実。 一般的に、使用済みパックの残存容量や内部抵抗のばらつきが大きいほど、直列・並列に組むと最も弱いパックに全体が制約されるため、パックごとに電力を調整する方式は理にかなっています 未確定/将来(一般的な説明で、Pack Managerの個別の仕様ではありません)。 材料としての回収では、回収率と純度、そして処理に使う電力の由来が環境負荷を左右します。上の査読論文は、電力の由来で温室効果ガスが最大5倍変わると報告しています 事実。 本シリーズの技術解説「電池リサイクルと二次利用」「電池評価と劣化」「電池材料の資源と調達」「熱暴走と電池の安全」を参照してください。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 自己申告の数字が多い | 受け入れ量・生産量・稼働率・「約90%」などが会社の投稿で、非上場のため財務諸表の裏づけがない。第三者の確認は、環境負荷の査読論文(2021年のデータ)に限られる | 未確定/将来 |
| DOEの融資の状況が不明 | 2023年の条件付き約束。マイルストーンなどの条件を満たす必要があり、実行・取り下げの状況は確認できない | 事実/未確定/将来 |
| 計画の変化 | 2022年に掲げた陽極用銅箔・正極材の年100GWh分の計画と、サウスカロライナの35億ドルの計画は、2025〜2026年の発表では蓄電と回収に重心が移っているように見え、現在の計画は確認できない | 推測 |
| 原料価格と回収量への依存 | リサイクルの採算は、金属価格と、回収できる使用済み電池の量・質に左右される(一般的な説明)。これに対する会社の開示は確認できない | 未確定/将来 |
| 再利用パックの品質のばらつき | メーカー・化学・劣化の度合いが異なる。システムの寿命・安全は、選別と制御に依存する。会社は試験に適合したと述べるが、報告書は未確認 | 推測 |
| 契約の強さの差 | GMとの覚書は拘束力がなく、Rivian・GM工場は導入の計画。案件の実行は顧客の判断に依存 | 事実 |
| 資金 | 2025〜2026年に4.25億ドルを調達したが、売上・損益・現金は非公表で、資金の十分さは外部から確認できない | 未確定/将来 |
| 火災・安全 | リチウムイオン電池の回収・保管・再利用には、火災のリスクが伴う(一般的な説明)。本稿は個別の事故の原因を論じません(公式の調査報告の範囲外) | 未確定/将来 |
| 政策への依存 | 米国の国内調達・関税・税額控除を営業の軸にしており、政策の変更が事業環境を左右する(法令の原文は本稿では未確認) | 推測 |
本稿は企業の概要を整理したもので、電池の安全性・保管・廃棄についての助言ではありません。使用済み電池の取り扱いは、各国・各地域の法令・規格・事業者の指示に従います。
12. 用語集
- リサイクル(回収・精製)
- 使用済み電池や製造端材から、リチウム・ニッケル・コバルト・銅などの金属を取り出し、電池に使える純度に精製すること。
- 再利用(セカンドライフ)
- EVで使えなくなった電池を、定置用蓄電など、要求の低い用途に使うこと。
- Pack Manager
- Redwoodが、異なるメーカー・化学の電池パックを1つの蓄電システムにつなぐために使う電力変換・制御の技術(会社の説明)。
- 重要鉱物
- 供給が特定の地域に偏り、産業・安全保障上の重要度が高い鉱物。リチウム、ニッケル、コバルトなど。
- 陽極用銅箔/正極活物質
- 負極の集電体に使う薄い銅の箔/正極を構成し、金属を含む粉体材料。
- 条件付き約束
- DOEなどが融資の前に示す約束。技術・法務・財務の条件を満たすことが融資の実行の前提になる。
- MOU(覚書)
- 将来の協力を確認する文書。拘束力のない場合がある。
- UL 9540A
- 蓄電システムの熱暴走の延焼を評価する試験法(米国)。
- マイクログリッド
- 電力網から独立しても動かせる、小規模な電力供給システム。

13. 出典
- Redwood Materials 公式サイト トップページ。事業の説明(エネルギー貯蔵と重要鉱物)、パートナー一覧、所在地。 https://www.redwoodmaterials.com/
- Redwood Materials 会社概要「About」。沿革(2017年設立〜2026年3月)、2つのキャンパス(ネバダ州・サウスカロライナ州)、サンフランシスコの研究開発拠点。 https://www.redwoodmaterials.com/about/
- Redwood Materials 「Redwood Energy」ページ。蓄電事業の説明、Pack Manager、年間の受け入れ量、Crusoeの事例。 https://www.redwoodmaterials.com/energy/
- Redwood Materials 投稿:米国エネルギー省(DOE)ローン・プログラム室から20億ドルの条件付き約束を受領(2023年2月9日)。マイルストーン式の分割融資、陽極用銅箔の生産開始。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-department-of-energy-loan/
- Redwood Materials 投稿:3億5,000万ドルのシリーズE(2025年10月23日)。Eclipseが主導、NVIDIAのベンチャー部門(NVentures)などが新たに参加。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-announces-350-million-series-e-funding/
- Redwood Materials 投稿:シリーズEの最終クローズ(総額4億2,500万ドル、2026年1月28日)。既存投資家のCapricorn・Goldman Sachs Alternativesに加え、Googleが参加。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-materials-announces-final-close-of-425m-series-e/
- Redwood Materials 投稿:Redwood Energy(2025年6月27日)。年20GWh超の電池の受け入れ、使用済みパックの再利用による蓄電システムの考え方。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-energy-fast-low-cost-storage-to-power-the-age-of-ai-and-a-changing-grid/
- Redwood Materials 投稿:Crusoeとの協業の拡大(2026年3月)。12MW/63MWhのマイクログリッド、稼働率99.2%、追加の20モジュール式データセンターへの拡大。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-and-crusoe-expand-compute-to-7x-scale/
- Redwood Materials 投稿:サウスカロライナ州での重要鉱物の回収開始(2025年11月6日)。ネバダ州で6万トン超を生産、サウスカロライナで初期2万トン/年。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-begins-critical-materials-recovery-in-south-carolina/
- Redwood Materials 投稿:「2025: A defining year for Redwood」(2025年12月29日)。2025年の実績の総括。 https://www.redwoodmaterials.com/news/2025-a-defining-year-for-redwood/
- Redwood Materials 投稿:General Motorsとの電池ライフサイクル全体での提携(2026年6月9日)。ミシガン州の工場に約100個の再利用パック(1.5MW/7.2MWh)を設置する計画。 https://www.redwoodmaterials.com/news/general-motors-becomes-first-automaker-to-partner-with-redwood-across-the-full-battery-lifecycle/
- Redwood Materials 投稿:Rivianとの蓄電の提携(2026年4月14日)。イリノイ州ノーマルの工場に100個超の再利用パック、当初10MWh。 https://www.redwoodmaterials.com/news/rivian-and-redwood-materials-announce-energy-storage-partnership-for-manufacturing/
- Redwood Materials 投稿:蓄電システムが新しい安全基準に適合(2026年3月25日)。UL 9540Aの第6版などの試験をUL Solutionsで実施したと会社が説明。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-s-energy-storage-systems-meet-and-exceed-new-safety-benchmark/
- Redwood Materials 投稿:General Motorsとの拘束力のない覚書(MOU)(2025年7月16日)。GMの新品の米国製電池と再利用パックを使う蓄電システム。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-and-gm-to-pursue-use-of-u-s-built-batteries-for-energy-storage/
- Redwood Materials 投稿:Panasonicが米国カンザス州の新工場向けに高ニッケル系の正極材を調達(2022年11月15日)。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-high-nickel-cathode-panasonic/
- Redwood Materials 投稿:シリーズD(2023年8月29日)。10億ドル超の調達。累計の株式調達は約20億ドルで、別にDOEの20億ドルの融資約束があると会社が説明。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-series-d/
- Machala, M. L. ほか(Nature Communications) Life cycle comparison of industrial-scale lithium-ion battery recycling and mining supply chains。Nature Communications、2025年1月24日、DOI 10.1038/s41467-025-56063-x(Crossrefで確認)。Redwood Materialsの2021年の実運用データを使った環境負荷の比較。 https://www.nature.com/articles/s41467-025-56063-x
- Tesla, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(2026年1月29日提出)。関連当事者としてRedwood Materialsとの取引は軽微と記載。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm
- Redwood Materials 投稿:7億ドル超のシリーズC(2021年7月28日)。T. Rowe Price Associatesが主導。 https://www.redwoodmaterials.com/news/series-c-funding-700-million/
- Redwood Materials 「News」一覧。2026年5月のCFO(Deepak Ahuja氏)、2026年9月のCOO(Cal Lankton氏)の就任などの投稿。 https://www.redwoodmaterials.com/news/
- Redwood Materials 投稿:Toyotaとの協業(2022年6月21日)。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-materials-and-toyota-collaboration/
- Redwood Materials 投稿:Volkswagen Group of Americaとの提携(2022年7月12日)。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-and-volkswagen-partnership/
- Redwood Materials 投稿:Ultium Cellsとの提携(2024年5月23日)。GMとLG Energy Solutionの合弁の製造端材(オハイオ州・テネシー州)をリサイクル。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-ultium-cells-partnership/
- Redwood Materials 投稿:Caterpillarとの協業(鉱山用の電動ローダーの電池のリサイクル)。 https://www.redwoodmaterials.com/news/redwood-and-caterpillar/
- Redwood Materials 投稿:DOEのArgonne国立研究所が、リサイクル材料由来の正極の性能を確認(2022年10月13日)。 https://www.redwoodmaterials.com/news/argonne-national-laboratory-verifies-redwood-cathode-performance/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月10日/Troy Technical
本稿の内容は、Redwood Materialsの公式サイトに掲載された会社概要・ページ・投稿、査読論文(Nature Communications)、Tesla, Inc.がSECに提出したForm 10-Kに基づきます。調査会社の推計値・報道だけの数値は使用していません。生産量・稼働率などの数字は会社の説明で、第三者による検証は確認できていません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。