TECHNOLOGY EXPLAINER
リソグラフィとEUV
― 波長を約14分の1にしたら、こんどは「光子が足りない」
半導体の回路は、光で描かれます。描ける最小の線の太さは「k1 × 波長 ÷ NA」でほぼ決まり、ArF液浸(波長193 nm)が限界に近づいたあと、業界は波長13.5 nmのEUV(極端紫外線)へ進みました。光源は溶けたスズの液滴にレーザーを当てて作るプラズマ、レンズは使えないのでミラーだけ。この記事は、その仕組みと、光が弱くなる・光子が少なくなることが次の課題を生むことを、数字の出所を分けて整理します。

- リソグラフィとEUVとは何か(3行でつかむ)
- 解像度の式 ― 波長・NA・k1
- 本稿の計算:公表された最小寸法から k1 を逆算する
- ArF液浸 ― 波長193 nmのまま、NAを1.35へ
- マルチパターニング ― 光の限界を、成膜とエッチングで越える
- EUV ― 13.5 nmの光はレンズを通らない
- 光源:溶けたスズにレーザーを当てる
- ミラー:反射10回で光が約2%になる
- 本稿の計算:光子の数 ― 波長が短いほど、同じエネルギーの光子は少ない
- ペリクルとマスク(概要)
- High-NA EUV ― NA 0.55、8 nm
- 数字の読み方
- 課題・限界/用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
装置メーカーの数値は「メーカー公称」で、どの条件の値か(照明・パターン・線量)とセットで書きます。研究室の最高値を量産装置の性能として書くことはしません。
半導体の製造装置と材料の原理・評価を整理する解説です。特定の企業・装置・国の優劣を述べるものではありません。装置メーカーの数値は各社の公称であり、顧客の工場での実績とは別です。
1. リソグラフィとEUVとは何か(3行でつかむ)
リソグラフィ(露光)は、「回路パターンを刻んだ原版(レチクル)に光を当て、縮小して、ウエハ上のレジスト(感光性の膜)に写す」工程です。レジストを現像してできた凹凸が、次の工程(エッチングや成膜)の型になります。
- 光の波長が変わってきた:ASMLは、水銀ランプの436 nm(g線)、365 nm(i線)から、エキシマレーザーのKrF(248 nm)、ArF(193 nm)へ進み、EUVは波長13.5 nmで「DUVより14倍以上短い」と説明しています事実
- EUVは別世界の装置:EUVの光はほとんどの物質に吸収されるため、レンズが使えず、多層膜のミラーを真空の中で使います。光源は、溶けたスズの液滴にレーザーを当てて作るプラズマです(ASML)事実
- EUV露光機を作っているのは、ASMLのみ:ASMLは20-F(2025年度)で「現在、世界で唯一のEUVリソグラフィ装置メーカー」と記しています事実。この記事は、特定企業の評価ではなく、仕組みと数字の読み方を扱います
波長を短くすると、細かい線が描ける代わりに、物質が光を吸ってしまい、光源から届く光が減ります。 EUV露光機では、ミラー10回の反射でウエハに届く光は約2%まで落ちます(Fomenkovらの試算)事実。 さらに1個の光子のエネルギーが大きいため、同じエネルギーでも光子の数が少なくなります本稿の計算。 この「光が少ない」ことが、レジストの感度や確率的欠陥(本シリーズ『レジストとフォトマスク』編)の課題につながります。
本シリーズでは、半導体製造のナノ加工を4本で続けて扱います:本稿(描く)→『レジストとフォトマスク』編(光を受ける膜と原版)→『原子層堆積』編(膜を原子層で積む)→『エッチング』編(掘る)。ナノインプリントのような、光に頼らずパターンを写す方法は『自己組織化とナノインプリント』編で扱います。
2. 解像度の式 ― 波長・NA・k1
ASMLは、描ける最小の寸法(CD:critical dimension)を次の式で説明しています事実。これはレイリーの式と呼ばれます。
λ:露光の波長。NA:開口数(光学系が集められる光の広がりを表す数)。k1:プロセスの工夫でほぼ決まる係数で、ASMLは「物理的な限界は k1 = 0.25」としています事実。
式から、最小寸法を縮める道は3つあります。ASMLはこれを「波長を短くする(大きな技術転換)」「NAを大きくする」「k1を小さくする(照明や計算機リソグラフィの工夫)」と整理しています事実。
| 手段 | 何をするか | 代償・難しさ(解説) |
|---|---|---|
| 波長λを短くする | 光源・光学材料・レジストを総入れ替え(ASMLは「新しい光源、光学材料、レジストが必要」と説明) | 最大の前進だが、装置も材料も作り直し。EUVでは光が物質に吸収される |
| NAを大きくする | 大きく高精度な光学系にする。ArF液浸はレンズとウエハの間に水を入れて NA 1.35、EUVのHigh-NAは0.55 | 光学系が巨大化・高価に。焦点が合う深さ(DOF)が浅くなる(第11章) |
| k1を小さくする | 斜めから照らす(変形照明)、光の形(瞳形状)の最適化、原版パターンの補正(OPC) | 0.25が限界。近づくほどプロセスの余裕(ばらつきへの強さ)が減る |
「何をするか」の前半はASML[参考資料 1・3・4]の説明で事実。右列は本記事の解説です。
3. 本稿の計算:公表された最小寸法から k1 を逆算する
ASMLが各装置のページで示す波長・NA・最小寸法(メーカー公称)から、式を逆にして k1 = CD × NA ÷ λ を求めます本稿の計算。
- ArF液浸(NXT:2000i):λ=193 nm、NA=1.35。ASMLは「生産での解像度が40 nm(C-quad照明)、38 nm(ダイポール照明)」と記載。k1 = 38×1.35÷193 = 0.266、40 nm なら 0.280
- EUV 0.33 NA(NXE:3800E):λ=13.5 nm、NA=0.33、解像度13 nm と表示。k1 = 13×0.33÷13.5 = 0.318
- High-NA EUV(EXE:5000):NA=0.55、解像度8 nm と表示。k1 = 8×0.55÷13.5 = 0.326
前提と限界:CD をどの図形の寸法とみなすか(密な線の半ピッチか)、照明条件、レジスト、許容するばらつきは、装置のページには書かれていません。したがってこの k1 は「公称の数字から機械的に逆算した目安」であり、実際のプロセスの k1 ではありません。ArFの k1 がEUVより0.25に近いのは、液浸の「波長で足りない分を、照明の工夫で補っている」ことを反映しています(本記事の解説)。
4. ArF液浸 ― 波長193 nmのまま、NAを1.35へ
EUVの前の主役は、波長193 nmのArFエキシマレーザーと液浸です。ASMLは2003年に、レンズとウエハの間に水の層を入れる液浸リソグラフィを開発し、水がなければ NA が1を超えることは不可能だったが、液浸により光学系は NA 1.35 に達した、と説明しています事実。 Lin(2004年、査読論文)は、水による液浸は193 nmの波長を実効的に135 nmまで短くする効果がある、と整理しています事実。193 ÷ 135 = 約1.43 は、水の屈折率に相当します本稿の計算。
ASMLによれば、最高解像度のDUV装置の光学系は、高さが1.2 m以上、重さが1トン超です。ArF液浸のNXT:2000iは、4倍縮小、26×33 mmのフィールド、既存のレチクルと互換の設計で、1日4,600枚のウエハ処理が最高水準の実績(メーカー公称)とされています事実。
液浸では、レンズとウエハの間の薄い水が、高速で動くウエハの上でも泡や乾きの跡を作らないことが求められます。水に触れるレジスト表面は、水の中に成分が溶け出したり、水滴が残ったりしないよう、撥水性の保護膜(トップコート)を使うか、レジスト自体を撥水化する設計になります(本記事の解説。個別の材料名や仕様は本稿の調査範囲では確認していません)。 「光の道具」の話に見えて、実は水とレジストの界面の材料設計が装置の生産性(スキャン速度)を左右する、というのが素材側の視点です。ASMLがNXT:2050iのページで「水の損失を減らす新しい液浸フード」により欠陥性能が向上すると説明していること[参考資料 15]も、水の取り扱いが性能の中心にあることを示しています事実。
5. マルチパターニング ― 光の限界を、成膜とエッチングで越える
ASMLのNXT:2000iが公称する生産での解像度は、ダイポール照明で38 nm、C-quad照明で40 nmです[参考資料 5]事実。これより細かい線は、1回の露光では描けないので、露光と成膜とエッチングを組み合わせて回数を増やします。これがマルチパターニングです。Tokyo Electronの米国特許(US 11,676,817 B2)の背景説明は、マルチパターニングによって193 nm液浸リソグラフィが30 nm未満のピッチのパターン層まで拡張されたこと、そして自己整合の方式(側壁イメージ転写、SIT)は2回の露光の位置合わせ誤差(オーバーレイ)の問題から生まれたことを述べています(特許の説明であり、権利範囲の解釈は行いません)事実。

形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
図の読み方・元図の説明:自己整合ダブルパターニング(SADP)の流れ(概念図) / 断面の模式図。寸法は示さず、芯材の幅=スペーサーの厚さのとき、ピッチが半分になる関係だけを表します。 / ① 露光・現像:芯材(マンドレル)を、最小ピッチ P で作る / ピッチ P / ② 成膜:芯材の上に、薄い膜を一様に重ねる(『原子層堆積』編) / ③ 異方性エッチング:上面と底面の膜だけ削り、側壁の膜(スペーサー)を残す(『エッチング』編) / ④ 芯材を選択的に除く:残ったスペーサーの間隔は、ピッチ P ÷ 2 になる / ピッチ P ÷ 2 / ※ 青=芯材、橙=スペーサー用の膜、灰=下地。流れの概要は特許公報(US 11,676,817 B2)[参考資料 14]の説明にもとづく概念図です。 / ※ これを繰り返すと自己整合クアッドパターニング(SAQP)で、ピッチは最小ピッチの4分の1になります。各層の形は模式的です。
ASMLは、20-F(2025年度)で、EUVの狙いを「複雑なマルチパターニングから、1層につき露光1回の単一パターニングへ移すこと。これによりマスクの枚数と工程数が減り、歩留まりとスケーラビリティが改善する」と説明しています事実。
図4の②は芯材の側面にも、上面にも、一様な厚さで膜をつける工程で、膜厚の精度がそのまま線幅の精度になります。③は上下だけを削って側壁を残す異方性エッチング、④は芯材だけを選択的に除くエッチングです。つまり、光の限界を越える道具は「ALDとエッチング」であり、材料側からみると膜厚の均一性、下地に対する選択比、側壁の形状が主役になります(本記事の解説。詳細は本シリーズ『原子層堆積』『エッチング』編)。 露光回数が増えるわけではなくても、成膜・エッチング・洗浄の工程数と、そのたびの欠陥の入り口が増えます。EUVの単一露光が「工程を減らす」と言われるのは、この連鎖を断ち切れるからです(ASMLの説明と整合する解説)。
6. EUV ― 13.5 nmの光はレンズを通らない
ASMLは、EUVリソグラフィを波長13.5 nmの光を使う技術で、波長はDUVより14倍以上短いと説明しています事実(193 ÷ 13.5 = 約14.3本稿の計算)。式のλが約14分の1になる効果は大きく、ASMLは「EUV(NA 0.55)のNAはDUVの1.35より低いが、はるかに短い波長を使うので、より小さな特徴を描ける」と説明しています事実。
代償は、ほとんどの物質がEUVを吸収することです。ASMLは「EUVにはレンズが存在しない。大半の材料がEUVを吸収するので、レンズは光を吸ってしまう」と述べ、代わりに真空チャンバーの中の、超平滑な多層膜ミラーを使うと説明しています事実。1枚のミラーは100層を超える層でEUVの反射を最大化し、表面は「原子1個の厚さ未満」の滑らかさに磨かれている、とされています事実。

形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
図の読み方・元図の説明:EUV露光機の光の道筋(概念図) / すべて真空の中。レンズは使わず、反射だけで光を導きます。 / 光源(EUVを作る) / スズ液滴発生器 / 直径 約25 µm / 秒速 約70 m で射出 / 毎秒 50,000 回 / CO2レーザー / 弱いパルスで / 液滴を平らにし / 強いパルスで蒸発 / スズのプラズマ / EUV 13.5 nm を放射 / レーザーからの / 変換効率 約5% / コレクタミラー / 光を集めて送る / 水素ガスと保護層で / スズの飛散から守る / 露光機(パターンを写す) / 中間焦点 / 光源と露光機の / 境目 / 照明ミラー / 光の当て方を / 整える / レチクル / 反射型の原版 / (光を反射) / 投影ミラー / 縮小して / ウエハへ導く / ウエハ / レジストを / 露光する / ※ 液滴の大きさ・速度・毎秒回数はASML[参考資料 2]、変換効率約5%と水素ガスによる保護はFomenkovら[参考資料 9]によります。 / ※ ミラーの枚数・配置は模式的で、実機の光学設計を示すものではありません。
7. 光源:溶けたスズにレーザーを当てる
ASMLは、レーザー生成プラズマ(LPP)光源を次のように説明しています事実。直径約25 µmの溶融スズの液滴を秒速70 mで射出し、落下する液滴にまず弱いレーザーパルスを当てて「パンケーキ状」に平らにし、続けて強いパルスで蒸発させてプラズマにします。このプラズマがEUVを放ちます。十分な光量を得るため、この動作を毎秒50,000回繰り返します。
Fomenkovら(2017年、査読論文。ASML/Cymerの光源開発者)は、同じ方式の数字を次のように整理しています事実。
- レーザーのパルスエネルギーからEUVのパルスエネルギーへの変換効率は平均で約5%
- プラズマの光を集める効率と、光源内の背景ガスの透過による損失を経て、中間焦点で200 Wのとき、20 kW超のレーザー電力が必要
- ウエハ処理量100枚/時(装置の稼働率60%の想定)に必要な光源は、中間焦点で200 W超。比較として、当時のArF(193 nm)光源は90 Wで200枚/時を支える
- 光源の真空容器内では、プラズマからの高エネルギーのイオンや中性粒子がコレクタミラーを傷める。コレクタの長寿命化は、EUVを量産に導入するうえで最も難しい課題の一つで、水素のバッファーガスと特別な保護(キャッピング)層で多層膜を守る
Fomenkovらの数字から、レーザー電力のうち中間焦点に届く割合を概算します本稿の計算。
- 200 W ÷ 20 kW = 約1%。変換効率5%(20 kW × 5% = 1 kW のEUV発生)から、集光とガス透過で約20%(200 W ÷ 1 kW)が残る計算
前提と限界:「20 kW超」は下限として示された数字で、実機のレーザー電力・変換効率とは異なる可能性があります。この論文は2017年のNXE:3300B世代の説明であり、現行機(NXE:3800Eなど)の値ではありません。また、ここでの電力は光のエネルギーの流れで、装置全体の消費電力ではありません。
ASMLは20-F(2025年度)で、2025年4月に、EUV光源として初めて1,000 Wを実証したと述べています事実。ただし、これは実証であり、量産装置の標準仕様としての採用や時期は本稿で読んだ資料には書かれていません未確定/将来。
8. ミラー:反射10回で光が約2%になる
EUVミラーは、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に重ねた多層膜です。Fomenkovらは、このMo/Si多層膜が高く反射する帯域に合わせるため、光源のスペクトルは13.5 nmを中心に、帯域幅2%以内に収める必要があると述べ、「中間焦点からウエハまで10回の反射、ミラーの反射率のピークが67%の装置では、全体の透過率は約2%」と試算しています事実。
Bajtら(2002年、査読論文)は、Mo/Si多層膜(50層対)に、界面に厚さ0.25〜0.4 nmの炭化ホウ素(B4C)を挟む工夫を施して、波長13.5 nm、垂直入射で反射率70%(帯域幅0.545 nm)を得たと報告しています事実。これは実験室での試料の値で、量産のミラーの値ではありません。また、最表面にルテニウム(Ru)を載せた多層膜は、酸化に対する耐性が大きく向上した、と同論文は述べています事実。
反射回数 n と反射率 R から、全体の透過率 = R のn乗 を計算します本稿の計算。
- R = 0.67、n = 10:約1.8%(Fomenkovらの「約2%」と一致)
- R = 0.70(Bajtらの実験室値)、n = 10:約2.8%。ミラーの反射率が3ポイント上がっても、全体は1ポイントしか増えません
前提と限界:反射回数10回は、Fomenkovらが示した例です(2017年の説明)。現行機の反射回数は、本稿で読んだ資料では確認できませんでした。レチクルでの反射を含むか、各ミラーの反射率が同じか、ミラーの経時劣化は、この計算では考えていません。
Bajtらの工夫は、MoとSiが混ざってモリブデンシリサイドができる反応を、わずか0.25〜0.4 nmのB4C層で抑えることでした(同論文は、界面の混ざりが減り、周期の収縮が約30%小さくなったと述べる)事実。1層の厚さが数nm、界面の混ざりが0.数nm単位で反射率に効く、という世界です。 同じ発想は、半導体の薄膜(ゲート絶縁膜やバリア膜)にも通じます。膜の「厚さ」ではなく、界面の「シャープさ」が性能を決めるという点です(本記事の解説。詳細は『原子層堆積』編)。 また、光源側のコレクタミラーは、スズの飛散と水素ガスという過酷な化学環境の中で使われ、表面にRuなどの保護層を置く設計になっています(Fomenkovらの「キャッピング層」に関する記述にもとづく解説。具体的な材料は本稿の調査範囲では確認していません)。 ミラーの反射率が劣化すると全体の透過率が反射回数乗で効くため、「1枚あたりのわずかな劣化」が光量に増幅されるという点が、運用面の素材の勘どころです(本記事の解説)。
9. 本稿の計算:光子の数 ― 波長が短いほど、同じエネルギーの光子は少ない
光のエネルギーは光子の集まりです。1個の光子のエネルギーは「1239.84 eV·nm ÷ 波長」で、波長が短いほど大きくなります。
- 光子1個のエネルギー:ArF(193 nm)は約6.4 eV、EUV(13.5 nm)は約92 eV。約14倍本稿の計算
- 同じ露光量でのウエハ面の光子数:露光量(ドーズ)が30 mJ/cm²のとき、1 nm²あたりの光子数は、ArFで約290個、EUVで約20個。EUVは10 nm × 10 nm の範囲で約2,000個です本稿の計算
- 光子の数が少ないと、光子の到達数が偶然でばらつく「ショットノイズ」が相対的に大きくなります。N個の光子ではばらつきはおよそ 1 ÷ √N で、2,000個なら約2%です本稿の計算
前提と限界:30 mJ/cm² は、ASMLがNXE:3800Eの処理能力(220枚/時以上)を示す条件の値で、実際のレジストに必要な露光量とは限りません。ArFの30 mJ/cm² は比較のための仮想値です。さらに、レジストが吸収する光子は入射した光子の一部にすぎず、吸収された光子ごとに二次電子が発生してレジストの反応を起こします。したがって実際の「反応に寄与する事象の数」は、ここで計算した入射光子数より少なくなります(この点は『レジストとフォトマスク』編で扱います)。
10. ペリクルとマスク(概要)
EUVのレチクル(フォトマスク)は、光を吸収する部分と反射する部分で絵を作る反射型です。反射膜はミラーと同じMo/Si多層膜、吸収膜は光を吸うパターン層です。材料の詳細は本シリーズ『レジストとフォトマスク』編で扱います。
ペリクルは、マスクの前に張る極薄の膜で、マスク上に粒子が付くのを防ぎます。粒子が写り込むと、全ウエハに同じ欠陥が出てしまうからです。EUVのペリクルが難しい理由を、Choiら(2024年、Nanotechnology)は「ナノメートルの厚さでは機械的に壊れやすく、さらに高温と水素ラジカルというEUV装置内の過酷な条件に耐える必要がある」と述べています事実。同論文では、金属シリサイドの膜を110 mm × 144 mmの実物大で作り、90%超の透過率、0.04%未満の反射率、2 Paの差圧で300 µmのたわみ、引張強さ2 GPa超を示しました(400 W級のEUV向け、論文中の試験条件)事実。
三井化学は、ASMLからライセンスを受けてEUVペリクルを製造し、2021年に岩国大竹工場で商業生産を始めたと述べています事実。2024年5月28日の発表では、High-NA・高出力(600 W以上)のEUV向けに、カーボンナノチューブ(CNT)を膜に使うペリクルの量産設備を設けると決定し、EUV透過率92%以上、1 kW超の露光出力に耐える光耐性をうたっています(同社の公称)事実。生産能力は年5,000枚、建設完了は2025年12月(暫定)の計画でした未確定/将来。発表後の稼働状況は、本稿で確認できませんでした。
反射型のマスクでは、光はペリクルを往きと帰りで2回通るので、透過率の2乗が効きます(本記事の解説)。透過率90%なら 0.9² = 81%、92%なら 0.92² = 約85%です本稿の計算。ペリクルの1ポイントの透過率差は、反射10回のミラー列と同様に、光量の損失として積み上がります。 前提と限界:Choiらの90%超は論文中の試作膜の測定値、三井化学の92%以上は同社の公称値で、測定の条件や基準は異なります。優劣を比べる数字ではありません。

11. High-NA EUV ― NA 0.55、8 nm
次の一手が、NAを0.33から0.55へ上げるHigh-NA EUV(ASMLの装置名はEXEシリーズ)です。ASMLはEXE:5000を「最初の0.55 NA(High NA)のEUV装置」とし、次のように説明しています事実。
- 解像度8 nm。NXE系より1.7倍小さい特徴を単一露光で描け、トランジスタ密度は2.9倍(メーカー公称)
- NXE系より結像のコントラストが40%高い。欠陥の減少と、光量(ドーズ)の低減による処理能力の向上につながる、としています
- NAを上げるため、アナモルフィック光学系(縦横で縮小率が違う大型のミラー)を新しく採用。これにより従来の大きさのレチクルを使い続けられる一方、露光できる範囲(フィールド)がNXE系の半分になるため、新しいウエハ・レチクルステージで生産性を保つ
- 「2 nm論理ノードから、メモリは同等のトランジスタ密度のノードで」使われる設計(ASMLの説明)
密度:特徴が1.7倍小さければ、面積あたりの数は 1.7² = 2.89倍で、ASMLの2.9倍と一致します本稿の計算。
焦点深度(DOF):光学の一般式でDOFは λ ÷ NA² に比例します(係数は照明などの条件で変わる、本稿の前提)。NAが0.33から0.55になると、同じ波長で (0.55÷0.33)² = 約2.8倍浅くなります本稿の計算。
前提と限界:DOFの係数(k2)は条件で変わり、装置の実際のDOFはASMLの資料には出ていません。ここで示すのはNA上昇の効果の大きさの目安だけです。
| 項目 | NXE:3800E(EUV 0.33 NA) | EXE:5000(High-NA 0.55 NA) |
|---|---|---|
| 波長 | 13.5 nm | 13.5 nm |
| 投影光学系のNA | 0.33 | 0.55 |
| 解像度(ASML表示) | 13 nm | 8 nm |
| 処理能力(ASML表示) | 220枚/時以上(露光量30 mJ/cm²) | 110枚/時以上(露光量50 mJ/cm²) |
| 位置づけ(ASML) | 2 nm論理ノード、先端DRAMの量産向け | 最初のHigh-NA。2 nm論理ノードから |
すべて事実(ASML 製品ページ[参考資料 6・7]、メーカー公称)。2機種で露光量の条件が異なるため、処理能力の数字は直接比較できません。
ASMLの20-F(2025年度)には、後継機EXE:5200Bについて、2025年4月に最初の機体を出荷し、175枚/時でEXE:5000より60%高い生産性になると記載されています(光源の出力向上による)事実。顧客のもとで2025年末までに40万枚超のウエハがHigh-NA装置で処理されたこと、EXE:5200Bが顧客先で全仕様を満たしたことも述べられています事実。EXEプラットフォームが量産(HVM)を支え始めるのは2027年を見込むとしています未確定/将来。この175枚/時の露光量の条件は、本稿で読んだ範囲に記載がなく、EXE:5000との比較条件は不明です。
DOFが浅くなることは、ウエハ表面の平坦さと、レジスト膜を含む「焦点が合う厚み」の余裕が小さくなることを意味します。レジスト膜を薄くする方向になり、薄い膜でも十分な光を吸収し、エッチングに耐える材料が求められます(本記事の解説。レジスト材料は『レジストとフォトマスク』編、エッチング耐性と下層膜は『エッチング』編)。 一方で、コントラスト向上と、反射型マスクの入射角の変化にともなう影(マスク3D効果)への対応は、吸収膜の材料と厚さの見直しにつながります(これもマスク材料の話で『レジストとフォトマスク』編)。 装置の性能は、光学系だけでなく、レジスト・マスク・ペリクルを含めたすべての材料の積み上げで決まる、というのがこのシリーズ全体を通した視点です。
12. 数字の読み方 ― メーカー公称・論文・計算を混ぜない
| 数字 | 何の値か | 区分 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 13 nm/8 nm | NXE:3800E/EXE:5000の解像度 | メーカー公称 | パターン・照明・レジストの条件はページに記載なし |
| 38/40 nm | NXT:2000iの生産での解像度(ダイポール/C-quad) | メーカー公称 | 照明の条件つき。EUVの値と直接比べられない |
| 220枚/時、110枚/時、175枚/時 | NXE:3800E、EXE:5000、EXE:5200Bの処理能力 | メーカー公称 | 露光量の条件が異なる(前者2つは30/50 mJ/cm²、後者は不明) |
| 約5%、20 kW超→200 W | 光源の変換効率、必要なレーザー電力 | 査読論文(2017年) | NXE:3300B世代の説明。下限の目安 |
| 1,000 W | EUV光源の出力の実証(2025年4月) | メーカーの記述(20-F) | 実証であり、量産仕様ではない |
| 70%(13.5 nm、50層対) | Mo/Si多層膜の反射率 | 査読論文(2002年) | 実験室の試料。量産ミラーの値ではない |
| 約2% | 反射10回・反射率67%の透過率 | 査読論文(2017年)/本稿の計算で再現 | 反射回数は例。現行機は未確認 |
| 90%超/92%以上 | EUVペリクルの透過率 | 査読論文(2024年)/メーカー公称(2024年) | 測定条件・基準が違う。優劣の比較ではない |
| 40万枚超、2027年 | High-NAで処理された実績、HVMを見込む時期 | メーカーの記述(20-F)/将来の見込み | 2027年は見込み。未確定/将来 |
13. 課題・限界/確認できなかったこと
(1) 現行機の光学系の枚数・各装置の稼働率は確認できなかった
ミラーの反射回数、各装置の稼働率、顧客の工場での実効の処理能力は、本稿で読んだ公表資料には出ていません。ミラー10回・約2%は、2017年の論文が示した「例」にとどまります。
(2) 装置メーカーの数字は「公称」
ASMLのページの解像度・処理能力は、メーカーの公称です。パターン、照明、レジスト、許容するばらつきなどの条件は、ページに書かれていません。この記事のk1の逆算は、そのため目安にとどまります。
(3) ASML以外の方式、光に頼らない方式は扱わない
ASML以外のEUV光源の開発(レーザー生成プラズマ以外の方式)、電子ビーム描画、ナノインプリントなどは扱っていません。ナノインプリントは本シリーズ『自己組織化とナノインプリント』編で扱います。
(4) レジスト・マスク・エッチング・成膜の中身は、続く3編で
光を受けるレジストの化学、マスクの材料、ALD、エッチングについては、本稿では概要にとどめました。確率的欠陥(ストキャスティクス)は『レジストとフォトマスク』編で扱います。
- 最小寸法は CD = k1 × λ ÷ NA。ASMLは k1 の物理的な限界を0.25としています事実
- ArF液浸は NA 1.35、公称の生産解像度は38〜40 nm。ここから k1 を逆算すると約0.27〜0.28で、限界に近い値です本稿の計算
- 光の限界を越える道が、スペーサーを使うマルチパターニング。成膜とエッチングの仕事が増えます(解説)
- EUV(13.5 nm)はレンズが使えず、ミラーと真空とスズプラズマ光源の世界。反射10回の例でウエハに届く光は約2%です事実
- 光子のエネルギーは約14倍、同じ露光量での光子の数は約14分の1(30 mJ/cm²の仮定で1 nm²あたり約290個→約20個)本稿の計算
- High-NA(0.55)は解像度8 nm(公称)、DOFは約2.8倍浅くなる計算。量産での利用は2027年を見込む(ASML)未確定/将来
14. 用語集
- リソグラフィ(露光)
- 原版のパターンを光でウエハ上のレジストに写す工程。
- CD
- critical dimension。描ける(または描くべき)最小の寸法。
- NA
- 開口数。光学系が集められる光の広がりを表す数。
- k1
- プロセスの工夫による係数。物理的な限界は0.25(ASML)。
- DUV/ArF/KrF
- 深紫外線/波長193 nmのレーザー/波長248 nmのレーザー。
- 液浸
- レンズとウエハの間に水を入れて、実効的な波長を短くしNAを1超にする方式。
- EUV
- 極端紫外線。波長13.5 nm。レンズが使えずミラーを使う。
- LPP
- レーザー生成プラズマ。スズ液滴にレーザーを当てて光を得る方式。
- 中間焦点(IF)
- EUV光源と露光機本体の境にある光の集光点。
- レチクル/フォトマスク
- 回路パターンを刻んだ原版。EUVは反射型。
- ペリクル
- マスクの前に張る極薄の防塵膜。
- SADP/SAQP
- 自己整合ダブル/クアッドパターニング。スペーサーでピッチを半分/4分の1にする。
- DOF
- depth of focus。焦点が合う深さの範囲。
- High-NA
- NA 0.55のEUV。ASMLの装置名はEXE。
- OPC
- 光学近接効果補正。原版のパターンを事前に補正する計算機リソグラフィ。
15. 参考資料(一次情報)
- ASML「CD = k1 • λ / NA(The Rayleigh criterion)」技術解説(2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML「Light and lasers」技術解説(2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML「Lenses & mirrors」技術解説(2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML「Pushing k1 further」技術解説(2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML「TWINSCAN NXT:2000i」製品ページ(メーカー公称、2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML「TWINSCAN NXE:3800E」製品ページ(メーカー公称、2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML「TWINSCAN EXE:5000」製品ページ(メーカー公称、2026年10月9日閲覧) — asml.com
- ASML Holding N.V.「Form 20-F(2025年12月31日終了年度、Annual Report 2025)」米国SEC提出 — sec.gov
- Fomenkov I ほか「Light sources for high-volume manufacturing EUV lithography: technology, performance, and power scaling」Advanced Optical Technologies 6(3-4), 173–186(2017年、査読論文) — doi.org/10.1515/aot-2017-0029
- Bajt S ほか「Improved reflectance and stability of Mo/Si multilayers」Optical Engineering 41(8), 1797–1804(2002年、査読論文) — doi.org/10.1117/1.1489426
- Lin BJ「Immersion lithography and its impact on semiconductor manufacturing」Journal of Micro/Nanopatterning, Materials, and Metrology 3(3), 377–500(2004年、査読論文。旧誌名 JM3) — doi.org/10.1117/1.1756917
- 三井化学「Mitsui Chemicals Sets up Production Facilities for CNT Pellicles to Be Used in Next-Gen EUV Lithography」ニュースリリース(2024年5月28日) — jp.mitsuichemicals.com
- Choi M ほか「Development and optimization of metal silicide EUV pellicle for 400W EUV lithography」Nanotechnology 36(6), 06LT01(2024年、査読論文) — doi.org/10.1088/1361-6528/ad902d
- 米国特許US 11,676,817 B2「Method for pitch split patterning using sidewall image transfer」(Tokyo Electron Limited、2023年6月13日公開。特許公報の説明のみを参照し、権利範囲は解釈しない) — patents.google.com
- ASML「TWINSCAN NXT:2050i」製品ページ(メーカー公称、2026年10月9日閲覧) — asml.com
16. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 最小寸法の式 CD=k1×λ÷NA、NAとk1の定義、k1の物理的な限界が0.25。小さくする3つの道(波長・NA・k1)、波長変更には新しい光源・光学材料・レジストが必要 | ASML 技術解説(2026年10月9日閲覧)[参考資料 1]https://www.asml.com/en/technology/lithography-principles/rayleigh-criterion [参考資料 4]https://www.asml.com/en/technology/lithography-principles/pushing-k1-further | 事実 |
| 光源の移り変わり(g線436 nm、i線365 nm、KrF 248 nm、ArF 193 nm、EUV 13.5 nm)、EUVの波長はDUVの14倍以上短い、スズ液滴約25 µm・秒速70 m・毎秒50,000回、弱いパルスで平らにしてから強いパルスで蒸発 | ASML 技術解説(Light and lasers)[参考資料 2]https://www.asml.com/en/technology/lithography-principles/light-and-lasers | 事実 |
| EUVにはレンズがなく、大半の材料がEUVを吸収する、真空中の多層膜ミラー、1枚が100層超、表面は原子1個の厚さ未満の滑らかさ。液浸(2003年)でNA 1.35、光学系は高さ1.2 m超・重さ1トン超。High-NAへの引き上げ(0.33→0.55)、EUVはNAがDUVより低くても波長が短いので小さく描ける | ASML 技術解説(Lenses & mirrors)[参考資料 3]https://www.asml.com/en/technology/lithography-principles/lenses-and-mirrors | 事実 |
| 照明の工夫(変形照明、瞳形状、自由形状イルミネーターの例)と計算機リソグラフィ(OPC)でk1を下げること | ASML 技術解説(Pushing k1 further)[参考資料 4]https://www.asml.com/en/technology/lithography-principles/pushing-k1-further | 事実 |
| NXT:2000i:NA 1.35、193 nm、生産での解像度40 nm(C-quad)・38 nm(ダイポール)、4倍縮小、26×33 mmのフィールド、既存レチクルと互換、1日4,600枚の実績(メーカー公称) | ASML 製品ページ(メーカー公称)[参考資料 5]https://www.asml.com/en/products/duv-lithography-systems/twinscan-nxt2000i | 事実 |
| NXT:2050iが新しい液浸フードで水の損失を減らし、欠陥性能を改善するとASMLが説明していること | ASML 製品ページ(メーカー公称)[参考資料 15]https://www.asml.com/en/products/duv-lithography-systems/twinscan-nxt2050i | 事実 |
| NXE:3800E:波長13.5 nm、解像度13 nm、NA 0.33、220枚/時以上(露光量30 mJ/cm²)、2 nm論理ノードと先端DRAMの量産向け | ASML 製品ページ(メーカー公称)[参考資料 6]https://www.asml.com/en/products/euv-lithography-systems/twinscan-nxe-3800e | 事実 |
| EXE:5000:NA 0.55、解像度8 nm、110枚/時以上(露光量50 mJ/cm²)、1.7倍小さい特徴・2.9倍の密度、NXE系より結像コントラスト40%高い、アナモルフィック光学系、従来サイズのレチクルのまま、露光範囲はNXE系の半分 | ASML 製品ページ(メーカー公称)[参考資料 7]https://www.asml.com/en/products/euv-lithography-systems/twinscan-exe-5000 | 事実 |
| EXE:5200Bの出荷(2025年4月)、175枚/時・EXE:5000比60%増、顧客先で全仕様を実証、2025年末までに40万枚超をHigh-NAで処理、NXE:3800Eが220枚/時の全仕様で出荷、2025年4月に1,000 W光源の実証、ASMLは世界で唯一のEUV装置メーカー、EUVはマルチパターニングから単一パターニングへ(マスク・工程の削減) | ASML Form 20-F(2025年度)[参考資料 8]https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000937966/000162828026011378/asml-20251231.htm | 事実 |
| EXEプラットフォームが量産(HVM)を支え始めるのは2027年を見込むこと、1,000 W光源の量産仕様としての採用 | ASML 20-F の記述(見込み)。1,000 Wは実証であり、量産仕様の時期は資料に記載なし[参考資料 8]https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000937966/000162828026011378/asml-20251231.htm | 未確定/将来 |
| 光源の変換効率が平均で約5%、中間焦点で200 Wに20 kW超のレーザーが必要、100枚/時に中間焦点で200 W超(稼働率60%想定)、ArF光源は90 Wで200枚/時、スペクトルは13.5 nm・帯域幅2%、反射10回・ピーク反射率67%で全体の透過率約2%、コレクタの寿命が最難関の一つ、水素バッファーガスと保護層 | Fomenkovら(2017年、査読論文。NXE:3300B世代の説明)[参考資料 9]https://doi.org/10.1515/aot-2017-0029 | 事実 |
| Mo/Si多層膜(50層対、界面にB4C 0.25〜0.4 nm)で13.5 nm・垂直入射の反射率70%(帯域幅0.545 nm)、周期の収縮が約30%減、Ru終端で耐酸化性が大きく向上(実験室の試料) | Bajtら(2002年、査読論文)[参考資料 10]https://doi.org/10.1117/1.1489426 | 事実 |
| 水の液浸が193 nmを実効135 nmに短縮するという整理 | Lin(2004年、査読論文の要旨)[参考資料 11]https://doi.org/10.1117/1.1756917 | 事実 |
| 三井化学がASMLのライセンスでEUVペリクルを製造し2021年に商業生産を開始、2024年5月28日にCNTペリクルの量産設備を決定、透過率92%以上・1 kW超の露光出力に耐える光耐性(同社の公称)、年5,000枚、建設完了は2025年12月(暫定) | 三井化学 ニュースリリース(2024年5月28日)。設備の計画は発表時点のもの[参考資料 12]https://jp.mitsuichemicals.com/en/release/2024/2024_0528_1/index.htm | 未確定/将来 |
| EUVペリクルが機械的に壊れやすく高温・水素ラジカルに耐える必要があること。金属シリサイド膜を110×144 mmの実物大で作り、透過率90%超・反射率0.04%未満・2 Paで300 µmのたわみ・引張強さ2 GPa超 | Choiら(2024年、査読論文)[参考資料 13]https://doi.org/10.1088/1361-6528/ad902d | 事実 |
| SADPでは芯材のまわりにスペーサーを作り芯材を除くことで、リソグラフィの最小ピッチの2分の1のパターンを得られること(SAQPでは4分の1)。193 nm液浸が30 nm未満のピッチまで拡張されたこと。SITが2回露光の位置合わせ誤差の懸念から生まれたこと | 米国特許 US 11,676,817 B2 の背景説明・実施形態の説明(権利範囲の解釈はしない)[参考資料 14]https://patents.google.com/patent/US11676817B2/en | 事実 |
| k1の逆算(38×1.35÷193=0.266、40なら0.280、13×0.33÷13.5=0.318、8×0.55÷13.5=0.326)。公称の最小寸法の定義が不明なため目安であること | 本稿の計算。λ・NA・最小寸法は ASML 製品ページの公称値。k1は公表値ではない | 本稿の計算 |
| 193÷13.5=約14.3、193÷135=約1.43(水の屈折率に相当)、1.7²=2.89(密度)、(0.55÷0.33)²=約2.8(DOFの相対変化。λ÷NA²に比例するという一般式を前提) | 本稿の計算。DOFの係数は条件で変わる前提を置いている | 本稿の計算 |
| 200 W÷20 kW=約1%、20 kW×5%=1 kW、200 W÷1 kW=約20%(集光とガス透過で残る割合) | 本稿の計算。Fomenkovら[参考資料 9]の数字を前提とし、20 kWは下限の目安 | 本稿の計算 |
| 透過率=R^n:0.67^10=約1.8%、0.70^10=約2.8%、図6の各値(n=2〜10)。ペリクルは往復で2回通るので0.9²=81%、0.92²=約85% | 本稿の計算。反射回数10回は例。現行機の反射回数・レチクルでの反射を含むかは考慮していない | 本稿の計算 |
| 光子エネルギー(1239.84 eV·nm÷波長):193 nmで約6.4 eV、13.5 nmで約92 eV。30 mJ/cm²での入射光子数は1 nm²あたりArF約290個・EUV約20個、10 nm×10 nmで約2,000個、ショットノイズ約2%(1÷√N) | 本稿の計算。30 mJ/cm²はASMLの装置ページ[参考資料 6]の処理能力の条件の値で、レジストの実際の露光量ではない | 本稿の計算 |
| 液浸のレジスト表面の撥水化・トップコートの必要性、多層膜の界面設計と成膜技術の共通性、NA上昇による焦点深度の減少がレジスト膜厚の余裕に与える影響、マルチパターニングが成膜・エッチングの仕事を増やすこと、素材技術者の視点の各ボックス | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。具体的な材料名・仕様は確認していない | 解説 |
| 現行機のミラー反射回数、各装置の稼働率、顧客工場での実効処理能力、EXE:5200Bの露光量条件、CNTペリクル設備の稼働状況 | 本稿の調査範囲では一次情報で確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 図2・図3・図4・図5・図6・図7が実際の設計図・測定図ではなく説明のための作図であること。図1と図8がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月9日/出典は一次情報(装置メーカーの公式資料・SEC提出書類、査読論文、特許公報、企業の公式発表)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 現行機のミラー反射回数、各装置の稼働率、顧客工場での実効処理能力、High-NAの量産での使われ方は、確認できなかったため記載していません。 装置メーカーの数値はすべてメーカー公称で、条件が異なる値を並べて優劣を示すものではありません。 図は説明用の概念図・作図です。図2〜図7はベクター作図、図1と図8はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・マスク・ペリクルの写真や設計を示すものではありません。