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長時間蓄電(鉄空気・亜鉛系) 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

長時間蓄電(鉄空気・亜鉛系)
― 「長く」を安く買うために、何を手放すのか

米国エネルギー省(DOE)は、10時間を超える蓄電を長時間蓄電と定義し、この10年のうちに費用を90%下げる目標を掲げました。リチウムイオンは容量(kWh)を増やすと、ほぼ比例して高くなります。そこで、鉄や亜鉛のような安い材料で容量を稼ぎ、代わりに往復効率や出力の大きさを手放す方式が試されています。 Form Energyの鉄空気電池は「最大100時間」をうたい、2025年に最初の商用設備が米国ミネソタ州に搬入されました。一方、NGKはNAS電池の製造・販売を終了すると発表しました。この記事では、どこまでが確認できた事実で、どこからが企業の主張かを分けて整理します。

構成:DOE、PNNL、各社の公式資料(SEC提出書類を含む)、NGKの開示、電力広域的運営推進機関、USGS、査読論文を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

電池設備と電力変換設備を分けた長時間蓄電の導入例です
概念画像(ImageGenで生成)。電池設備と電力変換設備を分けた長時間蓄電の導入例です。容器の数だけでは放電時間は分かりません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 「長時間」とは(3行でつかむ)
  2. 時間の区分と、各技術が示している放電時間
  3. 本稿の計算:なぜ「安い kWh」でなければならないか
  4. 鉄空気電池 ― 可逆的な錆
  5. 亜鉛系 ― Eosの亜鉛電池と、亜鉛空気
  6. 材料の価格は小さい ― 本稿の計算
  7. 往復効率の低さというトレードオフ
  8. NAS電池(ナトリウム硫黄)― 短く
  9. 制度と実証の状況
  10. 限界と、確認できなかったこと
  11. 評価・標準の読み方
  12. 用語集
  13. 参考資料(一次情報)
  14. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しで、実績が確認できていない事項
このほか、材料や構造の読み取りは「解説」として区別しています。推測は一次資料で確認していない読み取りです。
企業の発表は「企業の主張」で、第三者が検証した値ではありません。メーカーの値は対象(セル・モジュール・システム)と条件を添えます。PNNLの値は開発者調査にもとづく推計で、実勢価格ではありません。
本記事は技術解説であり、設備の運転・安全、投資・調達の判断の助言ではありません。

1. 「長時間」とは(3行でつかむ)

  • 定義はひとつではありません。DOEは2021年7月、長時間蓄電を「10時間を超えて蓄えられるもの」とし、電気化学・機械・熱・化学キャリアなど技術を問わず、この10年のうちに費用を90%下げる目標を発表しました事実[参考資料1]。DOEの「Liftoff」資料は、10時間まで=短時間、10〜36時間=日をまたぐ、36〜160時間=数日〜週、160時間超=季節と区分しています事実[参考資料2]。日本の長期脱炭素電源オークション(2025年度応札)では、揚水・蓄電池・長期エネルギー貯蔵システムに1日1回以上、連続6時間以上の運転継続能力を求めています事実[参考資料19]。
  • 長くするほど効くのは「容量あたりの値段」です。出力(kW)の設備は時間が延びても同じですが、容量(kWh)は時間に比例して増えます。年間に何度も放電しない長時間蓄電では、kWhあたりの設備費を極端に下げる必要があります(第3章の計算)。
  • 手放すものがあります。鉄空気・亜鉛系では、往復効率の低さ(総説の報告値は35%、PNNLの亜鉛空気の推計は64%)、出力密度、実績の少なさが代償です。確認できた実証は小さく、企業の経営は不安定です(ESS Techの継続企業の前提の疑義、NGKのNAS撤退)。

2. 時間の区分と、各技術が示している放電時間

下の図は、DOEの区分に、各社・各機関が資料で示している放電時間を重ねたものです。示している時間は条件が違い、性能の優劣ではありません。リチウムイオンの大型設備は、CAISOの市場監視部門が「運用中の大規模蓄電の多くは最大4時間」と記しています事実[参考資料16]。

「長い」の線引きと、各技術が示す放電時間(概念図・対数軸) 帯はDOEの区分。点は記載された最大値または代表値、線は記載された範囲。条件・出所は本文 短時間(〜10 h) 10〜36 h 36〜160 h 160 h〜 1 h 10 h 36 h 160 h リチウムイオン(LFPなど) 多くは最大4時間(CAISO) NAS電池(NGK) 容器800 kW・4,800 kWh バナジウムRFB 2〜12 h(Invinity) 亜鉛系(Eos) 3〜12 h以上(同社) 鉄フロー(ESS Tech) 最大12 h(同社) 亜鉛空気(PNNLの事例) 8〜100 h(1社の情報) 鉄空気(Form Energy) 最大100 h(同社) 日本の長期脱炭素電源オークション(2025年度):6 h以上
図1 概念図(ベクター作図)。帯はDOEの区分[参考資料2]。点・線は、LFP=CAISOの記述[参考資料16]、NAS=NGKの製品ページ[参考資料14]、RFB=Invinityのデータシート[参考資料15]、Eos・ESS Tech=各社の10-K[参考資料11・12]、亜鉛空気=PNNL[参考資料3]、鉄空気=Form Energyの記述[参考資料5]によります。条件の異なる値を並べたもので、性能の優劣を示すものではありません。「最大」は記載された値で、運転での確認を意味しません。

DOEの区分で見ると、リチウムイオンは短時間の帯、バナジウムのフロー電池やEosの亜鉛電池、鉄フロー電池は10時間前後までの帯、鉄空気電池と亜鉛空気(1社の事例)は10時間を超える帯をめざしています。ただし、この図の「最大100時間」は、Form Energyの会社の記述で、実際に100時間の連続放電が運転で確認された、という意味ではありません。

3. 本稿の計算:なぜ「安い kWh」でなければならないか

PNNLの2021年値の推計では、100 MWの系統用リチウムイオン(LFP)の設置費は、4時間で385 US$/kWh、10時間で356 US$/kWhです事実[参考資料3]。2.5倍に長くしても、kWhあたりは約7.5%しか下がりません((385−356)÷385)本稿の計算。電池のセルを増やすかぎり、費用は容量にほぼ比例して増えるからです(本記事による解説)。

本稿の計算:年に数回しか回らない設備の、資本費の重さ

設備費がkWhあたり X US$のとき、1サイクルで放電するkWhあたりの資本費を概算します本稿の計算。

  • 前提:割引率8%、20年として年価係数 0.1019(=0.08×1.08²⁰÷(1.08²⁰−1))。1 kWhの容量を、1年に n 回、全量放電するとする。運転費・往復効率・劣化・出力側の費用は含めない。
  • 計算:放電1 MWhあたりの資本費 = X × 0.1019 ÷ n × 1,000。設備費が 356 US$/kWh(PNNLのLFP・10時間の推計)なら、年365回で約99 US$/MWh、年100回で約363、年50回で約725、年20回で約1,813 US$/MWh。設備費が100 US$/kWh(仮定)なら約28・102・204・509、20 US$/kWh(仮定)なら約5.6・20・41・102 US$/MWh。

前提と限界:100 US$/kWhと20 US$/kWhは、長時間蓄電が達成すべき水準を考えるための本稿の仮定で、どの企業の価格でもありません。DOEの長時間蓄電の目標値そのものは、本稿が参照した記事の範囲では数値を確認できませんでした(90%の削減としか書かれていません)。均等化原価(LCOS)は、本シリーズ『蓄電の経済性』編が扱います。

1回転あたりの資本費は、年間サイクル数が減ると急に重くなる(本稿の計算) 年価係数0.1019(割引率8%・20年)、1 kWhを1サイクルで放電する単純計算。運転費・効率・劣化は含めない 10 100 1,000 年365回 99 28 6 年100回 363 102 20 年50回 725 204 41 年20回 1,813 509 102 1 MWh を放電するのに要る資本費(US$/MWh) 356 US$/kWh(PNNL:LFP、100 MW・10時間の推計) 100 US$/kWh(仮定) 20 US$/kWh(仮定)
図2 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。棒の高さは、第3章の前提(年価係数0.1019)から本稿が算出した放電1 MWhあたりの資本費(対数軸)です。356 US$/kWhはPNNLの推計[参考資料3]、100・20 US$/kWhは本稿の仮定です。公表値ではなく、どの企業の価格でもありません。

図2から、年に20回しか回らない設備では、LFPの価格水準だと放電1 MWhあたりの資本費だけで約1,800 US$になることが分かります本稿の計算。年に数回〜数十回しか使わないという用途(数日続く悪天候への備え)に向けるなら、kWhあたりの設備費を1桁下げる必要があります。これが、鉄・亜鉛・水・空気のような安い材料と、単純な構造をめざす理由です(本記事による解説)。

PNNLが示す、時間と電池本体費用の関係

PNNLは、バナジウムRFBでは、10 MWのDCストレージブロックを、2時間352、4時間263、10時間210、100時間179 US$/kWhと推計しています。亜鉛空気(1社の情報)では、8時間208、10時間174、24時間94、48時間66、100時間51 US$/kWhです(いずれも2021年値)事実[参考資料3]。亜鉛空気については、PNNLは「パイロット規模や実証は行われておらず、費用は実際の系統規模の設備で確認されていない」と書いています。

蓄電時間が長いほど、容量あたりの電池本体の費用は下がる推計(PNNL) DCストレージブロック(US$/kWh)。RFBは10 MW、亜鉛空気は1社の情報(実証は未実施) 0 100 200 300 400 2 h 4 h 8 h 24 h 100 h 352 263 234 219 210 190 179 208 174 94 66 51 バナジウムRFB(10 MW) 亜鉛空気(1社の情報) ※ 横軸は対数。開発者から得た情報にもとづく推計で、価格や入札額ではない。亜鉛空気は「パイロット規模・実証は未実施」とPNNLが記す。
図3 出典の値の作図(ベクター作図)。PNNLの2021年値の推計[参考資料3]のDCストレージブロック費です。開発者から得た情報にもとづく推計で、実勢価格ではありません。亜鉛空気は1社の情報で、実証は行われていません。

4. 鉄空気電池 ― 可逆的な錆

Form Energyは、鉄空気電池の原理を「可逆的な錆」と説明しています。放電では、電池が空気から酸素を取り込み、鉄金属をさびに変える。充電では、電流でさびを鉄に戻し、酸素を放出する、というものです事実(会社の説明)[参考資料5]。各セルは、鉄の電極と空気の電極、水系で不燃性の電解液(会社はAA電池の電解液のようなもの、と書いています)を持ち、セルを重ねたモジュールを、輸送コンテナ程度の大きさの筐体に収めて、メガワット級の電力ブロックにすると説明しています[参考資料5]。

放電で鉄が酸化し、充電で鉄へ戻す考え方です
図4 概念画像(ImageGenで生成)。放電で鉄が酸化し、充電で鉄へ戻す考え方です。空気極と鉄極は別にあり、反応式・電解液組成の詳細を指定する図ではありません。 [参考資料5] [参考資料4] 形状・色・寸法は説明用です。数値と原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
鉄空気電池=「可逆的な錆」(概念図) 反応の式や電解液の組成は出典で確認できた範囲に限り、細部は書いていない 鉄電極 多孔質の鉄。放電で酸 化され、さびになる 水系電解液 不燃性(会社の説明 ) 空気極 酸素を取り込む(放電) /放出する(充電) O₂ 入る O₂ 出る 放電:鉄 → さび 充電:さび → 鉄 難しい点(総説) ・酸素極:充放電の両方に働く、手ごろな価格の 触媒 ・鉄電極:腐食と水素の発生を抑える ・セル設計と、性能を予測するモデル 総説が示す数字 開回路電位の予測 1.28 V。報告された効率:充 電96%、電圧40%、エネルギー35% (古い・ラボの報告で、現行品の値ではない)
図4 概念図(ベクター作図)。原理はForm Energyの説明[参考資料5]、数字と課題は総説[参考資料4]によります。実際のセル構造・電解液・反応式を示すものではありません。

総説(McKerrackerら、2014年)の要旨は、鉄空気の系について、開回路電位の予測値1.28 V、比電荷容量は300 Ah/kg未満、報告された効率は、充電96%、電圧40%、エネルギー35%と記しています事実。課題として、効率的で価格が手ごろな二元機能の酸素極(充電と放電の両方に働く)、腐食と水素発生を抑える安価な鉄電極、新しいセル設計、性能を高める数理モデルを挙げています[参考資料4]。この35%は、古い・ラボの報告を集めたものであり、Form Energyの現行システムの値ではありません。同社が往復効率の公式値を示しているかどうかは、本稿が確認した同社のページ(技術、報道発表)では、見つかりませんでした。

素材技術者の視点①:安いのは「鉄」で、難しいのは「電極の界面」

総説が挙げる課題を材料の側から読むと、難しさは3か所に集まっています(本記事による解説)。

  • 鉄電極:充電で鉄を析出させるとき、同じ電極で水素が発生し、電流の一部が無駄になります。放電しないときの腐食は、自己放電になります。これが、報告された充電効率(96%)に比べて、電圧効率とエネルギー効率が低い値になっている背景を考えるときの手がかりです(推測:総説の数字の背景は、本稿では確認していません)。
  • 酸素極:酸素を還元(放電)し、水酸化物イオンなどから酸素を発生(充電)させる、両方向の触媒が要ります。酸素の反応は、電圧のロスが大きい反応として知られています(一般的な理解にもとづく解説)。
  • 空気の質:空気を取り込む系では、空気中の水分や二酸化炭素の影響を受けます。PNNLが紹介する亜鉛空気の系は、二酸化炭素を除去した空気を供給しています事実[参考資料3]。鉄空気で同様の対策が取られているかは、本稿では確認できませんでした。

確認できた実証と計画(企業の主張と、第三者の記述を区別)

  • 安全性(会社の主張):Form Energyは、2024年12月、鉄空気電池のセルが UL 9540A(セルレベルの試験)を完了し、延焼も熱暴走もなかったと発表しました。同社はこの試験が「他の電池で熱暴走を起こすことが知られる異常条件を模擬した」ものだとし、PNNLの研究者のコメントを引用しています。第三者による試験報告書そのものは、本稿では確認していません事実[参考資料6]。
  • 最初の設備:Great River Energy(米国ミネソタ州の電力協同組合)とForm Energyは、2024年8月15日、ミネソタ州ケンブリッジで、1.5 MWの多日間蓄電パイロットの着工を発表しました。「最大100時間」の蓄電をうたっています事実[参考資料8](100時間なら150 MWh:本稿の計算本稿の計算)。同協同組合が紹介したLatitude Mediaの記事(2025年10月29日)は、同月から最初の商用電池の搬入が始まり、2026年に全面稼働する見込みと伝えています事実[参考資料9]。2026年10月時点で、全面稼働を示す公式資料は、本稿では確認できませんでした。
  • 大型の計画:Xcel Energyは2026年2月24日、Googleのデータセンター(ミネソタ州)向けの契約の一部として、300 MW(30 GWh)のForm Energyの鉄空気電池を設置すると発表しました。同発表は、電力供給契約がミネソタ州公益事業委員会の承認を要するとしています未確定/将来[参考資料10]。
  • 会社の財務(会社の発表):Form Energyは2026年8月12日、7.5億US$のシリーズG資金調達を発表し、株式による調達の累計が20億US$超になったとしています。同社は、受注残が年初の約20 GWhから80 GWhになったと述べています(会社の主張で、契約の条件・時期は本稿では確認していません)事実[参考資料7]。

5. 亜鉛系 ― Eosの亜鉛電池と、亜鉛空気

Eos Energy Enterprises(亜鉛系の静置型電池)

Eosは、自社を亜鉛系の電池エネルギー貯蔵システムの製造・提供会社とし、製品を「Znyth」と呼んでいます。同社のZ3電池モジュールは、3〜12時間以上の放電が必要な用途向けで、主な原料は亜鉛のハロゲン化物(zinc halide salts)、フェルト、樹脂、チタン、導電性ポリマーの5種、とされています(2025年12月期の10-K)事実。同社は、ポンプや圧縮機をもたない静置型のモジュール設計で、動作温度は−20〜50 ℃、リチウムイオンのような狭い温度帯を要しない、とし、化学そのものについて「300万サイクル超の耐久性を示した」と書いています(会社の主張)。モジュールは電圧ゼロ・充電状態0%で製造される、とも書いています[参考資料11]。

  • 資金:米国エネルギー省(DOE)の融資保証を受けた融資枠を2024年11月26日に設定しました(元本最大2.775億US$、資本化利息最大0.26億US$、合計最大3.035億US$)。同社は、これを「Title XVII(エネルギー省の融資保証制度)で最初にクローズした電池向け融資」と書いています。2025年12月31日までに、第1トランシェの90.9百万US$を引き出しました。2027年までに製造能力を8 GWhに広げる計画です未確定/将来事実[参考資料11]。
  • 経営:同社の10-Kは、2025年に調達した資金により、継続企業の前提に関する重要な疑義はなくなったと判断した、と書いています[参考資料11]。
  • 競合の認識:同社は、長時間の競合としてESS Inc.、Enervenue、Ambri、Form Energyを挙げています(同社の記述)[参考資料11]。

亜鉛空気(PNNLが紹介する1社の事例)

PNNLは、亜鉛空気の系を、充電用と放電用の2つのスタックとタンクをもつものとして紹介しています。充電では、放電生成物のジンケートがスタックに送られて亜鉛が析出し、洗い流されて貯蔵タンクへ移ります。放電では、スラリーが放電スタックに送られ、二酸化炭素を除いた空気が空気極に供給されます。動作は60 ℃、空気極は2万時間ごとに200 US$/kWで交換する前提です。推計は1社の情報で、往復効率64%、サイクル寿命12,500回(8〜100時間で一定)です事実。同社の系は「40 kW/160 kWhがブリティッシュコロンビア州(カナダ)に、100 kWの10時間・15時間の系が米国ニューヨーク州に2022年末までに設置される予定」とされていました(PNNLの記述)。その後の実績は、本稿では確認できませんでした[参考資料3]。

素材技術者の視点②:亜鉛系の「材料」は、電極より周辺部品に出る

Eosの10-Kが挙げる原料は、フェルト(電極基材)、樹脂(枠・筐体)、チタン(集電体)、導電性ポリマー、亜鉛ハロゲン化物の電解液です。リチウムイオンのような、ニッケル・コバルト・リチウムを使わない代わりに、水系の酸性・ハロゲン含有の液に耐える樹脂とシール、チタンの表面が信頼性の鍵になる、と読めます(推測:同社の10-Kは、材料の仕様の詳細を書いていません)。

亜鉛空気(PNNL)は、空気極を2万時間ごとに交換する前提で、消耗品は電極側にあります。これは、鉄空気で「酸素極が難所」とされることと符合します。空気を使う系は、空気極の寿命と交換のしやすさが、運用費を決める、という読み取りができます(本記事による解説)。

6. 材料の価格は小さい ― 本稿の計算

本稿の計算:活物質の金属の原料費

鉄と亜鉛の活物質そのものの原料費を、理論容量から概算します本稿の計算。

  • 鉄:Fe → Fe²⁺(2電子)として、理論比電荷=2×96,485÷55.845÷3,600=0.960 Ah/g。起電力1.28 V(総説の予測値)をかけると 1.229 kWh/kg。1 MWh(理論、利用率100%)に要る鉄は約814 kg。USGSによると、2025年の最初の9か月の鉄鉱石の平均価格は99.07 US$/トン(鉄分62%)で、鉄分あたり約0.160 US$/kg。1 kWhあたり 約0.13 US$。
  • 亜鉛:Zn → Zn²⁺(2電子)として 0.820 Ah/g。平均電圧を仮に1.5 V(Eosなどの実際の電圧は確認できず、本稿の仮定)とすると 1.23 kWh/kg。USGSの2025年のLME亜鉛価格の推計は130セント/ポンド(約2.87 US$/kg)なので、1 kWhあたり 約2.3 US$。

前提と限界:理論値で、利用率・極板の過剰分・加工品の価格(鉄は鉱石ではなく粉や板、亜鉛は粉)は含みません。実際の費用は、これより大きくなります。USGSの数字は、鉄鉱石と亜鉛地金の市場価格です事実[参考資料18・17]。

この計算の意味は、活物質の原料費は、理論上、システムの設置費(PNNLの2021年値の推計で、本稿が示したものは約330〜760 US$/kWh)の1%未満で、費用の大半は、電極・セル・筐体・補機・設置・低い効率から来る、ということです(本記事による解説)。したがって、「材料が安い」ことは、システムが安いことを意味しません。製造プロセス(電極の成形、空気極の量産)と寿命が、費用を決めます。

鉄極、セパレーター、空気極を枠に組み込む例です
図5 概念画像(ImageGenで生成)。鉄極、セパレーター、空気極を枠に組み込む例です。空気極に空気が届く経路を区別しています。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

7. 往復効率の低さというトレードオフ

方式往復効率として確認できた値対象・条件・出所
リチウムイオン(LFP)82.59%AC-AC、変圧器レベル、2021年値の推計(PNNL)[参考資料3]
バナジウムRFB65%AC-AC、変圧器レベル、2021年値の推計(PNNL)[参考資料3]
亜鉛空気(1社の情報)64%8〜100時間で一定とした推計(PNNL)[参考資料3]
鉄空気(総説の集計)35%古い・ラボの報告を集めた値(エネルギー効率)。現行品ではない[参考資料4]
鉄空気(Form Energy)確認できなかった同社の技術ページ・報道発表に記載なし[参考資料5]
亜鉛系(Eos)確認できなかった10-Kに往復効率の数値なし[参考資料11]

表1 往復効率として確認できた値(事実)。対象・条件が違うため、優劣を示す表ではありません。「確認できなかった」は、本稿が確認した資料に記載がなかったという意味です。

本稿の計算:効率が低いほど、充電電力の費用が増える

放電1 MWhに要る充電電力費は、充電電力の価格 ÷ 往復効率です本稿の計算。往復効率を仮に85%・65%・50%・40%とすると、充電電力が20 US$/MWhなら 23.5・30.8・40.0・50.0 US$/MWh、50 US$/MWhなら 58.8・76.9・100.0・125.0 US$/MWhです(図6)。

前提と限界:85・65・50・40%は例示で、どの企業の実測値でもありません。充電電力の価格は本稿の仮定です。長時間蓄電は充電する時間を選べるため、充電電力が安い時間帯(再エネの余剰)を使えれば、効率の低さの影響は小さくなります(本記事による解説)。逆に、充電電力が高い条件では、効率の低さが直接、費用になります。

効率が低いほど、放電1 MWhに要る充電電力費は増える(本稿の計算) どの技術の実測値でもない例示。往復効率85・65・50・40%を仮に置いた 往復効率 85% 23.5 58.8 往復効率 65% 30.8 76.9 往復効率 50% 40.0 100.0 往復効率 40% 50.0 125.0 充電電力 20 US$/MWh 充電電力 50 US$/MWh 単位:US$/MWh(放電1 MWhあたりの充電電力費)
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。棒は、充電電力の価格を往復効率で割った値です。往復効率85・65・50・40%は例示で、どの技術・企業の実測値でもありません。

8. NAS電池(ナトリウム硫黄)― 短く

NAS電池は、負極にナトリウム、正極に硫黄、両極を隔てる電解質にファインセラミックスを使う二次電池で、NGKが世界で初めて実用化したとされています。NGKの製品ページは、コンテナ型で定格出力800 kW、定格容量4,800 kWh(6時間分)と示し、セルとモジュールでUL 1973、コンテナでUL 9540A試験報告書を得ていると書いています(会社の記述)事実[参考資料14]。

  • 撤退:NGKは2025年10月31日の取締役会で、NAS電池の製造・販売活動の終了と、新規受注の停止を決議しました。NASは2002年に世界で初めて商用化された、とし、2019年からBASFと性能向上・コスト低減・販売網の強化で協業しましたが、増産とコスト低減のための他社の参加を協議し、2025年9月に協議を終了した、と書いています。理由として、長時間・大容量の安定した需要が生まれるには時間がかかること、材料費の高騰、リチウムイオンとの競争の激化を挙げ、安定した運営と収益が難しいと判断した、としています事実[参考資料13]。
  • 見通し:最終出荷は2027年1月(予定)未確定/将来。既受注分は在庫から出荷し、納入済み製品の保守部品は引き続き供給する、とされています。2026年3月期に約180億円の特別損失を見込みます。エナジーストレージ事業の2025年3月期の売上高は64.73億円(連結の1.04%)でした事実[参考資料13]。

NASの比較(他の電池との化学・性能の比較)は、本シリーズ『次世代電池の化学と比較』編が扱います。ここでは、長時間・大容量に向くとされた方式でも、需要とコストの条件で事業が続かないという事実だけを記録します。

9. 制度と実証の状況

主体内容確認できた記述区分
米国DOELong Duration Storage Shot(2021年7月)10時間超の長時間蓄電の費用を、この10年のうちに90%下げる目標。電気化学・機械・熱・化学キャリアなど技術を問わない[参考資料1]目標
未確定/将来
日本・OCCTO長期脱炭素電源オークション(応札年度2025年度、2026年5月13日に約定結果)落札した蓄電池は、リチウムイオンが10案件・合計551,469 kW、リチウムイオン以外が9案件・合計699,658 kW(別紙一覧から本稿が合計)。落札電源には20年間、固定費水準の容量収入が原則として入る。募集要綱は、蓄電池に1日1回以上の連続6時間以上の運転継続能力を求める。「リチウムイオン以外」の化学の内訳は別紙に書かれていない[参考資料19・20・21]事実
本稿の計算
Form EnergyGreat River Energy(ミネソタ州)1.5 MWのパイロット2024年8月に着工、2025年10月に最初の商用電池の搬入が始まり、2026年に全面稼働の見込み(2026年10月時点で全面稼働の公式確認はなし)[参考資料8・9]事実
未確定/将来
Form EnergyXcel Energy・Google(ミネソタ州)300 MW(30 GWh)2026年2月24日に発表。電力供給契約は州公益事業委員会の承認が必要[参考資料10]未確定/将来
Eos Energy EnterprisesDOE融資保証の融資枠(最大3.035億US$)2024年11月26日に設定、2025年末までに90.9百万US$を引き出し、2027年に製造能力8 GWhの計画[参考資料11]事実
未確定/将来
ESS Tech鉄フロー電池2025年12月期の売上1.6百万US$、純損失63.4百万US$、継続企業の前提に重要な疑義。Energy Baseは生産仕様の製品がまだ開発中と記載[参考資料12]事実
NGKNAS電池の撤退2025年10月31日に決議、最終出荷は2027年1月(予定)[参考資料13]事実
未確定/将来

表2 制度・実証・事業の状況(出典は各セル)。企業の発表は企業の主張で、第三者が検証した値ではありません。

10. 限界と、確認できなかったこと

(1) 往復効率・寿命の第三者データ

Form Energyの往復効率、鉄空気電池の実機の寿命、Eosの往復効率は、確認した範囲の資料に記載がありませんでした。表1の鉄空気の35%は、古いラボの報告の集計です。

(2) 稼働の確認

Great River Energyのパイロットが全面稼働したことを示す公式資料は、2026年10月時点で確認できませんでした。Xcelの300 MW(30 GWh)は、州の承認を要する計画の段階の記述です。

(3) 費用の目標

DOEの目標の数値(例:kWhあたり、均等化原価)は、本稿が参照した資料の範囲では確認できませんでした。企業が掲げる「kWhあたりの目標費用」も、第三者の資料では確認していません。

(4) 亜鉛空気のその後

PNNLが紹介した亜鉛空気の設置予定(2022年末)の実績は、本稿では確認できませんでした。

(5) 安全性

Form Energyのセルレベルの UL 9540A 結果は、同社の発表(PNNL研究者のコメントを含む)の記述で、試験報告書そのものは確認していません。システムレベルの安全性は、本稿では評価していません。電池の安全の基本は、本シリーズ『熱暴走と電池の安全』編が扱います。

(6) 他の編との役割分担

フロー電池の膜・電解液は『レドックスフロー電池』編、化学の比較は『次世代電池の化学と比較』編、経済性は『蓄電の経済性』編、系統での使い方は『系統用蓄電システム』編が扱います。

この記事のまとめ
  • 長時間の定義は、DOEで10時間超(区分は36・160時間)、日本の長期脱炭素電源オークションで6時間以上と、出所ごとに違います事実
  • 年に20回しか回らない設備の資本費は、LFPの価格水準だと放電1 MWhあたり約1,800 US$。だから、kWhあたりの設備費を1桁下げる必要があります本稿の計算
  • 鉄空気は「可逆的な錆」。難しいのは、二元機能の酸素極と、鉄電極の腐食・水素発生です。往復効率の公式値は確認できず、総説の報告値は35%でした事実
  • 活物質の鉄・亜鉛の原料費は、理論上1 kWhあたり約0.13〜2.3 US$。費用の大半は材料以外にあります本稿の計算
  • 実証は小さく、企業は不安定です。ESS Techは継続企業の前提に疑義、NGKはNASから撤退、Formは最初の1.5 MWの全面稼働を待つ段階です事実

11. 評価・標準の読み方

初めて読むときは、「どの数字が大きいか」より先に、次の順番で比較の条件を揃えてください。以下は本記事の編集上の確認手順で、規格が定める合格値や試験条件ではありません。

① 何を測ったか
供給電力、放電時間、効率、容量費と出力費。単位と、材料・部品・完成システムのどこを測った値かを確認します。
② どの条件か
貯蔵方式、連続運転、待機損失、設置場所、補機、寿命。条件が異なる結果は、まず別の結果として読みます。
③ 比較で間違えやすい点
長時間という呼称だけで、効率・立地・経済性を一括比較しない
④ 規格の役割は何か
規格番号・名称・発行年・適用範囲を発行機関の資料で確認します。試験方法、安全性、相互接続、管理体制のどれを扱う規格かを分けて読みます。規格名の記載だけで、試験実施・適合・認証まで済んでいるとは判断しません。

比較を始めるためのメモ:対象/単位/測定条件/試料数とばらつき/比較対象/規格の版/確認できない点を、ひとまとまりで残しましょう。公開概要しか確認できない規格の数値条件や合格基準は、推測して補いません。

12. 用語集

長時間蓄電(LDES)
数時間を超えて電気をためる蓄電。DOEの定義は10時間超。区分は出所で違う。
往復効率(RTE)
充電に使った電力量に対する、放電で取り出せる電力量の割合。
可逆的な錆
Form Energyの説明。放電で鉄が酸化されてさびになり、充電でさびが鉄に戻る。
空気極
酸素を還元(放電)、または発生(充電)させる電極。鉄空気・亜鉛空気で使う。
二元機能触媒
酸素の還元と発生の両方に働く触媒。空気極の性能を左右する。
亜鉛ハロゲン化物
亜鉛とハロゲンの塩。Eosの原料として10-Kに記載。
ジンケート
亜鉛が水酸化物イオンと作る、液に溶けた亜鉛の形。亜鉛空気の放電生成物。
ストレージブロック(SB)
PNNLの区分で、電池本体にあたる費用の項目。
年価係数
設備費を、割引率と年数で、毎年の費用に直す係数。
UL 9540A
蓄電システムの熱暴走・延焼を評価する試験方法。セル・モジュール・ユニット・設置の各レベルがある。
継続企業の前提
企業が事業を続けられるという会計上の前提。疑義があると開示される。
NAS電池
ナトリウムと硫黄、ファインセラミックスの電解質を使う高温動作の二次電池。NGKが開発。
トランシェ
融資を段階に分けて実行するときの、各段階の枠。

13. 参考資料(一次情報)

  1. 米国エネルギー省(DOE)プレスリリース "Secretary Granholm Announces New Goal to Cut Costs of Long Duration Energy Storage by 90 Percent"(2021年7月14日) — energy.gov
  2. 米国エネルギー省(DOE)"Pathways to Commercial Liftoff: Long Duration Energy Storage Opportunities"(2023年3月版の資料、PDF。13枚目に時間の区分) — energy.gov
  3. 米国PNNL(太平洋岸北西部国立研究所)"2022 Grid Energy Storage Technology Cost and Performance Assessment"(PNNL-33283、2022年8月) — pnnl.gov
  4. McKerrackerら"A Review of the Iron–Air Secondary Battery for Energy Storage" ChemPlusChem 80, 323–335(2015)、DOI 10.1002/cplu.201402238(要旨を確認) — doi.org
  5. Form Energy「Battery Technology」ページ(2026年10月に確認) — formenergy.com
  6. Form Energyプレスリリース "Form Energy's Breakthrough Iron-Air Battery Technology Sets a New Benchmark for Safety in Energy Storage Systems"(2024年12月12日) — formenergy.com
  7. Form Energyプレスリリース "Form Energy Secures $750M in Series G Financing…"(2026年8月12日) — formenergy.com
  8. Great River Energyプレスリリース "Great River Energy, Form Energy break ground on first-of-its-kind multi-day energy storage project"(2024年8月15日) — econdev.greatriverenergy.com
  9. Great River Energy(Latitude Mediaの記事の紹介)"Latitude Media: Form's first 100-hour batteries are hitting the grid"(2025年10月29日) — econdev.greatriverenergy.com
  10. Xcel Energyプレスリリース "Xcel Energy to power new Google data center in Minnesota"(2026年2月24日) — newsroom.xcelenergy.com
  11. Eos Energy Enterprises, Inc.(米国SEC提出書類)Form 10-K 2025年12月期(2026年2月提出) — sec.gov
  12. ESS Tech, Inc.(米国SEC提出書類)Form 10-K 2025年12月期(2026年提出) — sec.gov
  13. NGK(旧・日本ガイシ)「NAS電池の製造・販売活動の終了に関するお知らせ」英語版(2025年10月31日、PDF) — ssl4.eir-parts.net
  14. NGK(旧・日本ガイシ)「NAS Batteries (Sales Discontinued)」製品ページ — ngk-insulators.com
  15. Invinity Energy Systems"Invinity VS3-022 Six Pack Vanadium Flow Battery Data Sheet"(MAR00016、2023年1月版、PDF) — invinity.com
  16. CAISO市場監視部門"2024 Special Report on Battery Storage"(2025年5月、PDF) — caiso.com
  17. 米国地質調査所(USGS)"Mineral Commodity Summaries 2026: Zinc"(2026年2月、PDF) — pubs.usgs.gov
  18. 米国地質調査所(USGS)"Mineral Commodity Summaries 2026: Iron Ore"(2026年2月、PDF) — pubs.usgs.gov
  19. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「長期脱炭素電源オークション募集要綱(応札年度:2025年度)」(2025年9月3日、PDF) — occto.or.jp
  20. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「容量市場 長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2025年度)」(2026年5月13日、PDF) — occto.or.jp
  21. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)同 別紙:落札電源一覧(2026年5月13日、PDF) — occto.or.jp

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
DOEの発表(2021年7月14日):長時間蓄電を「10時間を超えて蓄えられるもの」と定義し、費用を90%下げる目標(この10年のうち)、電気化学・機械・熱・化学キャリアなど技術を問わないこと米国エネルギー省(DOE) 出典1 https://www.energy.gov/articles/secretary-granholm-announces-new-goal-cut-costs-long-duration-energy-storage-90-percent事実 未確定/将来
DOEのLiftoff資料:短時間(〜10時間)、日をまたぐ(10〜36時間)、数日〜週(36〜160時間)、季節(160時間〜)の区分米国エネルギー省(DOE) 出典2 https://www.energy.gov/sites/default/files/2023-09/Pathways%20to%20Commercial%20Liftoff%20Long%20Duration%20Energy%20Storage%20Opportunities_508.pdf事実
PNNLの記述:100 MWのLFPの設置費(4時間385、10時間356 US$/kWh)、LFPとバナジウムRFBの往復効率(82.59%、65%)、RFBのDCストレージブロック費(10 MW)、亜鉛空気のDCストレージブロック費(8〜100時間)と往復効率64%・サイクル寿命12,500回、2つのスタックと二酸化炭素を除いた空気、60 ℃、空気極の交換(2万時間ごと・200 US$/kW)、「パイロット規模や実証は行われていない」、設置予定米国PNNL(太平洋岸北西部国立研究所) 出典3 https://www.pnnl.gov/sites/default/files/media/file/ESGC%20Cost%20Performance%20Report%202022%20PNNL-33283.pdf事実
McKerrackerらの総説の要旨:鉄空気の開回路電位の予測値1.28 V、比電荷容量300 Ah/kg未満、報告された効率(充電96%、電圧40%、エネルギー35%)、課題(二元機能の酸素極、腐食・水素発生を抑える鉄電極、セル設計、数理モデル)McKerrackerら 出典4 https://doi.org/10.1002/cplu.201402238事実
Form Energyの説明:可逆的な錆の原理、セルの構成(鉄・空気の電極、水系で不燃性の電解液)、モジュールとコンテナ大の筐体、最大100時間(会社の主張)Form Energy 出典5 https://formenergy.com/technology/battery-technology/事実
Form EnergyのUL 9540A発表(2024年12月12日):セルレベルの試験で延焼・熱暴走なしとの記述、PNNL研究者のコメントの引用(会社の主張)Form Energy 出典6 https://formenergy.com/form-energys-breakthrough-iron-air-battery-technology-sets-a-new-benchmark-for-safety-in-energy-storage-systems/事実
Form Energyの資金調達発表(2026年8月12日):7.5億US$のシリーズG、株式調達の累計20億US$超、受注残が約20 GWhから80 GWhとの記述(会社の主張)Form Energy 出典7 https://formenergy.com/form-energy-secures-750m-in-series-g-financing/事実
Great River EnergyとForm Energyの1.5 MWパイロットの着工発表(2024年8月15日)、最大100時間の蓄電Great River Energy 出典8 https://econdev.greatriverenergy.com/news/in-the-news/p/item/59190/press-release-great-river-energy-form-energy-break-ground-on-firstofitskind-multiday-energy-storage-project事実
Latitude Mediaの記事の紹介(2025年10月29日):最初の商用電池の搬入開始と、2026年の全面稼働見込みGreat River Energy(Latitude Mediaの記事の紹介) 出典9 https://econdev.greatriverenergy.com/news/p/item/66011/latitude-media-forms-first-100hour-batteries-are-hitting-the-grid事実 未確定/将来
Xcel Energyの発表(2026年2月24日):Form Energyの300 MW(30 GWh)の鉄空気電池、契約は州の承認を要することXcel Energy 出典10 https://newsroom.xcelenergy.com/news/xcel-energy-to-power-new-google-data-center-in-minnesota事実 未確定/将来
Eosの10-K:Z3の3〜12時間以上の用途、主な原料(亜鉛ハロゲン化物・フェルト・樹脂・チタン・導電性ポリマー)、ポンプ・圧縮機のない静置型、動作温度−20〜50 ℃、300万サイクル超の化学の耐久性(会社の主張)、電圧ゼロ・充電状態0%での製造、DOE融資枠(2024年11月26日、最大3.035億US$、第1トランシェ90.9百万US$)、2027年に8 GWhの計画、継続企業の前提の疑義の解消、競合の記述Eos Energy Enterprises, Inc.(米国SEC提出書類) 出典11 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1805077/000162828026011961/eose-20251231.htm事実 未確定/将来
ESS Techの10-K:「最大12時間」の用途、2025年12月期の売上1.6百万US$と純損失63.4百万US$、継続企業の前提の重要な疑義、Energy Baseの生産仕様の製品が開発中であることESS Tech, Inc.(米国SEC提出書類) 出典12 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819438/000181943826000012/ghw-20251231.htm事実
NGKの決議(2025年10月31日):NAS電池の製造・販売終了、2002年の商用化、BASFとの協業と協議の終了、撤退の理由、最終出荷2027年1月(予定)、特別損失約180億円、2025年3月期のエナジーストレージ事業の売上64.73億円(連結の1.04%)NGK(旧・日本ガイシ) 出典13 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5333/tdnet/2705285/00.pdf事実 未確定/将来
NGKの製品ページ:NASの構成、コンテナ型800 kW・4,800 kWh、UL 1973とUL 9540Aの記述NGK(旧・日本ガイシ) 出典14 https://www.ngk-insulators.com/en/product/nas.html事実
Invinity VS3-022のデータシート:放電時間2〜12時間(メーカー公称)Invinity Energy Systems 出典15 https://invinity.com/wp-content/uploads/2023/03/Invinity-VS3-022-Vanadium-Flow-Battery-Data-Sheet-MAR00016-2023-01.pdf事実
CAISOの記述:運用中の大規模蓄電の多くが最大4時間のリチウムイオンであることCAISO市場監視部門 出典16 https://www.caiso.com/documents/2024-special-report-on-battery-storage-may-29-2025.pdf事実
USGS:2025年の最初の9か月の鉄鉱石価格(99.07 US$/トン、鉄分62%)、2025年のLME亜鉛価格の推計(130セント/ポンド)米国地質調査所(USGS) 出典18 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-iron-ore.pdf
米国地質調査所(USGS) 出典17 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-zinc.pdf
事実
OCCTOの募集要綱(応札年度2025年度):蓄電池・揚水・長期エネルギー貯蔵システムの要件(送電端3万kW以上、1日1回以上連続6時間以上、年平均6時間以上)。長期エネルギー貯蔵システムの定義(蓄電池・揚水を除く)電力広域的運営推進機関(OCCTO) 出典19 https://www.occto.or.jp/assets/market-board/market/jitsujukyukanren/files/250903_boshuyoukou_long_2025.pdf事実
OCCTOの約定結果(2026年5月13日):落札電源に原則20年間、固定費水準の容量収入が入ること、蓄電池の区分(リチウムイオン、リチウムイオン以外)、落札電源の一覧電力広域的運営推進機関(OCCTO) 出典20 https://www.occto.or.jp/assets/various/capacity-market/jitsujukyukanren/2025_boshuyoukou_long/260513_longauction_youryouyakujokekka_kouhyou_ousatsu2025.pdf
電力広域的運営推進機関(OCCTO) 出典21 https://www.occto.or.jp/assets/various/capacity-market/jitsujukyukanren/2025_boshuyoukou_long/260513_longauction_youryouyakujokekka_kouhyou_besshi_ousatsu2025.pdf
事実
第3章の計算(年価係数0.1019、放電1 MWhあたり資本費:99・363・725・1,813/28・102・204・509/5.6・20・41・102 US$/MWh、LFPの4→10時間で約7.5%)、第6章の計算(鉄0.960 Ah/g、1.229 kWh/kg、約814 kg/MWh、約0.13 US$/kWh、亜鉛0.820 Ah/g、仮定1.5 Vで約2.3 US$/kWh)、第7章の計算(充電電力費:23.5・30.8・40.0・50.0/58.8・76.9・100.0・125.0 US$/MWh)、Great River Energyの1.5 MW×100時間=150 MWh、OCCTOの別紙一覧の蓄電池の合計(551,469 kW、699,658 kW)本稿の計算。割引率8%・20年、全量放電を年n回、100・20 US$/kWh、亜鉛の平均電圧1.5 V、往復効率85・65・50・40%、充電電力20・50 US$/MWhは、本稿が置いた仮定または例示。理論値で、運転費・効率・劣化・加工費は含まない本稿の計算
「安い材料でも、費用の大半は材料以外にある」という整理、長時間化と資本費の関係、鉄電極・酸素極・空気の質の読み取り(推測を含む)、亜鉛系の周辺部品(樹脂・シール・チタン)の読み取り、表1・表2の整理の仕方公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関・企業が表明した見解ではない解説
Form Energyの往復効率、鉄空気電池の実機の寿命、Eosの往復効率、DOEの目標の数値、Great River Energyの全面稼働、亜鉛空気の設置の実績、第三者のUL 9540A試験報告書本稿の調査範囲では公開された一次情報で確認できなかったため記載していない解説
図1〜図4・図6が説明用の作図(図2・図3・図6は本稿の計算または出典の値を含む)であること、ヒーロー画像と図5がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月/出典は一次情報(DOE・PNNLの資料、企業の公式発表とSEC提出書類、NGKの開示、電力広域的運営推進機関の資料、USGS、査読論文)に限定しています。報道は使っていません。市場調査会社の推計は使っていません。 企業の発表は企業の主張として、第三者の記述と区別しました。材料や構造の読み取りは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 Form Energyの往復効率、鉄空気電池の実機の寿命、Eosの往復効率、DOEの目標の数値、Great River Energyの全面稼働、亜鉛空気の設置の実績は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 本記事の計算は式と明示した仮定から算出したもので、特定の事業や設備の予測ではありません。 図1〜図4・図6は説明用のベクター作図(図2・図3・図6は本稿の計算または出典の値を含む)、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージであり、実際の設備・部品・製品を示すものではありません。