TECHNOLOGY EXPLAINER
水素製鉄
― 鉄鉱石を水素で還元する、直接還元鉄と電気炉の道
鉄鋼は、鉄鉱石から酸素を取り除く「還元」で大量のCO2を出します。水素製鉄は、この還元に炭素ではなく水素を使い、水(H2O)を出す方法です。 鉄1 tの還元に必要な水素は化学量論で約54 kg、電解の電力に直すと約2.9 MWhです本稿の計算。 日本では2026年6月29日〜7月1日に、グリーン水素で約1 tの還元鉄がつくられ(7月31日発表)、欧州ではスウェーデンのパイロット設備が5,000 t超の還元鉄をつくりました。一方で、鉱石の品位、不純物、水素と電力の量とコストが、実機への課題として残っています。

- 水素製鉄とは何か(3行でつかむ)
- 鉄鋼のつくり方 ― 高炉-転炉と、直接還元-電気炉
- 水素で鉄鉱石を還元する ― 反応と「吸熱」
- 本稿の計算:水素の使用量、電力、コスト
- 鉄鉱石の品位と不純物
- 素材技術者の視点①:ペレットの中で起きること、還元鉄の性質
- 素材技術者の視点②:高温の水素を加熱し、運ぶ設備と、電気炉
- 日本の取り組み(公式資料で確認できる範囲)
- 欧州の取り組み、実証の規模と時期
- 課題とコスト
- 限界と、確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、材料や設備の観点での読み取りは「解説」として区別しています。企業・プロジェクトの計画は、確認日(2026年10月)時点の公表内容で、その後に変わっている可能性があります。
本記事は製鉄の技術と制度の解説であり、設備の運転や水素の取り扱い、投資の判断についての助言ではありません。水素は可燃性ガスで、取り扱いには法令(高圧ガス保安法など)と規格があります。特定の企業・方式の優劣を断定するものではありません。
1. 水素製鉄とは何か(3行でつかむ)
- 何を変えるか:鉄鉱石(主に酸化鉄Fe2O3)の還元で、炭素(コークスや石炭)の代わりに水素を使います。炭素による還元ではCO2が、水素による還元では水が出ます(Fe2O3 + 3H2 → 2Fe + 3H2O)事実[参考資料1]。鉄1 tあたりの水素の化学量論量は約54 kg、これを電解で賄う電力は約2.9 MWhです本稿の計算(第4章)。
- どこまで来たか:スウェーデンのHYBRITのパイロット設備は、水素だけで還元した鉄を5,000 t超つくりました事実[参考資料12・13]。日本では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業で、2026年6月29日〜7月1日に日本で初めてグリーン水素による約1 tの還元鉄がつくられました[参考資料11]。ただし、NEDOは、水素還元製鉄はいまだ実用化されていないとしています[参考資料5]。
- 何が課題か:水素と電力の量とコスト、鉱石の品位と不純物、水素の加熱、電気炉での溶解などです。IEAは、再エネ由来の水素を鉄鋼に使うと、製品のコストが約40%上がるとしています[参考資料4]。
2. 鉄鋼のつくり方 ― 高炉-転炉と、直接還元-電気炉
鉄鋼業は、世界の人為的なCO2排出の4〜7%を占めるとされます。主な原因は、鉄鉱石の還元に炭素(石炭・コークス)を使うことで、鉄鉱石を溶銑にする高炉が、製鉄(鉄鉱石を金属の鉄にする工程)の90%を占めます事実[参考資料1]。日本では、2023年度のエネルギー起源CO2排出9億2171万 tのうち鉄鋼が14%(1億3千万 t)を占め[参考資料7]、NEDOは、2024年度の鉄鋼業のCO2排出量を約1億2,600万 tで、日本の産業部門全体の約4割としています[参考資料5](分母が違うため、14%と約4割は同じ値ではありません)。
もう一つの製鉄の道が直接還元です。鉄鉱石を溶かさずに固体のまま還元し、還元鉄(DRI、HBI)をつくります。現在の直接還元は、天然ガスを改質してできる水素とCO(MIDREXのガスは、水素約56%、CO約34%)で還元する縦型のシャフト炉が主流です[参考資料1]。世界では2020年時点で年間約1億 tの直接還元鉄が、天然ガスが安い中南米や中東で生産されています[参考資料9]。IEAによると、2024年に産業で使われた水素55 Mtのうち、約10%が鉄鋼の直接還元向けです[参考資料4]。
| 経路 | エネルギー | CO2排出量 | 注記 |
|---|---|---|---|
| 高炉-転炉 | 18.8 GJ/t(熱延コイル) | 1,850 kgCO2eq/t(熱延コイル) | ULCOSの値 |
| 天然ガス直接還元+電気炉 | 15.6 GJ/t(熱延コイル) | 970 kgCO2eq/t(熱延コイル) | 同上 |
| 水素直接還元+電気炉 | 13.3〜15.4 GJ/t(算定による) | 25〜196 kgCO2eq/t | 算定の境界が異なる(ULCOSは原料採掘から熱延コイルまで、HYBRITとVogl らは液体鋼1 t) |
表1 製鉄の経路ごとのエネルギーとCO2排出量(Patisson と Mirgaux の表1[参考資料1]より。事実)。水素の経路は、電力が脱炭素であることが前提の値です。
水素の経路のCO2排出量は、ULCOSの算定で高炉-転炉より89〜99%少ないと整理されています[参考資料1]。ただし、これは電気と水素が脱炭素の電力でつくられる前提で、系統の電力をそのまま使う場合は別です。Bhaskarらは、欧州の現状の系統電力(295 kgCO2/MWh)で水素直接還元+電気炉を動かした場合の排出量を35%超減らせる、としています(脱炭素の電力を使う場合より小さい削減)[参考資料3]。
3. 水素で鉄鉱石を還元する ― 反応と「吸熱」
鉄鉱石の還元は、一気に進むのではなく、Fe2O3(ヘマタイト)→ Fe3O4(マグネタイト)→ FeO(ウスタイト)→ Fe と段階を踏みます。FeOは570 ℃より上でだけ現れ、最後のFeO→Feがいちばん遅い、とPatissonらは整理しています事実[参考資料1]。
水素による還元で大事な点は、反応が全体として吸熱になることです。炭素やCOによる還元は発熱ですが、水素は吸熱で、温度が下がります。GREINS(水素製鉄コンソーシアム)も、水素還元は吸熱反応で温度低下が起きるため、水素の加熱が必要だと整理しています[参考資料8]。Patisson と Mirgaux の表4の反応熱(800 ℃)から、Fe2O3 1 molあたりの合計を求めると、水素は約+61.9 kJ(吸熱)、COは約−36.6 kJ(発熱)になります本稿の計算(図3)。
鉄1 tあたりに直すと、水素による還元の反応熱は約154 kWhの吸熱、COは約91 kWhの発熱です本稿の計算。電解の電力(約2.9 MWh)と比べると小さな量ですが、吸熱のために、反応炉の中の温度を保つ工夫が要ることが、設計上の違いを生みます。
- 反応速度は水素のほうが速い。他の条件が同じなら、水素の還元速度はCOの最大10倍とされます。しかし、実際のシャフト炉では、熱力学と熱の出入りのために、COが冷たい中心部のウスタイトの還元で決定的な役割を果たします。水素だけにすると、温度と組成の分布が平らになり、完全な金属化(100%)に達するという計算結果が出ています(数理モデル。実験での確認はこれから)[参考資料1]。
- この計算では、ペレットが入る時の温度は25 ℃で、反応ガス(水素98%、水2%)を800 ℃で入れると、完全な金属化に達する高さは約3.4 mで、MIDREXの還元ゾーン(約10 m)より短くなりました。ガスの入口温度が700 ℃では、鉄の割合は平均74%にとどまり、900〜950 ℃では2 m未満で100%に達します[参考資料1]。
- HYBRITのパイロット設備は、還元ガスの温度を550〜1,090 ℃の範囲で試し、天然ガス・バイオガス・水素による加熱と、電気加熱、酸素の吹き込みを組み合わせて評価しました[参考資料13]。
4. 本稿の計算:水素の使用量、電力、コスト
Fe2O3 + 3H2 → 2Fe + 3H2O の化学量論から、鉄1 tをつくるのに必要な水素は54.1 kgです本稿の計算(Patisson と Mirgaux も、ヘマタイトの還元の化学量論量を鉄1 tあたり54 kgとしています[参考資料1])。水素を電解でつくると、比消費電力52.9 kWh/kg(効率63% LHV、『水素の製造コスト』編の基準ケース)で、電力は約2.86 MWhです。Voglらは、水素直接還元の製鉄は、液体鋼1 tあたり3.48 MWhの電力を要し、主に電解槽の水素製造に使われるとしています事実[参考資料2]。Bhaskarらの計算では、水素直接還元-電気炉の液体鋼1 tあたりのエネルギー消費は3.72 MWhです[参考資料3]。
プラントの規模に直すと、次のとおりです。前提:年産100万 tの鉄をすべて水素直接還元でつくる(スクラップなし、水素の損失なし)。
| 項目 | 値 | 計算 |
|---|---|---|
| 水素の年間量 | 約5.4万 t | 54.1 kg/t × 100万 t |
| 水素の流量 | 約6.2 t/時(約6.9万 Nm3/時) | 5.4万 t ÷ 8,760 h。1 Nm3 ≒ 0.0899 kg |
| 電解の電力量 | 約2.9 TWh/年 | 5.4万 t × 52.9 kWh/kg |
| 必要な電解槽容量 | 稼働率100%で約327 MW、90%で約363 MW、50%で約653 MW | 2.9 TWh ÷(8,760 h × 稼働率) |
表2 年産100万 tの鉄を水素直接還元でつくる場合の水素と電解槽の規模(本稿の計算)。Patisson と Mirgaux は、年産100万 tの製鉄所には約70,000 m3/hの水素プラントが要るとしており、本稿の約6.9万 Nm3/hと一致します[参考資料1]。
参考として、IEAによると、スウェーデンのStegraのBoden工場は年産250万 tの製鉄所で、電解槽は740 MWです[参考資料4]。本稿の単純な計算では、250万 tをすべて水素還元で賄うと約7.2 TWh/年が要り、740 MW×8,760 hの約6.5 TWhを上回ります本稿の計算。この差は、スクラップの使用、効率の違い、水素の回収などの前提で変わりうるもので、Stegraの実際の構成は本稿では確認していません。電解槽の容量とプラントの規模の関係は、前提次第で大きく動きます。
コストへの影響は、水素のコストの水準で決まります。水素のコストが2 US$/kgなら鉄1 tあたり約108 US$、4 US$/kgなら約217 US$、『水素の製造コスト』編の基準ケース(約6.5 US$/kg)なら約354 US$です本稿の計算。Voglらは、水素直接還元の製鉄の総生産コストを、液体鋼1 tあたり361〜640ユーロと推計し、電力価格とスクラップの使用量に敏感で、電力が40 EUR/MWhのとき、炭素価格が34〜68 EUR/t-CO2で、高炉を持つ一貫製鉄所と同程度のコストになる、としています[参考資料2]。また、同論文は、この製鉄が、水素と還元鉄(HBI)の貯蔵、またはスクラップの割合の変更を通じて、電力系統の調整に使える柔軟性を持つことを特徴としています[参考資料2](系統側は『電力グリッドと再エネ』編)。
5. 鉄鉱石の品位と不純物
鉄鉱石は、酸化鉄のほかに、シリカやアルミナなどの脈石(不純物)を含みます。純粋なFe2O3の鉄分は69.9%で、これが鉱石の鉄分の上限です。鉄1 tをとるのに、少なくとも約1.43 tの鉱石が要ります本稿の計算。
- 高炉は、低品位の鉱石を使いやすい。GREINSの整理では、高炉法は低品位鉱石を使え、高級鋼もつくれる一方、電気炉は、低品位の鉱石の使用が難しいとされます[参考資料8]。NEDOは、電炉は高炉に比べて不純物を除去することが難しいため、不純物が多い低品位鉱石が使えないという原料の制約があるとしています[参考資料6]。
- 既存の直接還元は高品位ペレットが前提。GREINSは、現在のシャフト炉の原料は高品位ペレットで、日本の水素還元シャフト炉は、低品位原料の使用を志向するとしています[参考資料9]。LKABは、HYBRITの価値連鎖で、同社の高品質の鉄鉱石を活用する立場を示しています[参考資料12]。
- 鉱石の産地の問題でもある。IEAは、ブラジルやサハラ以南のアフリカの高品位の鉄鉱石を、低排出の水素で直接還元鉄(HBI)にして輸出する機会を指摘しています。直接還元鉄の価格は、現在、鉄鉱石の約4倍です。ただし、新しい鉱山の開発には最大10年かかるため、早期の機会は、既存または開発が進んだ鉱山のある地域に限られます[参考資料4]。
- 粉鉱を使う試み:IEAによると、ナミビアのHyIronのOshivela工場は、2025年3月に、ペレット化や焼結を経ない磁選した粉鉱を、ロータリーキルンで100%水素により還元し、初めての直接還元鉄をつくりました(年産能力1.5万 t)[参考資料4]。
GREINSは、水素直接還元と電気炉の組み合わせで、2030年までに、自動車の外板などに使える高級鋼を、約300 t規模の大型電気炉で、リン150 ppm以下、窒素40 ppm以下という高炉法並みの水準でつくる技術の実証を目標としています[参考資料10]。直接還元と電気溶融炉、転炉を組み合わせる別の経路では、リン0.015%以下、電気溶融炉で副生するスラグの酸化鉄を3%以下(セメント用途の品質)にする目標です[参考資料10]。
6. 素材技術者の視点①:ペレットの中で起きること、還元鉄の性質
Patissonらは、鉄鉱石ペレットを水素で還元した様子を、電子顕微鏡で観察しています事実[参考資料1]。初めは、緻密なヘマタイトの粒が集まった多孔質のペレットで、ペレット全体の大きさはほとんど変わりません。粒のスケールでは、表面に気孔ができ、ウスタイトの段階で粒が小さな結晶子に割れ、最後に鉄が結晶子の内側から成長します。900 ℃を超えると、鉄が結晶子の表面に広がって結晶子どうしが合体します。高温でできる鉄の粒は大きく滑らかです。
還元の速さは、温度に単純には比例しません。700 ℃と950 ℃の近くで、反応の終わりに速度が遅くなる現象が見られ、950 ℃付近のものは、α鉄からγ鉄への変態(912 ℃)で、固体の中の拡散が遅くなるためとされます[参考資料1]。ペレット内の律速段階は、化学反応から粒間の拡散へ移ります。つまり、ペレットの気孔構造(気孔率、粒の大きさ)が、還元の速さを決める材料側の設計項目です(本記事による解説)。Patissonらのモデルは、気孔率0.33、直径14 mmのペレットを例にしています。
還元鉄の性質も、炭素の有無で変わります。天然ガスで還元した鉄は炭素を2〜4%含みますが、水素で還元した鉄は炭素0%です。電気炉メーカーには、炭素0%の還元鉄を心配する声もありますが、Nuberらは、炭素のない還元鉄は問題でないと結論し、スクラップだけの装入も多くの電気炉で行われ、重要なのは、炭素の粉と酸素の吹き込みで、よい泡立つスラグ(フォーミングスラグ)をつくることだとされます[参考資料1]。HYBRITは、水素で金属化率98〜99%まで還元した還元鉄が、輸送・貯蔵・溶解の性質で天然ガスの還元鉄より優れる、としています。10 mと30 mの高さから10回落とす試験でも、6.3 mm未満の細片になった量は数%にとどまりました[参考資料13]。
7. 素材技術者の視点②:高温の水素を加熱し、運ぶ設備と、電気炉
水素の還元は吸熱で、還元ガスを800〜900 ℃に加熱して循環させる必要があります[参考資料1]。水素だけにすると、天然ガスの改質装置が不要になり、ガスの回路は短くなる、と Patissonらは述べています。一方、GREINSは、従来の高炉の熱風炉は空気を加熱するが、水素の場合は、爆発のリスクのために間接加熱などの新しい技術が必要で、加熱効率にも課題があるとしています[参考資料8]。さらに、水素還元時の炉内の温度低下への対策は、現時点で確立されていない、とも整理しています[参考資料8]。
電気炉の側にも、課題があります。GREINSは、直接還元法でつくられる還元鉄は、溶解に時間がかかると言われ、電気炉は高炉に比べて生産性が低いとして、還元鉄の効率的な溶解と、りん・窒素などの不純物の対策を、開発の対象にしています[参考資料10]。日本では、日本製鉄が小型試験電気炉(10 t)で還元鉄の高速溶解と精錬効率の向上、JFEスチールが還元鉄の予熱と炉内の熱付与、神戸製鋼所が小型商用炉(20 t)の改造で還元鉄の溶解技術を、それぞれ試験の対象にしています[参考資料10]。
高温の水素に接する材料(加熱器、配管、耐火物、炉壁)の長期の耐久性や、水素脆化などの評価について、本稿は、公表資料で数値を確認できませんでした。確認できなかった項目として、第11章に書きます。
8. 日本の取り組み(公式資料で確認できる範囲)
日本は、2008年から世界に先駆けて、水素還元製鉄の技術開発(COURSE50)を始めました。2016年からは、12 m³の試験高炉(実機の約1/400)で試験し、水素系ガスの吹き込みで、還元工程のCO2排出量を10%以上減らせることを世界で初めて検証しています事実[参考資料7]。NEDOによれば、CO2の分離回収と組み合わせると、試験高炉の実証で、CO2排出量30%削減が可能な技術の確立にめどが立っています[参考資料6]。
| 項目 | 内容 | 状態 |
|---|---|---|
| グリーンイノベーション基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用」 | NEDOの事業。事業期間は2021〜2030年度の予定。2022年1月の着手時の予算は1,935億円、現在のNEDOのページの予算上限は4,391.6億円(2026年3月10日に研究開発・社会実装計画が改定)。高炉水素還元と直接水素還元の2本立て。目標は、2030年までにCO2排出量を50%以上削減できる技術[参考資料5・6] | 実施中。目標は未確定/将来 |
| 高炉水素還元 | 実高炉(5,000 m³級)の改造と、常温の水素系ガスの吹き込み試験。外部水素や高炉排ガスのCO2を使う技術で、高炉からのCO2を50%以上削減する開発。中規模試験高炉(500 m³級以上)での検証[参考資料6] | 計画(2022年1月の公表時) |
| 直接水素還元(シャフト炉) | 2030年までに、低品位の鉄鉱石を水素で直接還元し、中規模の直接還元炉(実炉の1/25〜1/5)で、現行の高炉法より50%以上CO2排出を減らす技術を実証。日本製鉄は波崎研究開発センターに小規模試験シャフト炉(1 t/時)を建設(2025年度試験開始)、JFEスチールは東日本製鉄所千葉地区に小型ベンチ試験炉を建設(2024年度試験開始)[参考資料9] | 試験設備は稼働。2030年の目標は未確定/将来 |
| グリーン水素による還元鉄(2026年) | JFEスチール東日本製鉄所(千葉)の生産能力15 kg/時の小型パイロットプラント(2024年12月から試験)で、山梨県の1.5 MWのPEM型水電解設備のグリーン水素を使い、2026年6月29日〜7月1日に、日本で初めて約1 tの還元鉄を製造。「グリーン水素を用いた鉄鉱石の安定した還元反応で、還元鉄の製造が可能であることを確認」[参考資料11] | 実績(2026年7月31日の発表) |
| 電気炉・電気溶融炉 | 大型試験電気炉(約300 t規模)で、リン150 ppm以下・窒素40 ppm以下を目標。電気溶融炉の実証試験炉(炉径10 m規模)は、日本製鉄が建設し、2028年の稼働開始を予定[参考資料10] | 稼働時期は予定 未確定/将来 |
表3 日本の水素製鉄の取り組み(NEDO・GREINS・JFEスチールの公表資料[参考資料5〜11]。事実)。
GREINSは、鉄鋼業のカーボンニュートラルに必要な投資を、鉄鋼全体で10兆円程度と想定し、2030年までに数千億円、2050年に向けてはさらに多額の研究開発費が必要としています[参考資料7]。これは業界団体の想定です。
9. 欧州の取り組み、実証の規模と時期
| プロジェクト | 確認できた内容 | 状態(2026年10月に確認) |
|---|---|---|
| HYBRIT(SSAB、LKAB、Vattenfall) | Luleåのパイロット設備は、2020年に天然ガスで運転を開始、2021年から水素のみで運転。能力は0.8〜1.4 t(DRI)/時で、1回4〜8週間の連続運転。2023年末までに5,000 t超の還元鉄を製造。金属化率98〜99%、炭素0%。水素の貯蔵(岩盤の貯蔵庫、100 m³、25 MPa)の試験では、変動する電力価格に合わせて水素を製造し、変動費を最大40%減らせると報告[参考資料12・13] | パイロット段階(TRL 7)は2024年8月に最終報告。LKABがGällivareに建てる実証プラントは、2027年に実機規模で稼働する見通しとされるが、最新の状況は確認できなかった 未確定/将来 |
| Stegra(Boden、スウェーデン) | 年産250万 tの製鉄所、電解槽740 MW、2023年から建設。2026年6月24日、14億ユーロの増資が完了。2026年9月30日、新しい所有者による100日間の見直しで、完成に必要な費用が6月の想定を大きく上回ると発表し、追加の資本が必要としています。緑の鋼の生産時期は「予定どおり」とも述べています[参考資料4・14・15] | 建設中。追加資金の確保は未定。IEAの2025年版は、2026年末までに鉱石の試験納入を始める計画としていたが、同社は工程を見直し中(2026年6月)。 未確定/将来 |
| ドイツの鉄鋼3社の水素調達 | Salzgitter AG、Stahl-Holding-Saar、thyssenkrupp Steelが、計画する直接還元プラントのための水素の調達の入札を行ったが、2025年8月時点で、いずれも契約の締結に至っていない。thyssenkruppは入札を一時停止(入札価格が許容できる水準を上回るため)[参考資料4] | 未確定 未確定/将来 |
| ArcelorMittal | IEAは、欧州の主要な直接還元プロジェクトを、公的補助を確保したにもかかわらず、需要の弱さと規制上の障壁を理由に一時停止したと報告[参考資料4] | 一時停止(2025年のIEAの報告) |
| HyIron(ナミビア) | 2025年3月に、100%水素で、粉鉱から直接還元鉄を初めて製造。年産能力1.5万 t、2030年に200万 tへ拡大をめざす[参考資料4] | 稼働。拡大は計画 未確定/将来 |
表4 欧州などの水素製鉄プロジェクト(事実。計画・見通しの項は未確定/将来)。
IEAは、HYBRITとStegraが、EUのイノベーション基金、公正な移行基金、スウェーデンのIndustriklivetなどから、補助金を受けているとし、これらのプロジェクトは、100%水素による鉄鉱石の直接還元を、初めて実証するものだとしています。この工程は、まだ商業的な規模では実証されていません[参考資料4]。
10. 課題とコスト
- コスト:IEAは、再エネ水素を鉄鋼に使うと、製品のコストが約40%上がるとしています。鉄鋼は利益率が低く、この上乗せは採用の大きな障壁になりうるとしています[参考資料4]。別の箇所で、IEAは、水素直接還元の費用の差を、高炉と比べて50〜140%、天然ガスの直接還元と比べて20〜80%(地域による)と示し、設備費も、商業規模に達した時点で、天然ガスの直接還元より40〜140%高い見込みとしています[参考資料4]。(40%と50〜140%は、基準と対象が異なる推計で、そのまま比べられません。)
- 水素と電力の確保:表2のとおり、年産100万 tで約330〜650 MWの電解槽と、約2.9 TWh/年の電力が要ります本稿の計算。IEAは、ドイツの鉄鋼3社の水素の入札が、電解槽のコストと、再エネ電力の価格の不確実性などを理由に、契約に至っていないことを報告しています[参考資料4]。
- 鉱石の品位と不純物:第5章。低品位鉱石を使えるかどうかが、日本の目標の中心にあります。
- 設備と投資:GREINSは、鉄鋼全体で10兆円程度の設備投資が必要になるとの想定を示しています[参考資料7]。
- 制度と需要:IEAは、公共部門が鉄鋼需要の25%を占めると述べ、公共調達などで、低排出の鉄鋼の需要をつくる案を挙げています[参考資料4]。日本と欧州の制度の詳細は、本稿では扱いません。
11. 限界と、確認できなかったこと
(1) 数値は条件つきで読む
水素の使用量(54.1 kg/t)は化学量論の値で、実機では損失や、直接還元鉄の未還元分、スクラップの使用量で変わります。Voglらの3.48 MWh、Bhaskarらの3.72 MWhは、それぞれ前提と境界が異なります。
(2) 確認できなかった項目
- 高温の水素に接する設備材料(加熱器、配管、耐火物、炉壁)の耐久性と、水素脆化の評価。
- 鉄鉱石の品位の基準値(鉄分、脈石の上限)。本稿が参照した公式資料には、数値の記載がなかった。
- HYBRITのGällivare実証プラントの最新の状況(2026年10月)。
- 日本の高炉水素還元(実高炉での試験)の最新の成果。
- Stegraの電解槽と鋼の生産量の関係(スクラップの比率、効率)と、追加資金の確保の結果。
- 日本の水素・電力の供給価格の見通しと、鉄鋼向けの制度(価格差支援など)の個別の扱い。
(3) 他の編との役割分担
水素の製造コストの式は『水素の製造コスト』編、電力系統との関係は『電力グリッドと再エネ』編、高温の水素に接する材料は、各編(高圧水素タンク、水素パイプライン、バリア性とコーティング)で扱います。
- 水素製鉄は、鉄鉱石の還元に炭素ではなく水素を使い、水を出す方法で、鉄1 tあたりの水素は化学量論で約54 kgです本稿の計算
- 水素による還元は全体として吸熱(Fe2O3 1 molあたり約+61.9 kJ)で、水素の加熱が課題になります本稿の計算
- 年産100万 tの鉄を水素直接還元でつくると、電解槽は約330〜650 MW、電力は約2.9 TWh/年が要ります本稿の計算
- 日本では2026年6月29日〜7月1日に、グリーン水素で約1 tの還元鉄がつくられました。欧州では、HYBRITのパイロットが5,000 t超の還元鉄をつくり、Stegraは建設中で追加資金が必要です事実
- 課題は、鉱石の品位と不純物、水素と電力の確保、コスト。再エネ水素を使うと、鉄鋼の製品コストは約40%上がるとIEAは述べています事実
12. 用語集
- 還元
- 酸化物から酸素を取り除くこと。鉄鉱石(酸化鉄)から金属鉄をつくる工程。
- 高炉-転炉法
- 鉄鉱石とコークスで高炉で溶銑をつくり、転炉で鋼にする従来の製鉄法。
- 直接還元(DR)
- 鉄鉱石を溶かさず固体のまま還元する方法。つくられる固体の鉄が還元鉄。
- DRI/HBI
- 直接還元鉄/熱間で成形した塊状の還元鉄。スポンジアイアンとも。
- シャフト炉
- 上から鉱石、下からガスを送る縦型の還元炉。MIDREXなど。
- 電気炉(EAF)
- 電気のアークで還元鉄やスクラップを溶かして鋼をつくる炉。
- 電気溶融炉
- 還元鉄を電気で溶かし、脈石をスラグとして分離する炉。低品位鉱石向けの経路で使われる構想。
- 金属化率
- 還元鉄の中で、金属鉄になっている鉄の割合。
- 脈石
- 鉄鉱石に含まれるシリカ、アルミナなどの不純物。
- ペレット
- 鉄鉱石の粉を球状に固めた原料。
- COURSE50
- 日本の水素還元製鉄の技術開発。水素系ガスの高炉への吹き込みとCO2の分離回収。
- GREINS
- 水素製鉄コンソーシアム(日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、金属系材料研究開発センター)。
- GI基金
- グリーンイノベーション基金。NEDOが経済産業省の計画にもとづき、10年間支援する基金。
- HYBRIT
- SSAB、LKAB、Vattenfallの水素製鉄の共同事業(スウェーデン)。
13. 参考資料(一次情報)
- Patisson, F. and Mirgaux, O."Hydrogen Ironmaking: How It Works", Metals 10(7), 922(2020年。査読付き) — mdpi.com
- Vogl, V., Åhman, M. and Nilsson, L. J."Assessment of hydrogen direct reduction for fossil-free steelmaking", Journal of Cleaner Production 203, 736-745(2018年。要旨を参照) — doi.org
- Bhaskar, A., Assadi, M. and Nikpey Somehsaraei, H."Decarbonization of the Iron and Steel Industry with Direct Reduction of Iron Ore with Green Hydrogen", Energies 13(3), 758(2020年。要旨を参照) — mdpi.com
- IEA"Global Hydrogen Review 2025"(印刷ページ:p.18=公共調達、p.22=直接還元鉄の価格と鉱石、p.37=製品コストへの影響、p.39〜40=入札、p.48=産業の水素需要、p.51=コストの差、p.89=一時停止、p.101=Stegra、p.169=補助金、p.195=HyIron、p.198=Stegra) — iea.org
- NEDO(グリーンイノベーション基金)「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトのページ — green-innovation.nedo.go.jp
- NEDO「グリーンイノベーション基金事業、製鉄プロセスでの水素活用プロジェクトに着手」2022年1月7日 — nedo.go.jp
- GREINS(水素製鉄コンソーシアム)「テクノロジー 01 日本鉄鋼業の現状」 — greins.jp
- GREINS(水素製鉄コンソーシアム)「テクノロジー 02 鉄鋼業におけるCO2削減のチャレンジ」 — greins.jp
- GREINS(水素製鉄コンソーシアム)「テクノロジー 04 水素を使って鉄鉱石を直接還元する技術」 — greins.jp
- GREINS(水素製鉄コンソーシアム)「テクノロジー 05 電気炉で効率的に高品位鋼をつくる技術」 — greins.jp
- JFEスチール、NEDOほか「日本初、グリーン水素を使用した還元鉄試作に成功しました」2026年7月31日 — jfe-steel.co.jp
- LKAB"HYBRIT: Six years of research paves the way for fossil-free iron and steel production on an industrial scale"(2024年8月27日) — lkab.com
- 欧州委員会(INCITE)"Hydrogen Breakthrough Ironmaking Technology (HYBRIT)" — europa.eu
- Stegra"Stegra announces closing of €1.4 billion financing round"(2026年6月24日) — stegra.com
- Stegra"Stegra implements changes following 100-day review under new owners – Håkan Buskhe appointed CEO"(2026年9月30日) — stegra.com
14. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| Patisson と Mirgaux:鉄鋼業は人為的CO2の4〜7%、製鉄の90%が高炉、直接還元と MIDREXのガス(水素約56%、CO約34%)、ヘマタイトの還元の水素の化学量論量が鉄1 tあたり54 kg・年産100万 tで約70,000 m3/h、水素の経路のCO2が89〜99%減、表1(高炉-転炉18.8 GJ・1,850 kgCO2eq、直接還元+電気炉15.6 GJ・970、水素の経路15.4 GJ・196ほか)、還元の3段階とFeOは570 ℃超、水素の反応速度はCOの最大10倍、表4(800 ℃の反応熱)、数理モデル(ガス入口800 ℃・3.4 mで完全な金属化、700 ℃で平均74%)、ペレットの粒の変化と900 ℃超の結晶子の合体、700・950 ℃の速度低下とα→γ変態、炭素0%の還元鉄、高炉への水素吹込みのCO2削減は約20%と報告 | Patisson and Mirgaux, Metals (2020) 出典1 https://www.mdpi.com/2075-4701/10/7/922 | 事実 |
| Voglら:水素直接還元の製鉄は液体鋼1 tあたり3.48 MWh(主に電解槽)、総生産コスト361〜640 EUR/t、電力40 EUR/MWhで炭素価格34〜68 EUR/t-CO2で高炉と同程度、水素と還元鉄の貯蔵による系統の調整の柔軟性 | Vogl et al., J. Clean. Prod. (2018) 出典2 https://doi.org/10.1016/j.jclepro.2018.08.279 | 事実 |
| Bhaskarら:水素直接還元-電気炉の液体鋼1 tあたり3.72 MWh(高炉-転炉の3.48 MWhよりやや多い)、現状の系統電力(295 kgCO2/MWh)で排出削減35%超、電解槽の効率が最も重要 | Bhaskar et al., Energies (2020) 出典3 https://www.mdpi.com/1996-1073/13/3/758 | 事実 |
| IEA:産業の水素55 Mt(2024年)の約10%が直接還元鉄、再エネ水素で鋼のコストが約40%上昇、水素直接還元のコスト差(高炉比50〜140%、天然ガス直接還元比20〜80%、設備費は40〜140%増)、ドイツ3社の入札(契約なし、thyssenkruppは一時停止)、ArcelorMittalの一時停止、Stegra(年産250万 t、740 MW、2023年から建設)、HYBRITとStegraの補助金、HyIronの粉鉱の100%水素還元(2025年3月、年産1.5万 t)、直接還元鉄の価格は鉄鉱石の約4倍・新鉱山の開発は最大10年、公共部門が鉄鋼需要の25% | IEA Global Hydrogen Review 2025 出典4 https://www.iea.org/reports/global-hydrogen-review-2025 | 事実 |
| NEDO GI基金のページ:鉄鋼業のCO2排出量約1億2,600万 t(2024年度)・産業部門の約4割、水素還元製鉄は未だ実用化されていない、高炉水素還元と直接水素還元の2本立て、予算上限4,391.6億円、研究開発・社会実装計画の2026年3月10日の改定 | NEDO GI基金「製鉄プロセスにおける水素活用」 出典5 https://green-innovation.nedo.go.jp/project/utilization-hydrogen-steelmaking/ | 事実 |
| NEDOの2022年1月7日の発表:予算1,935億円、事業期間2021〜2030年度(予定)、試験高炉(12 m³)でCO2 30%削減のめど、実高炉(5,000 m³級)の改造、電炉は不純物除去が難しく低品位鉱石が使えない、直接還元炉(実炉の1/25〜1/5)、電炉のリン0.015%以下・窒素40 ppm以下(3〜10 t)と大型試験電炉(約300 t) | NEDO ニュースリリース(2022年1月7日) 出典6 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101503.html | 事実 未確定/将来 |
| GREINS:2023年度のエネルギー起源CO2に占める鉄鋼14%(1億3千万 t)、COURSE50(2008年開始、12 m³の試験高炉、水素系ガスの吹込みで還元工程のCO2排出10%以上減)、カーボンニュートラル実現の設備投資は鉄鋼全体で10兆円程度・研究開発費は2030年までに数千億円 | GREINS テクノロジー01 出典7 https://www.greins.jp/technology/technology01/ | 事実 |
| GREINS:水素還元は吸熱で水素の加熱が必要、水素の加熱は爆発リスクのため間接加熱などが必要、炉内の温度低下対策は未確立、高炉は低品位鉱石を使え高級鋼もつくれる・電気炉は低品位鉱石の使用が難しい | GREINS テクノロジー02 出典8 https://www.greins.jp/technology/technology02/ | 事実 |
| GREINS:直接還元は世界で年間約1億 t(2020年)、既存のシャフト炉の原料は高品位ペレット・水素還元シャフト炉は低品位原料を志向、日本製鉄の小規模試験シャフト炉(1 t/時、2025年度試験開始)・JFEの小型ベンチ試験炉(2024年度試験開始) | GREINS テクノロジー04 出典9 https://www.greins.jp/technology/technology04/ | 事実 |
| GREINS:電気炉のリン150 ppm以下・窒素40 ppm以下(約300 t規模)、電気溶融炉のリン0.015%以下・スラグの酸化鉄3%以下・2028年の実証試験炉の稼働予定、日本製鉄・JFE・神戸製鋼所の小型試験電気炉、還元鉄は溶解に時間がかかるといわれること | GREINS テクノロジー05 出典10 https://www.greins.jp/technology/technology05/ | 事実 未確定/将来 |
| JFEスチールの発表(2026年7月31日):生産能力15 kg/時の小型パイロットプラント(2024年12月から試験)で、山梨県の1.5 MWのPEM型水電解設備のグリーン水素を使い、2026年6月29日〜7月1日に日本で初めて約1 tの還元鉄を製造 | JFEスチール ニュースリリース(2026年7月31日) 出典11 https://www.jfe-steel.co.jp/release/2026/07/260731.html | 事実 |
| LKABの発表(2024年8月27日):HYBRIT最終報告、5,000 t超の水素還元鉄、0.0 tのCO2/t鋼(スコープ1・2)、金属化率98〜99%、炭素0%、機械的強度、Gällivareの実証プラントの計画 | LKAB HYBRIT press release (2024) 出典12 https://lkab.com/en/press/hybrit-six-years-of-research-paves-the-way-for-fossil-free-iron-and-steel-production-on-an-industrial-scale/ | 事実 未確定/将来 |
| 欧州委員会INCITE:Luleåのパイロット(0.8〜1.4 t/時、4〜8週間の連続運転)、還元ガス温度550〜1,090 ℃の評価、落下試験、水素貯蔵100 m³・25 MPa・変動費最大40%減、Gällivareの実機規模は2027年の見通し(500 MW電解槽、約5 TWh/年) | EC INCITE HYBRIT 出典13 https://innovation-centre-for-industrial-transformation.ec.europa.eu/innovative-techniques/hydrogen-breakthrough-ironmaking-technology-hybrit | 事実 未確定/将来 |
| Stegraの発表(2026年6月24日):14億ユーロの増資の完了、工程は見直し中 | Stegra (2026-06-24) 出典14 https://stegra.com/en/news-and-stories/stegra-announces-closing-of-14-billion-financing-round | 事実 |
| Stegraの発表(2026年9月30日):100日間の見直し、完成には追加の資本が必要、費用は6月の想定を大きく上回る、緑の鋼の生産時期は予定どおり、CEOの交代 | Stegra (2026-09-30) 出典15 https://stegra.com/en/news-and-stories/stegra-implements-changes-following-100-day-review-under-new-owners--hkan-buskhe-appointed-ceo | 事実 |
| 水素54.1 kg/t、電力2.86 MWh/t、反応熱の1 mol換算(水素+61.9 kJ、CO−36.6 kJ)と鉄1 tあたり約154 kWh・約−91 kWh、表2の年産100万 tの規模(約5.4万 t、6.2 t/時、約6.9万 Nm3/時、2.9 TWh、327/363/653 MW)、Stegraの単純な比較(250万 tで約7.2 TWh、740 MWで約6.5 TWh)、水素コスト別の費用(2 US$/kgで約108 US$、4で約217、6.5で約354)、Fe2O3の鉄分69.9%・鉱石1.43 t | 本稿の計算。Fe2O3 → 2Feの化学量論、比消費電力52.9 kWh/kg(効率63% LHV)、水素の製造コスト6.5 US$/kgは『水素の製造コスト』編の基準ケース。スクラップ・水素の損失なしは本稿の仮定 | 本稿の計算 |
| ペレットの気孔構造が還元の速さを決める設計項目であるという読み取り、水素の加熱と電気炉の設備の課題の整理、図5の3つの経路の整理、素材技術者の視点 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関・著者が表明した見解ではない | 解説 |
| 高温の水素に接する設備材料の耐久性・水素脆化の数値、鉄鉱石の品位の基準値、HYBRIT Gällivare実証プラントの最新の状況、日本の高炉水素還元の実高炉での成果、Stegraの電解槽と生産量の関係と追加資金の結果、日本の鉄鋼向けの制度の個別の扱い | 本稿の調査範囲では公開された一次情報で確認できなかった(または扱わなかった)ため記載していない | 解説 |
| 図2〜図6が説明用の概念図・計算図であり実際の設備や測定値ではないこと、図1がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月/出典は一次情報(査読論文、IEAの報告書、NEDO・GREINS・JFEスチール、LKAB・欧州委員会・Stegraの公表資料)に限定しています。市場調査会社の推計は使っていません。企業・プロジェクトの状況の確認日は2026年10月です。 材料や設備の観点での読み取りは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 高温の水素に接する設備材料の耐久性、鉄鉱石の品位の基準値、HYBRIT Gällivareの最新の状況、日本の高炉水素還元の実高炉での成果、Stegraの追加資金の結果は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 本記事の計算は式と明示した仮定から算出したもので、特定のプラントや企業の予測ではありません。 図はすべて説明用の概念図または本稿の計算図です。図2〜図6はベクター作図、図1はAI生成イメージであり、いずれも実際の設備・企業の構成を示すものではありません。