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導電助剤とバインダー 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

導電助剤とバインダー
― 質量では数%でも、体積と構造では電極の1〜2割を占める2成分

リチウムイオン電池の電極は、活物質だけでできているのではありません。電子の道をつくる導電助剤(カーボンブラックなど)と、粒子と金属箔をつなぐバインダー(PVDF、CMC/SBR など)が、質量では数%、体積では1〜2割を占めます。 この記事は、導電助剤の種類と役割、バインダーの結着の仕組み、PVDF と水系バインダー(CMC/SBR、PAA)の違い、NMP という溶媒の問題、そして PFAS 規制との関係を、査読論文、メーカーの公式資料、ECHA(欧州化学品庁)と EUR-Lex の公式文書を一次情報として、素材技術者の目線で整理します。 とくに PFAS 規制は、提案・評価中・採択・施行の段階を区別して書きます。カーボンナノチューブはシリーズの「カーボンナノチューブ」編、シリコン負極のバインダーは「シリコン負極とナノ構造電極」編に任せます。投資・調達・設計の助言ではありません。

構成:Argonne 国立研究所の BatPaC 報告書、査読論文(Entwistle ら、Hein ら、Lu ら、Cholewinski ら、Chen ら、Zou と Manthiram ほか)、Kureha の公式ページ、欧州連合の官報(規則 (EU) 2018/588)、ECHA と五か国当局の PFAS 制限提案の公表文書を一次情報として使用/最終更新 2026年10月10日

導電助剤とバインダーを計量する工程です
概念画像(ImageGenで生成)。導電助剤とバインダーを計量する工程です。超微粉末を扱うため、飛散・吸入を防ぐ囲いを示しています。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 導電助剤とバインダーとは何か(3行でつかむ)
  2. 電極は4成分の複合体 ― 炭素・バインダー領域(CBD)
  3. 導電助剤 ― カーボンブラックを中心に
  4. 本稿の計算:質量では数%、体積ではどれだけか
  5. バインダーの役割と、結着の仕組み
  6. 素材技術者の視点①:量ではなく「どこにあるか」
  7. PVDF と水系バインダー ― NMP から水へ
  8. PFAS 規制との関係 ― 提案・評価中・採択・施行を区別する
  9. 素材技術者の視点②:バインダーの選択は、電気化学・工程・規制の三つ巴
  10. 強みと弱み/課題、このシリーズの他の記事との分担
  11. 評価・標準の読み方
  12. 用語集
  13. 参考資料(一次情報)
  14. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・審議中の提案であり、確定していない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。 メーカーの記述は「メーカー公称」です。規制は、提案・採択・施行(適用開始)の段階と日付を区別し、確認日(2026年10月10日)を書きます。

1. 導電助剤とバインダーとは何か(3行でつかむ)

Argonne 国立研究所の BatPaC 報告書は、電極を「活物質の粒子を高分子のバインダーで結びつけたもの」と述べ、導電助剤(カーボンブラックまたは黒鉛)は正極に、ときに負極にも加えられると記しています事実。

  • 導電助剤:活物質の多くは電子を通しにくいため、電子の通り道をつくる炭素を少量混ぜます。Hein らは、多くの正極材料の電子伝導が低いため、かなりの量の黒鉛系の導電助剤が電極の製造で加えられる、と書いています事実
  • バインダー:Chen らの総説は、PVDF が数十年にわたって電池産業の主要なバインダーで、欠点として、活物質との化学結合がなく結着力が限られること、機械特性が足りないこと、電子とリチウムイオンの伝導が低いことを挙げています事実
  • 何が難しいか:量を減らせばエネルギー密度が上がりますが、電子の道・結着・イオンの道の3つが同時に問われます。さらに、PVDF はPFAS(有機フッ素化合物)規制の議論に入っており、溶媒の NMP にも別の規制があります
この記事でいちばん大事な一行

導電助剤とバインダーは、「量」ではなく「どこにどう分布するか」で効きます。 Entwistle らの総説は、電子伝導率が高くても、高い C レートでの容量が高くなるとは限らないと述べています。電子を運ぶ炭素・バインダー領域(CBD)と、電極内のイオンの拡散が複雑に関係するためです事実。 PFAS 規制については、欧州では提案が評価中で、法として採択も施行もされていません(2026年10月10日の ECHA の掲載による)事実。

2. 電極は4成分の複合体 ― 炭素・バインダー領域(CBD)

電極は、活物質の粒子、導電助剤、バインダー、そして電解液で満たされた気孔の4つからなる複合体です。導電助剤とバインダーは混ざって、粒子のまわりや粒子どうしの接点に炭素・バインダー領域(CBD、carbon binder domain)をつくります。

大きな活物質粒子、細かな導電助剤、結着を担うバインダー、液が通る空隙を見分ける模型です
図1 概念画像(ImageGenで生成)。大きな活物質粒子、細かな導電助剤、結着を担うバインダー、液が通る空隙を見分ける模型です。すべての隙間を樹脂で埋めるわけではありません。 [参考資料1] [参考資料2] [参考資料3] 形状・色・寸法は説明用です。数値と原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
電極の微細構造(概念図) ※ 大きさ・数・並びは模式的なものです。実際の電極の断面ではありません。 集電体 Li⁺の通り道(気孔) 活物質粒子 導電助剤(炭素) バインダー 気孔(電解液) 炭素とバインダーが 混ざった領域=CBD ※ 電極の構成はBatPaC報告書[参考資料1]、CBDの働きはHeinら[参考資料2]とEntwistleら[参考資料3]によります。 ※ Heinらは、CBDが粒子どうしの接点に集まる配置を、検討した電極でもっともありそうだとしました。図はその一つの描き方の例です。
図1 概念図(ベクター作図)。電極が活物質・導電助剤・バインダー・気孔からなることは BatPaC 報告書[参考資料1]、CBD の働きは Hein らの論文[参考資料2]と Entwistle らの総説[参考資料3]によります。粒子・炭素・バインダーの大きさ、数、配置は模式的なもので、実際の電極の断面や分布を示すものではありません。

Hein らは、正極(NMC622)の電極で、放射光 X 線トモグラフィで得た微細構造と、インピーダンス測定を組み合わせ、炭素とバインダーが混ざった CBD は、電極の機械的な安定性と電子的な接続を高める一方、電解液の気孔の網を通るリチウムイオンの輸送を妨げ、高い電流での性能を下げることを示しました。CBD の分布の仮定のうち、粒子どうしの接点に CBD が集まる配置が、検討した電極でもっともありそうだとされています事実。 Entwistle らの総説は、導電助剤の割合がどんどん小さくなるなかで、電子の道には、より効率のよい経路が求められること、長距離(ミクロンのパーコレーション網)と短距離(サブミクロンの CBD と活物質の接続)の電気的な接触を区別すること、そしてCBD の最適な配置については、文献で理解が足りていないことを述べています事実。

3. 導電助剤 ― カーボンブラックを中心に

導電助剤の主役は、カーボンブラックです。BatPaC 報告書は、導電助剤は正極でより一般的で、コストの計算では純度が高く比表面積が中程度のカーボンブラックを想定していると述べています事実。 Lu らは、5種類のカーボンブラックで、BET 比表面積、吸油量、秩序のある黒鉛状炭素の含有が違うものを比べ、カーボンブラックは電極質量の5〜8%しか占めないのに、導電性の網とCBDに影響することを述べました。結果は、無秩序なアモルファス炭素と秩序のある黒鉛状炭素の比が、短距離・長距離の電気伝導に強く影響し、BET 比表面積が、電極の気孔構造とイオン伝導に大きく影響することでした。最適な比は、ラマンの ID/IG で0.93〜0.95、推奨された BET 比表面積は130〜200 m²/g(その実験の範囲)でした事実。

導電助剤形・特徴報告・記述(条件つき)出典
カーボンブラック微細な炭素粒子が連なる。比表面積・構造・黒鉛状炭素の割合が品種で異なる電極質量の5〜8%ほどでも、導電網と CBD に影響する。ID/IG が0.93〜0.95、BET が130〜200 m²/g の範囲が好ましいとの報告(その実験の範囲)[参考資料4]
黒鉛系の導電助剤黒鉛の微粒子や、黒鉛と組み合わせたものBatPaC は、導電助剤にカーボンブラックまたは黒鉛を想定。Hein らは、正極に黒鉛系の導電助剤が多く加えられると記述[参考資料1・2]
カーボンナノチューブ(CNT)細長い筒状の炭素。低い重量割合でも網を作りやすいとされるLandi らの総説は、CNT を従来のカーボンブラックや黒鉛より低い重量割合で導電助剤に使うと、パーコレーション網を効率よく作れると整理。詳細は「カーボンナノチューブ」編[参考資料5]
炭素被覆(活物質の表面)粒子の表面を炭素で覆うManthiram の総説は、ポリアニオン正極(LFP など)は電子伝導が低く、小粒子にして導電性炭素で被覆する必要があり、処理コストと品質のばらつきが増えると記述[参考資料6]

すべて事実(各出典の記述)。条件の違う値の並置であり、導電助剤どうしの優劣を示すものではありません。Lu らの値は、その実験の電極と炭素の範囲での結果です。

4. 本稿の計算:質量では数%、体積ではどれだけか

導電助剤とバインダーは、密度が活物質よりずっと小さいため、質量の割合より、体積の割合のほうがずっと大きくなります。配合の例で計算してみます。

本稿の計算:配合(質量%)から、固体の体積に占める非活物質の割合を出す

仮定した密度(本稿の仮定。一次資料で確認した値ではありません):NMC811 4.7 g/cm³、黒鉛 2.2、カーボンブラック 1.8、PVDF 1.8、CMC 1.6、SBR 0.95。固体の体積=各成分の質量 ÷ 密度の和で、気孔は含みません本稿の計算。 配合の例(本稿の仮定):正極A=活物質96/カーボンブラック2/PVDF 2、正極B=90/5/5、負極A=黒鉛96/カーボンブラック0.5/CMC 1.5/SBR 2、負極B=92/2/2/4(いずれも質量%)。正極Bの「バインダー5%」は、Cholewinski らの総説が、従来の高分子バインダーでは5〜10 wt% が一般的と書いていること事実を参考にしました。

配合の例(質量%)非活物質の質量割合非活物質の体積割合(固体のみ)
正極A:96/2/24%約9.8%
正極B:90/5/510%約22.5%
負極A:96/0.5/1.5/24%約7.1%
負極B:92/2/2/48%約13.6%

すべて本稿の計算(密度と配合は本稿の仮定)。実在の製品の配合・密度ではありません。

非活物質(導電助剤+バインダー)の質量割合と体積割合(本稿の計算) バーの長さは割合(%)に比例します。薄い色=質量割合、濃い色=固体の体積割合。 正極A(96/2/2) 正極B(90/5/5) 負極A(96/0.5/1.5/2) 負極B(92/2/2/4) 質量 4% 体積 約9.8% 質量 10% 体積 約22.5% 質量 4% 体積 約7.1% 質量 8% 体積 約13.6% ※ 配合と密度(NMC811 4.7、黒鉛 2.2、カーボンブラック 1.8、PVDF 1.8、CMC 1.6、SBR 0.95 g/cm³)は本稿の仮定です。 ※ 値はすべて本記事が算出したもので、公表値ではありません。気孔は含まず、実在の製品の配合を示すものではありません。
図2 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。配合と密度は本記事の仮定、バインダー5〜10 wt% が従来の高分子バインダーで一般的との記述は Cholewinski らの総説[参考資料7]によります。質量割合・体積割合はいずれも本記事が算出したもので、公表値ではありません。実在の製品の配合を示すものではありません。

この計算から、2つのことが読めます(解説)。

  • 体積では、質量の2倍以上になる:正極Aは質量4%でも体積では約9.8%、正極Bは質量10%で体積約22.5%です。非活物質が増えると、同じ面容量を得るための塗工層が厚くなり、気孔も圧迫されます
  • 配合を変えると、塗工質量が変わる:活物質を200 mAh/g とすると、塗工層の質量あたりの容量は、正極Aで192、正極Bで180 mAh/g(約6%低い)。面容量3.5 mAh/cm² を得る塗工質量は、約18.2 mg/cm² と約19.4 mg/cm²(約7%多い)です本稿の計算(活物質の容量200 mAh/g は仮定)

5. バインダーの役割と、結着の仕組み

Cholewinski らの総説は、バインダーの役割を、製造では、溶媒のなかで成分を分散させ(増粘剤を兼ねるものもある)、均一に分布させること、電池の中では、活物質・導電助剤・集電体を互いに接触させたまま保つこと、と整理しています事実。 Chen らの総説は、バインダーと活物質の結着を、機械的なかみ合い(mechanical interlocking)と界面の結合力(interfacial binding forces)の2つの機構に分けています事実。

左は粒子への機械的なかみ合い、右は表面との結合・相互作用の考え方です
図3 概念画像(ImageGenで生成)。左は粒子への機械的なかみ合い、右は表面との結合・相互作用の考え方です。特定材料の化学結合を再現したものではありません。 [参考資料8] [参考資料7] [参考資料10] 形状・色・寸法は説明用です。数値と原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
バインダーの結着の仕組み(概念図) ※ 高分子鎖と粒子の関係を大きく簡略化した模式図です。 OH 機械的なかみ合い 界面の結合力 膨張・収縮への追従 高分子鎖が粒子にからむ PVDFは化学結合がなく 結着力が限られると総説は指摘 水酸基・カルボキシ基などが 表面と水素結合や化学結合 CMC・PAA・アルギン酸など 粒子が膨らんでも 接点を保つ必要がある シリコンなどで特に重要 ※ 結着の2機構はChenら[参考資料8]、官能基と膨張への対応はCholewinskiら[参考資料7]とMagasinskiら[参考資料10]によります。 ※ 3つに分けて描いたのは本記事による整理です。シリコン負極は「シリコン負極とナノ構造電極」編で扱います。
図3 概念図(ベクター作図)。結着の2つの機構は Chen らの総説[参考資料8]、官能基の働きと膨張への対応は Cholewinski らの総説[参考資料7]と Magasinski らの論文[参考資料10]によります。高分子鎖と粒子の描き方は模式的で、分子の構造や配置を示すものではありません。3つに分けたのは本記事による整理です。

バインダーの種類ごとに整理します。

バインダー溶媒主な使い方報告・記述(条件つき)出典
PVDFNMP正極(負極にも使えるとされる)数十年にわたって主要。化学的・電気化学的に安定で加工しやすい。結着力は機械的なかみ合いとファンデルワールス力が主。絶縁性で導電助剤を要する。Kureha は、少ないバインダー量でも高い活物質濃度と剥離防止を両立できるとし、1991年のリチウムイオン電池の商品化で採用されたと述べる(メーカー公称)[参考資料7・8・11]
CMC(カルボキシメチルセルロース)水負極(増粘剤を兼ねる)水溶性のセルロース誘導体で、スラリーの分散と粘度の調整を助ける。2003年に Drofenik らが提案し、PVDF と同等以上で、約2 wt% で足りる例が示されたと総説が記述。水酸基・カルボキシ基が黒鉛やシリコンと水素結合する[参考資料7]
SBR(スチレンブタジエンゴム)水(エマルジョン)負極(CMC と併用)柔軟性と耐熱性を与え、PVDF より高い結着力を持つとされる。ただし SBR 単独では疎水性の黒鉛と相互作用しにくく、懸濁液が不安定になるとの報告も。CMC との併用が一般的な戦略と総説が整理[参考資料7]
PAA(ポリアクリル酸)水シリコン系負極CMC と同程度の機械特性を持ちつつ、カルボキシ基の濃度が高い。炭素被覆したシリコンのナノ粉末の負極で、PAA が15 wt% と少なくても、最初の百サイクルで優れた安定性を示した(半電池、0.01〜1 V vs Li)[参考資料10]

すべて事実(各出典の記述)。条件の違う値・記述の並置であり、バインダーどうしの優劣を示すものではありません。Kureha の記述はメーカー公称、PAA の値は研究の条件での値です。

Zou と Manthiram の総説は、PVDF のような従来のバインダーは、接着性が比較的低く、機械的強度が弱く、厚い電極や高容量の電極の高エネルギー密度電池には機能が足りないため、理想的ではないと述べています[参考資料9]事実。BatPaC 報告書の基準工場では、正極のバインダーの溶媒は NMP(凝縮して回収・再利用)、負極のバインダーは水(回収は不要)と想定されています事実。Kureha の FAQ は、PVDF(懸濁重合)が正極にも負極にも使えるのに対し、水系の高分子は一般に負極に使われると説明しています事実(メーカー公称)。

6. 素材技術者の視点①:量ではなく「どこにあるか」

素材技術者の読みどころ:導電助剤とバインダーは、配合表ではなく、電極の中の配置で決まる

配合(質量%)が同じでも、炭素とバインダーが電極の中でどう分布するかで、性能は変わります。一次情報から、次の4つを確かめる視点が引き出せます(解説)。

  • ① 炭素の網は、長距離と短距離でつながっているか:Entwistle らは、電気的な接触を、ミクロンの長距離のパーコレーション網と、サブミクロンのCBD と活物質の接続(短距離)に分けて見ています事実。粒子の表面に炭素が届いていないと、活物質の一部が電子を受け取れません
  • ② バインダーが、気孔や粒子の表面を覆いすぎていないか:Hein らが示したとおり、CBD は電子の接続を助ける一方で、気孔のなかのイオンの輸送を妨げます事実。粒子の接点に集まる配置が、電子の接続と気孔の確保の折り合いとして「ありそう」と読まれています
  • ③ 炭素の種類が、気孔構造まで変える:Lu らは、カーボンブラックの BET 比表面積が、電極の気孔構造とイオン伝導に大きく影響することを示しました事実。導電助剤の選択は、電子の道の問題であると同時に、イオンの道の問題でもあります
  • ④ 配置は、工程で決まる:Entwistle らの総説は、電極製造の各段階と、電子伝導の経路ができる過程の関係を整理しています事実。混練、塗工、乾燥、圧延の条件が、同じ配合から別の電極をつくりうる、ということです(詳細は本シリーズ「電極製造」編)

推測:量を減らす(導電助剤・バインダーを少なくする)ほど、配置の影響は相対的に大きくなると考えられます。Entwistle らが「導電助剤の割合がどんどん小さくなる」なかで効率のよい経路が求められる、と書いているのは、この点と整合します。公表資料では、個別の製品の導電助剤・バインダーの量と分布は確認できませんでした。

混合したスラリーの流れやすさを調べる例です
図4 概念画像(ImageGenで生成)。混合したスラリーの流れやすさを調べる例です。見た目の粘りだけで塗工適性が決まるわけではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

7. PVDF と水系バインダー ― NMP から水へ

PVDF を溶かす溶媒が NMP(N-メチル-2-ピロリドン)です。Kureha の FAQ は、PVDF を NMP に溶かす手順(容器に NMP を入れ、撹拌しながら粉を加え、50℃を推奨)を示しています事実(メーカー公称)。

NMP系の正極と水系の負極の工程(BatPaCの基準工場の想定) ※ 報告書のモデルの想定で、実在の工場の条件ではありません。 正極(PVDF/NMP) 混合 活物質・炭素・PVDF・ NMPをタンクで混ぜる 塗工 アルミ箔の両面に 塗って送る 乾燥 NMPを蒸発させる (沸点は約203℃) NMPの回収 凝縮して回収・再利用 約0.5%は酸化処理し補充 負極(CMC・SBR/水) 混合 黒鉛・バインダーを 水で混ぜる 塗工 銅箔の両面に 塗って送る 乾燥 水を蒸発させる 回収は不要 水は回収せず 放出する想定 ※ 工程の想定はBatPaC報告書[参考資料1]、NMPの沸点は Cholewinskiらの総説[参考資料7]によります。 ※ Woodらは、水系の電極処理で、電極の処理コストとエネルギー消費を桁違いに減らせると試算(薄い電極のNMP処理が基準)[参考資料12]。
図5 概念図(ベクター作図)。工程の想定は BatPaC 報告書[参考資料1]、NMP の沸点は Cholewinski らの総説[参考資料7]、水系処理の試算は Wood らの論文[参考資料12]によります。報告書のモデルの想定であり、実在の工場の工程・条件を示すものではありません。
  • NMP の負担:Cholewinski らの総説は、PVDF が有毒な有機溶媒 NMPを要し、NMP は高価(引用された値で1〜3ドル/kg、水は約0.015ドル/kg)で、沸点が約203℃と高く、除去により多くのエネルギーと高い温度が要ると整理しています事実(引用された値)。PVDF 自体も 8〜10 ドル/kg、水系バインダーは 2〜5 ドル/kg とされます(引用された値)
  • 水系にすると:Bresser らの総説は、バインダーの選択が電気化学エネルギー貯蔵の環境への適合性に強く影響するとして、水系の電極処理と生体由来の高分子への移行を整理しています[参考資料18]事実。Wood らは、水系の電極処理は、電極の処理コストとエネルギー消費を桁違いに減らせると試算し、有毒で高価な NMP の分散系をなくすことを3つの柱の一つに挙げています。電極の厚みを2倍にすること、SEI の化成時間を短くすることとあわせて、パックのコストを26.4%下げる可能性がある、との試算です事実(基準は NMP 処理の薄い電極、2015年の試算)
  • NMP の規制:NMP に対しては、欧州で委員会規則 (EU) 2018/588(2018年4月18日、官報 2018年4月19日)が、REACH 附属書 XVII に項目71を加えました。2020年5月9日以降、NMP を0.3%以上含む物質・混合物を上市するには、労働者の暴露のDNEL(導出無影響レベル)として、吸入14.4 mg/m³、経皮4.8 mg/kg/日を化学物質安全性報告書と安全データシートに入れる必要があり、製造・使用は、暴露がこの DNEL を下回るようにリスク管理措置をとる場合に限られます。電線の被覆に溶媒・反応物として使う場合は2024年5月9日から適用されました。NMP を0.3%以上含む混合物は、CLP 規則で生殖毒性区分1Bに分類される、と規則の前文が述べています事実(採択され、適用済み。製造・使用の禁止ではなく、暴露を DNEL 以下に管理する条件づけです)

正極を水系にすることの難しさ

負極は水系が一般的な一方、ニッケル系の正極は水に弱く、水系化が難しいことが一次情報に出ています。Shkrob らは、ニッケル・コバルト・マンガンのリチウム酸化物が、湿った空気や水分に触れると、脱リチウム、水酸化物や炭酸塩などのリチウム塩の被覆、表面近傍の岩塩相の形成、c 軸の収縮などの変化を起こし、電気化学特性を損なうこと、水系の電極処理に移る前に、この水の悪影響を緩和する必要があると述べています事実。Li らの展望も、高ニッケル粉末の水系コーティングは表面の残留リチウムを洗い流すが、水にさらすと表面に岩塩相ができて容量とサイクル性が下がると整理しています事実。 Kimura らは、NCA の正極に水系バインダーを使う試みで、スラリーのpHがアルカリ性になることを課題とし、CO2 ガス処理でそれを中性に下げる方法を報告しています事実。 つまり、正極は NMP と PVDF が基準で、水系化には正極活物質の耐水性という別の壁がある、というのが一次情報から読める現状です(解説)。

8. PFAS 規制との関係 ― 提案・評価中・採択・施行を区別する

この章の読み方(確認日:2026年10月10日)

PFAS の規制は、国・地域・段階で状況が違います。この章は、欧州連合(REACH 規則)の「PFAS 全般の制限提案」だけを、ECHA と提案をまとめた五か国当局の公表文書で確認し、提案・評価中・採択・施行の段階を区別して書きます。米国・日本・中国などの動向は、本稿では確認していません。この章は、特定の企業・製品の法令適合や、調達・設計の助言ではありません。

(1) 何が「PFAS」にあたるのか

制限案の背景文書は、PFAS を「分子構造に、完全にフッ素化されたメチル(CF3–)またはメチレン(–CF2–)の炭素原子を少なくとも一つ含み、その炭素に H、Cl、Br、I が付いていない物質」と定義しています。これは、2021年の OECD の定義と整合するとされ、範囲には、非高分子の物質に加え、フッ素樹脂(fluoropolymers)などの高分子の PFASが含まれます事実。 PVDF の繰り返し単位は –CH2–CF2– で、PTFE は –CF2–CF2– です。どちらも、水素や他のハロゲンの付いていない –CF2– の炭素を含むため、この定義にあたるフッ素樹脂として扱われます(解説。個別の物質の該当判断は、公式の文書で確認する必要があります)。

(2) 欧州の「PFAS 全般の制限提案」の経過と現在の段階

欧州のPFAS全般の制限提案の経過と、現在の段階(2026年10月10日の掲載による) ※ 実線の箱=公表済みの出来事/破線の箱=まだ起きていないこと(見込みを含む)。 2023年1月〜2月 5か国が提案を提出(1月13日) ECHA が公表(2月7日) 独・蘭・デンマーク・ ノルウェー・スウェーデン 2023年3月〜9月 最初の意見募集 (3月22日〜9月25日) 5,600件超の意見が寄せられた 2025年8月 更新された提案(背景文書) を公表。分野が23に 電池のバインダーと電解液に 13.5年の適用除外を提案 2026年3月 RAC が最終意見を採択(3月2日) SEAC が意見案に合意(3月10日) どちらも「適用除外つきの EU全域の制限」を支持 2026年3月〜5月 SEAC の意見案への意見募集 (3月26日〜5月25日) 結果は6月3日に公表。11月に SEACの会合が予定される これから(未了) SEACの最終意見(2026年末まで に採択の見込み)→欧州委員会が 制限案を提出→REACH委員会で 投票→(採択されれば)施行 ※ 経過はECHAの公表[参考資料15・16]と、提案者の五か国当局による要約[参考資料17]によります。 ※ 「これから」の欄は、ECHAが「見込み」と述べた手順で、日付が確定したものではありません。法として採択も施行もされていません。 ※ 適用除外の期間は、制限の施行(entry into force)からの年数で、施行日が未定のため、暦の日付はありません。
図6 概念図(ベクター作図)。経過と段階は ECHA の公表[参考資料15・16]と、提案者の五か国当局(独・蘭・デンマーク・ノルウェー・スウェーデン)による要約[参考資料17]によります。「これから」の欄は見込みであり、確定した日付ではありません。法として採択も施行もされていません(2026年10月10日の ECHA の掲載による)。
  • 提案(2023年):制限案は、オランダ、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの当局が準備し、2023年1月13日に ECHA へ提出、2023年2月7日に ECHA が公表しました。2023年3月22日〜9月25日の意見募集では、5,600件超の回答が寄せられました事実
  • 更新された提案(2025年8月):提案者は、意見募集の内容を取り入れた背景文書(Background Document)を2025年8月20日に公表しました。分野が23になり、新たに加わった適用除外のなかに、「電池のバインダーと電解液」(5.y):施行から13.5年と、「電池のセパレーターのコーティング」(6.l):施行から6.5年があります事実(提案者の提案。2023年の提案にはなかった)。13.5年の適用除外は、これまでの研究開発で PFAS を使わない代替が見つからなかった場合、または代替の認証に6.5年以上かかる場合に、一般に提案されたもので、電池を含むいくつかは、不確実性が高い(研究開発が始まっていない場合が多い)と書かれています。見直し条項を置けば、代替が間に合わない場合の影響を避けられるが、それは欧州委員会の権限だ、とも述べています事実
  • 評価(2026年):ECHA のリスク評価委員会(RAC)は2026年3月2日に最終意見を採択し、社会経済分析委員会(SEAC)は3月10日に意見案に合意しました。どちらも、適用除外つきの EU 全域の制限を支持しています。SEAC は、代替がないという証拠と、費用と便益の評価で正当化される用途について、的を絞った適用除外が必要としています事実。SEAC の意見案への意見募集は2026年5月25日まででした
  • これから(未了):ECHA は、SEAC が2026年末までに最終意見を採択する見込みとし、その後、欧州委員会が最終の二つの意見にもとづいて制限案を提出し、加盟国で構成する REACH 委員会で議論と投票を行う、と説明しています未確定/将来。2026年10月10日時点で、法としての採択も施行もされていません

(3) 電池のバインダーへの意味 ― 何が確認でき、何が確認できなかったか

  • 確認できたこと:提案者は、電池のバインダーと電解液を、13.5年の適用除外の候補として提案しました(提案段階)。PVDF が使われる用途そのものが、制限の対象になりうる位置にあります事実
  • 確認できなかったこと:RAC の最終意見と SEAC の意見案が、電池のバインダーの適用除外をどう扱ったかは、本稿が確認した文書では確認できませんでした。最終的に採択される条文(適用除外の有無・期間・条件)も、まだ決まっていません
  • 代替の現状:負極では、水系の CMC/SBR や PAA が一般的です(第5・7章)。一方、PFAS を含まない正極バインダーの量産での採用状況は、本稿が確認した一次情報からは確認できませんでした。ドライ電極の PTFE も、フッ素樹脂として同じ枠組みに入ります(「ドライ電極」編)
  • 他の規制との違い:NMP の制限(第7章)は採択され、2020年から適用されている条件づけです。PFAS の制限は提案が評価中です。両者は段階が違い、混同してはいけません

9. 素材技術者の視点②:バインダーの選択は、電気化学・工程・規制の三つ巴

素材技術者の読みどころ:バインダーを「接着剤」として選ぶ時代は終わりつつある

バインダーは、質量では数%でも、電気化学(結着・膨張・イオンと電子の道)、工程(溶媒・乾燥・スラリーの安定性)、規制(NMP・PFAS)の3つに同時に関わります。一次情報から、次の確認表を作れます(解説)。

確認すること見るポイント根拠
結着の機構機械的なかみ合いが主か、界面の化学結合(官能基)を持つかChen らの総説[参考資料8]
電極の厚みと膨張厚い電極、膨張する活物質では、PVDF では接着が足りない場合があるZou と Manthiram の総説[参考資料9]、Magasinski ら[参考資料10]
溶媒と乾燥NMP(回収・規制対応・乾燥エネルギー)か、水(回収不要、ただし正極活物質の耐水性)かBatPaC[参考資料1]、Wood ら[参考資料12]、EUR-Lex[参考資料14]、Shkrob ら[参考資料13]
スラリーの性質SBR 単独は黒鉛と相互作用しにくい。CMC が増粘・分散を担う。水系の正極スラリーはアルカリ性になりうるCholewinski らの総説[参考資料7]、Kimura ら[参考資料19]
導電助剤との組合せPVDF は絶縁性。炭素の網と CBD の配置を一緒に設計するCholewinski ら[参考資料7]、Hein ら[参考資料2]、Entwistle ら[参考資料3]
規制の段階NMP:採択・適用済み。PFAS:提案・評価中(適用除外は提案段階)。段階と日付を書くEUR-Lex[参考資料14]、ECHA[参考資料15・16]、五か国当局の要約[参考資料17]

各行の根拠は事実、表としての整理は解説です。個別の製品の判断は、各社の配合・工程・規制の最新の公式文書で確認する必要があります。

素材技術者の読みどころ(続き):変えると、ほかも動く
  • 水系にすれば NMP の問題は消えるが、別の問題が出る:NMP の制限と乾燥エネルギーの負担は減りますが、ニッケル系正極は水に弱く、スラリーの pH も課題になります(第7章)
  • PFAS を避ける方向は、バインダーの機構を変える:PVDF の「かみ合い」中心の結着を、官能基で結合する水系バインダーに替えると、結着力は増す可能性がありますが、膨張への追従、電解液への耐性、スラリーの安定性を、別に確かめる必要があります(解説)
  • 推測:規制の議論は、研究開発の優先順位に影響しうると考えられますが、どの程度かは、公表資料では確認できませんでした。確定していない提案を、確定した規制のように書くことは避けます

10. 強みと弱み/課題、このシリーズの他の記事との分担

導電助剤とバインダーの強みと課題(本記事による整理)
  • 強み:少量で、電子の道と結着という、電極に欠かせない機能を担う。PVDF は化学的・電気化学的に安定で、長く使われてきた。水系バインダー(CMC/SBR、PAA)は、NMP を使わず、負極で一般的事実
  • 課題:量を減らすとエネルギー密度は上がるが、配置の影響が大きくなる。CBD は電子を助ける一方でイオンの道を妨げる。PVDF は絶縁性で結着力が限られ、NMP を要する。PFAS 規制が評価中。正極の水系化は、正極活物質の耐水性が壁事実
  • 読み方の落とし穴:配合(質量%)だけで比べない。提案段階の規制を、確定した規制と書かない(第8章)

この記事で扱わなかったこと

  • カーボンナノチューブ:CNT の構造・製法・導電助剤としての分散液は「カーボンナノチューブ」編に任せます
  • シリコン負極のバインダー:PAA やアルギン酸など、膨張するシリコン向けの設計の詳細は「シリコン負極とナノ構造電極」編に任せます
  • 電極の製造:混練・塗工・乾燥・圧延と、分布のでき方は「電極製造」編、バインダーを繊維化するドライ電極は「ドライ電極」編に任せます
  • 正極材料・黒鉛:活物質の中身は「正極材料」編、「黒鉛負極と電極設計」編に任せます
  • 他国の PFAS 規制:米国・日本・中国などの動向は、本稿では確認していません
  • 確認できなかったこと:市販セルの導電助剤・バインダーの種類と量、電池のバインダーに対する RAC・SEAC の意見の中身、PFAS を含まない正極バインダーの量産採用、PVDF の個別グレードの測定条件つきの物性。これらは推測で補っていません
この記事のまとめ
  • 導電助剤とバインダーは、質量では数%でも、体積では1〜2割。配合の例で、質量4%(正極A)が体積では約9.8%、質量10%(正極B)が約22.5%本稿の計算
  • 効くのは量ではなく配置。CBD は電子の接続を助けるが、気孔のイオンの輸送を妨げる。電子伝導率が高くても、高 C レートの容量が高いとは限らない事実
  • PVDF は数十年の主役だが、結着力が限られ、NMP を要する。負極は水系(CMC/SBR)が一般的、PAA はシリコン向け事実
  • NMP の制限は採択・適用済み(規則 (EU) 2018/588、2020年5月9日から)。PFAS の制限は提案が評価中で、電池のバインダーには13.5年の適用除外が提案されている(提案者の2025年の背景文書)事実
  • PFAS 制限の次の段階は、SEAC の最終意見(2026年末までの見込み)、欧州委員会の提案、REACH 委員会の投票未確定/将来

11. 評価・標準の読み方

初めて読むときは、「どの数字が大きいか」より先に、次の順番で比較の条件を揃えてください。以下は本記事の編集上の確認手順で、規格が定める合格値や試験条件ではありません。

① 何を測ったか
導電性、剥離強度、電極抵抗、容量保持率。単位と、材料・部品・完成システムのどこを測った値かを確認します。
② どの条件か
結着材と導電材の割合、乾燥、圧延、電極厚さ、測定方向。条件が異なる結果は、まず別の結果として読みます。
③ 比較で間違えやすい点
強く接着する配合が、必ず電池の寿命も最良とは限らない
④ 規格の役割は何か
規格番号・名称・発行年・適用範囲を発行機関の資料で確認します。試験方法、安全性、相互接続、管理体制のどれを扱う規格かを分けて読みます。規格名の記載だけで、試験実施・適合・認証まで済んでいるとは判断しません。

比較を始めるためのメモ:対象/単位/測定条件/試料数とばらつき/比較対象/規格の版/確認できない点を、ひとまとまりで残しましょう。公開概要しか確認できない規格の数値条件や合格基準は、推測して補いません。

12. 用語集

導電助剤
活物質の電子の通り道をつくるために少量加える炭素。カーボンブラックが代表。
カーボンブラック
微細な炭素粒子が連なった粉。比表面積や構造が品種で違う。
バインダー(結着剤)
活物質・導電助剤を互いに、また集電体に結びつける高分子。
CBD(炭素・バインダー領域)
導電助剤とバインダーが混ざった領域。電子の道と結着を担うが、気孔を狭めうる。
パーコレーション
粒子がつながって、電気の通る連続した経路ができること。
PVDF
ポリフッ化ビニリデン。–CH2–CF2– を繰り返す、フッ素樹脂のバインダー。NMP に溶かして使う。
CMC
カルボキシメチルセルロース。水溶性で、増粘と結着を担う負極のバインダー。
SBR
スチレンブタジエンゴム。水中のエマルジョンで使い、柔軟性を与える負極のバインダー。
PAA
ポリアクリル酸。カルボキシ基が多く、シリコン負極で検討されるバインダー。
NMP
N-メチル-2-ピロリドン。PVDF を溶かす有機溶媒。沸点は約203℃。
DNEL
導出無影響レベル。労働者の暴露がこの値を下回るように管理する基準値。
PFAS
完全にフッ素化されたメチルまたはメチレンの炭素を含む有機フッ素化合物の総称。フッ素樹脂も含む。
REACH/ECHA/RAC/SEAC
EU の化学物質規則/欧州化学品庁/その下のリスク評価委員会/社会経済分析委員会。
適用除外(derogation)
制限の対象から、一定の期間や条件で外す規定。提案段階のものは、採択まで確定しない。
BET 比表面積
窒素の吸着で求める粉末の表面積(m²/g)。

13. 参考資料(一次情報)

  1. Nelson, Gallagher, Bloom, Dees(Argonne National Laboratory)"Modeling the Performance and Cost of Lithium-Ion Batteries for Electric-Drive Vehicles (Second Edition)," ANL-12/55 (2012)(PDF) — osti.gov
  2. Hein, Danner, Westhoff, Prifling ら"Influence of Conductive Additives and Binder on the Impedance of Lithium-Ion Battery Electrodes: Effect of Morphology," Journal of The Electrochemical Society 167, 013546 (2020) — doi.org/10.1149/1945-7111/ab6b1d
  3. Entwistle, Ge, Pardikar, Smith, Cumming"Carbon binder domain networks and electrical conductivity in lithium-ion battery electrodes: A critical review," Renewable and Sustainable Energy Reviews 166, 112624 (2022) — doi.org/10.1016/j.rser.2022.112624
  4. Lu, Lian, Parker, Ge, Sadan, Smith, Cumming"Effect of carbon blacks on electrical conduction and conductive binder domain of next-generation lithium-ion batteries," Journal of Power Sources 592, 233916 (2024) — doi.org/10.1016/j.jpowsour.2023.233916
  5. Landi, Ganter, Cress, DiLeo, Raffaelle"Carbon nanotubes for lithium ion batteries," Energy & Environmental Science 2, 638 (2009) — doi.org/10.1039/b904116h
  6. Manthiram"A reflection on lithium-ion battery cathode chemistry," Nature Communications 11, 1550 (2020) — doi.org/10.1038/s41467-020-15355-0
  7. Cholewinski, Si, Uceda, Pope, Zhao"Polymer Binders: Characterization and Development toward Aqueous Electrode Fabrication for Sustainability," Polymers 13, 631 (2021) — doi.org/10.3390/polym13040631
  8. Chen, Ling, Hencz, Ling ら"Exploring Chemical, Mechanical, and Electrical Functionalities of Binders for Advanced Energy-Storage Devices," Chemical Reviews 118, 8936–8982 (2018) — doi.org/10.1021/acs.chemrev.8b00241
  9. Zou, Manthiram"A Review of the Design of Advanced Binders for High-Performance Batteries," Advanced Energy Materials 10, 2002508 (2020) — doi.org/10.1002/aenm.202002508
  10. Magasinski, Zdyrko, Kovalenko, Hertzberg ら"Toward Efficient Binders for Li-Ion Battery Si-Based Anodes: Polyacrylic Acid," ACS Applied Materials & Interfaces 2, 3004–3010 (2010) — doi.org/10.1021/am100871y
  11. Kureha Corporation"KF Polymer(PVDF):Battery Materials" および "FAQ" — kureha.co.jp
  12. Wood, Li, Daniel"Prospects for reducing the processing cost of lithium ion batteries," Journal of Power Sources 275, 234–242 (2015) — doi.org/10.1016/j.jpowsour.2014.11.019
  13. Shkrob, Gilbert, Phillips, Klie, Haasch, Bareño, Abraham"Chemical Weathering of Layered Ni-Rich Oxide Electrode Materials: Evidence for Cation Exchange," Journal of The Electrochemical Society 164, A1489–A1498 (2017) — doi.org/10.1149/2.0861707jes
  14. 欧州委員会Commission Regulation (EU) 2018/588 of 18 April 2018 amending Annex XVII to Regulation (EC) No 1907/2006 (REACH) as regards 1-methyl-2-pyrrolidone, Official Journal of the European Union L 99, 19.4.2018, p. 3 — eur-lex.europa.eu
  15. 欧州化学品庁(ECHA)"Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS)"(ホットトピック。2026年10月10日に確認) — echa.europa.eu
  16. 欧州化学品庁(ECHA)"ECHA supports PFAS restriction with targeted derogations"(ニュースリリース ECHA/NR/26/17、2026年3月26日) — echa.europa.eu
  17. スウェーデン化学品庁、オランダ国立公衆衛生環境研究所、ドイツ連邦労働安全衛生研究所、ノルウェー環境庁、デンマーク環境保護庁"What you need to know about the updated PFAS restriction dossier"(第2版、2025年10月23日更新、PDF) — kemi.se
  18. Bresser, Buchholz, Moretti, Varzi, Passerini"Alternative binders for sustainable electrochemical energy storage – the transition to aqueous electrode processing and bio-derived polymers," Energy & Environmental Science 11, 3096–3127 (2018) — doi.org/10.1039/c8ee00640g
  19. Kimura, Onishi, Sakamoto, Asami, Yanagida"Achievement of the High-Capacity Retention Rate for the Li[Ni0.8Co0.15Al0.05]O2 (NCA) Cathode Containing an Aqueous Binder with CO2 Gas Treatment Using the Cavitation Effect (CTCE)," Journal of The Electrochemical Society 166, A5313–A5317 (2019) — doi.org/10.1149/2.0471903jes
  20. Li, Erickson, Manthiram"High-nickel layered oxide cathodes for lithium-based automotive batteries," Nature Energy 5, 26–34 (2020)(本文は OSTI 掲載の著者版原稿で確認) — doi.org/10.1038/s41560-019-0513-0

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
電極が「活物質の粒子を高分子バインダーで結びつけたもの」で、導電助剤(カーボンブラックまたは黒鉛)が正極に、ときに負極にも加えられること、電極とセパレーターの気孔に電解液が入ること。導電助剤が正極でより一般的で、コスト計算に純度が高く比表面積が中程度のカーボンブラックを想定していること。基準工場で正極のバインダー溶媒がNMPで凝縮して回収・再利用され(約0.5%は熱酸化装置で処理して補充)、負極のバインダーは水で回収が不要であること。バインダーがPVDFまたはCMC系とされること。2012年の第2版であることArgonne国立研究所 BatPaC 報告書 ANL-12/55[参考資料 1]https://www.osti.gov/biblio/1209682事実
多くの正極材料の電子伝導が低く、かなりの量の黒鉛系導電助剤が加えられること。炭素とバインダーが混ざったCBDが、機械的安定性と電子的接続を高める一方、気孔のリチウムイオンの輸送を妨げ高電流で性能を下げること。NMC622電極で放射光X線トモグラフィとインピーダンスを組み合わせたこと、CBDが粒子どうしの接点に集まる配置がもっともありそうとされたことHein ら 2020 抄録[参考資料 2]https://doi.org/10.1149/1945-7111/ab6b1d事実
導電助剤の割合が小さくなるなかで電子の経路に効率が求められること。電子伝導率が高くても高Cレートの容量が高いとは限らず、CBDとイオン拡散が関係すること。電極製造の各段階と電子伝導経路の形成の関係を整理していること。長距離(ミクロンのパーコレーション網)と短距離(サブミクロンのCBDと活物質の接続)の接触の区別。CBDの最適な配置についての理解が文献で足りないことEntwistle ら 2022 総説の抄録[参考資料 3]https://doi.org/10.1016/j.rser.2022.112624事実
5種類のカーボンブラック(BET比表面積、吸油量、秩序ある黒鉛状炭素の含有が異なる)を比べたこと。カーボンブラックが電極質量の5〜8%を占めるにすぎないこと。無秩序炭素と黒鉛状炭素の比が短距離・長距離の電気伝導に強く影響し、BET比表面積が気孔構造とイオン伝導に大きく影響すること。最適なラマンID/IGが0.93〜0.95、推奨BETが130〜200 m²/g(その実験の範囲)Lu ら 2024 抄録[参考資料 4]https://doi.org/10.1016/j.jpowsour.2023.233916事実
CNTを従来のカーボンブラックや黒鉛より低い重量割合で導電助剤に使うと、パーコレーション網を効率よく作れること(総説の整理)Landi ら 2009 総説(シリーズ「カーボンナノチューブ」編の参考資料による)[参考資料 5]https://doi.org/10.1039/b904116h事実
ポリアニオン正極が電子伝導が低く、小粒子にして導電性炭素で被覆する必要があり、処理コストと性能のばらつきが増えること。ニッケル系の水に弱い性質に関連して、水系コーティングに関する記述(Li らの展望は別参照)Manthiram 2020 総説[参考資料 6]https://doi.org/10.1038/s41467-020-15355-0事実
バインダーの役割(分散、増粘、成分の接触の保持)。PVDFが最も広く使われ、化学的・電気化学的に安定で加工しやすいが、結着が機械的なかみ合いとファンデルワールス力が主で、絶縁性で導電助剤を要し、有毒な有機溶媒NMPを要すること。NMPの沸点が約203℃で、引用された値でNMPが1〜3ドル/kg、水が約0.015ドル/kg、PVDFが8〜10ドル/kg、水系バインダーが2〜5ドル/kg。CMCが水溶性で増粘剤を兼ね、2003年にDrofenikらが提案し、約2 wt%で足り、従来の高分子バインダーは5〜10 wt%が一般的とされること。CMCの水酸基・カルボキシ基の水素結合。SBRが柔軟性・耐熱性・高い結着力を与える一方、単独では疎水性の黒鉛と相互作用しにくく懸濁液が不安定になるとの報告、CMC/SBRの併用が一般的な戦略であること。PAAやアルギン酸などCholewinski ら 2021 総説[参考資料 7]https://doi.org/10.3390/polym13040631事実
PVDFが数十年にわたり電池産業の主要なバインダーで、活物質との化学結合がなく結着力が限られ、機械特性が足りず、電子とリチウムイオンの伝導が低いこと。バインダーと活物質の結着を機械的なかみ合いと界面の結合力の2つの機構に分けることChen ら 2018 総説の抄録[参考資料 8]https://doi.org/10.1021/acs.chemrev.8b00241事実
PVDFのような従来のバインダーが、接着性が比較的低く、機械的強度が弱く、厚い電極・高容量電極の高エネルギー密度電池には理想的でないことZou, Manthiram 2020 総説の抄録[参考資料 9]https://doi.org/10.1002/aenm.202002508事実
PAAがCMCに匹敵する機械特性を持ちカルボキシ基の濃度が高いこと。炭素被覆シリコンナノ粉末の負極で、PAAが15 wt%と少なくても最初の百サイクルで優れた安定性を示したこと(0.01〜1 V vs Li)。従来はCMCとPVDFが主に使われたことMagasinski ら 2010 抄録[参考資料 10]https://doi.org/10.1021/am100871y事実
KF Polymer(PVDF)が1991年のリチウムイオン電池の商品化で採用され、最も長く使われたバインダーであるとの記述。優れた接着力・耐薬品性・電気化学的安定性。少ないバインダー量でも高い活物質濃度と剥離防止を両立できること。懸濁重合PVDFが正極にも負極にも使えるのに対し、水系の高分子は一般に負極に使われること。NMPへの溶解手順(50℃推奨)Kureha 公式ページ(メーカー公称)[参考資料 11]https://www.kureha.co.jp/en/business/material/kfpolymer/battery_material.html事実
NMPの分散系をなくすこと、電極の厚みを2倍にすること、SEIの化成時間を短くすることで、パックのコストが502.8から370.3ドル/kWh-usableへ(26.4%)下がる試算。水系の電極処理が電極の処理コストとエネルギー消費を桁違いに減らせること(薄い電極のNMP処理が基準)Wood ら 2015 抄録[参考資料 12]https://doi.org/10.1016/j.jpowsour.2014.11.019事実
ニッケル・コバルト・マンガン酸化物が湿った空気や水分で脱リチウム、リチウム塩の被覆、表面近傍の岩塩相形成、c軸の収縮などを起こして特性を損なうこと。水系の電極処理に移る前に水の悪影響を緩和する必要があることShkrob ら 2017 抄録[参考資料 13]https://doi.org/10.1149/2.0861707jes事実
委員会規則(EU) 2018/588(2018年4月18日、官報2018年4月19日)がREACH附属書XVIIに項目71(NMP)を加えたこと。2020年5月9日以降、0.3%以上を含む物質・混合物の上市に、労働者のDNEL(吸入14.4 mg/m³、経皮4.8 mg/kg/日)を化学物質安全性報告書と安全データシートに入れることを要し、製造・使用は暴露がDNELを下回る管理措置をとる場合に限ること。電線被覆の溶媒・反応物としての使用は2024年5月9日から適用。NMPを0.3%以上含む混合物がCLPで生殖毒性区分1Bに分類されることEUR-Lex 委員会規則 (EU) 2018/588(採択・適用済み)[参考資料 14]https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2018/588/oj事実
PFAS全般の制限提案の経過と掲載の状況(提案の2023年2月7日の公表、2023年3月22日〜9月25日の意見募集と5,600件超の回答、2025年8月20日の更新提案の公表、RACの最終意見とSEACの意見案、SEAC案への意見募集、2026年6月3日の結果の公表、2026年11月のSEAC会合の議題の公表)。2026年10月10日の掲載で確認ECHA ホットトピック「PFAS」[参考資料 15]https://echa.europa.eu/hot-topics/perfluoroalkyl-chemicals-pfas事実
RACが2026年3月2日に最終意見を採択し、SEACが3月10日に意見案に合意したこと。どちらもEU全域の制限を適用除外つきで支持すること。SEACが代替がないという証拠と費用便益で正当化される用途に的を絞った適用除外が必要としたこと。SEAC案への意見募集が2026年5月25日までであること。SEACの最終意見が2026年末までの見込みで、その後、欧州委員会が制限案を提出し、REACH委員会で議論・投票すること。制限案が2023年1月13日にECHAへ提出されたことECHA ニュースリリース ECHA/NR/26/17(2026年3月26日)[参考資料 16]https://echa.europa.eu/-/echa-supports-pfas-restriction-with-targeted-derogations事実
背景文書がPFASを完全にフッ素化したメチルまたはメチレンの炭素(H・Cl・Br・Iが付かない)を少なくとも一つ含む物質と定義し、OECDの2021年の定義と整合すること。範囲に非高分子と高分子(フッ素樹脂)が含まれること。23の分野を評価していること。5.y「電池のバインダーと電解液」(施行から13.5年)と6.l「電池のセパレーターのコーティング」(施行から6.5年)が2025年の背景文書で新たに加わった適用除外であること。13.5年が、PFASを使わない代替が見つからない場合や代替の認証に6.5年超かかる場合に一般に提案され、電池を含むものは不確実性が高いこと、見直し条項は欧州委員会の権限であること提案者の五か国当局による要約(第2版、2025年10月23日更新)[参考資料 17]https://www.kemi.se/publikationer/rapporter-fran-samarbetsprojekt/2025/what-you-need-to-know-about-the-updated-pfas-restriction-dossier事実
バインダーの選択が環境への適合性に強く影響し、水系の電極処理と生体由来の高分子への移行を整理した総説があることBresser ら 2018 総説の抄録[参考資料 18]https://doi.org/10.1039/c8ee00640g事実
NCAの正極に水系バインダーを使うと、スラリーのpHがアルカリ領域になること、CO2ガス処理でそれを中性に下げる方法Kimura ら 2019 抄録[参考資料 19]https://doi.org/10.1149/2.0471903jes事実
高ニッケル粉末の水系コーティングが表面の残留リチウムを洗い流すが、水にさらすと表面に岩塩相ができて容量とサイクル性が下がることLi, Erickson, Manthiram 2020 展望(OSTI掲載の著者版原稿)[参考資料 20]https://doi.org/10.1038/s41560-019-0513-0事実
配合の例(正極A 96/2/2、正極B 90/5/5、負極A 96/0.5/1.5/2、負極B 92/2/2/4)の非活物質の質量割合と体積割合(約9.8%、約22.5%、約7.1%、約13.6%)。活物質200 mAh/gでの塗工層質量あたりの容量192と180 mAh/g、面容量3.5 mAh/cm²に要する塗工質量約18.2と約19.4 mg/cm²本稿の計算。密度(NMC811 4.7、黒鉛 2.2、カーボンブラック 1.8、PVDF 1.8、CMC 1.6、SBR 0.95 g/cm³)、配合、活物質容量200 mAh/gは、いずれも本稿が置いた仮定で、気孔は含まない。実在の製品の配合・密度ではない本稿の計算
電池のバインダーと電解液の適用除外が最終的に採択されるか、適用除外の期間・条件。SEACの最終意見の内容、欧州委員会の提案、REACH委員会の投票、制限の施行(適用開始)の日付2026年10月10日時点で決まっておらず、ECHAが見通しとして述べた手順。法として採択も施行もされていない未確定/将来
RACの最終意見とSEACの意見案が電池のバインダーの適用除外をどう扱ったか、PFASを含まない正極バインダーの量産での採用状況、市販セルの導電助剤・バインダーの種類と量、PVDFの個別グレードの測定条件つき物性、米国・日本・中国などのPFAS規制の動向本稿が開いた一次資料に記載を確認できなかったため、記載していない解説
電極を4成分の複合体として見る整理。量でなく配置が効くという読み。確かめる4つの視点と推測。PVDFのPFAS該当の読み(–CF2–を含む)。バインダー選択の確認表。強みと課題の整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説、および推測。各社・各機関が表明した見解ではない。個別の物質・製品の該当判断は公式の文書で確認する必要がある解説
図1・図2・図3・図5・図6が実際の観察像・設計図・工程図ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文の抄録と書誌情報、オープンアクセスの総説の本文、Argonne国立研究所の報告書、メーカーの公式ページ、EUR-Lex の官報、ECHA と五か国当局の公表文書)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 規制は、提案・評価中・採択・施行の段階を区別しています。PFAS の制限は、2026年10月10日の ECHA の掲載では提案が評価中で、法として採択も施行もされていません。電池のバインダーの適用除外は提案者の提案段階で、RAC・SEAC の意見での扱いは確認できませんでした。市販セルの導電助剤・バインダーの種類と量、PFAS を含まない正極バインダーの量産採用、他国の PFAS 規制は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 論文の数値は抄録または総説の記載であり、条件が論文ごとに異なります。Kureha の記述は「メーカー公称」、コストの数値は総説が引用した値です。BatPaC の工程は報告書の想定です。 図はすべて説明用の概念図で、図1・図2・図3・図5・図6はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージです。いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。