TECHNOLOGY EXPLAINER
原子層堆積(ALD)
― 「飽和したら止まる」反応を積み重ねて、膜厚を回数で決める
ALDは、2種類のガスを交互に流し、それぞれが表面で飽和したら止まる反応を繰り返して膜をつくる方法です。1サイクルで増える膜厚(GPC)はおよそ0.1 nm前後で、膜厚はサイクル数で決まり、3次元の深い構造にも均一に被覆できます。一方、1サイクルに数秒かかる実験室の例では、5 nmの膜に30分以上かかります。この記事は、仕組み、前駆体と反応物、熱とプラズマ、選択ALD、用途、そして時間の課題を、数字の出所を分けて整理します。

- 原子層堆積(ALD)とは何か(3行でつかむ)
- 自己制限反応とサイクル
- 膜厚はサイクル数で決まる ― ALDウィンドウ
- 前駆体と反応物 ― 何を、どう組み合わせるか
- 熱ALDとプラズマALD
- 3次元構造への被覆
- 選択ALD(領域選択的堆積)
- 用途 ― high-kゲート絶縁膜、DRAM、スペーサー、バリア層
- スループットの課題 ― 本稿の計算
- 数字の読み方
- 課題・限界/用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
成長速度・膜質の数値は、何を測った値か(測定法)、どの装置・条件か(温度・パルス・基板)、どの水準か(実験室/量産)とセットで書きます。企業の記述は「メーカー公称」として区別し、市場規模などの調査会社の推計は使いません。
半導体製造の成膜技術の原理と評価の解説です。前駆体(ガス・蒸気)には毒性・自然発火性・腐食性のものがあり、取扱いは供給者の安全データシート(SDS)と法令によります。この記事は取扱いの助言ではなく、特定の企業・装置・国の優劣を述べるものでもありません。
1. 原子層堆積(ALD)とは何か(3行でつかむ)
ALDは、「2種類の反応物を交互に表面へ供給し、それぞれの反応が表面で飽和して止まることを利用して、膜を原子層に近い単位で積む方法」です。『エッチング』編が「削る」なら、これは「均一に積む」工程です。
- 定義:Puurunen(2005年の総説)は、ALDを「連続した自己終結的な気相-固相反応にもとづく化学気相成長の一手法」とし、約40年にわたり、ナノメートルまでの厚さのコンフォーマル(形状に沿う)な無機膜をつくるのに使われてきたと説明しています事実
- 用途の幅:ASM Internationalは、high-kメタルゲート、パターニング用のスペーサー誘電体、MIMキャパシタ、ゲートスペーサー、高アスペクト比の隙間埋めなどを挙げています(メーカーの説明)事実
- 2025年はGAA(ゲート・オール・アラウンド)の立ち上がり年:ASMは年次報告(2025年)で、GAAの3次元構造と厳しい制御要求により、追加のALD工程が増えると述べています(メーカーの記述)事実
ALDは「回数で厚さを決める」ので、厚さは精密に制御できますが、そのぶん時間がかかります。 Al2O3(TMA/水)は約1.1 Å/サイクル、TiN(TiCl4/NH3)は約0.47 Å/サイクルで、いずれも実験室の報告値です事実。 後者の実験室の装置では、1サイクルが19.5秒で、5 nmのTiNに約35分かかる計算になります本稿の計算。 精度と速さを両立させる工夫が、装置と材料の両方で進められています。
本シリーズでは、『リソグラフィとEUV』編でマルチパターニングのスペーサー膜、『レジストとフォトマスク』編で乾式レジスト(堆積で作る膜)に触れました。これらの膜を実際に積むのがALDです。次編『エッチング』編では、ALDで積んだ膜を削る側の技術を扱います。
2. 自己制限反応とサイクル
ALDの1サイクルは、① 前駆体を流す → ② パージ(不活性ガスで余分を除く)→ ③ 反応物を流す → ④ パージの4ステップです(Oviroh、ASM)。各ステップの反応が表面の反応点で飽和すると、それ以上は進まないので、余分に流しても厚くなりません。Ovirohらの総説は、ALDがCVDと似ていても、前駆体の吸着が自己制限であること、前駆体と反応物を交互・順番に導入することが違いだと述べています事実。

形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
図の読み方・元図の説明:ALDの1サイクル:自己制限反応を4ステップで繰り返す(概念図) / 断面の模式図。分子の大きさ・配置は模式的です。 / ① 前駆体を流す / 前駆体(青) / 表面の反応点に1層だけ吸着 / 余った分子は先へ進まない / ② パージ / 排気 / 余剰の前駆体と / 副生成物を排気する / ③ 反応物を流す / 反応物(赤) / 吸着した分子と反応し / 膜になる(副生成物は排気) / ④ パージ / 排気 / 新しい表面ができる / 次のサイクルへ / ①〜④ を、目標の膜厚になるまで繰り返す(サイクル数 N) / ※ 自己制限反応とサイクルの説明は、Puurunenの総説[参考資料 1]とASMの技術解説[参考資料 8]によります。 / ※ 原子・分子の大きさ、被覆率、1サイクルで増える膜厚(GPC)は材料により異なり、この図は概念図です。
ALDの前提は、前駆体が気相で反応物と出会わず、表面だけで反応することです。パージが足りなくて前駆体と反応物が気相で混ざれば、CVDのような成長が混ざり、厚さの均一性やコンフォーマル性が崩れます(本記事の解説)。 また、1サイクルで増える膜厚(GPC)は「1原子層ちょうど」ではなく、前駆体の大きさ(立体障害)や表面の反応点の数、温度で決まる材料固有の値です。Puurunenは、トリメチルアルミニウム(TMA)と水のAl2O3の過程を「かなり理想的なALDの過程」とし、表面化学の理解の例にしています事実。理想的な過程が、実はむしろ少数派であることが、新しい材料のALDを開発する難しさです(解説)。
3. 膜厚はサイクル数で決まる ― ALDウィンドウ
膜厚 = サイクル数 × GPC(1サイクルあたりの成長)です。GPCが温度や前駆体の量で変わらない範囲をALDウィンドウと呼びます(Oviroh)事実。
Kimら(2022年、査読論文)は、TMAと水でAl2O3を、進行波型のALD反応炉(80〜250 ℃)で成膜し、膜厚をサイクル数に対する分光エリプソメーターの測定の傾きからGPCとして求めました。GPCは80 ℃で約0.9 Å/サイクルから、150 ℃以上で約1.1 Å/サイクルで一定になり、150 ℃以上がALDウィンドウでした(パージ時間は40秒に固定)事実。150 ℃未満でGPCが下がる理由は、配位子(CH3)が外れる反応の熱的な活性化障壁による反応速度の低下と、著者らは説明しています事実。
Baishyaら(2026年、査読論文)は、TiCl4とNH3でTiNを400 ℃で成膜しました。1サイクルの内訳は、TiCl4パルス0.5秒、パージ4秒、NH3パルス2.5秒、パージ5秒、NH3パルス2.5秒、パージ5秒で、約0.047 nm/サイクル。100・200・300・400サイクルで、膜厚は4.7・9.4・14.1・18.8 nmになりました(実験室のALD装置)事実。
実験室のGPCから、10 nmの膜に必要なサイクル数を計算します本稿の計算。
- Al2O3(1.1 Å/サイクル):10 nm ÷ 0.11 nm = 約91サイクル
- TiN(0.047 nm/サイクル):10 nm ÷ 0.047 nm = 約213サイクル。TiNの4.7 nmは100サイクル
- 厚さの刻み:1サイクルで増える厚さが、厚さの最小の刻みの目安(Al2O3で約0.11 nm、TiNで約0.047 nm)
前提と限界:GPCは温度・前駆体・反応炉・基板の状態で変わり、ここで使った2つの値はいずれも実験室の装置の報告値です。量産装置のGPCや、成長の初期(核形成)で厚さがサイクル数に比例しない場合は、この計算に含まれていません。
4. 前駆体と反応物 ― 何を、どう組み合わせるか
膜の材料は、前駆体(金属などを運ぶ分子)と反応物(酸素・窒素などを与える分子やプラズマ)の組み合わせで決まります。報告された例を、条件つきで並べます。
| 膜 | 前駆体 | 反応物 | 条件・測った値(水準) | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| Al2O3 | トリメチルアルミニウム(TMA) | 水 | 80〜250 ℃。GPC 約0.9 Å(80 ℃)、約1.1 Å(150 ℃以上)。分光エリプソメトリ(実験室) | Kimら(2022年) |
| HfO2 | ハフニウムのジメチルアミド | 水 | アスペクト比43の穴を完全に均一に被覆(実験室) | Gordonら(2003年) |
| TiN | TiCl4(塩化物) | NH3 | 400 ℃。約0.047 nm/サイクル(実験室の装置) | Baishyaら(2026年) |
| SiNx(熱ALD) | クロロシラン(例:Si2Cl6) | NH3(またはヒドラジン) | 典型的に450 ℃超(総説) | Mengら(2016年) |
| SiNx(プラズマALD) | SiH4、トリシリルアミン、アミノシランなど | N2・N2/H2・NH3のプラズマ | 典型的に500 ℃未満。32/28 nmのHKMGでは300〜500 ℃のPEALD SiNxをスペーサー等に使った例が引用される(総説) | Mengら(2016年) |
すべて事実(各論文・総説の記述)。測定法・装置・水準が異なるため、成長速度や温度の優劣を比べるものではありません。
前駆体の設計には、少なくとも次の条件が同時に求められます(本記事の解説):① 十分な蒸気圧で運べること、② 反応温度では表面と反応し、供給温度では分解しないこと(ALDウィンドウの上限を決める)、③ 副生成物が揮発して表面に残らないこと。 配位子の種類(塩化物、有機金属)で、残りやすい不純物が違います。Kimらは、Al2O3で成長温度が低いほど炭素不純物と酸素欠陥が多く、絶縁破壊強度が下がると報告しています。150 ℃で成長した膜の破壊電界は約8.3 MV/cmでした事実(測定は同論文の条件。実験室の試料)。 また、Baishyaらは、TiNの極薄膜が空気にさらされると表面が酸化し、XPSで測る酸素濃度が薄い膜ほど高い(4.7 nmで約30%、18.8 nmで約18%)ことを報告しています。XPSは表面の約5〜10 nmを見るため、薄膜では酸化層の寄与が大きくなる、と著者らは説明しています事実。 つまり、極薄膜の評価では、膜そのものと、表面・界面の層を分けて考える必要があります。
Baishyaらの4探針の面抵抗(ガラス基板上、露出前)と膜厚から、抵抗率 = 面抵抗 × 膜厚を計算します本稿の計算。
- 100サイクル(4.7 nm):222.3 kΩ/□ × 4.7 nm = 約 10万 µΩ·cm
- 200サイクル(9.4 nm):2.5 kΩ/□ → 約2,350 µΩ·cm / 300サイクル(14.1 nm):519 Ω/□ → 約730 µΩ·cm
- 400サイクル(18.8 nm):287 Ω/□ → 約 540 µΩ·cm(著者らの値と同じ)
前提と限界:面抵抗は論文の値(ガラス基板、空気中の露出前)、膜厚は成長速度から計算された公称の厚さです。厚さ4.7 nmの値が約200倍大きいのは、膜が薄いほど連続性・表面酸化・粒界の影響が大きいことと整合しますが、本稿はその内訳を確認していません。バリア層や電極に使われるTiNの性能は、使う厚さで大きく変わります。

5. 熱ALDとプラズマALD
熱ALDは、基板とチャンバーの熱で反応を進めます。Ovirohらは、熱ALDは表面の反応だけで進むため、基板の形状や反応炉の設計に依存せず、厚さ制御とコンフォーマル性が得やすいが、典型的な温度は150〜350 ℃と比較的高い、と述べています事実。プラズマALD(PEALD)は、反応物の工程でプラズマを使い、反応の活性化エネルギーを補うことで、より低い温度での成膜を可能にします(ASM)事実。
| 項目 | 熱ALD | プラズマALD |
|---|---|---|
| 反応のエネルギー | 基板・チャンバーの熱(Meng) | プラズマ中のラジカル・イオン(Profijt、ASM) |
| 温度 | 典型的に150〜350 ℃(Oviroh)。SiNxは450 ℃超(Meng) | より低い温度。SiNxは典型的に500 ℃未満(Meng) |
| 材料・前駆体の自由度 | 反応性の高い前駆体・反応物が必要 | 前駆体・反応物・材料特性の選択が広がる(Profijt) |
| コンフォーマル性 | 形状によらず良好(Oviroh) | 低下しうる(Profijt)。深い構造でラジカルが壁で再結合しやすい(Ovirohが紹介するKnoopsらのモンテカルロ研究) |
| その他の課題 | 高温が下地を傷める場合がある | プラズマによる損傷(Profijt)。装置が複雑 |
出所:Ovirohら[参考資料 2]、Profijtら[参考資料 7]、Mengら[参考資料 4]、ASM[参考資料 8]。「反応性の高い前駆体・反応物が必要」「高温が下地を傷める場合がある」は本記事の解説です。
ASMは、PEALDが低い熱収支(thermal budget)の用途を可能にすると説明しています事実。トランジスタは、すでに作った部分(不純物の分布、金属、低誘電率膜、有機膜)が高温に弱く、後から積む膜ほど低温で成膜する必要があります(本記事の解説)。 一方で、プラズマはコンフォーマル性とダメージというトレードオフを持ち込みます。低温で、深い構造にも均一に、損傷なしに積むという三つの要求を同時に満たす条件を探すのが、PEALDの開発の中心です(解説)。
6. 3次元構造への被覆
ALDの最大の強みの一つは、深い穴や溝の奥まで均一に被覆できることです。Gordonら(2003年、査読論文)は、自己制限反応を使った均一な被覆に必要な条件として、① 最低限の蒸気の量を供給すること、② 穴の入口での蒸気圧と曝露時間の積が最低限必要なことの2つを導きました。この理論は、ハフニウムのジメチルアミドと水からできるHfO2が、アスペクト比43の穴を完全に均一に被覆したデータとよく合ったと報告しています事実。

形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
図の読み方・元図の説明:段差・深い穴への被覆の違い(概念図) / 断面の模式図。橙色が堆積した膜です。膜の厚さの違いを強調しています。 / 物理的な堆積(PVDなど) / 上面に厚く、底と側壁は薄い / (届きにくい) / 化学気相成長(CVD) / 中間。条件で変わる / (反応が速いと入口で消費) / 原子層堆積(ALD) / 上面・側壁・底とも / ほぼ同じ厚さ / アスペクト比 / 幅 / 深さ / AR = 深さ ÷ 幅 / 深いほど奥まで届きにくい / ※ 3方式の違いは、自己制限反応で均一に被覆できるというALDの特徴[参考資料 1・8]を示す概念図で、実際の膜厚比を示しません。 / ※ Gordonら[参考資料 6]は、Hfのアミド化合物と水で、アスペクト比43の穴を完全に均一に被覆できたと報告しています。
深い穴の奥へ前駆体が拡散して届く時間は、一般に深さの2乗に比例します(拡散の基本的な関係。本稿の前提)本稿の計算。
- アスペクト比が43から86へ2倍になると、必要な曝露量の目安は (86 ÷ 43)² = 約4倍
- アスペクト比が43から100になると、(100 ÷ 43)² = 約5.4倍
前提と限界:Gordonらは「簡単なスケーリング則」を導いたと述べますが、本稿はその式そのものを確認していません。ここで使った2乗則は、拡散で奥に届く時間の一般的な目安であり、反応の確率(付着確率)や反応生成物の逃げ方で変わります。深い構造ほど曝露時間が長くなり、後述のスループットの課題を悪化させる、という方向を示す計算です。
7. 選択ALD(領域選択的堆積)
選択ALDは、基板の決めた材料の上だけに膜を成長させる方法です。Mackusら(2019年、査読論文)は、半導体で勢いを増している理由を、トップダウンの加工で生じるエッジ配置誤差(EPE)をなくす必要性が高まっているためと説明しています事実。『リソグラフィとEUV』編で見た、重ね合わせの誤差の問題と地続きです。
難しさは選択性の維持です。Mackusらは、選択性が失われる一般的な原因を、成長させない面が、ALDの化学にさらされる間に性質を変えてしまうことだと述べ、解決策として、表面の官能基化や選択的エッチングなどの補正ステップを入れた、多段のサイクルや「スーパーサイクル」を挙げています事実。Rhee(2025年)らも、「ほとんどの研究で、一定サイクル数の後に選択性が失われる」と述べています。例として、Wは水素終端のSi上のみに成長し、水酸基終端のSi上には成長しないという報告が引用されています事実。ASMは、新しいXP8E装置が選択的堆積を含む先進のALD・CVDの用途に対応するとしています(メーカーの記述)事実。
補正ステップに選択的エッチングが入ることは、ALDとエッチングが別の工程ではなく、1つの工程の部品になることを意味します(本記事の解説)。『エッチング』編で扱う原子層エッチング(ALE)が、選択ALDの補正に使える理由です。 また、選択性は「決めた材料の上でだけ、核ができるまでの遅れ(インキュベーション)」を利用するので、膜厚が薄い間しか保てないのが一般的です(解説)。厚い膜を選択的に積むほど難しくなる、という関係を意識して、数字は「何サイクルまでの選択性か」とセットで読む必要があります。
8. 用途 ― high-kゲート絶縁膜、DRAM、スペーサー、バリア層
(1) high-kゲート絶縁膜とメタルゲート
Wilkら(2001年、査読論文の総説)は、SiO2に代わるゲート絶縁膜の候補を選ぶ指針として、誘電率、バンドギャップとシリコンとのバンド整列、熱力学的安定性、膜の形態、界面の質、CMOS工程との適合性、信頼性を挙げています事実。Mistryら(2007年)は、45 nmの論理技術で初めてhigh-k+メタルゲートのトランジスタを量産プロセスに取り入れ、等価酸化膜厚(EOT)1.0 nmのhigh-kゲート絶縁膜と、仕事関数の異なるデュアルのメタルゲートを使ったと報告しています事実(この要旨には成膜方法の記載はありません)。
ASMの年次報告(2025年)は、先端のトランジスタ構造では、ALDの工程がhigh-k誘電体、マルチVtのためのダイポール層、仕事関数金属などの機能層に集まっていると述べています。同社は、これらのトランジスタの層が、2 nmノードではALD層の約50%、1.4 nmノードでは約60%を占めると予想しています(メーカーの見通し)未確定/将来。また2 nmで、モリブデン(Mo)ALDの最初の用途の出荷を始め、微細化が進めばMo ALDが既存の金属の置き換えを増やすと見ています(メーカーの見通し)未確定/将来。MIMキャパシタ、裏面電源の構造でのALDの採用も増えていると述べています事実。
(2) DRAMのキャパシタ
Rheeら(2025年、査読論文)は、市販のDRAMセルのキャパシタの誘電体に、正方晶ZrO2を主体とするZrO2/Al2O3/ZrO2(ZAZ)が使われると述べています事実。漏れ電流はZrO2の結晶粒界を通るため、非晶質のAl2O3を挟んでふさぎますが、Al2O3の比誘電率(約9)はZrO2(約40)より小さいので、全体のkが下がります。そのため、微細化ではAl2O3のALDを数サイクルだけ行って漏れ電流を抑えると述べています事実。同論文は、ZrO2粒界の上だけにAl2O3を成長させる選択ALDで、漏れ電流を増やさずに全体の誘電率を15.5%高めたと報告しています(実験室の試料)事実。
(3) スペーサー
ゲートスペーサーは、ゲートの側壁を守り、イオン注入の領域を決める膜です。Mengら(2016年)の総説は、ゲートスペーサーに求められる条件として、ウエハ内で均一な厚さ(コンフォーマル、ローディング効果が小さい)、側壁が急峻な形状、低いウェットエッチ速度(high-kメタルゲートを後工程の洗浄・エッチングから守るため)を挙げ、32/28 nmのHKMGでPEALDのSiNxをスペーサーや封止ライナーに使った例を紹介しています事実。『リソグラフィとEUV』編のマルチパターニングのスペーサー膜も、同じ種類の膜です。
(4) バリア層・電極
Baishyaらは、TiNが超大規模集積回路(ULSI)の拡散バリアや、DRAMのキャパシタの電極に使われると述べています事実。極薄でもバリアとして働くためには、膜の連続性と純度が必要で、前に見たように、極薄のTiNは抵抗率や表面酸化の影響が大きく出ます。
本稿で見た3つの例は、どれも厚さが数nm以下で、値は「材料のバルクの性質」では決まりません。TiNは4.7 nmで抵抗率が約200倍に増え、DRAMのAl2O3は数サイクル分の厚さしかなく、Al2O3の成長温度が低いと炭素不純物が増えて絶縁破壊強度が下がりました。 設計の勘どころは、① 連続した膜になるまでの核形成(初期の成長)、② 下地との界面(『リソグラフィとEUV』編のEUVミラーの多層膜と同じ視点)、③ 不純物と欠陥、④ 後工程の熱・薬液・プラズマに耐えるか、の4つです(本記事の解説)。 特に、特定の厚さ・特定の下地での値を、別の条件の値と比べないことが重要です。
9. スループットの課題 ― 本稿の計算
ALDの欠点は、速度が遅いことです。Poodtら(2012年、査読論文)は、ALDの大きな欠点は成膜速度の低さで、高スループットが必要な用途には魅力が下がると述べ、パージのかわりに半反応を空間的に分ける空間分離ALDが、高い成膜速度と高スループットを、ALDの特徴を損なわずに実現する方向だと紹介しています(焦点は太陽電池とフレキシブルエレクトロニクス)事実。Ovirohらの総説は、空間分離ALDが約3,600 nm/hの成膜速度を達成した例を紹介していますが、膜の品質が下がる可能性にも触れています事実。
TiNのGPC(0.047 nm)で、膜厚2 nmと5 nmに必要な時間を、サイクル時間を3通りに置いて計算します本稿の計算。
- 実験室の例(19.5秒/サイクル、Baishyaら):2 nm(約43サイクル)で約13.8分、5 nm(約106サイクル)で約34.6分
- 仮定(5秒/サイクル):2 nmで約3.5分、5 nmで約8.9分
- 仮定(2秒/サイクル):2 nmで約1.4分、5 nmで約3.5分
装置台数の目安:仮に、1つのチャンバーが同時に1枚を処理し、8チャンバーで1時間に60枚を処理したいなら、1枚あたりのチャンバー占有時間は 8 × 60分 ÷ 60枚 = 8分以内です。2 nm(約43サイクル)なら、サイクル時間は約11秒以下になります本稿の計算。ASMは、枚葉の熱ALD装置Synergisを、デュアルチャンバー・モジュール最大4つ(計8チャンバー)まで構成できる、高生産性の装置と説明しています(メーカーの説明)事実。
前提と限界:19.5秒/サイクルは実験室のパルスとパージの合計で、量産装置の値ではありません。5秒・2秒は本記事の仮定で、実際の量産のサイクル時間は本稿では確認できていません。搬入出・昇温・チャンバー洗浄の時間も含みません。
前駆体の使用効率も課題です。Ovirohらの総説は、ALDでは前駆体の約60%が無駄になり、実験でウエハ上に堆積したTMAの利用効率は約50.4%だったと紹介しています事実(総説による引用。条件は本稿で確認していません)。速度、前駆体、エネルギーの効率を同時に上げることが、装置と材料の両面の課題です。
1サイクルを短くするには、パルスとパージを短くする必要があります。パルスを短くしても飽和するには、前駆体が速く吸着して飽和し、パージで速く脱離する必要があります。蒸気圧が低い前駆体は、配管の温度管理や、供給量の確保が難しくなります(本記事の解説)。 深い構造ほど、曝露時間が長くなる(第6章)ことも含めて、前駆体の設計は「ウエハ当たりの時間」に直結します。プラズマの活用(PEALD)や、空間分離、複数チャンバーは、材料ではなく装置側からの解決策です(解説)。
10. 数字の読み方 ― 実験室・メーカーの見通し・計算を混ぜない
| 数字 | 何の値か | 区分 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 約1.1 Å/cycle(150 ℃以上)、約0.9(80 ℃) | TMA/水のAl2O3の成長速度 | 査読論文(2022年、エリプソメトリ) | 実験室の進行波型反応炉。パージ40秒 |
| 約0.047 nm/cycle、19.5秒/サイクル | TiCl4/NH3のTiN(400 ℃)の成長速度とサイクル時間 | 査読論文(2026年) | 実験室の装置。量産のサイクル時間ではない |
| 約10万/約540 µΩ·cm | TiN 4.7 nm/18.8 nmの抵抗率(面抵抗×膜厚) | 本稿の計算(論文の面抵抗と公称膜厚) | ガラス基板上・露出前。内訳は未確認 |
| アスペクト比43 | HfO2が完全に均一に被覆された穴 | 査読論文(2003年) | 実験室の条件。量産の構造とは違う |
| k ≈ 9/≈ 40、15.5% | Al2O3/ZrO2の誘電率、粒界選択ALDで全体の誘電率が高まった割合 | 査読論文(2025年) | 15.5%は実験室の試料 |
| EOT 1.0 nm | 45 nmで初めて量産に入ったhigh-kゲート絶縁膜 | 論文要旨(2007年) | 成膜方法は要旨に記載なし |
| 50%→60% | トランジスタ層がALD層に占める割合(2 nm→1.4 nm) | メーカーの見通し(2025年) | 未確定/将来 |
| 約3,600 nm/h | 空間分離ALDの成膜速度の例 | 総説による引用 | 半導体の高品質膜の水準とは限らない |
| 13.8・34.6分ほか | TiNの成膜時間の計算 | 本稿の計算 | 19.5秒以外のサイクル時間は仮定 |
11. 課題・限界/確認できなかったこと
(1) 量産装置の実際のサイクル時間・成長速度は確認できなかった
本稿で使ったGPCとサイクル時間は、いずれも実験室の装置の論文の値です。量産のALD装置の処理能力は、メーカーの技術解説に具体的な数値が見当たらず、確認できませんでした。
(2) 論理半導体でのhigh-k成膜の具体的な方式は確認できなかった
Mistryらの要旨は、high-kゲート絶縁膜の成膜方法を述べていません。ASMは、ALD装置(Pulsarなど)が、high-kメタルゲートに使われると説明しますが、特定の企業のプロセスがALDかどうかは、本稿の一次情報では確認できていません。
(3) 前駆体の安全・規制は扱っていない
前駆体・反応物(自然発火性の有機金属、腐食性のハロゲン化物、毒性のあるガスなど)の安全・環境の規制は、本稿の範囲外です。取扱いは供給者のSDSと法令に従います。フッ素系ガスと規制は『エッチング』編で扱います。
(4) 原子層エッチング(ALE)と、成膜・エッチングの統合は次編で
選択ALDの補正ステップなど、ALDとエッチングの組み合わせは、『エッチング』編の原子層エッチング(ALE)と合わせて整理します。
- ALDは、自己制限反応を繰り返して膜を積む方法で、膜厚はサイクル数 × GPCで決まります事実
- Al2O3(TMA/水)は約1.1 Å/サイクル、TiN(TiCl4/NH3)は約0.047 nm/サイクル(いずれも実験室)。10 nmは約91サイクル/約213サイクルです本稿の計算
- プラズマALDは低温・材料の自由度が高い一方、深い構造で被覆性が下がり、プラズマ損傷の懸念があります事実
- 深い穴への均一な被覆(アスペクト比43のHfO2)はALDの強みで、選択ALDは補正ステップ(選択的エッチングなど)で選択性を保ちます事実
- 極薄膜では、連続性・界面・不純物が値を決めます。TiN 4.7 nmの抵抗率は、18.8 nmの約200倍です本稿の計算
- 最大の課題は時間。実験室の条件では5 nmのTiNに約35分かかる計算で、量産の実際のサイクル時間は確認できませんでした
12. 用語集
- ALD
- 原子層堆積。自己制限反応を交互に繰り返して膜を積む成膜法。
- 前駆体
- 膜の元素(金属など)を運ぶ分子。例:TMA、TiCl4。
- 反応物(共反応剤)
- 酸素・窒素などを与え、前駆体と反応する物質。水、NH3、プラズマなど。
- パージ
- 不活性ガスで、余剰の分子と副生成物を除く工程。
- GPC
- growth per cycle。1サイクルで増える膜厚。
- ALDウィンドウ
- GPCがほぼ一定になる温度範囲。
- PEALD
- プラズマALD。反応物の工程でプラズマを使う。
- コンフォーマル
- 段差や穴の形に沿って、均一な厚さで被覆されること。
- アスペクト比(AR)
- 穴や溝の深さ ÷ 幅。
- 選択ALD
- 決めた材料の上だけに膜を成長させるALD。AS-ALD。
- EPE
- エッジ配置誤差。パターンの縁の位置のずれ。
- high-k
- SiO2より誘電率が高い絶縁材料。HfO2など。
- EOT
- 等価酸化膜厚。同じ容量を得るSiO2の厚さに換算した値。
- GAA
- ゲート・オール・アラウンド。ゲートがチャネル(ナノシート)を全周から囲む構造。
- 空間分離ALD
- パージの代わりに、半反応を空間的に分けて行うALD。
13. 参考資料(一次情報)
- Puurunen RL「Surface chemistry of atomic layer deposition: A case study for the trimethylaluminum/water process」J. Appl. Phys. 97(12), 121301(2005年、査読論文・総説) — doi.org/10.1063/1.1940727
- Oviroh PO ほか「New development of atomic layer deposition: processes, methods and applications」Sci. Technol. Adv. Mater. 20(1), 465–496(2019年、査読論文・総説、オープンアクセス) — doi.org/10.1080/14686996.2019.1599694
- Kim S ほか「Influence of growth temperature on dielectric strength of Al2O3 thin films prepared via atomic layer deposition at low temperature」Sci. Rep. 12, 5124(2022年、査読論文) — doi.org/10.1038/s41598-022-09054-7
- Meng X ほか「Atomic Layer Deposition of Silicon Nitride Thin Films: A Review of Recent Progress, Challenges, and Outlooks」Materials 9(12), 1007(2016年、査読論文・総説) — doi.org/10.3390/ma9121007
- Baishya K ほか「Comprehensive study of ultrathin TiN films by ALD: influence of film thickness and substrate on composition, structure, sheet resistance and durability」Nanoscale Adv. 8(8), 2777–2786(2026年、査読論文) — doi.org/10.1039/d5na01134e
- Gordon RG ほか「A Kinetic Model for Step Coverage by Atomic Layer Deposition in Narrow Holes or Trenches」Chem. Vap. Deposition 9(2), 73–78(2003年、査読論文) — doi.org/10.1002/cvde.200390005
- Profijt HB ほか「Plasma-Assisted Atomic Layer Deposition: Basics, Opportunities, and Challenges」J. Vac. Sci. Technol. A 29(5), 050801(2011年、査読論文・総説) — doi.org/10.1116/1.3609974
- ASM International「ALD (Atomic Layer Deposition)」技術・製品ページ(メーカーの説明、2026年10月9日閲覧) — asm.com
- Mackus AJM ほか「From the Bottom-Up: Toward Area-Selective Atomic Layer Deposition with High Selectivity」Chem. Mater. 31(1), 2–12(2019年、査読論文・展望) — doi.org/10.1021/acs.chemmater.8b03454
- Rhee M-J ほか「Area-Selective Atomic Layer Deposition on Homogeneous Substrate for Next-Generation Electronic Devices」Adv. Sci. 12(22), 2414483(2025年、査読論文・オープンアクセス) — doi.org/10.1002/advs.202414483
- Mistry K ほか「A 45nm Logic Technology with High-k+Metal Gate Transistors, Strained Silicon, 9 Cu Interconnect Layers, 193nm Dry Patterning, and 100% Pb-free Packaging」IEDM 2007, 247–250(2007年、論文の要旨) — doi.org/10.1109/IEDM.2007.4418914
- Wilk GD, Wallace RM, Anthony JM「High-κ gate dielectrics: Current status and materials properties considerations」J. Appl. Phys. 89(10), 5243–5275(2001年、査読論文・総説) — doi.org/10.1063/1.1361065
- ASM International「Annual Report 2025」(メーカーの年次報告、PDF) — asm.com
- Poodt P ほか「Spatial atomic layer deposition: A route towards further industrialization of atomic layer deposition」J. Vac. Sci. Technol. A 30(1), 010802(2012年、査読論文・総説) — doi.org/10.1116/1.3670745
14. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| ALDを連続した自己終結的な気相-固相反応にもとづくCVDの一手法とする定義、約40年にわたりナノメートルまでのコンフォーマルな無機膜に使われてきたこと、TMA/水が「かなり理想的なALDの過程」であること | Puurunen(2005年、査読論文・総説の要旨) [参考資料 1]https://doi.org/10.1063/1.1940727 | 事実 |
| ALDの4ステップ(前駆体・パージ・反応物・パージ)、CVDとの違い(自己制限の吸着、交互の導入)、ALDウィンドウの定義、熱ALDが150〜350 ℃で表面反応のみで進みコンフォーマル性が得やすいこと、PEALDの低温の利点、深い構造でのラジカル再結合(Knoopsらの研究の紹介)、空間分離ALDの約3,600 nm/hと膜質低下の可能性、前駆体の約60%が無駄・TMAの利用効率約50.4% | Ovirohら(2019年、査読論文・総説)。数値は総説による引用 [参考資料 2]https://doi.org/10.1080/14686996.2019.1599694 | 事実 |
| TMA/水のAl2O3:進行波型反応炉、80〜250 ℃、GPCが80 ℃で約0.9 Å、150 ℃以上で約1.1 Å(ALDウィンドウ)、パージ40秒、厚さ-サイクル数の傾きと分光エリプソメトリ、150 ℃未満での低下の理由(CH3除去の活性化障壁)、低温で炭素不純物・酸素欠陥が多く絶縁破壊強度が低下、150 ℃の膜で約8.3 MV/cm | Kimら(2022年、査読論文)。実験室の試料 [参考資料 3]https://doi.org/10.1038/s41598-022-09054-7 | 事実 |
| SiNxのALD:熱ALDはクロロシラン+NH3(またはヒドラジン)で典型的に450 ℃超、PEALDは典型的に500 ℃未満、32/28 nmのHKMGで300〜500 ℃のPEALD SiNxをスペーサー・封止ライナーに使った例、ゲートスペーサーの要件(均一な厚さ、側壁の形状、低いウェットエッチ速度) | Mengら(2016年、査読論文・総説) [参考資料 4]https://doi.org/10.3390/ma9121007 | 事実 |
| TiN:TiCl4とNH3、400 ℃、1サイクルの内訳(0.5秒・4秒・2.5秒・5秒・2.5秒・5秒)、約0.047 nm/サイクル、100〜400サイクルで4.7〜18.8 nm、面抵抗(222.3 kΩ/□、2.5 kΩ/□、519 Ω/□、287 Ω/□)、540 µΩ·cm、XPSの酸素濃度(約30%・20%・21%・18%)とXPSが表面5〜10 nmを見ること、TiNが拡散バリア・DRAM電極に使われること | Baishyaら(2026年、査読論文)。実験室の装置、ガラス基板上 [参考資料 5]https://doi.org/10.1039/d5na01134e | 事実 |
| ハフニウムのアミド化合物と水でHfO2がアスペクト比43の穴を完全に均一に被覆したこと、均一被覆の2条件(最低限の蒸気量と、入口での蒸気圧×曝露時間の最低値)、簡単なスケーリング則を導いたこと | Gordonら(2003年、査読論文の要旨) [参考資料 6]https://doi.org/10.1002/cvde.200390005 | 事実 |
| プラズマALDが材料特性・基板温度・前駆体・条件の選択を広げる一方、コンフォーマル性の低下とプラズマ損傷の懸念があること | Profijtら(2011年、査読論文・総説の要旨) [参考資料 7]https://doi.org/10.1116/1.3609974 | 事実 |
| ALDの定義・サイクル・自己制限、熱ALDとPEALDの説明(PEALDは低い熱収支の用途に低温を使える)、用途(high-kメタルゲート、パターニング用スペーサー誘電体、MIMキャパシタ、ゲートスペーサー、高アスペクト比の隙間埋め)、Synergisが最大4つのデュアルチャンバー(8チャンバー)まで構成できること、Pulsarがhigh-k誘電体に使われること | ASM International 技術・製品ページ(メーカーの説明) [参考資料 8]https://www.asm.com/our-technology-products/ald | 事実 |
| 選択ALDが半導体で勢いを増している理由(エッジ配置誤差の解消)、選択性が失われる一般的な原因、補正ステップ・多段サイクル・スーパーサイクルの考え方 | Mackusら(2019年、査読論文・展望の要旨) [参考資料 9]https://doi.org/10.1021/acs.chemmater.8b03454 | 事実 |
| DRAMのキャパシタ誘電体がZrO2/Al2O3/ZrO2で、k値(Al2O3約9、ZrO2約40)、数サイクルのAl2O3 ALD、選択ALDの研究例(Wが水素終端Si上のみ成長)と、多くの研究が一定サイクル数後に選択性を失うこと、ZrO2粒界へのAl2O3の選択成長で全体の誘電率が15.5%向上(漏れ電流は増えず) | Rheeら(2025年、査読論文・オープンアクセス)。実験室の試料 [参考資料 10]https://doi.org/10.1002/advs.202414483 | 事実 |
| 45 nmの論理技術で初めてhigh-k+メタルゲートを量産プロセスに取り入れたこと、EOT 1.0 nm、デュアルのバンドエッジ仕事関数メタルゲート(成膜方法は要旨に記載なし) | Mistryら(2007年、論文の要旨) [参考資料 11]https://doi.org/10.1109/IEDM.2007.4418914 | 事実 |
| SiO2に代わるゲート絶縁膜を選ぶ指針(誘電率、バンドギャップ・バンド整列、熱力学的安定性、膜の形態、界面の質、工程適合性、信頼性) | Wilkら(2001年、査読論文・総説の要旨) [参考資料 12]https://doi.org/10.1063/1.1361065 | 事実 |
| GAAの3次元構造が追加のALD工程を必要とすること、2025年がGAAの立ち上がり年であること、トランジスタ層(high-k、ダイポール層、仕事関数金属)が2 nmでALD層の約50%、1.4 nmで約60%と予想、2 nmでMo ALDの最初の用途を出荷、MIMキャパシタ・裏面電源でのALD採用の増加、XP8Eが選択的堆積に対応 | ASM International Annual Report 2025(メーカーの記述・見通し) [参考資料 13]https://www.asm.com/downloads/232221-annual-interim-reports/annual-report-2025 | 事実 |
| ALDの大きな欠点が成膜速度の低さであること、空間分離ALDが高い成膜速度を可能にする方向であること | Poodtら(2012年、査読論文・総説の要旨) [参考資料 14]https://doi.org/10.1116/1.3670745 | 事実 |
| 約91サイクル/約213サイクル(10 nmを1.1 Å・0.047 nmで割った値)、サイクル数×サイクル時間(TiN 2 nmで約43サイクル→13.8/3.5/1.4分、5 nmで約106サイクル→34.6/8.9/3.5分)、8チャンバーで60枚/時なら1枚8分以内・2 nmで約11秒以下、(86÷43)²=約4倍・(100÷43)²=約5.4倍 | 本稿の計算。GPCは実験室の報告値。19.5秒以外のサイクル時間と2乗則は本記事の仮定。量産のサイクル時間は確認できなかった | 本稿の計算 |
| TiNの抵抗率=面抵抗×膜厚(4.7 nm:約10万 µΩ·cm、9.4 nm:約2,350、14.1 nm:約730、18.8 nm:約540。4.7 nmは18.8 nmの約200倍) | 本稿の計算。面抵抗は論文の値(ガラス基板、露出前)、膜厚は成長速度から計算された公称値。増加の内訳は未確認 | 本稿の計算 |
| パージ不足でCVD的成長が混ざること、前駆体設計の4条件、PEALDの低温化の理由(熱収支)、低温・深い構造・低損傷の三つの要求、選択ALDが堆積とエッチングの合わせ技であること、極薄膜では連続性・界面・不純物が値を決めるという整理、前駆体の飽和速度と蒸気圧がスループットに効くという整理、各素材技術者の視点 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。個別の材料の仕様は確認していない | 解説 |
| 量産ALD装置の実際のサイクル時間・処理能力、特定企業のhigh-k成膜が必ずALDかどうか、前駆体の安全・規制 | 本稿の調査範囲では一次情報で確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 図2〜図3・図5〜図8が実際の設計図・測定図ではなく説明のための作図であること。図1と図4がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月9日/出典は一次情報(査読論文、メーカーの公式ページ・年次報告)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 量産ALD装置の実際のサイクル時間・処理能力、特定企業のhigh-k成膜方式、前駆体の安全・規制は、確認できなかったため記載していません。 成長速度・抵抗率などの数値は実験室の報告で、量産の値ではありません。企業の数値と見通しは各社の記述です。 図は説明用の概念図・作図です。図2〜図3・図5〜図8はベクター作図、図1と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・膜・構造の写真や設計を示すものではありません。