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国際海事機関(IMO) 機関解説

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INSTITUTION PROFILE / 水素エネルギー

国際海事機関(IMO)
― 船舶の温室効果ガスと燃料の安全を条約で定める国連機関。ネットゼロ枠組みは「承認」まで、採択は2026年12月以降

国際海事機関(IMO)は、国際海運の安全と環境の規則を条約と規則として定める国連の専門機関です。 水素エネルギーでは、船舶の温室効果ガス(GHG)の規制(IMOネットゼロ枠組み)と、水素・アンモニア・メタノールなどを船の燃料に使うときの安全規則(IGFコードと各種の暫定指針)が関わります。 ただし、IMOは規則を採択する場であって、船を検査して罰するのは旗国と寄港国です。ネットゼロ枠組みは、2025年4月に承認されましたが、2025年10月の採択は1年間休会となり、2026年10月5日時点では採択も発効もしていません。 本稿では、IMOが水素エネルギーにどこまで影響を持つのかに絞り、承認・採択・発効の段階を区別して整理します。個々の船や燃料の取扱いに関する助言は含みません。

構成:IMOの公式サイト(組織、よくある質問、2023年GHG戦略、IMOネットゼロ枠組みのFAQ、IGFコードの説明)、MEPC 83・MEPC/ES.2・MEPC 84・ISWG-GHG 21/22・MSC 108〜111・CCC 10の会合概要を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

International Maritime Organizationの水素エネルギー関連活動を表す概念画像
概念画像(ImageGenで生成)。船舶用代替燃料のタンク・配管・安全設計を検討する場面を描いた概念画像です。IMOの実際の会合や承認を示しません。
この記事でわかること
  1. 30秒でわかるIMO
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. 水素エネルギーで何をしているか
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている企業・組織
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるIMO

正式名称国際海事機関(International Maritime Organization)国連の専門機関。事務局長は Arsenio Dominguez 氏(2024年1月1日就任、任期4年)
国・地域国際機関(本部ロンドン)加盟国176か国と準加盟3か所。68の政府間機関がオブザーバー
機関の種類国連の専門機関条約は1948年3月6日にジュネーブで採択、1958年に発効、翌年に初会合
人数規模約300人の国際職員事務局長と、ロンドン本部の国際職員(IMOの説明)
予算2026〜2027年で8,742.7万ポンドうち加盟国の分担金は7,683.5万ポンド。分担は主に商船隊のトン数で決まる
水素エネルギーへの関与GHG規制と燃料の安全規則MARPOL附属書VI(ネットゼロ枠組み)、SOLASとIGFコード、暫定指針
法的な拘束力条約は締約国を拘束。指針は拘束しないIMOは規則を決める場で、検査と罰則は各国(旗国・寄港国)
影響が及ぶ範囲国際航行の船舶(世界貿易の80%超を運ぶ)陸上の水素の製造・利用の規制や、燃料の製造への権限はない
まず押さえるべき1点

IMOのネットゼロ枠組みは、段階を区別して読む必要があります。 (1)2023年7月(MEPC 80):「2023年IMO GHG戦略」を採択(これは目標の枠組みで、船を直接縛る条約の条文ではない)。 (2)2025年4月(MEPC 83):ネットゼロ枠組みの法文案(MARPOL附属書VIの新しい第5章)を承認。 (3)2025年10月14〜17日(MEPC/ES.2):採択を審議する予定だったが、1年間休会。 (4)2026年4月〜5月(MEPC 84):改めて作業部会を設け、2026年12月4日にES.2を再開する予定(MEPC 85での確認が条件)。 (5)採択された場合、黙示の受諾手続により、採択の16か月後に発効する見込みとIMOは説明しています 事実。 つまり、2026年10月5日時点で、ネットゼロ枠組みは承認済み・未採択・未発効です。 一方、水素を船の燃料にするときの安全規則は別の流れで、水素の暫定指針は2026年5月にMSC 111が承認した段階(条約の条文ではなく指針)です。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

水素エネルギーの記事に出てくる「機関」は、企業と違って自分では水素を作りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。IMOは「政策・規制を決める」型の国際機関で、船舶という限られた領域の国際規則を、加盟国の合意でつくります。

水素エネルギーを動かす「機関」の4つの型 機関は自分では水素を作らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 政策・規制を決める 標準を決める 場をつくる 研究開発・実証に予算を配る 条約・規則・安全の基準 試験方法・安全要求 統計・分析・産業界の連合 欧州委員会/DOE/NEDO 欧州委員会/DOE/IMO ISO IEA/Hydrogen Council 何を研究・実証させるか 何を船に求めるか どう測り、どう比べるか 何が見通しとして示されるか 届く範囲=自国の予算 届く範囲=締約国の船舶 届く範囲=採用する側 届く範囲=参加者・読者 IMOは「政策・規制」型。条約と規則を決めるが、執行するのは旗国と寄港国 同じ水素でも、どの型の機関かによって影響の届き方がまったく違う
図1 水素エネルギーに関わる機関の4つの型と、国際海事機関(IMO)の位置。区分と機関の当てはめは本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う機関から例示しています 本稿の計算。IMOは船舶の安全と温室効果ガスの国際規則を条約で定める機関で、水素の研究開発の資金配分や、陸上の水素の規制は担いません。条約を執行するのは各国(旗国と寄港国)です。

3. 水素エネルギーで何をしているか

IMOの水素への関わり方は、船舶のGHG規制と、水素などを船の燃料にするときの安全規則の2本立てです。 どちらも、IMOの委員会(環境はMEPC、安全はMSC)が案をつくり、承認・採択・発効の順に進みます 事実。

GHG規制:戦略から枠組みまで(段階を区別)

項目段階内容(一次情報)区分
2023年IMO GHG戦略採択済み(2023年7月、MEPC 80)加盟国のための枠組み。国際海運のGHG排出を2050年ごろまでに(by or around, i.e. close to, 2050)ネットゼロにする目標。節目として2008年比で2030年に少なくとも20%(30%を目指す)、2040年に少なくとも70%(80%を目指す)削減。ゼロまたはニアゼロのGHG排出の技術・燃料・エネルギー源を、2030年に国際海運のエネルギーの少なくとも5%(10%を目指す)。炭素強度は2030年までに2008年比で少なくとも40%削減事実
短期措置(EEXI・CII)発効済み(2022年11月)2021年6月のMEPC 76がMARPOL附属書VIの改正として採択した、技術と運航の要件。2030年の炭素強度を2008年比で少なくとも40%削減することを狙う。見直しは2026年1月1日までに完了する決まり事実
IMOネットゼロ枠組み承認済み・未採択・未発効MARPOL附属書VIの新しい第5章の案。世界共通の燃料基準(燃料のライフサイクル全体でのGHG強度の上限を年々下げる)と、GHGの価格付けの仕組みの2本柱。5,000総トン超の外航船が対象(これらの船で外航海運の排出の85%超)。上限を超えた船は、余剰ユニットの利用か、IMOネットゼロ基金への支払いで補う。ゼロまたはニアゼロの燃料はGHG強度が19.0 gCO2eq/MJ以下(現在の平均93.3の80%減)事実
ネットゼロ枠組みの経過承認(2025年4月)→採択は休会→再開予定2025年4月のMEPC 83が法文案を承認。2025年10月14〜17日のMEPC/ES.2は採択の審議のために開かれたが、12か月後に再開するとして休会。2026年4月27日〜5月1日のMEPC 84は作業部会の設置を決め、ISWG-GHG 22(2026年9月1〜4日、実施済み)とISWG-GHG 23(2026年11月23〜27日)を経て、MEPC 85(2026年11月30日〜12月3日)に諮る。ES.2は2026年12月4日に再開する予定(MEPC 85での確認が条件)事実
未確定/将来
発効の見込み採択の後(未到達)MARPOLの改正は黙示の受諾手続を経る。採択された場合、採択の16か月後に発効する見込みとIMOは説明する。発効後は各国政府が執行する未確定/将来

※IMOのFAQは、この枠組みを「世界一律の炭素税ではなく、性能目標と段階的な賦課金を組み合わせた市場型の仕組み」と説明しています。上限の達成は燃料の種類ではなく、ライフサイクル全体(原料から船上での使用まで)のGHG強度で測られます。このため、どの燃料が有利になるかは、枠組みの最終的な文言と、燃料の認証の指針次第です 未確定/将来。

燃料の安全規則:水素・アンモニア・メタノール

項目段階内容(一次情報)区分
IGFコード強制(SOLAS条約のもと)。改正は段階的ガスまたは低引火点燃料を使う船の国際基準(LNGなどを念頭にした、強制的な基準)。2024年12月のMSC 109がA部とA-1部の改正を採択し、発効の見込みは2028年1月1日。SOLAS第II-1章がIGFコードを「ガス燃料または低引火点燃料」に適用すると明確にする改正案もMSC 109が承認し、MSC 110は「ガス燃料」の新しい定義を伴う改正をMSC 112(2026年)での採択、2028年7月1日の発効を目標とした事実
未確定/将来
水素を燃料にする船暫定指針(承認、2026年5月)MSC 111(2026年5月13〜22日)が「水素を燃料とする船の安全のための暫定指針」を承認した。条約の条文ではなく指針事実
アンモニアを燃料にする船暫定指針(承認、2026年5月)CCC 10(2024年9月)が草案を最終化し、MSC 111が「アンモニアを燃料とする船の安全のための暫定指針」と、その乗組員の訓練の暫定指針を承認した事実
メタノール(メチル/エチルアルコール)を燃料にする船暫定指針(承認済み)暫定指針 MSC.1/Circ.1621。MSC 111が乗組員の訓練の暫定指針も承認した事実
燃料電池を使う船、LPGを燃料にする船暫定指針(承認済み)燃料電池:MSC.1/Circ.1647。LPG:MSC.1/Circ.1666事実
液体水素を貨物として運ぶ船暫定勧告の改訂(採択、2024年5月)MSC 108が「ばら積み液化水素の運送のための改訂暫定勧告」を採択した。これは貨物(IGCコードの領域)で、燃料の規則とは別事実
規制のすき間の洗い出し作業中GHG安全の通信部会は、既存の規則に51の隙間・障壁を見つけ、32の提言をした。MSC 110はそれを更新し、CCC・SDC・SSEの各小委員会に任務を割り当てた。アンモニアなど一部の燃料の隙間は、国際標準化機構(ISO)のTC 8に通知することを決めた事実
低温用の金属材料指針(承認済み)MSC 108は、高マンガンオーステナイト鋼の低温用途の指針(MSC.1/Circ.1599/Rev.2)と、液化ガス運搬船・ガス燃料船で使う代替金属材料の受入れの指針(MSC.1/Circ.1622)の改訂を承認した事実
素材技術者の視点:材料側の基準は「低温用の金属」から先に整っている

MSC 108が承認した低温用途の金属材料の指針は、液化ガスの貨物や燃料のタンクに使う材料の受入れ条件に関わります 事実。 一方、水素やアンモニアを船の燃料にするときの材料の要求は、2026年5月に承認された暫定指針の段階で、強制の規則ではありません。 水素の燃料タンクや配管に使う材料(水素による脆化への対応を含む)が、将来どのように条約上の基準になるかは、本稿では確認できませんでした 未確定/将来。 技術面は、本シリーズの技術解説(液体水素、アンモニア、メタノール、高圧水素タンク、バリア性とコーティングなど)を参照してください。

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点IMOが持っているもの持っていないもの
権限(規則)船舶の安全(SOLAS)、環境(MARPOL)、教育訓練(STCW)などの条約と、その強制的な規則(IGFコードなど)を、加盟国の合意で採択する場。非強制の指針・暫定指針も承認する規則を単独で決める権限(加盟国の合意が必要)。指針は条約の条文ではない
権限(執行)なし。IMOは加盟国に、条約を国内法に取り込む技術支援をする船の検査や取締り(旗国と寄港国が行う)。IMOの条約は国内法に取り込まれて、はじめて船に適用される
手続きMARPOLの改正は、承認→回覧→採択→みなし受諾→発効→執行の順。ネットゼロ枠組みは採択の16か月後に発効する見込み採択されていない案を適用させる権限
地域国際航行の船舶。176の加盟国。国際海運は世界貿易の80%超を運ぶ陸上の水素の製造・輸送・利用の規則、燃料の製造や価格。港湾の整備は自発的な協力の呼びかけにとどまる
規模約300人の国際職員。2026〜2027年の予算は8,742.7万ポンド水素専用の予算や担当人数は確認できなかった
混同しやすい点:「承認」「採択」「発効」と「指針」

IMOの文書は、承認(approved)=委員会が案を認め、各国に回覧する段階、採択(adopted)=加盟国が正式に決める段階、発効(entry into force)=法的に適用が始まる段階、と分かれます。 ネットゼロ枠組みは承認までで、採択されていません。また、MSC 111が承認した水素・アンモニアの暫定指針は、IGFコードのような強制の規則ではなく、指針です。 「IMOが水素船の基準を決めた」「IMOがネットゼロを決めた」といった表現に出会ったら、どの段階の話かを確認する必要があります 事実。

5. 関わっている企業・組織

IMOは加盟国政府が運営する機関で、企業と直接結びつく機関ではありません。業界団体や非政府組織は、オブザーバーとして会合に参加します。 下の図は、一次情報に記載のある制度上の関係だけを描いています。個別の船会社やメーカーは本稿では扱いません。

IMOの規則づくりの流れと、水素に関わる位置 委員会が案をつくり、加盟国が採択し、執行は旗国と寄港国。ネットゼロ枠組みは承認まで MEPC(環境) GHG戦略・MARPOL附属書VI ネットゼロ枠組みを承認 MSC(安全) SOLAS・IGFコード・暫定指針 水素の暫定指針を承認 加盟国(176か国) 条約の採択・批准・国内法化 旗国・寄港国として執行 承認(2025年4月) MEPC 83が法文案を承認 済み 採択(未了) 2025年10月に休会 再開予定:2026年12月4日 発効(未到達) 採択の16か月後の見込み その後に各国が執行 燃料の安全規則(MSCの系統) IGFコード(強制) ガス・低引火点燃料を使う船 SOLAS条約のもとの基準 A部・A-1部の改正は採択済み 発効の見込み:2028年1月1日 暫定指針(強制ではない) 水素・アンモニア:2026年5月承認 メタノール:Circ.1621 燃料電池:Circ.1647 LPG:Circ.1666 貨物としての液体水素 ばら積み運送の改訂暫定勧告 2024年5月にMSC 108が採択 IGCコードの領域 燃料の規則とは別
図2 IMOの規則づくりの流れと、水素に関わる位置。出典:IMOのIMOネットゼロ枠組みFAQ、MEPC 83・MEPC/ES.2・MEPC 84の会合概要、MSC 108〜111とCCC 10の会合概要、IGFコードの説明。点線は未到達の段階です。図の整理は本稿によります 本稿の計算。
組織IMOとの関係(一次情報)
加盟国(旗国・寄港国)条約を国内法に取り込み、旗国として自国籍の船に、寄港国として寄港した船に適用する。ネットゼロ枠組みが発効した場合、各国政府が執行する
MEPC・MSCと小委員会(CCC、SDC、SSEなど)MEPCは船舶の汚染・GHGを、MSCは安全を担当する。CCCなどの小委員会が、燃料の安全の技術案をつくる
国際標準化機構(ISO)船舶の規格はISO/TC 8の領域。MSC 110はアンモニアなどの燃料で規格に隙間があるとISOに通知することを決めた
政府間機関・NGO(オブザーバー)68の政府間機関がオブザーバー資格を持つ。非政府組織(NGO)も参加する
IMOネットゼロ基金(案)ネットゼロ枠組みが採択され発効した場合に、価格付けの収入を受け取り、配分する基金。管理する理事会が置かれ、MEPCに報告する。現時点では案

本シリーズの技術解説(アンモニア、メタノール、液体水素、水素の色分けと炭素強度、高圧水素タンクなど)は、船の燃料になりうる水素系の燃料の技術を扱います。企業解説では、水素やその派生燃料に関わる会社を取り上げています。

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
ISWG-GHG 23が2026年11月23〜27日、MEPC 85が2026年11月30日〜12月3日に開かれるMEPC 84とISWG-GHG 22の会合概要。ISWG-GHG 22は、議論に時間が足りず指針の検討をISWG-GHG 23に持ち越した未確定/将来
MEPC/ES.2は2026年12月4日に再開する予定で、再開自体はMEPC 85の確認が条件MEPC 84の会合概要未確定/将来
ネットゼロ枠組みが採択された場合、採択の16か月後に発効する見込みIMOのFAQとMEPC 83の会合概要。MEPC 84は、各国が新しい修正案を出せるようにしたため、内容が変わる可能性がある未確定/将来
IGFコードのA部・A-1部の改正は2028年1月1日に発効する見込みMSC 109の会合概要(採択済み。発効は将来)未確定/将来
SOLAS第II-1章とIGFコードの「ガス燃料」に関する改正は、MSC 112(2026年12月)での採択、2028年7月1日の発効が目標とされたMSC 110の会合概要。MSC 111での承認の有無は、本稿では確認できなかった未確定/将来
水素燃料船の安全規則は、暫定指針の段階から、強制の規則へ進むのは先になる可能性があるMSC 111が承認したのは暫定指針で、IGFコードのような水素専用の強制規則は確認できなかった。IMOはMSC 110で規制の隙間の洗い出しを続けている推測
ネットゼロ枠組みの採択が遅れるほど、船主や燃料供給側の投資判断が先送りされる可能性がある採択が2025年10月から少なくとも2026年12月以降に延びたこと(MEPC/ES.2とMEPC 84)。個別の投資判断は本稿では確認していない推測

7. 用語集

MEPC/MSC
IMOの海洋環境保護委員会(MEPC)と海上安全委員会(MSC)。MEPCは船舶の汚染・GHG、MSCは船舶の安全を扱う。
MARPOL附属書VI
船舶による大気汚染の防止の規則。GHGに関する短期措置とネットゼロ枠組みの案は、この附属書の改正として扱われる。
SOLAS/IGFコード
海上人命安全条約(SOLAS)と、そのもとで強制となる、ガスまたは低引火点燃料を使う船の国際基準(IGFコード)。
暫定指針
新しい燃料の安全について、経験を積む間の指針として承認される文書(MSC通達)。条約の条文ではなく、強制ではない。
承認/採択/発効
承認は委員会が案を認める段階、採択は加盟国が正式に決める段階、発効は法的に適用が始まる段階。
黙示の受諾手続
MARPOLなどの改正が、一定期間内に一定数以上の締約国が異議を出さなければ受諾されたとみなされて発効する手続き。
GFI/ZNZ燃料
GFIは燃料のライフサイクル全体でのGHG強度(gCO2eq/MJ)。ZNZ燃料は、ゼロまたはニアゼロのGHG排出の燃料で、枠組みではおおむね19.0 gCO2eq/MJ以下。
旗国/寄港国
旗国は船が登録されている国、寄港国は船が入港する国。IMOの条約を国内法として船に適用し、検査・取締りをする。

8. 出典

  1. IMO Introduction to IMO(国連の専門機関、役割、世界貿易の80%超)。 https://www.imo.org/en/About/Pages/Default.aspx
  2. IMO FAQs(設立、事務局長、約300人の国際職員、条約の国内法化と寄港国管理)。 https://www.imo.org/en/About/Pages/FAQs.aspx
  3. IMO History of IMO(1948年の会議、1958年の発効)。 https://www.imo.org/en/About/HistoryOfIMO/Pages/Default.aspx
  4. IMO Structure(総会、事務局、2026〜2027年の予算)。 https://www.imo.org/en/About/Pages/Structure.aspx
  5. IMO Membership(加盟国176、準加盟3、オブザーバーの政府間機関68)。 https://www.imo.org/en/About/Membership/Pages/Default.aspx
  6. IMO 2023 IMO Strategy on Reduction of GHG Emissions from Ships(2023年7月、MEPC 80。目標、節目、短期措置)。 https://www.imo.org/en/ourwork/environment/pages/2023-imo-strategy-on-reduction-of-ghg-emissions-from-ships.aspx
  7. IMO The IMO Net-Zero Framework - FAQs(内容、対象船舶、手続き、発効の見込み、ZNZ燃料、基金)。 https://www.imo.org/en/mediacentre/hottopics/pages/faqs-the-imo-net-zero-framework.aspx
  8. IMO MEPC 83(2025年4月7〜11日。ネットゼロ枠組みの承認、採択後16か月で発効の見込み)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MEPC-83rd-session.aspx
  9. IMO MEPC 2nd extraordinary session(2025年10月14〜17日。休会)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MEPC-ES-2.aspx
  10. IMO MEPC 84th session(2026年4月27日〜5月1日。作業部会、MEPC 85、ES.2の再開予定)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/Temporary-MEPC-84th-session.aspx
  11. IMO ISWG-GHG 22(2026年9月1〜4日)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/iswg-ghg-22.aspx
  12. IMO IGF Code(ガスまたは低引火点燃料を使う船の国際基準の説明)。 https://www.imo.org/en/ourwork/safety/pages/igf-code.aspx
  13. IMO MSC 111th session - highlights(2026年5月13〜22日。水素・アンモニアの暫定指針の承認)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/Temporary-MSC-111.aspx
  14. IMO MSC 110th session(2025年。規制の隙間、IGFコードの適用の明確化、ISO TC 8への通知)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/msc-110th-session.aspx
  15. IMO MSC 109th session(2024年12月。IGFコードの改正の採択、SOLAS第II-1章の改正案の承認)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MSC-109th-session.aspx
  16. IMO MSC 108th session(2024年5月。液体水素の運送の暫定勧告、低温用の材料の指針)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MSC-108th-session.aspx
  17. IMO CCC 10th session(2024年9月。アンモニアの暫定指針の草案、既存の暫定指針)。 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/ccc-10th-session.aspx

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
国連の専門機関、役割、国際海運が世界貿易の80%超を運ぶこと事実出典1 https://www.imo.org/en/About/Pages/Default.aspx
設立の条約(1948年3月6日採択)、事務局長 Arsenio Dominguez 氏(2024年1月1日就任)、約300人の国際職員、条約の国内法化と寄港国管理事実出典2 https://www.imo.org/en/About/Pages/FAQs.aspx
条約の発効(1958年)と初会合(翌年)事実出典3 https://www.imo.org/en/About/HistoryOfIMO/Pages/Default.aspx
2026〜2027年の予算8,742.7万ポンド、加盟国の分担金7,683.5万ポンド、分担の算定事実出典4 https://www.imo.org/en/About/Pages/Structure.aspx
加盟国176か国、準加盟3、政府間機関のオブザーバー68事実出典5 https://www.imo.org/en/About/Membership/Pages/Default.aspx
2023年IMO GHG戦略(2023年7月採択)の目標と節目、短期措置の発効(2022年11月)と2026年1月1日までの見直し、港湾との自発的協力事実出典6 https://www.imo.org/en/ourwork/environment/pages/2023-imo-strategy-on-reduction-of-ghg-emissions-from-ships.aspx
ネットゼロ枠組みの内容(燃料基準と価格付け、5,000総トン超、ZNZ燃料19.0 gCO2eq/MJ、基金)、手続き、採択の16か月後に発効の見込み事実出典7 https://www.imo.org/en/mediacentre/hottopics/pages/faqs-the-imo-net-zero-framework.aspx
2025年4月のMEPC 83による承認、採択後16か月での発効の見込み事実出典8 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MEPC-83rd-session.aspx
2025年10月14〜17日のMEPC/ES.2の休会(12か月後に再開)事実出典9 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MEPC-ES-2.aspx
MEPC 84の決定(作業部会、ISWG-GHG 2回、MEPC 85、ES.2を2026年12月4日に再開予定)未確定/将来出典10 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/Temporary-MEPC-84th-session.aspx
ISWG-GHG 22の実施(2026年9月1〜4日)、ISWG-GHG 23(2026年11月23〜27日)への持ち越し事実出典11 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/iswg-ghg-22.aspx
IGFコードの位置づけ(強制的な基準)事実出典12 https://www.imo.org/en/ourwork/safety/pages/igf-code.aspx
水素・アンモニアの暫定指針の承認(2026年5月、MSC 111)、アンモニア・メタノールの訓練の暫定指針事実出典13 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/Temporary-MSC-111.aspx
規制の隙間(51の隙間、32の提言)、ISO TC 8への通知、IGFコード適用の明確化の予定(MSC 112、2028年7月1日の発効目標)事実出典14 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/msc-110th-session.aspx
IGFコードA部・A-1部の改正の採択(発効の見込みは2028年1月1日)、SOLAS第II-1章の改正案の承認事実出典15 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MSC-109th-session.aspx
液体水素のばら積み運送の改訂暫定勧告(採択)、低温用の金属材料の指針の承認事実出典16 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/MSC-108th-session.aspx
アンモニアの暫定指針の草案の最終化、メタノール(Circ.1621)・燃料電池(Circ.1647)・LPG(Circ.1666)の暫定指針事実出典17 https://www.imo.org/en/MediaCentre/MeetingSummaries/Pages/ccc-10th-session.aspx
機関の4つの型の区分と、図2の整理本稿の計算本稿による整理
IMOが「検査・取締りをしない」という整理(旗国・寄港国が執行)本稿の計算出典2の記述(条約を国内法に取り込み、寄港国管理を行う)からの本稿の整理
ネットゼロ枠組みの採択の時期と内容、発効の日付未確定/将来2026年10月5日時点で採択されていない。日付は採択後でなければ決まらないため、本稿では推計しない
水素の暫定指針の通達番号と、水素燃料船の強制的な規則の有無未確定/将来出典13に番号の記載がなく、強制的な水素専用の規則は確認できなかった。本稿では推測しない
SOLAS第II-1章とIGFコードの改正(MSC 112での採択予定)の現在の状況未確定/将来MSC 111のハイライト(出典13)に記載がなく、確認できなかった。本稿では推測しない
水素専用の予算や担当人数未確定/将来公式ページで確認できなかった。本稿では推計しない
第6章の推測、素材技術者の視点の推測推測出典7・10・13・14の段階と内容からの本稿の解釈

最終更新:2026年10月5日/Troy Technical
本稿の内容は、IMOの公式サイトと会合概要に基づきます。承認・採択・発効の段階は、IMOの記述のとおりに区別しています。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。規則の解説であり、個々の船や燃料の取扱いに関する助言ではありません。