TECHNOLOGY EXPLAINER
リチウムイオン電池の基本
― セルの6つの部品と、「Wh/kg」の分母を読む
リチウムイオン電池(LIB)は、正極と負極のあいだでリチウムイオンを出し入れする電池です。 この記事は次世代蓄電シリーズの入口として、セルの構造(正極・負極・電解液・セパレータ・集電体・外装)、動作原理(インターカレーション)、電圧と容量とエネルギーの関係、材料の組合せ(LFP・NMC・NCA・LCO と黒鉛)、セルの形を整理します。 とくに、活物質・セル・パックで同じ「Wh/kg」の意味が変わる点を、公式データシートと査読論文の数字で確かめます。 個別の材料は、シリーズの他の記事に任せます。投資・調達・設計の助言ではありません。
構成:原著研究、研究機関のモデル報告書、メーカーの仕様書・公式発表、IEAおよびノーベル賞の公式発表を使用。実測値・計算・説明用の仮定を区別/最終更新 2026年10月17日

- リチウムイオン電池とは何か(3行でつかむ)
- 歴史の骨格 ― 「リチウムを出し入れする電極」という発想
- セルの中身 ― 6つの部品
- 充電と放電で何が起きるか ― インターカレーション
- 本稿の計算:電圧と容量から、エネルギーを出す
- 素材技術者の視点①:セルは「塗って重ねたフィルム」である
- 材料の組合せ ― LCO・NMC・NCA・LMO・LFP と黒鉛
- 数字の読み方 ― 活物質・セル・パック
- 素材技術者の視点②:「Wh/kg」を見たら、分母を3回確かめる
- セルの形 ― 円筒形・角形・パウチ形
- 強みと弱み/課題、このシリーズの他の記事との分担
- 評価・標準の読み方
- 用語集
- 参考資料(一次情報)
- 主張と出典の対応表(監査)
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。
メーカーの数値は「メーカー公称」であり、測定条件が公開資料で確認できないものはそう書いています。
電池の数値は、材料・セル・パックのどれの値かを必ず添えます。
1. リチウムイオン電池とは何か(3行でつかむ)
リチウムイオン電池は、「リチウムイオンが正極と負極のあいだを行き来する電池」です。 ノーベル化学賞2019の公式発表は、その利点を「電極を壊す化学反応ではなく、リチウムイオンが正極と負極のあいだを行き来することにもとづく」と説明しています事実。
- 何を貯めているか:充電では、正極の結晶からリチウムが抜けて負極(多くは黒鉛)の層のあいだに入ります。放電ではその逆です。電極の骨格を保ったまま、リチウムだけが出入りします事実
- 電圧と電解液:電圧は正負極の電位差で決まります。電極が働く電位で電解液と界面を保てることが必要です。水系電池の上限を一律に1.5 Vとは扱いません。同じ電気量でも、平均電圧が高ければ取り出すエネルギーは増えます(本記事の解説)。
- 何を評価するか:安全性、容量、出力、寿命、効率、コストを分けて確かめます。これは本記事の読み方の整理で、特定の試験規格の合格条件ではありません。個別の材料・安全の詳細は各論に進んでください。
「エネルギー密度」という言葉は、何で割ったかで別の数字になります。 同じ円筒形セルでも、仕様書のエネルギー密度(248 Wh/kg)は定格容量と最大質量から再現でき、典型容量で計算すると約259 Wh/kgになります本稿の計算。 さらに、EVのパックにすると、質量あたりでセルの値の約0.55〜0.58倍、体積あたりで約0.3〜0.35倍になる傾向が報告されています事実。 材料・セル・パックを混ぜて比べると、優劣を誤ります。
2. 歴史の骨格 ― 「リチウムを出し入れする電極」という発想
ノーベル化学賞2019の公式発表は、リチウムイオン電池の基礎が1970年代の石油危機のなかで築かれたとしています事実。 流れは、次の4つの節目に整理できます(本記事による整理)。
公式発表の記述を、材料の側から読み直します事実。
- Whittingham:二硫化チタン(TiS2)は、分子レベルでリチウムイオンを収める「すき間」を持つ(intercalate、インターカレーション)。負極に金属リチウムを使った電池は2 V強の電位を持ったが、金属リチウムの反応性が高く、実用にならなかった
- Goodenough:金属硫化物の代わりに金属酸化物を正極にすれば電位はさらに高くなると予測し、1980年に、リチウムイオンを含むコバルト酸化物が最大4 Vを生むことを示した
- 吉野:Goodenoughの正極を土台に、負極を反応性の高い金属リチウムから、リチウムイオンを同様に取り込める炭素材料(石油コークス)に置き換え、1985年に最初の実用的なリチウムイオン電池を作った
正極を知る入口として、層状LiCoO2のリチウム脱離を調べたMizushimaら(1980年)[参考資料3]、スピネルLiMn2O4への挿入と結晶構造を調べたThackerayら(1983年)[参考資料8]、LiFePO4を調べたPadhiら(1997年)[参考資料4]を挙げます。それぞれの原著が実験した材料と条件を区別し、すべての正極の性能を一つの系譜から推定しません。
3. セルの中身 ― 6つの部品
リチウムイオン電池の最小の単位はセルです。Argonne国立研究所のコスト・性能モデル報告書(BatPaC、第2版、2012年)は、セルの構成を次のように記述しています事実。
各電極は、集電体の箔の両面に電極材料を塗ったものである。電極は、活物質の粒子を高分子のバインダーで結びつけたもので、正極には(ときに負極にも)導電助剤として、カーボンブラックまたは黒鉛が加えられる。電極とセパレーターには空隙(気孔)があり、そこに電解液が満たされる。放電では、リチウムイオンが電極の粒子から電解液へ出て、セパレーターを横切り、反対側の電極の粒子に挿入される。電子は同時に集電系を通って外部へ出て、反対側から入る。

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セルは次の6つの部品でできています。材料の例と役割を整理します。
| 部品 | 材料の例 | 役割 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 正極 | LiCoO2、NMC、NCA、LiMn2O4、LiFePO4 などの活物質+導電助剤+バインダー | 放電でリチウムイオンを受け取り、充電で放出する。セルの電圧とエネルギー密度の多くを決める | [参考資料3・9] |
| 負極 | ここでは黒鉛を例にする | 充電でリチウムを受け取り、放電で放出する。黒鉛の相変化はLi/黒鉛セルの原著で確認する | [参考資料7・9] |
| 電解液 | BatPaCの例:LiPF6と炭酸エステル系溶媒 | 電極間のイオン輸送を担う。これはモデルの材料設定で、すべての製品の処方ではない | [参考資料9] |
| セパレーター | BatPaCの例:多孔質PP膜、PE層を含む設計もある | 電極を電気的に隔てながら、電解液を含む空隙でイオンを運ぶ | [参考資料9] |
| 集電体 | 正極にアルミ箔、負極に銅箔(BatPaCの仮定は厚さ20 µmと12 µm) | 電極と外部回路のあいだで電子を集める | [参考資料9] |
| 外装 | 金属の缶(円筒形・角形が一般的)、またはアルミ箔を高分子で挟んだラミネート(パウチ形:PETの外層・アルミ中間層・PPの内層) | 内容物を密閉し、外気と水分から守る | [参考資料9・12] |
部品の構成はBatPaCのモデル報告書[参考資料9]を中心に整理しています。材料や厚みは同モデルの設定例で、製品一般の仕様ではありません。
BatPaCの電解液はLiPF6と炭酸エステル系溶媒を用いるモデル設定で、セパレーターは多孔質PPを基本としPE中間層を含む場合も記載されています[参考資料9]。電極間を隔てる厚みとイオンの通り道を同時に設計する、というのが本記事の読み取りです。特定製品の処方や安全動作温度を示す説明ではありません。
4. 充電と放電で何が起きるか ― インターカレーション
インターカレーションは、ここではホスト構造にリチウムが出入りすることと説明します。LiCoO2からの脱離はMizushimaら[参考資料3]、黒鉛のステージ構造はDahn[参考資料7]の原著がそれぞれ扱っています。以下は両者をつなぐ概念的な反応式で、特定製品の運転範囲を示しません。
正極:LiCoO2 ⇌ Li1−xCoO2 + x Li⁺ + x e⁻
負極:6 C + x Li⁺ + x e⁻ ⇌ LixC6
右向きが充電、左向きが放電です。電子は外部回路を、リチウムイオンは電解液を通ります。
黒鉛側は、層のあいだにリチウムが入る「ステージ構造」を取ります。Dahn は、リチウム/黒鉛セルと in situ X線回折で LixC6(0 ≦ x ≦ 1)の相図を求め、x が増えるにつれて、希薄ステージ1相、ステージ4、ステージ3、ステージ2(液体状の2L相を含む)、そして満たされたステージ1へ順に移ることを報告しました事実。 黒鉛の詳しい話は、本シリーズ「黒鉛負極と電極設計」編に譲ります。
使える容量は材料の組成、電圧範囲、電流、温度、劣化の許容条件とセットで読みます。「LiCoO2は必ず140 mAh/gで頭打ち」とする旧記述は採用しません。次の140 mAh/gは、分母の違いを計算で学ぶために本記事が置く仮定で、原著の測定値でも普遍的な安全限界でもありません。
界面の不可逆反応の原著例はFongら(1990年)です[参考資料2]。炭素/Li金属の半電池をPC/EC混合電解液で調べ、最初のリチウム挿入時の電解液分解と、その後の分解を抑える表面膜を報告しました。この半電池での「放電」を、そのまま完成セルの放電と読み替えないことが重要です。SEIの詳細は別の記事で扱います。
5. 本稿の計算:電圧と容量から、エネルギーを出す
エネルギーは厳密には放電中の電圧を電気量で積分した E=∫V dq です。平均電圧を使えばE=平均電圧×容量、公称電圧を使う場合は概算になります。以下は容量の分母を揃えるための本記事の計算例です。異なる材料の電位や実際の放電曲線を測った結果ではありません。
理論容量は、ファラデー定数(96,485 C/mol = 26,801 mAh/mol)を、リチウム1個あたりの活物質のモル質量で割ると出ます本稿の計算。
- LiCoO2:モル質量 6.94 + 58.93 + 2 × 16.00 = 97.87 g/mol。26,801 ÷ 97.87 = 約274 mAh/g(リチウムを全部使った場合)
- 説明用の仮定:正極に140 mAh/gを置きます。理論274 mAh/gに対して約51%ですが、この比を実測のリチウム利用率とは扱いません。
- 黒鉛(LiC6):モル質量 6 × 12.011 ≈ 72.07 g/mol。26,801 ÷ 72.07 = 約372 mAh/g
- 両極を合わせた実効値:正極と負極の活物質の質量を足して割る。1 ÷ (1/140 + 1/372) = 約102 mAh/g(両極の活物質の合計質量あたり)
- エネルギー:公称電圧を3.6 V(後述のセル仕様書の値)とすると、102 mAh/g × 3.6 V = 約366 Wh/kg(両極の活物質の合計質量あたり)
前提と限界:正極140 mAh/gは仮定、黒鉛372 mAh/gは理論値、3.6 Vは後述する仕様書から借りる概算用電圧です。両極の容量をちょうど釣り合わせ、副反応・余裕容量を無視します。この組み合わせが実在のセルに使われるとは確認していません。約366 Wh/kgは活物質だけを分母とする説明用計算で、箔・電解液・セパレーター・外装などを含むセルやパックの性能ではありません。
6. 素材技術者の視点①:セルは「塗って重ねたフィルム」である

BatPaC の記述を、材料の側から読み直します。電極は、活物質の粒子、高分子のバインダー、導電助剤、そして電解液で満たされた気孔からなる複合体で、厚さ12 µm(銅)や20 µm(アルミ)の金属箔の両面に塗られています事実(箔の厚みは BatPaC の想定値)。 電池の性能は、活物質の結晶の性質だけでなく、この複合体の組成・厚み・気孔率・密着で決まります。
- 製造の流れ:BatPaC の基準工場では、活物質・炭素・バインダー・溶媒をタンクで混ぜ、塗工して乾かします。正極のバインダー溶媒はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)で、凝縮して回収し再利用、負極のバインダー溶媒は水で、回収は不要と想定されています事実
- 分母を増やす部品:セルの質量やコストには、活物質だけでなく、箔、セパレーター、電解液、外装が入ります。BatPaC は、コストの内訳を、活物質・炭素とバインダー・集電体・セパレーター・電解液・セル部材などに分けて示します事実。活物質を改良しても、非活物質の質量が同じなら、セル全体の改善は小さくなります(解説)
- 界面が多い:粒子とバインダー、粒子と箔、粒子と電解液、箔と外部端子——接触のどれかが弱ると、抵抗や剥離として表れます(解説)。導電助剤とバインダーは本シリーズ「導電助剤とバインダー」編、電極の厚みと気孔率は「黒鉛負極と電極設計」編、塗工・乾燥・圧延は「電極製造」編で扱います
7. 材料の組合せ ― LCO・NMC・NCA・LMO・LFP と黒鉛
材料の例を以下に並べます。黒鉛負極は説明用の代表例で、すべての電池の負極ではありません。各原著の材料・電圧・電流条件を分けて読み、測定条件が違う値を優劣の順位にしません。
| 正極 | 組成の例 | 電圧・容量の例(条件) | 特徴・課題 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| LCO | 層状LiCoO2 | 原著:Li脱離と電圧-組成曲線 | 1980年の原著で電気化学的Li脱離を報告。140 mAh/gを普遍的上限とはしない | [参考資料3] |
| NMC | NMC111など | NMC111:約150 mAh/g、3.5–4.2 V対Li(2001年の原著要旨) | Ni組成と電圧範囲を揃えて比較する。酸素放出と劣化は2017年の原著の個別条件で読む | [参考資料5・6] |
| NCA | Li[Ni0.8Co0.15Al0.05]O2 などの表記 | この記事では数値を採らない(条件つきの値を一次資料で確認できなかった) | IEA は NCA を NMC622・811 などと並べて「中・高ニッケル」に分類している | [参考資料12・15] |
| LMO | スピネルLiMn2O4 | 原著:室温でのLi挿入とX線回折 | 1983年の原著は挿入後の骨格を調べた研究。現代の4 Vセルの容量上限をこの要旨から推定しない | [参考資料8] |
| LFP | オリビンLiFePO4 | 約3.5 V対Li、100–110 mAh/g(1997年、0.05 mA/cm²) | 初期の原著の結果。後の製品の容量や安全性を代表する値ではない | [参考資料4] |
すべて事実(各出典の記述)。研究の条件が異なる数値を並べているため、材料どうしの優劣を示すものではありません。LFP の100〜110 mAh/g は1997年の初報の値で、その後の改良品の値ではありません。
市場の側では、IEA の Global EV Outlook 2026(2026年5月20日公表)が、2025年に世界で導入された EV 用電池のうち LFP が55%超(2024年は約半分)だったと書いています事実。 同 2025年版は、LFP のパックは NMC のパックに比べて、質量あたりで約5分の1、体積あたりで約3分の1エネルギー密度が低い一方、LFP は必要なときに充電状態100%まで劣化を抑えて使えるのに対し、NMC は長期性能を保つため通常80%に制限されると説明しています事実。 つまり、「どちらが上」ではなく、用途(航続距離、寒冷地、コスト)で選び分けているという整理になります。各材料の中身は、本シリーズ「正極材料」編で扱います。
8. 数字の読み方 ― 活物質・セル・パック
エネルギー密度(Wh/kg、Wh/L)は、分母に何を入れるかで3段階に分かれます。同じ「Wh/kg」でも、段階が違えば比べられません。
| 段階 | 分母に入るもの | どこで出てくる値か | 注意 |
|---|---|---|---|
| 活物質(材料) | 活物質の質量だけ | 理論容量、半電池の mAh/g | セルでは、箔・セパレーター・電解液・外装・導電助剤・バインダーが加わり、値は下がる |
| セル | 電極・セパレーター・電解液・集電体・外装を含む1個のセル | メーカーのセル仕様書 | どの容量(定格・典型)と、どの寸法・質量(缶のみ・チューブ込み)で割ったかを確認する |
| パック | セルに加え、モジュールの枠、冷却、電池管理、配線、筐体 | 車両の電池システムの公表値、研究の比較 | セルより必ず小さくなる。Löbberding らは EV 25車種でセルからシステムへの低下を調べた |
Panasonic Energy の NCR18650BF の仕様書の数値で、エネルギー密度を再現してみます本稿の計算。
- 仕様書の記載:公称電圧 3.6 V、定格容量 3,200 mAh(20℃)、容量は最小 3,250 mAh・典型 3,350 mAh(25℃)、質量は最大 46.5 g(チューブなし)、最大寸法は直径 18.24 mm × 高さ 65.10 mm事実(メーカー公称)。エネルギー密度の記載は 248 Wh/kg、677 Wh/Lで、「チューブなしの裸のセルの寸法にもとづく」との注記があります事実
- 定格容量で計算:3.6 V × 3.2 Ah = 11.52 Wh。11.52 ÷ 0.0465 kg = 約248 Wh/kg(記載と一致)
- 体積:π × (1.824 ÷ 2)² cm² × 6.510 cm = 約17.0 mL。11.52 ÷ 0.0170 L = 約677 Wh/L(記載と一致)
- 典型容量で計算:3.6 V × 3.35 Ah = 12.06 Wh。12.06 ÷ 0.0465 = 約259 Wh/kg
読み取り:仕様書の248 Wh/kg と677 Wh/L は、定格容量・最大質量・最大寸法から再現できます(本稿の計算による推定で、メーカーが計算式を明記しているわけではありません)。 同じセルでも、典型容量を使えば約259 Wh/kg になります。どの容量・質量で割ったかを確認しないと、数字だけでは比べられません。
同じ仕様書には、充電電圧が4.20 Vと4.10 Vの2つの列があります。4.10 V のときは、定格容量が2,835 mAh、エネルギー密度が219 Wh/kg・600 Wh/Lと記載されています事実(メーカー公称)。 4.20 V の248 Wh/kg と比べると、219 ÷ 248 = 約0.88倍です本稿の計算。 充電の上限電圧を0.1 V下げるだけで、取り出せるエネルギーが約12%減る、ということです。 上限電圧を下げて寿命を延ばす使い方は、この「容量との引き換え」の上に成り立っています(解説)。
次に、セルがパックになるときの低下です。Löbberding らは、2010〜2019年に市場に出た25車種のBEV(10社、中国車を除く)で、セル・モジュール・システムのエネルギー密度を比べました事実。 論文の表によると、セルからシステムまでの「効率」(システムの値 ÷ セルの値)の平均は、次のとおりです事実。
| セルの形 | 質量あたり(平均、最小〜最大) | 体積あたり(平均、最小〜最大) |
|---|---|---|
| 角形・パウチ形 | 0.575(0.495〜0.742) | 0.353(0.168〜0.528) |
| 円筒形(Tesla) | 0.552(0.484〜0.672) | 0.295(0.247〜0.356) |
すべて事実(Löbberding ら 2020 の表1)。対象は2010〜2019年の25車種で、現在の設計(セル・トゥ・パックなど)には当てはまらない可能性があります。
9. 素材技術者の視点②:「Wh/kg」を見たら、分母を3回確かめる
素材開発の現場では、「活物質を変えたらセルが何 Wh/kg 上がるか」が問われます。上の計算が示すとおり、答えは分母の選び方で変わります。次の3つを確かめると、数字を読み違えにくくなります(解説)。
- ① 何の質量・体積で割ったか:活物質か、セルか、パックか。セルなら、缶のみか、チューブやラベルを含むか。仕様書の注記(「裸のセルの寸法にもとづく」)を読む
- ② どの容量を使ったか:定格・最小・典型のどれか。温度(20℃か25℃か)、放電のレート、充電の上限電圧(上の例では4.20 Vと4.10 Vで約12%違う)まで確認する
- ③ 何の値と比べているか:半電池の材料値、実セルの値、パックの値を混ぜない。論文の mAh/g は、多くが活物質あたりの半電池の値で、セルのエネルギー密度に直結しない
もう一つ、パックの数字は、材料の差と設計の差の合計です。IEA が述べる「LFP のパックは NMC のパックより質量あたり約5分の1低い」は、活物質の結晶の違いだけでなく、パックの構成や設計の違いも含む値です事実。 材料の優劣を、パックの数字だけから言い切ることはできません。
また、Löbberding らの結論は、システムは改善しているが、質量あたりの改善が体積あたりを上回ること、パッケージの最適化にまだ余地があることです事実。 セルの改良(材料)と、セルをまとめる設計(構造)の両方が、パックの数字を決めます。後者は本シリーズ「セル形状とセル・トゥ・パック」編で扱います。
10. セルの形 ― 円筒形・角形・パウチ形
IEA の Global EV Outlook 2026 は、リチウムイオン電池の市場は円筒形・パウチ形・角形の3つの形(フォームファクター)に分かれると整理しています事実。
- 円筒形:最初に商品化されたリチウムイオン電池の形で、1991年にソニーが導入しました。アルカリ電池など関連技術の成熟に支えられ、日本メーカーが一貫して注力してきました事実
- パウチ形:高いエネルギー密度と寸法の自由度を持ち、スマートフォンの急成長期に拡大した韓国メーカーが選びました事実。外装は、PET の外層・0.1 mm のアルミ中間層・PP の内層(ヒートシール)の3層構造と、BatPaC は想定しています事実
- 角形:コンパクトで剛性が高く、EV のパックの中で効率よく積み重ねられるため、EV と結びついて成長した中国メーカーが広く採用しました。EV 用と大半の定置用電池の60%超を占め、世界で最も使われている形です事実
Löbberding らも、より大きく、角形のセルへ向かう傾向を報告しています事実。 IEA は、角形セルの冷却板や、モジュールを省くセル・トゥ・パック(CTP)・セル・トゥ・シャシー(CTC)の設計が全体のエネルギー密度を高めた一方、リサイクルには追加の難しさをもたらすと述べています事実。 セルの形が、パックの数字を左右する(第8章)ことが、ここでつながります。
11. 強みと弱み/課題、このシリーズの他の記事との分担
- 強み:電極の骨格を壊さずに出し入れするため、繰り返し充放電できる。電圧が高く、エネルギー密度が高い。EV・定置用まで、材料と形の選び分けで幅広い用途に対応している事実(ノーベル化学賞発表、IEA)
- 課題の読み方:初回の不可逆反応はFongらの半電池実験[参考資料2]、セル構成とコストはBatPaCのモデル[参考資料9]のように、別の評価対象を分けます。安全性・寿命・製造費を一つの材料容量から判断しない、というのが本記事の整理です。
- 読み方の落とし穴:材料の mAh/g、セルの Wh/kg、パックの Wh/kg を混ぜて比べると、優劣を誤る(第8〜9章)
この記事で扱わなかったこと
- 個別の材料の内部:正極(「正極材料」編)、黒鉛と電極設計(「黒鉛負極と電極設計」編)、導電助剤とバインダー(同名編)、電解液とセパレーター(同名編)、SEI(「SEI」編)
- 製造:塗工・乾燥・圧延(「電極製造」編)、ドライ電極(「ドライ電極」編)
- 安全・劣化・評価:熱暴走(「熱暴走と電池の安全」編)、劣化と評価(「電池の評価と劣化」編)
- 次の世代:シリコン負極、リチウム金属負極、ナトリウムイオン電池、リチウム硫黄電池など。全固体電池は別の分野で扱い済みです(全固体電池分野の各編)
- 確認できなかったこと:NCAの条件つき容量値、NCR18650BF の正極の組成(仕様書に記載なし)、仕様書のエネルギー密度の計算式(メーカーの明記なし。本稿は定格容量で再現)。これらは推測で補っていません
- セルは6つの部品でできている。正極・負極・電解液・セパレーター・集電体・外装。電極は活物質・バインダー・導電助剤・気孔の複合体で、金属箔に塗られている事実
- 動作の入口はホストへのLiの出入りです。理論容量と条件付きの実測値を分けます。図3の140 mAh/gは説明用の仮定で、普遍的な容量上限ではありません。
- エネルギー = 電圧 × 電気量。活物質だけで見ると約366 Wh/kg でも、セル仕様書の値は248 Wh/kg(NCR18650BF)です本稿の計算
- 同じセルでも、分母が違えば数字が変わる。典型容量なら約259 Wh/kg、充電上限を4.10 Vにすると219 Wh/kg(メーカー公称)事実
- パックにすると、EV では質量あたり約0.55〜0.58倍、体積あたり約0.3〜0.35倍に下がる傾向が、2010〜2019年の25車種で報告されています事実
- 正極の選び分け:2025年は LFP が EV 用電池の55%超(IEA)。LFP は質量あたり約5分の1低いが、用途とコストで選ばれています事実
12. 評価・標準の読み方
初めて読むときは、「どの数字が大きいか」より先に、次の順番で比較の条件を揃えてください。以下は本記事の編集上の確認手順で、規格が定める合格値や試験条件ではありません。
- ① 何を測ったか
- 容量Ah、エネルギーWh、質量当たりWh/kg、寿命。単位と、材料・部品・完成システムのどこを測った値かを確認します。
- ② どの条件か
- 材料・セル・パックのどの段階か、電流、温度、充放電範囲。条件が異なる結果は、まず別の結果として読みます。
- ③ 比較で間違えやすい点
- 安全性試験の合格を、高容量・長寿命・全条件で安全という保証にしない
- ④ 規格の役割は何か
- 規格番号・名称・発行年・適用範囲を発行機関の資料で確認します。試験方法、安全性、相互接続、管理体制のどれを扱う規格かを分けて読みます。規格名の記載だけで、試験実施・適合・認証まで済んでいるとは判断しません。
比較を始めるためのメモ:対象/単位/測定条件/試料数とばらつき/比較対象/規格の版/確認できない点を、ひとまとまりで残しましょう。公開概要しか確認できない規格の数値条件や合格基準は、推測して補いません。
13. 用語集
- セル
- 電池の最小単位。正極・負極・セパレーター・電解液・外装で1個のユニットになったもの。
- モジュール/パック
- セルを束ねたものがモジュール。さらに冷却や管理系を加えて筐体に収めたものがパック。
- 活物質
- 電極の中で、リチウムの出し入れに実際に関わる物質。
- インターカレーション
- 結晶の層やすき間に、骨格を壊さずイオンが出入りする反応。
- 理論容量/実用容量
- 結晶中のリチウムをすべて使った場合の計算値/実際に使える量。実用は理論より小さい。
- 公称電圧
- 電池の代表的な電圧。放電の途中で変化し、仕様書では3.6 Vなどと書かれる。
- 定格容量/典型容量
- メーカーが定める基準の容量/代表的な測定値。仕様書で値が異なる。
- Wh/kg、Wh/L
- 質量あたり・体積あたりのエネルギー。何で割ったかを確認する。
- 集電体
- 電極の電子を集める金属箔。正極はアルミ、負極は銅が一般的。
- 導電助剤/バインダー
- 電子の通り道をつくる炭素/粒子と箔をつなぐ高分子。
- LCO/NMC/NCA/LMO/LFP
- コバルト酸リチウム/ニッケル・マンガン・コバルト酸リチウム/ニッケル・コバルト・アルミニウム酸リチウム/マンガン酸リチウム/リン酸鉄リチウム。
- 半電池
- 相手極にリチウム金属を使う評価用セル。実用の全電池とは条件が異なる。
- 電圧窓
- 電解液が分解せずに使える電位の範囲。水系は約1.5 V、有機系はより広い。
- CTP/CTC
- セル・トゥ・パック/セル・トゥ・シャシー。モジュールを省いてセルを直接パックや車体に組み込む設計。
14. 参考資料(一次情報)
- The Royal Swedish Academy of Sciences"The Nobel Prize in Chemistry 2019" プレスリリース、2019年10月9日 — nobelprize.org
- Fong R., von Sacken U., Dahn J.R. "Studies of Lithium Intercalation into Carbons Using Nonaqueous Electrochemical Cells", J. Electrochem. Soc. 137, 2009–2013 (1990; original experiment) — https://doi.org/10.1149/1.2086855
- Mizushima K., Jones P.C., Wiseman P.J., Goodenough J.B. "LixCoO2 (0<x<1): A new cathode material for batteries of high energy density", Materials Research Bulletin 15, 783–789 (1980; original experiment) — https://doi.org/10.1016/0025-5408(80)90012-4
- Padhi, Nanjundaswamy, Goodenough"Phospho-olivines as Positive-Electrode Materials for Rechargeable Lithium Batteries," Journal of The Electrochemical Society 144, 1188–1194 (1997) — doi.org/10.1149/1.1837571
- Ohzuku, Makimura"Layered Lithium Insertion Material of LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2 for Lithium-Ion Batteries," Chemistry Letters 30, 642–643 (2001) — doi.org/10.1246/cl.2001.642
- Jung ら"Oxygen Release and Its Effect on the Cycling Stability of LiNixMnyCozO2 (NMC) Cathode Materials for Li-Ion Batteries," Journal of The Electrochemical Society 164, A1361–A1377 (2017) — doi.org/10.1149/2.0021707jes
- Dahn"Phase diagram of LixC6," Physical Review B 44, 9170–9177 (1991) — doi.org/10.1103/PhysRevB.44.9170
- Thackeray M.M., David W.I.F., Bruce P.G., Goodenough J.B. "Lithium insertion into manganese spinels", Materials Research Bulletin 18, 461–472 (1983; original experiment) — https://doi.org/10.1016/0025-5408(83)90138-1
- Nelson, Gallagher, Bloom, Dees(Argonne National Laboratory)"Modeling the Performance and Cost of Lithium-Ion Batteries for Electric-Drive Vehicles (Second Edition)," ANL-12/55 (2012)(PDF) — osti.gov
- Panasonic Energy"NCR18650BF" セル仕様書(Specifications for NCR18650BF、PDF) — api.pim.na.industrial.panasonic.com
- Löbberding, Wessel, Offermanns, Kehrer, Rother, Heimes, Kampker"From Cell to Battery System in BEVs: Analysis of System Packing Efficiency and Cell Types," World Electric Vehicle Journal 11, 77 (2020) — doi.org/10.3390/wevj11040077
- 国際エネルギー機関(IEA)"Global EV Outlook 2026," 第6章 "Electric vehicle batteries"、2026年5月20日公表 — iea.org
- 国際エネルギー機関(IEA)"Global EV Outlook 2025," "Electric vehicle batteries"(2025年5月公表) — iea.org
- Sony, "Sony Develops New Nexelion Hybrid Lithium Ion Batteries", 15 February 2005 (manufacturer announcement; includes 1991 commercialisation) — https://www.sony.com/en/SonyInfo/News/Press/200502/05-006E/
- Kimura, Onishi, Sakamoto, Asami"Achievement of the High-Capacity Retention Rate for the Li[Ni0.8Co0.15Al0.05]O2 (NCA) Cathode Containing an Aqueous Binder with CO2 Gas Treatment Using the Cavitation Effect (CTCE)," Journal of The Electrochemical Society 166, A5313–A5317 (2019) — doi.org/10.1149/2.0471903jes
15. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 炭素/Li半電池、PC/ECでの初回不可逆反応と表面膜。完成セルの放電とは区別する。 | Fong et al. 1990, original abstract [参考資料2] https://doi.org/10.1149/1.2086855 | 原著研究 |
| LiCoO2の電気化学的Li脱離。140 mAh/gの普遍的上限の根拠には使わない。 | Mizushima et al. 1980, original abstract [参考資料3] https://doi.org/10.1016/0025-5408(80)90012-4 | 原著研究 |
| スピネルへの室温Li挿入と回折による構造確認。 | Thackeray et al. 1983, original abstract [参考資料8] https://doi.org/10.1016/0025-5408(83)90138-1 | 原著研究 |
| 1991年のLIB商品化。初期負極を黒鉛と特定しない。 | Sony 2005, manufacturer announcement [参考資料14] https://www.sony.com/en/SonyInfo/News/Press/200502/05-006E/ | 企業自身の発表 |
| リチウムイオン電池の基礎が1970年代の石油危機のなかで築かれたこと。Whittinghamの二硫化チタン正極(リチウムイオンを収めるすき間を持つ)と金属リチウム負極で2 V強の電位が得られたが、金属リチウムの反応性が高く実用にならなかったこと。Goodenoughが金属酸化物の正極を予測し、1980年にリチウムイオンを含むコバルト酸化物で最大4 Vを示したこと。吉野彰が石油コークスを負極に使い1985年に最初の実用的なリチウムイオン電池を作ったこと。電極を壊す化学反応ではなくリチウムイオンが正負極を行き来することにもとづくこと。1991年に市場に登場したこと | ノーベル化学賞2019 プレスリリース[参考資料 1]https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2019/press-release/ | 事実 |
| LiFePO4が対リチウムで3.5 V、0.05 mA/cm²で比容量100〜110 mAh/g(電気化学的な抜き取りは約0.6 Liに制限)であること | Padhi ら 1997 抄録[参考資料 4]https://doi.org/10.1149/1.1837571 | 事実 |
| LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2が3.5〜4.2 Vで150 mAh/gの可逆容量を示したこと(リチウム電池での評価) | Ohzuku, Makimura 2001 抄録[参考資料 5]https://doi.org/10.1246/cl.2001.642 | 事実 |
| NMC111・NMC622・NMC811の黒鉛とのフルセルで、安定なサイクルが可能な上限がNMC111・622で4.4 V、NMC811で4.0 Vであること。NMC111が1/3ずつの組成、NMC622・NMC811の組成表記 | Jung ら 2017 抄録[参考資料 6]https://doi.org/10.1149/2.0021707jes | 事実 |
| LixC6(0≦x≦1)の相図がリチウム/黒鉛セルとin situ X線回折で求められ、希薄ステージ1、ステージ4、3、2L、2、満たされたステージ1の順に移ること | Dahn 1991 抄録[参考資料 7]https://doi.org/10.1103/PhysRevB.44.9170 | 事実 |
| BatPaCのセル構成の記述(集電体の両面に電極材料を塗る、活物質を高分子バインダーで結着、正極にカーボンブラックまたは黒鉛の導電助剤、気孔に電解液)。集電体が正極アルミ・負極銅で厚さ20 µmと12 µm。電解液がLiPF6の炭酸エステル混合溶媒(ECと、EMCまたはDMC)で添加剤が加わりうること。セパレーターがPP系の多孔質膜でPE中間層がシャットダウンの役割を持つ設計であること。パウチ形の外装がPET外層・0.1 mmアルミ中間層・PP内層の3層であること。基準工場で正極の溶媒がNMPで回収・再利用、負極は水であること。コスト内訳が活物質・炭素とバインダー・集電体・セパレーター・電解液・セル部材などに分かれること。2012年の第2版の報告書であること | Argonne国立研究所 BatPaC 報告書 ANL-12/55[参考資料 9]https://publications.anl.gov/anlpubs/2015/05/75574.pdf | 事実 |
| NCR18650BFの仕様(公称電圧3.6 V、定格容量3,200 mAh〔20℃〕、容量最小3,250・典型3,350 mAh〔25℃〕、質量最大46.5 g〔チューブなし〕、最大寸法18.24 mm×65.10 mm、エネルギー密度248 Wh/kg・677 Wh/L、チューブなしの寸法による注記)。充電電圧4.10 V時の定格容量2,835 mAh、219 Wh/kg・600 Wh/L | Panasonic Energy セル仕様書(メーカー公称)[参考資料 10]https://api.pim.na.industrial.panasonic.com/file_stream/main/fileversion/3446 | 事実 |
| 25車種のBEV(10社、2010〜2019年、中国車を除く)で、セル・モジュール・システムのエネルギー密度を比べたこと。セルからシステムへの効率の平均・最小・最大(質量あたり:角形・パウチ0.575〔0.495〜0.742〕、円筒形0.552〔0.484〜0.672〕。体積あたり:0.353〔0.168〜0.528〕、0.295〔0.247〜0.356〕)。システムは改善しているが質量あたりが体積あたりより改善が大きく、パッケージ最適化の余地があること。より大きく角形のセルへ向かう傾向 | Löbberding ら 2020 論文と表1[参考資料 11]https://doi.org/10.3390/wevj11040077 | 事実 |
| 2025年にLFPが世界のEV用電池導入量の55%超(2024年は約50%)だったこと。円筒形がソニーにより1991年に導入された最初の形であること、パウチ形・角形の特徴と採用メーカーの国。角形がEV用の60%超と大半の定置用を占めること。CTP・CTCがエネルギー密度を高める一方でリサイクルを難しくすること。NCAがNMC622・811などと並ぶ中・高ニッケルに分類されること。発行日が2026年5月20日であること | IEA Global EV Outlook 2026[参考資料 12]https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026/electric-vehicle-batteries | 事実 |
| LFPのパックがNMCのパックに比べて質量あたり約5分の1、体積あたり約3分の1エネルギー密度が低いこと。LFPは必要なとき充電状態100%まで劣化を抑えて使え、NMCは通常80%に制限されること | IEA Global EV Outlook 2025[参考資料 13]https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2025/electric-vehicle-batteries | 事実 |
| NCAの組成がLi[Ni0.8Co0.15Al0.05]O2と表記される例があること | Kimura ら 2019 論文の題名[参考資料 15]https://doi.org/10.1149/2.0471903jes | 事実 |
| LiCoO2の理論容量約274 mAh/g、実用容量の理論比約51%、黒鉛の理論容量約372 mAh/g、両極を合わせた実効値約102 mAh/g、活物質の合計質量あたり約366 Wh/kg。NCR18650BFの仕様書値の再現(3.6 V×3.2 Ah÷46.5 g≒248 Wh/kg、約17.0 mL、約677 Wh/L)、典型容量での約259 Wh/kg、4.10 V時の219÷248≒0.88倍。円筒形の平均効率を当てはめた概算約137 Wh/kg・約200 Wh/L | 本稿の計算。ファラデー定数96,485 C/mol、モル質量(Li 6.94、Co 58.93、O 16.00、C 12.01)、公称電圧3.6 V、黒鉛は理論容量をそのまま使うこと、パックの概算が異なる資料の値の掛け合わせであることは、いずれも本稿が置いた前提。これらは実在のパックの性能ではなく、活物質の値はセルの値ではない | 本稿の計算 |
| NCAの条件つき容量値、NCR18650BFの正極の組成、仕様書のエネルギー密度の計算式 | 本稿が開いた一次資料に記載を確認できなかったため、記載していない(仕様書の値は定格容量で再現できるとの本稿の計算結果のみ) | 解説 |
| 電極を3相の複合フィルムとして見る読み方。活物質を改良しても非活物質の質量が同じならセル全体の改善が小さくなること。界面が多いこと。分母の3つの確認質問。パックの数字は材料の差と設計の差の合計であること。充電の上限電圧を下げる使い方が容量との引き換えであること。円筒形・一部の角形が巻回、パウチ形などが積層であること。強みと課題の整理 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説、および推測。各社・各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| 図1・図2・図3・図5・図6が実際の観察像・設計図ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月17日。総説4件を、主張を限定した原著・企業自身の発表に置き換えました。Fong・Mizushima・Thackerayは原著の要旨で確認できる範囲に限定し、未確認の実験条件は補っていません。140 mAh/gは説明用仮定。電池の理論計算、実測値、メーカー公称、機関の集計・モデルを分けています。図は概念図で、実際の製品の写真ではありません。