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日本ゼオン 企業解説

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COMPANY PROFILE / ナノテクノロジー

日本ゼオン
― 触媒の寿命を水で延ばす「スーパーグロース法」で、単層カーボンナノチューブ(ZEONANO)を量産する素材メーカー

日本ゼオン(以下ゼオン)は、合成ゴムや光学用樹脂で知られる東京証券取引所プライム市場の化学会社です。本稿が扱うのは、その中の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)「ZEONANO」の事業に限ります。 ゼオンは、産業技術総合研究所(産総研)が2004年に見いだしたスーパーグロース法(SG法)を量産に移し、山口県の徳山工場でSWCNTを製造・販売しています。 2026年4月に徳山工場でのSWCNT増産を決め、2026年8月25日に新工場の起工式を行いました。同社は、生産能力が現行比で数十倍になる見込みで、2028年中の本格稼働を目指すと説明しています(計画)。 一方、SWCNTの売上高は決算資料で個別には開示されていません。本稿は、会社の公式発表・決算資料・製品資料と経済産業省の公開資料から、何を確認でき、何を確認できなかったかを整理し、素材技術者の視点で、SWCNTの「森」の形と純度、分散、導電ペーストへの展開が何に効くかを書きます。

構成:ゼオンの公式プレスリリース(2014年5月、2016年4月・6月、2025年5月・10月、2026年4月・8月)、2025年度決算説明資料(2026年5月13日)、中期経営計画の進捗資料(2026年6月)、ZEONANO SG101の公式製品ページと技術資料、経済産業省の蓄電池に係る供給確保計画の概要(令和8年2月17日認定)を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるゼオンと、ナノテクノロジーでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. ナノテクノロジーの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. ナノテクノロジーにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はナノテクノロジーで何を目指しているか
  9. ナノテクノロジー分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集
  13. 出典
  14. 主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるゼオンと、ナノテクノロジーでの立ち位置

正式名称日本ゼオン株式会社
(Zeon Corporation)
1950年4月12日設立。本稿の英語表記は公式サイトの Zeon Corporation に従う
本社・上場東京都千代田区丸の内
東証プライム(4205)
SWCNTの製造は山口県周南市の徳山工場。上場市場は2026年1月30日付の開示文書の表記による
この分野での類型ナノ素材メーカー主たる類型。SWCNTの粉末と分散液を製造・販売する素材側の会社
中心となる材料・用途単層CNT(ZEONANO)
電池の導電材が中心
製法はスーパーグロース法。同社はリチウムイオン電池向けを最重点と説明
全社の売上4,119億66百万円2025年度(2026年3月期)。うち高機能材料1,242億円、エラストマー素材2,237億円、その他641億円
SWCNTの売上非開示2025年度は前年度比15%減と中計資料に記載(2024年度に出荷がまとまった反動と同社が説明)。金額は非開示
新工場の計画2028年中に本格稼働
(計画)
2026年8月25日に起工式。能力は現行比数十倍の見込み(同社の説明)
経産省の認定約147億円(最大助成 約51億円)供給確保計画の認定は令和8年2月17日。助成は「最大額」で、交付額の確定は確認できていない
まず押さえるべき1点

ゼオンのSWCNTは、会社全体から見れば小さな事業で、売上は公表されていません。それでも注目される理由は、世界で初めて量産に成功したと同社が説明するSG法のSWCNTを持ち、増産のための投資を国が供給確保計画として認定したことです 事実。 2026年8月に起工した新工場は、建築面積が既存プラントよりやや小さい(既存2,200㎡、新2,000㎡)にもかかわらず、同社は新しい合成法により生産能力が数十倍になると説明しています。 ただし、この能力も、本格稼働の時期(2028年中)も、会社の計画であって未確定です。実際に電池メーカーの量産品に使われるかどうかは、同社が「本格採用を目指す」と書く段階にとどまり、採用先の社名や数量は公表されていません 未確定/将来。

2. ロゴと社名の表記について

ロゴは、ゼオンの公式サイト(zeon.co.jp)のヘッダーで公開されているコーポレートロゴ(青い「ZEON」の文字)を、そのまま取得して設置しています。生成画像による再現は行っていません。

表記の注意:社名は日本ゼオン株式会社、英語では Zeon Corporation(略称ゼオン、Zeon)です。本稿で扱うZEONANO®は、同社の単層カーボンナノチューブのブランド名で、粉末の製品名は ZEONANO® SG101 です。 なお、公式サイトにはゼオングループの国内外の関係会社が掲載されていますが、本稿ではSWCNTの製造・販売主体として確認できた日本ゼオン株式会社を扱います。

公式サイト:https://www.zeon.co.jp/

3. ナノテクノロジーの世界で、この会社はどこにいるか

ナノテクノロジーに関わる企業の4つの類型 同じ「ナノの会社」でも、つくる・加工する・製品にする・医療に使うで、強みと売り先が違う ナノ素材メーカー ナノ加工・装置 デバイス・表示 ナノ医療 ナノ素材をつくり供給 ナノ構造を作る装置 ナノ構造を製品にする ナノ粒子で薬を届ける OCSiAl/GMG ZEON/BASF ASML/Canon ASM/東京エレクトロン TSMC/Samsung 昭栄化学工業 ほか Arbutus/Genevant Acuitas/Evonik 素材の品質と量産力 装置の精度と据付基盤 量産技術と顧客基盤 特許と脂質素材の品質 用途の立ち上がりに左右 半導体の投資に左右 巨額投資の回収に左右 医薬の承認と訴訟に左右 日本ゼオンは左端の「ナノ素材メーカー」。単層CNT「ZEONANO」をスーパーグロース法で量産する 徳山工場で製造中。新工場(能力は現行比数十倍の見込み)は2028年中の本格稼働を目指す(計画)
図1 ナノテクノロジーに関わる企業の4類型と、日本ゼオンの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。ゼオンがSWCNTを量産していることは、同社の公式プレスリリースと製品ページに基づきます。

ゼオンの主たる類型はナノ素材メーカーです。従たる類型はありません。ゼオンは電池そのものを作る会社ではなく、SWCNTを素材として供給する側です(導電ペースト〔SWCNTを溶媒に分散した液〕の製造は、出資先の台湾SiATが担う関係です)。 本稿が扱う材料・工程・用途を、確認できた範囲で整理します。

材料・工程・用途ゼオンでの位置づけ確認できた一次情報区分
単層CNT(ZEONANO® SG101)の合成(SG法)本稿の中心。SG法で合成した、高純度・高比表面積・高アスペクト比のSWCNTを粉末で製造・販売公式プレスリリース、製品ページ、技術資料事実
リチウムイオン電池の導電材(導電ペースト)同社が最重点とする用途。電気自動車、ドローン、eVTOL、AIサーバー用の予備電源(BBU)、定置型蓄電(ESS)などへの展開を想定2026年4月・8月のプレスリリース、経産省の認定概要(品目は「導電助剤」)事実(会社の説明)
分散液(水・NMP)サンプルとして提供(水0.2・0.4 wt%、NMP〔N-メチル-2-ピロリドン〕0.4 wt%)公式技術資料事実
樹脂・ゴムへの添加(帯電防止など)PTFEへの微量添加などの試作例を技術資料で公開。事業規模は確認できず公式技術資料(試作品)事実(試作例)
多層CNT、グラフェン、量子ドットなど他のナノ材料同社の資料では確認できず。ゼオンのナノ材料事業は、公式サイトのCNTのページを見る限り単層CNTのみ―未確定/将来

4. 会社の規模

ゼオンは大企業で、会社全体の事業の中心は合成ゴムや光学用樹脂です。ここでは全社の規模を表1つで示し、そのうえでSWCNTについて開示されている範囲を示します 事実。

項目内容
連結売上高4,119億66百万円(2025年度=2026年3月期。前年度 4,206億47百万円)
営業利益364億円(前年度 293億円)。経常利益 400億38百万円、当期純利益 362億円
セグメント別(売上/営業利益)高機能材料 1,242億円/224億円、エラストマー素材 2,237億円/117億円、その他の事業・消去等 641億円/23億円
従業員連結 4,425名、単体 2,503名(2026年3月末)
資本金242億11百万円(2026年3月末)
研究開発費(全社)約170億円/年(2025年度実績。同社サイトの表記)
本社・上場東京都千代田区丸の内1-6-2。東京証券取引所プライム市場、コード4205
SWCNT事業で開示されている項目内容
売上高非開示。中期経営計画の進捗資料(2026年6月)に、単層CNTの「売上高CAGR〔年平均成長率〕目標(2024〜30年)127%」と「実績(2024〜25年)▲15%」が載る。▲15%は「2024年度に出荷がまとまった反動」と同社が注記。金額は載っていない
どのセグメントに含まれるか決算説明資料の範囲では確認できなかった
従業員数・研究人員非開示(全社の人員のみ)
研究開発費・設備投資全社の研究開発費は約170億円/年。SWCNT単独の研究開発費は非開示。新工場の投資額は経産省の認定概要に「必要な資金の額 約147億円」とある(計画額)
ここで注意

中期経営計画の資料(2025年6月)には、リチウムイオン電池用単層CNT「市場」の成長率(年平均72%、2024〜30年)と2030年の市場規模の数字も載っていますが、資料に「当社推計」と書かれているだけで、推計の方法も出所も示されていません。本稿は市場規模・市場成長率の数字を採用しません。 同じ資料の「単層CNTの売上高CAGR127%(2024〜30年)」は「当社計画」、つまり会社の目標です。グラフは2024年度を指数100として2030年度に指数1万を超える水準を描いており、127%は年率と読むのが自然ですが推測、説明要旨には「30年度までの売上高成長率127%」ともあり、定義は資料に明記されていません。基準となる売上高が非開示のため、金額にも直せません 未確定/将来。

5. ナノテクノロジーにかけているリソース

SWCNT事業単独の人員・投資は、ほとんど開示されていません。人・金・外部・大学の4点で、確認できたか/できなかったかを整理します。

項目確認できた内容区分
人(研究開発拠点・人員)SWCNTに従事する人員は非公表。全社の従業員は連結4,425名、単体2,503名(2026年3月末)。製造拠点は山口県周南市の徳山工場。2016年に産総研つくばセンター内に「日本ゼオン-産総研カーボンナノチューブ実用化連携研究ラボ」を設置し、人員は計10名程度とされた(当時の計画)。現在の体制は確認できなかった事実/非公表
金(研究開発費・設備投資)全社の研究開発費は約170億円/年(2025年度)。SWCNT単独の研究開発費は非開示。新工場は、経産省の認定概要に「必要な資金の額 約147億円(最大助成額 約51億円)」とある。同社は、2026年度までに新規投資1,500億円を投じる計画(全社)が「現段階では計画額を消化する見込み」と説明(この中にSWCNTの新工場が含まれるかは資料に明記なし)事実/非開示(個別額)
外部への出資・買収・合弁・事業売却台湾の導電ペーストメーカー Sino Applied Technology(SiAT)に出資(2025年5月に基本合意、同年8月に投資契約、10月30日に発表)。シリーズC(総額US$22 million)の主導投資家で、取締役を派遣。ゼオンの出資額・持株比率は確認できなかった。SWCNT分野での買収・合弁・事業売却は確認できなかった事実/確認できず(出資額・合弁)
大学・研究機関・公的資金産総研:SG法を2004年に開発した研究機関で、ゼオンと量産技術を共同開発。NEDOのプロジェクト(CNTキャパシタ開発プロジェクト 2006〜2010年度、革新的CNT複合材料の開発 2010〜2013年度)に参加。経産省の2009年度補正予算で、ゼオンと産総研が実証プラントを建設(2011年)。2026年は、経産省の供給確保計画の認定に基づく助成金の交付を希望(最大約51億円)。海外の大学・研究機関との共同研究は、資料に具体名がなく確認できなかった(安全性の研究では国内外の大学・公的機関と共同研究と記載)事実/確認できず(海外)

主要な製品・設備の状況

製造能力(トン/年)は非開示で、「現行比で数十倍」という相対値だけが示されています。電池換算の数字(GWh/年)は経産省の認定概要に載る計画値で、現行の能力ではありません。

製品・設備場所規模段階日付・出典
SG法SWCNTの実証プラント産総研つくばセンター非開示2011年に建設。2014年時点で産総研とゼオンが運転し、サンプルを提供と説明(現在の稼働は確認できなかった)2014年5月15日のプレスリリース
SWCNT量産プラント(既存)徳山工場(山口県周南市)能力は非開示。建築面積 2,200㎡稼働(2015年11月に竣工、同社は世界初のSG法量産工場と説明)。同社サイトは2016年に商業生産を開始と記載2016年4月7日のプレスリリース、2026年6月の中計資料、公式製品ページ
SWCNT新工場(新ライン)徳山工場の敷地内生産能力は現行比で数十倍の見込み。建築面積 2,000㎡。経産省の認定概要では蓄電池128 GWh/年相当建設開始(2026年8月25日に起工式)。本格稼働は2028年中の計画(認定概要の供給開始は2028年12月)。未確定/将来2026年4月24日・8月25日のプレスリリース、経産省の認定概要
ZEONANO® SG101(粉末)・分散液―荷姿:粉末は1 kg(ファイバードラム)と10 g(PEボトル)販売(粉末)/サンプル(分散液)公式技術資料
SiATの導電ペースト生産能力台湾年5,000トン→2030年までに25,000トン(SiATの計画。未実施の増強を含む)SiATの計画。ゼオンは主要な供給元として支援2025年10月30日のプレスリリース

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
1991年飯島澄男氏がカーボンナノチューブを報告(Nature 354, 56–58)CNTの出発点(学術論文)
2004年産総研の畠賢治氏らが、微量の水を加えて触媒の寿命を延ばすSG法を報告(Science 306, 1362–1364)。2003〜2005年度のNEDO「ナノカーボン応用製品創製プロジェクト」で、産総研がSG法の基盤技術を開発したと同社が説明後のZEONANOの合成法の出発点
2006〜2013年度NEDOのCNTキャパシタ開発プロジェクト(2006〜2010年度)、革新的CNT複合材料の開発(2010〜2013年度)に参加量産技術と用途の公的な開発
2011年経産省の2009年度補正予算で、産総研とゼオンが量産実証プラントを建設。サンプル提供で技術の普及を開始量産の前段階
2014年5月徳山工場内にSG法による高品位SWCNTの工場を建設すると発表(量産は2015年度後半の予定)量産への投資決定
2015年11月徳山工場内の量産工場が竣工し、稼働を開始(11月4日発表)。同社は世界初のSG法SWCNTの量産工場と説明量産の開始(同社の説明)
2016年3〜4月「スーパーグロースカーボンナノチューブ量産技術完成」で、産総研とともに、日刊工業新聞社の第45回日本産業技術大賞の審査委員会特別賞を受賞(同社の受賞歴の記載は2016年3月、プレスリリースは4月7日)外部の表彰
2016年6〜7月「日本ゼオン-産総研カーボンナノチューブ実用化連携研究ラボ」を設置(2016年7月1日付、つくばセンター)次世代合成法と低コスト化の研究
2025年5月SiATへの出資に基本合意(5月26日発表)。6月、中計STAGE30(第3フェーズ、2025〜2028年度)で単層CNTを次期成長ドライバに位置づけ電池用導電ペーストへの展開
2025年8月・10月SiATと投資契約(8月)、出資を発表(10月30日)。シリーズC(総額US$22 million)を主導ペーストメーカーとの垂直統合の第一歩(同社の説明)
2026年2月17日経産省が、導電助剤(SWCNT)の生産基盤整備を、蓄電池に係る供給確保計画として認定(認定番号 2025蓄電池第9号-1)国による増産投資の位置づけ
2026年4月24日徳山工場でのSWCNT増産を決定と発表(能力は現行比数十倍の見込み、2028年中の本格稼働を目指す)能力増強の意思決定
2026年8月25日新工場の起工式(出席44名)。「既存と同規模の施設で、能力は現行の数十倍」と発表建設の開始(稼働は計画)

7. 今後の計画

新工場の本格稼働2028年中
(計画)
経産省の認定概要は供給開始2028年12月。能力は現行比で数十倍の見込み(同社の説明)
中期経営計画STAGE30
(2025〜2028年度)
単層CNTを「次期成長ドライバ」に位置づけ。対象市場の成長を上回る成長を目指すと説明
売上高の目標2024〜30年度のCAGR 127%
(当社計画)
基準の売上高が非開示で、金額には直せない。推計の市場成長率は本稿で採用しない
電池向けの採用導電ペーストで
本格採用を目指す
2026年6月の中計資料の表現。採用先・数量は非公表

ゼオンは、新工場に「既存の製法をさらに進化させた独自製法」を採用し、生産効率と品質を高めると説明しています。中計の資料では、新プラントを「合成技術のブレイクスルー」と表現し、既存プラントより建築面積が小さいのに能力は数十倍としています。一方、この新製法の中身(反応条件、触媒、歩留まりなど)は公開されていません 未確定/将来。

能力の倍率の表記について、日本語のリリースは4月24日・8月25日とも「数十倍」です。一方、英語版は8月25日が「tens of times」、4月24日が「more than tenfold(10倍超)」と書いており、4月の英語版だけ表現が異なります。本稿は、日本語のリリースと8月の英語版に合わせて「数十倍」と書き、倍率の実数値は公表されていないものとして扱います。

確認できなかったこと

次はいずれも一次資料に記載がありません 未確定/将来。

SWCNTの売上高(金額)と製造能力(トン/年)/新工場の能力の絶対値/新製法の内容/新工場の最終的な投資額(認定概要の約147億円は「必要な資金の額」で、同社が確定額として示した数字ではない)/助成金の交付額の確定/採用している電池メーカー名と量産採用の時期/SiATへの出資額・持株比率/現行のSG101の製造歩留まり/海外の大学・研究機関との共同研究/製品の各地域の化学物質規制上の登録状況。

8. この会社はナノテクノロジーで何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
SWCNTをリチウムイオン電池の導電材として、国内生産の素材で伸ばそうとしているプレスリリース:電池向けを最重点と説明。中計資料:国内で製造し地政学リスクが低いと記載。経産省が供給確保計画を認定(品目は導電助剤)事実(会社の説明)
素材の販売にとどまらず、ペースト(分散液)の側まで押さえて、電池メーカーとの接点を確保しようとしている中計資料:SiATへの資本参加による垂直統合(原料→導電ペースト)を販売計画に記載。2025年10月の発表:SiATの主要な供給元として粉末の増産を計画事実(会社の説明)
当面の成長の鍵は、能力増強そのものより、電池メーカーの量産品に採用されるかにある2026年6月の中計資料は「導電ペーストで本格採用を目指す」と書く段階。2025年度の単層CNTの売上高は前年度比15%減(2024年度の出荷が塊で入った反動と同社が説明)。出荷が顧客ごとの案件で大きく動く性質が読み取れる推測
新工場は、既存の延長ではなく、製法を変えた「世代交代」の位置づけである2026年4月・8月のプレスリリース:既存製法をさらに進化させた独自製法。中計資料:面積が小さいのに能力は数十倍推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

「当面の鍵は採用されるかどうか」と読む根拠は、数字の出方です。2025年度の単層CNTの売上高は前年度から15%減ったと中計資料にあります。同社は、2024年度に出荷がまとまった反動と注記しており、市場の縮小ではなく、納入が案件ごとに塊で動くことを示唆します。 一方で、同じ資料は2024〜30年度の売上高CAGRを127%(当社計画)としており、基準が非開示のため金額は読めないものの、現在の売上規模が小さく、計画が大きな採用に依存していると考えるのが自然です。 さらに新工場の能力は現行比で数十倍ですから、能力の増強が先行し、需要の確定が後から来る構図になります。 これは公式資料の記述を組み合わせた本稿の解釈であり、ゼオンが採用の見通しをどの程度持っているかは、公式資料では確認できません 未確定/将来。

9. ナノテクノロジー分野の提携マッピング

日本ゼオンを中心とした、共同開発・供給・出資・助成の関係 同社の公式資料と経産省の公開資料に記載のある関係のみ。電池メーカー名は公表されていない 共同開発・公的プロジェクト 供給 出資・助成 ゼオン 単層CNT 産総研(AIST) SG法の開発・量産技術・連携ラボ NEDO CNTのプロジェクト(2006〜2013年度) 経済産業省 2026年2月 供給確保計画を認定 SiAT(台湾) 導電ペースト。SWCNT粉末の供給と 2025年10月の出資(取締役派遣) SiATのペーストを評価している電池メーカーは、同社の発表では社名が示されていない 本図に示した関係は、共同開発・供給・出資・助成の別を線の種類で表したもの
図2 日本ゼオンを中心とした共同開発・供給・出資・助成の関係。出典:ゼオンの公式プレスリリース(2014年5月、2016年4月・6月、2025年5月・10月、2026年4月・8月)、経産省の供給確保計画の概要。図に含めたのは、公式資料に書かれている関係だけです。SiATは供給と出資の2本の線で示しています。

ゼオンの関係の特徴は、公的な研究機関との長い共同開発(産総研、NEDO)と、国の認定による増産支援、そして電池用ペーストの会社への出資の3本柱です。電池メーカーとの取引は、同社の発表では社名が伏せられています。 SiATのペーストが「多くの電池メーカーの関心を集め、評価を受けた」「エネルギー出力とサイクル寿命の改善を確認し、追加の性能試験を実施中」と同社は書いていますが、評価の条件・数値・メーカー名は非公開です 未確定/将来。

10. 提供している技術・製品・サービス

以下は、ゼオンの公式の製品ページ・技術資料・プレスリリースの記述です。数値は同社の「Typical Properties(代表値)」で、資料に「保証値ではない」と書かれたものです。測定法・試験条件が資料に書かれていない項目は「記載なし」と示します 事実。

製品・用途同社資料の記述(メーカー公称)
ZEONANO® SG101(SWCNT粉末)黒色の粉末。比表面積 1,100 m²/g超、フォレスト内の長さ 300〜500 μm、平均直径 3〜5 nm、不純物(金属を含む)500 ppm未満、炭素純度 99%以上(いずれも代表値。比表面積の測定法・試料の前処理は記載なし)。荷姿は1 kg(150リットルのファイバードラム)と10 g(PEボトル)。SG法で合成したSWCNTで、「長い」「比表面積が大きい」「純度が高い」を特長とする
SG101の分散液(サンプル)水中(CNT 0.2・0.4 wt%)とNMP中(0.4 wt%)の分散液をサンプルとして提供
PTFE複合材(試作 PL001TF-RD)PTFEにSG101を0.05 wt%加えると、体積抵抗率が4.6×10³ Ω·cm(PTFE単体は10¹⁵ Ω·cm超。カーボンブラック2 wt%の例は1.9×10⁴ Ω·cm)。引張強さはPTFEを100%として96%(カーボンブラック配合は53%)。超純水に85℃で24時間浸漬したTOC(全有機炭素)は100 μg/L未満、34元素の溶出は検出限界(0.1 ppb)以下。用途は半導体製造装置の部品を想定(試作段階で、事業規模は確認できず)
SG101シートのテラヘルツ波吸収バインダーなしのSG101シート(厚さ163 μm、導電率11 S/cm)が、200 GHz超の広い帯域で吸収を示したとする(THz-TDS/透過法)。用途はBeyond 5G/6Gのノイズ対策、実験用の電磁波吸収箱など
CNTシートによるリチウムデンドライト(樹枝状結晶)の抑制産総研との協力。リチウム金属/SGCNTシートの対称セルで、電流密度10 mA/cm²・容量密度10 mAh/cm²の加速試験において、シートを入れたセルは200時間後も過電圧が安定したとする(セルの詳細は記載なし)
安全性・環境の試験結果の公開ヒト健康(皮膚刺激、変異原性、ラット13週間の吸入など)と環境(藻類・ミジンコ・魚類の急性・慢性毒性、生分解性など)について、OECDテストガイドラインに基づく試験の結果を一覧で公開。大学・公的機関との共同研究でCNTの分解挙動も調べると記載。個々の結果の解釈や、他のCNTへの一般化は本稿では行わない
素材技術者の視点:SWCNTの「森」の形と純度が、導電材としての性能をどう決めるか

(1) 合成法:触媒の寿命を延ばして、垂直に育った「森」を作る。 SG法は、CNTを化学気相成長法(CVD)で合成する際に、微量の水(ppmオーダー)を加えて、通常は数秒の触媒の寿命を数十分に延ばす方法です。産総研の解説(AIST TODAY 2007年6月号)によれば、触媒から単層CNTが超高密度で基板に垂直にそろって伸び、「フォレスト(森)」と呼ばれる構造になります。同解説は、2004年に10分間で高さ2.5 mmのフォレストを得たこと、未精製の状態で触媒金属の濃度が0.013%以下だったことを記しています(産総研の研究室での結果で、ゼオンの量産品の値ではありません。論文は Science 306, 1362 〔2004年〕)。 ゼオンは、量産品のフォレストの高さを300〜500 μmと公称します。同社サイトはSG法で生産性が1,000倍以上になったと説明しますが、これは同社の説明で、比較の基準条件は書かれていません。

(2) 純度:触媒金属の残りが少ないことが、電池では意味を持つ。 同社は、SG101は金属触媒の残渣が極めて少なく、電解液と反応しないことが電池の電極に向く理由だと説明します(公称は不純物500 ppm未満)。 電池の電極では、触媒金属が電位の変化に伴って溶け出したり副反応を起こしたりしうる、というのが一般的な理由づけです(本稿の一般的な整理で、SG101の個別の試験結果ではありません)。

(3) 長さと細さ:少量で電気の通り道ができる。 チューブが長く細い(高アスペクト比)ほど、少ない量でも互いにつながって導電のネットワークを作ります。PTFEの試作例では、SG101を0.05 wt%加えるだけで体積抵抗率が桁違いに下がり、カーボンブラック2 wt%の例より低い値でした(同社の試作条件の値で、他の材料との一般的な優劣を示すものではありません)。 一方で、強い力で混ぜるとチューブが切れて短くなる、束になって解けにくいといった難しさがあるのは、CNT一般の課題です(本稿の一般的な整理)。ゼオンが電池向けでペースト(分散液)の会社と組む背景には、粉末の性能を、均一に解いて塗れる液にして初めて引き出せるという事情があると考えられます 推測。

(4) 比表面積:束がどれだけ解けているかの目安。 CNTの外表面の理論比表面積は、直径や束の太さで決まり、束が太いほど小さくなる、と計算されています(Peigneyら、Carbon 39, 507 〔2001年〕)。 ゼオンが1,100 m²/g超と公称するのは、束が細く、チューブがかなりばらけた状態に近いことと整合する読みですが、測定法が書かれていないため、他社の値との直接比較はできません 推測。詳しくは、本シリーズの技術解説『カーボンナノチューブ』『グラフェン』を参照してください。

用途の限定に注意。上の試作例(PTFE、THz吸収シート、デンドライト抑制)は、いずれも同社が技術資料で示した試作・研究段階の例で、量産品の仕様ではありません。電池用の導電ペーストについて、同社は「性能の改善を確認し、追加の性能試験を実施中」と書くにとどまります。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
需要の立ち上がり(採用の不確実性)電池向けの本格採用は「目指す」段階。2025年度の単層CNTの売上は前年度比15%減(2024年度の出荷が塊で入った反動と同社が説明)。採用先・数量は非公表事実/推測
能力先行の投資新工場の能力は現行比数十倍の計画。需要が計画に届かなければ稼働率が下がりうる。同社の資料に、稼働率や償却の見通しは書かれていない未確定/将来
新製法の立ち上げ新ラインは「既存製法をさらに進化させた独自製法」を初めて量産で使う。歩留まり・品質の立ち上がりは、公式資料では確認できない推測
販路の集中(SiAT)SiATは台湾のスタートアップで、ゼオンは「主要な供給元」として粉末を増産する計画。SiATの顧客の評価結果が、ゼオンの売上に直結しうる構図。SiATの財務は本稿では確認していない推測
助成金・認定の条件経産省の認定は計画の認定で、「最大助成額 約51億円」は上限。交付額の確定や、計画の変更の扱いは確認できなかった事実/未確定/将来
競合・価格同社は他社の単層CNTからのシェア獲得を目標に掲げ、「価格政策」を挙げる。競合の動向と価格は同社の資料に具体的に書かれておらず、本稿は他社との優劣を評価しない事実(会社の説明)
規制・安全の位置づけゼオンは試験結果を公開するが、CNTの扱いは地域ごとの化学物質規制やナノ材料の定義の動向に左右される。ゼオンのSWCNTの各地域での登録・届出の状況は、公式資料で確認できなかった。「ナノだから安全/危険」とは一般化できない(本シリーズの技術解説『ナノ材料の定義と規制』を参照)未確定/将来
全社の収益構造全社の売上の過半は合成ゴム等のエラストマー素材。SWCNTは全社の中では小さい事業で、経営判断では全社の原料価格・市況の影響を受ける。同社は2026年5月の説明で、原料価格の高止まりなどへのサーチャージでの対応を述べている事実(会社の説明)

12. 用語集

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)
炭素の原子が六角形に並んだ1枚のシートを、筒状に丸めた構造。直径は数nmで、長さは直径の数万倍以上になりうる。
スーパーグロース法(SG法)
CNTの合成中に微量の水を加え、触媒の寿命を延ばしてチューブを高く育てる合成法。産総研が2004年に報告した。
フォレスト
基板の上に、チューブが同じ向きにそろって立ち上がった集合体。ゼオンは高さ300〜500 μmと公称。
化学気相成長法(CVD)
炭素を含むガスを高温で触媒に当て、CNTを成長させる合成法の総称。
比表面積(BET)
1 gあたりの表面積(m²/g)。ガスの吸着量から求める。測定条件で値が変わる。
導電助剤・導電ペースト
電池の電極の中で、電気の通り道を作る添加材。ペーストは、導電助剤を溶媒に分散させた液。
浸透しきい値
添加材がつながって、材料全体が電気を通すようになる最小の量。細長い材料ほど小さくなる。
BBU・ESS
BBUは、AIサーバーなどの予備電源の電池モジュール。ESSは、再生可能エネルギーなどを蓄える定置型の蓄電システム。
蓄電池に係る供給確保計画
経済安全保障推進法に基づき、国が重要物資の安定供給の計画を認定し、支援する制度。ここでは経産省が認定した計画。
NMP
N-メチル-2-ピロリドン。電池の電極の製造などで使われる有機溶媒。
CAGR
年平均成長率。ゼオンの資料では2024〜30年の売上高の計画に使われている。
メーカー公称/代表値
メーカー自身が示す性能値。測定法・試料・条件が一緒でないと、他の製品と比べられない。
Zeonの構造・工程を示す解説画像
図3 ZEONANOの原料となる単層CNTの「森」から粉末を回収する場面を表した概念図。基板上でそろって育ったチューブを削ぎ取り、粉末にするまでの流れ(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. 日本ゼオン 新工場の起工式のプレスリリース(2026年8月25日)。建設開始、能力は現行比数十倍の見込み、2028年の本格稼働予定、経産省認定。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260825.pdf
  2. 日本ゼオン 単層カーボンナノチューブの増産決定のプレスリリース(2026年4月24日)。新製法、SiAT出資、中計での位置づけ。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260424.pdf
  3. 日本ゼオン Sino Applied Technology社への投資のプレスリリース(2025年10月30日)。シリーズC、取締役派遣、SiATの増産計画。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/251030.pdf
  4. 日本ゼオン Sino Applied Technology社への投資の基本合意のプレスリリース(2025年5月26日)。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/250526-2.pdf
  5. 経済産業省 供給確保計画の概要(日本ゼオン株式会社、令和8年2月17日認定、認定番号 2025蓄電池第9号-1)。品目は導電助剤、供給開始2028年12月、128 GWh/年相当、必要な資金約147億円、最大助成額約51億円。 https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/battery/battery_41_1.pdf
  6. 経済産業省 蓄電池(経済安全保障)のページ。認定供給確保計画の一覧(日本ゼオンは41番、令和8年2月17日認定、最大助成額約51億円)。 https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/battery/index.html
  7. 日本ゼオン 2025年度 決算説明会 説明資料(2026年5月13日)。セグメント別の売上高・営業利益、成長投資の進捗。 https://www.zeon.co.jp/ir/financial/bs/pdf/260513.pdf
  8. 日本ゼオン 2025年度 決算報告 説明内容(2026年5月13日開催)。単層CNTの増設、1,500億円の新規投資計画の進捗。 https://www.zeon.co.jp/ir/financial/bs/pdf/260529.pdf
  9. 日本ゼオン 中期経営計画第3フェーズ(2025〜2028年度)進捗 説明資料(2026年6月)。単層CNTの新プラント、売上高CAGRの目標と実績。 https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/260610.pdf
  10. 日本ゼオン 中期経営計画第3フェーズ(2025〜2028年度)説明資料(2025年6月11日)。単層CNTの差別化要因、SiAT出資、当社推計・当社計画の表記。 https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/250611.pdf
  11. 日本ゼオン 中期経営計画第3フェーズ(2025〜2028年度)説明要旨(2025年6月27日)。単層CNTの成長率の説明、国内製造と地政学リスク。 https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/250627.pdf
  12. 日本ゼオン 会社概要(公式サイト)。設立、資本金、連結売上高、従業員数(2026年3月末)。 https://www.zeon.co.jp/company/profile/
  13. 日本ゼオン 数字で見るゼオン(公式サイト)。研究開発費約170億円/年(2025年度実績)。 https://www.zeon.co.jp/company/special/data/
  14. 日本ゼオン 2026年1月30日付の開示文書。社名、代表者、コード番号4205、東証プライム市場の表記。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260130.pdf
  15. Zeon Corporation Carbon Nanotube(公式サイトの英語ページ)。ZEONANO SG101の特長、代表値、SG法の説明、安全性への取り組み。 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/carbonnanotube/
  16. Zeon Corporation ZEONANO SG101 / Powder, Dispersion(技術資料)。代表値(保証値ではない)、荷姿、分散液サンプル。 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_001.pdf
  17. Zeon Corporation ZEONANO SG101 / PTFE composites(技術資料)。0.05 wt%添加の体積抵抗率、機械特性、清浄度の試験。 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_003.pdf
  18. Zeon Corporation ZEONANO SG101 Dispersion / Terahertz Wave Absorption(技術資料)。 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_004.pdf
  19. Zeon Corporation CNT Sheet / Inhibiting Lithium Dendrite(技術資料)。産総研との協力。 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_002.pdf
  20. Zeon Corporation Safety of ZEONANO SG101(技術資料)。OECDテストガイドラインによる試験結果の一覧。 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_006.pdf
  21. 日本ゼオン 「スーパーグロースカーボンナノチューブ量産技術完成」が第45回日本産業技術大賞の審査委員会特別賞を受賞(2016年4月7日)。2015年11月の量産工場の竣工。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/160407.pdf
  22. 日本ゼオン 世界初のスーパーグロースCNT量産プラントの稼働のプレスリリース(2015年11月4日)。NEDOプロジェクトの成果、2011年からのサンプル提供。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/151104.pdf
  23. Zeon Corporation 受賞歴(公式サイトの英語ページ)。日刊工業新聞社の第45回日本産業技術大賞 審査委員会特別賞(2016年3月)。 https://www.zeon.co.jp/en/company/award/
  24. 日本ゼオン/産総研 「日本ゼオン-産総研カーボンナノチューブ実用化連携研究ラボ」の設立(2016年6月3日)。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/160603.pdf
  25. 日本ゼオン カーボンナノチューブ製造プラントの建設の発表(2014年5月15日)。NEDOプロジェクト、2011年の実証プラント。 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/140515.pdf
  26. 産業技術総合研究所 AIST TODAY 2007年6月号 畠賢治「スーパーグロース:画期的な単層CNT合成技術」。水の添加、触媒寿命、フォレスト、純度。 https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol07_06/vol07_06_p24_p25.pdf
  27. 論文 Hata K. et al., Water-Assisted Highly Efficient Synthesis of Impurity-Free Single-Walled Carbon Nanotubes, Science 306, 1362–1364(2004年)。DOIはCrossrefで確認。 https://doi.org/10.1126/science.1104962
  28. 論文 Iijima S., Helical microtubules of graphitic carbon, Nature 354, 56–58(1991年)。DOIはCrossrefで確認。 https://doi.org/10.1038/354056a0
  29. 論文 Peigney A. et al., Specific surface area of carbon nanotubes and bundles of carbon nanotubes, Carbon 39, 507–514(2001年)。DOIはCrossrefで確認。 https://doi.org/10.1016/S0008-6223(00)00155-X
  30. 日本ゼオン 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.zeon.co.jp/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
ゼオンが単層CNT(ZEONANO)をSG法で製造・販売すること、2015年に世界で初めてSG法のSWCNT量産に成功したとの同社の説明、徳山工場での製造事実(会社の説明)出典2・1・15 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260424.pdf https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260825.pdf https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/carbonnanotube/
2026年4月24日の増産決定、2026年8月25日の起工式(出席44名)、新工場は既存と同規模で能力は現行比数十倍の見込み、2028年中の本格稼働を目指す、新製法の採用事実(会社の説明)出典2・1 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260424.pdf https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260825.pdf
新プラントの建築面積2,000㎡(既存2,200㎡)、「合成技術のブレイクスルー」の表現、導電ペーストでの本格採用を目指すこと、単層CNTの売上高CAGR目標127%(当社計画)と実績▲15%(2024年度に出荷がまとまった反動)、次期成長ドライバの位置づけ事実(会社の説明)出典9・10 https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/260610.pdf https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/250611.pdf
市場成長率72%と市場規模が「当社推計」と資料に記載されていること(本稿は不採用)、127%の定義(グラフは2024年度を指数100とする)、他社の単層CNTからのシェア獲得の方針、CNT繊維長の比較(当社推計)、国内製造で地政学リスクが低いとの説明事実(会社の説明)出典10・11 https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/250611.pdf https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/250627.pdf
経産省の供給確保計画の認定(令和8年2月17日、認定番号 2025蓄電池第9号-1)、品目は導電助剤、供給開始2028年12月、蓄電池128 GWh/年相当、必要な資金約147億円、最大助成額約51億円、希望する支援措置は助成金交付事実出典5・6 https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/battery/battery_41_1.pdf https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/battery/index.html
経産省の認定を受け助成金を受ける予定との同社の説明、2026年度までの新規投資1,500億円の計画が計画額を消化する見込みであること、2025年度の実績(売上高4,120億円、営業利益364億円、純利益362億円)、SWCNTの増設を決定との説明事実(会社の説明)出典8・7 https://www.zeon.co.jp/ir/financial/bs/pdf/260529.pdf https://www.zeon.co.jp/ir/financial/bs/pdf/260513.pdf
全社の連結売上高4,119億66百万円、従業員(連結4,425名・単体2,503名)、資本金242億11百万円、設立1950年4月12日、研究開発費約170億円/年事実出典12・13 https://www.zeon.co.jp/company/profile/ https://www.zeon.co.jp/company/special/data/
セグメント別の売上高(高機能材料1,242億円、エラストマー素材2,237億円、その他641億円)と営業利益(224億円、117億円、23億円)事実出典7 https://www.zeon.co.jp/ir/financial/bs/pdf/260513.pdf
東京証券取引所プライム市場、コード4205、本社の所在地(東京都千代田区丸の内1-6-2)事実出典14・2 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260130.pdf https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260424.pdf
SiATへの出資(2025年5月の基本合意、8月の投資契約、10月30日の発表)、シリーズCの総額US$22 million、取締役の派遣、SiATのペースト生産能力を5,000トンから2030年までに25,000トンへ(未実施の増強を含む)、ゼオンが主要供給元として粉末を増産、SiATのペーストの評価と追加試験事実(会社の説明)出典3・4 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/251030.pdf https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/250526-2.pdf
SG101の代表値(比表面積1,100 m²/g超、フォレスト300〜500 μm、平均直径3〜5 nm、不純物500 ppm未満、炭素純度99%以上)、代表値は保証値ではないこと、荷姿、分散液サンプル、SG法で生産性が1,000倍以上との説明事実(会社の説明)出典15・16 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/carbonnanotube/ https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_001.pdf
PTFE複合材(0.05 wt%で体積抵抗率4.6×10³ Ω·cm、カーボンブラック2 wt%の例との比較、引張強さ96%、TOCと34元素の試験)事実(会社の説明)出典17 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_003.pdf
SG101シートのテラヘルツ波吸収(厚さ163 μm、導電率11 S/cm、200 GHz超)、リチウムデンドライト抑制のCNTシート(産総研との協力)事実(会社の説明)出典18・19 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_004.pdf https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_002.pdf
OECDテストガイドラインによる安全性・環境の試験結果の公開、大学・公的機関との共同研究事実(会社の説明)出典20・15 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/pdf/INDEX_006.pdf https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/carbonnanotube/
産総研の畠賢治氏らによるSG法の開発(2004年)、水の添加、触媒寿命、フォレスト、2004年に10分で高さ2.5 mm、未精製で触媒金属0.013%以下(産総研の研究室での結果)事実出典26・27 https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol07_06/vol07_06_p24_p25.pdf https://doi.org/10.1126/science.1104962
飯島澄男氏によるカーボンナノチューブの報告(1991年)、CNTの構造の説明事実出典28・15 https://doi.org/10.1038/354056a0 https://www.zeon.co.jp/en/business/enterprise/nanotube/carbonnanotube/
CNTの外表面の理論比表面積が直径と束の太さで決まること事実出典29 https://doi.org/10.1016/S0008-6223(00)00155-X
NEDOプロジェクトへの参加(2006〜2010年度、2010〜2013年度)、経産省の2009年度補正予算による2011年の実証プラント、2014年5月の徳山工場での工場建設の発表、量産は2015年度後半の予定事実出典25 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/140515.pdf
2015年11月の量産工場の竣工と稼働(11月4日発表)、2003〜2005年度のNEDOプロジェクトでの産総研のSG法基盤技術の開発、日刊工業新聞社の第45回日本産業技術大賞の審査委員会特別賞の受賞(2016年)事実(会社の説明)出典22・23・21 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/151104.pdf https://www.zeon.co.jp/en/company/award/ https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/160407.pdf
日本ゼオン-産総研カーボンナノチューブ実用化連携研究ラボの設立(2016年7月1日付、つくばセンター、人員10名程度)事実出典24 https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/160603.pdf
ロゴ画像は公式サイトのヘッダーで公開されているコーポレートロゴを取得事実出典30 https://www.zeon.co.jp/
SWCNTの売上高(金額)と製造能力(トン/年)、新工場の能力の絶対値、新製法の内容、新工場の最終投資額、助成金交付額の確定、採用している電池メーカー名と量産採用の時期、SiATへの出資額・持株比率、SWCNTのセグメント区分、海外の大学・研究機関との共同研究、各地域の化学物質規制上の登録状況未確定/将来(確認できず)出典7・9 https://www.zeon.co.jp/ir/financial/bs/pdf/260513.pdf https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/260610.pdf
「当面の成長の鍵は電池メーカーの量産品への採用」「新工場は製法を変えた世代交代」「ペースト側との連携の背景は、粉末を均一に解いた液にして性能を引き出すこと」「束のばらけ具合と比表面積の読み」「販路の集中」「新製法の立ち上げリスク」推測出典9・2・3 https://www.zeon.co.jp/ir/library/midtermplan/pdf/260610.pdf https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260424.pdf https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/251030.pdf
ゼオンを「ナノ素材メーカー」の類型とする区分と、4類型の整理本稿の計算本稿による整理・計算(技術説明は一般的な解説であり、同社の個別製品の値ではない。本シリーズの技術解説を参照)
SWCNTの全社に占める位置づけ、導電材・分散・純度に関する技術説明(一般的な解説)本稿の計算本稿による整理・計算(技術説明は一般的な解説であり、同社の個別製品の値ではない。本シリーズの技術解説を参照)

最終更新:2026年10月9日/Troy Technical
本稿の内容は、ゼオンの公式プレスリリース・決算説明資料・中期経営計画の資料・技術資料と、経済産業省の公開資料に基づきます。調査会社の市場推計や報道ベースの数値は使用していません(中計資料にある「当社推計」の市場数値も採用していません)。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。製品の特長と性能値は同社の説明(代表値)で、保証値ではありません。会社の計画・目標は未確定で、実現を保証するものではありません。本稿は、材料の取扱い・安全、投資の判断について、読者個人に助言するものではありません。