TECHNOLOGY EXPLAINER
ガスタービンの水素混焼
― 「30%混焼」と言うとき、何の30%か
ガスタービンの水素混焼は、天然ガスに水素を混ぜて燃やし、燃料由来の CO2 を減らす技術です。 ただし「混焼率30%」は、体積の30%であって熱量の30%ではありません。体積で30%の水素は、熱量ではおよそ1割にとどまります。 燃焼器の側では逆火、窒素酸化物(NOx)、燃焼振動が、高温部材の側では水素ではなく燃焼で増える水蒸気が問題になります。 本稿は、メーカーの公称値とその条件、実証の事実、そして素材技術者の目で見た課題を、公開された一次情報で整理します。

- ガスタービンの水素混焼とは何か(3行でつかむ)
- 本稿の計算:「混焼率30%」は何の30%か
- 燃焼器の三つの課題 ― 逆火、NOx、燃焼振動
- 燃焼器の方式とメーカー公称値 ― 条件を読む
- 素材技術者の視点①:水素に触れる場所と、水蒸気に触れる場所は違う
- 高温部材と水蒸気 ― 米国 NETL の研究で分かっていること
- 素材技術者の視点②:燃焼振動は、壁の冷却とつながっている
- 実証と計画 ― 公式資料で確認できること
- システムとしての制約
- 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」、根拠が弱いものは推測として区別しています。メーカーの性能はメーカー公称であり、条件(機種・燃焼方式・NOx の扱い)とセットで読みます。
本記事は、ガスタービンの水素混焼の原理・材料・実証の解説です。水素は可燃性ガスで、発電設備での取扱いには法令と規格があります。 特定の機種や運転方法についての助言ではなく、実際の設計・改造・運転は、メーカー、各国の法令、専門家の確認に従ってください。
1. ガスタービンの水素混焼とは何か(3行でつかむ)
- 何をするか:天然ガスを燃料とするガスタービンの燃料に水素を混ぜます。水素だけで燃やすのは「専焼」です。水素は燃えても CO2 が出ないので、混ぜた分だけ燃料由来の CO2 が減ります。
- どこまで来たか(各社の発表):MHI(Mitsubishi Power)は、1,650℃級の M501JAC で体積30%の混焼を、系統に接続した状態で部分負荷から全負荷まで実証したと発表しています(2023年11月)。M501GAC では体積50%の試験を完了したとしています(2025年6月)。Siemens Energy は、SGT-400(約13 MW)を100%水素で、低 NOx(DLE)運転モードで運転したと発表しています(2023年10月)。GE Vernova は、最新の HA 形の DLN2.6e 燃焼器で最大50%の水素を混ぜられるとしています事実。
- 難所:燃焼器では逆火・NOx・燃焼振動が、高温部材では水蒸気の増加が、燃料系統では水素に触れる材料の選定が問題になります。後の章で、それぞれの一次情報を見ます。
水素そのものの取扱い材料(配管、タンク)は、本シリーズ『水素パイプライン』編と『高圧水素タンク』編で、水素エンジンの燃焼は『水素エンジン』編で扱います。本稿は、ガスタービンの燃焼器と高温部材に絞ります。
2. 本稿の計算:「混焼率30%」は何の30%か
混焼率には、体積(またはモル)の割合と熱量の割合の二つの言い方があります。MHI は「水素の混合比は体積比で表す」と明記しており、本稿で紹介するメーカーの発表も多くは体積比です。 水素は体積あたりの発熱量が小さいので、体積で30%の水素は、熱量では約1割になります。MHI のハンドブックには、その換算が載っています事実。
| 水素(体積%) | 熱量%(メタン+水素、本稿の計算) | MHI ハンドブックの記載 | 同じ熱量を得るのに要る燃料の体積流量(メタンのみ=1) |
|---|---|---|---|
| 10% | 約3.2% | ― | 約1.08倍 |
| 20% | 約7.0% | 6.1 cal% | 約1.16倍 |
| 30% | 約11.4% | 10.1 cal% | 約1.27倍 |
| 50% | 約23.2% | ― | 約1.54倍 |
| 79.3% | 約53.6% | 50 cal% | 約2.24倍 |
| 100% | 100% | ― | 約3.32倍 |
「MHI ハンドブックの記載」は事実(MHI 水素発電ハンドブック[参考資料3])。他の列は本稿の計算です。前提は下のボックスに書きます。
前提:理想気体として、体積割合=モル割合。低位発熱量は、NIST の生成エンタルピー(気体)から求めました事実。 水素=水(気体)の生成エンタルピー 241.826 kJ/mol。メタン=393.51 + 2 × 241.826 − 74.87 = 802.29 kJ/mol(CO2 −393.51、水 −241.826、メタン −74.87 kJ/mol)本稿の計算。
熱量割合:30%の場合、0.3 × 241.8 ÷(0.3 × 241.8 + 0.7 × 802.3)= 72.5 ÷ 634.2 = 約11.4%。 体積流量の比:同じ熱量を得るのに必要な流量は、802.3 ÷ 634.2 = 約1.27倍(30%)、水素100%では 802.3 ÷ 241.8 = 約3.32倍。
MHI の数字との関係:MHI の3点(20%→6.1、30%→10.1、79.3%→50 cal%)から、混ぜた相手の「天然ガスの1 mol あたり発熱量」を逆算すると、3点とも約922〜931 kJ/mol(メタンの約1.15〜1.16倍)で一致します。 同社の想定する天然ガスは、メタン以外の炭化水素を含み、メタンより発熱量が大きいと読めます(推測。組成は資料に書かれていません)。
限界:ここでの「熱量割合」は、燃料の持つ熱量に占める水素の割合で、CO2 の削減率そのものではありません。効率が変わらないと仮定すれば、燃料由来の CO2 の減少率に近い値になります。 例えば Georgia Power と Mitsubishi Power は、体積50%の混焼で CO2 が天然ガス100%に比べて約22%減ると発表しており[参考資料5]事実、上の計算(50%で約23%)と整合的です。MHI のハンドブックは30%混焼の CO2 削減を、本文で約12%、図中の数値(340→305 g/kWh)では約10%としており、両者の基準の違いは資料からは分かりません。
体積流量が増えるということ
同じ熱量を得るには、水素の割合が増えるほど燃料の体積流量が増えます(上の表の右端)。燃料の配管、弁、燃料ノズルの寸法と、燃料の流速に影響するはずの点です(本記事による解説)。 GE Vernova は、水素混焼のための改造に、混合設備、制御、消火設備、防爆エリアの機器、窒素パージ、新しい燃料系統(配管とチューブを含む)、機関本体の改造が機種によって必要になりうると説明しています事実。
3. 燃焼器の三つの課題 ― 逆火、NOx、燃焼振動
現在、ガスタービンの低 NOx 運転の標準は希薄予混合燃焼(LPM)で、燃料と空気を先に混ぜてから薄く燃やします。ここに水素を入れると、水素の火炎の性質(火炎の伝わりが速い、拡散が速い、火炎温度が高い)が、三つの課題として現れます。 MHI は、30%混焼の障害は逆火、燃焼圧力変動、NOxだったとしています事実。UCL の研究者らによる査読付きレビュー(2021年)は、次のように整理しています事実。
| 課題 | 一次情報で確認できた内容 |
|---|---|
| ① 逆火・自着火 | 逆火は、局所の乱流火炎速度が反応物の流速を上回ることで、火炎面が燃焼領域から予混合部へ上流側へ伝わる現象。局所的な保炎が起き、過熱と部材の損傷につながる。水素は乱流火炎速度が天然ガスより高く、逆火しやすい。よく研究された機構は、燃焼不安定による伝播、中心流での伝播、境界層での伝播、燃焼誘起渦崩壊の4つ。現代のガスタービンの入口圧力・温度は自着火が起きるのに十分高く、水素の自己着火温度はメタンよりわずかに高いだけだが、着火遅れ時間が大幅に短い。着火遅れが混合の滞留時間より短いと、自着火が起きる |
| ② NOx | 典型的な LPM の当量比で、純水素の断熱火炎温度はメタンより150 K 以上高い。ガスタービンの構成を固定したまま運転条件を変えないと、NOx は増える。対策は、より希薄な当量比へ移すことなど。GE Vernova も「水素を燃やすと、天然ガスより NOx が増えうる」と書いている |
| ③ 燃焼振動(熱音響不安定) | 圧力振動の振幅が平均圧力の大きな割合に達しうる。放置すると、部材の振動、熱伝達率の増加、吹き消え、逆火を招き、最悪の場合は構造の損傷に至る。LPM 燃焼器は壁の冷却用空気や希釈空気をほとんど使わないため、音響の減衰が小さい。水素は火炎の形と位置を通じて、安定化にも不安定化にも働く。MHI は、水素の燃焼は特に時間が短く、火炎と振動が合いやすいとし、振動が起きると「燃焼器を一瞬で壊す」と述べている |
すべて事実(UCL らのレビュー Beita ら 2021[参考資料1]、MHI ハンドブック[参考資料3]、GE Vernova[参考資料13])。「燃焼器を一瞬で壊す」は MHI の技術者の発言として同社資料に記載されたものです。
MHI のハンドブックは、炎の色を水素(淡く透明=見えにくい)、メタン(青)、アンモニア(オレンジ)と紹介しています事実。GE Vernova は、水素は天然ガスより燃えやすいため、タービン囲いの換気は水素濃度が爆発限界の外に保たれるよう設計する必要があり、炭化水素用のガス・火炎の検知器は水素検知を足す必要がありうる、と説明しています事実。 これらは設計上の考慮事項の紹介で、特定の設備に対する助言ではありません。
4. 燃焼器の方式とメーカー公称値 ― 条件を読む
「何%まで燃やせるか」は、燃焼器の方式と、NOx をどう扱うかで意味が変わります。MHI のハンドブックは、水素ガスタービンの燃焼器の開発状況を3つの型で整理しています事実。
| 方式(MHI の呼称) | 低 NOx の手段 | 燃焼温度の目安 | 水素含有率と開発状況(MHI ハンドブック) |
|---|---|---|---|
| 型1:拡散燃焼 | 窒素の希釈、水または蒸気の添加 | 1,200〜1,400℃級 | 100%:開発完了 |
| 型2:予混合燃焼 | ドライ低 NOx(DLN) | 1,650℃級 | 30%:開発完了。50%:2022年に燃焼試験に成功 |
| 型3:マルチクラスター | ドライ低 NOx(DLN) | 1,650℃級 | 100%:開発完了は2025年以降の予定未確定/将来 |
すべて事実(MHI 水素発電ハンドブック[参考資料3])。型3の開発状況は同ハンドブックの記載の時点のもので、本稿はその後の達成状況を確認できませんでした。
型3の発想について、MHI の技術者は次のように説明しています。水素と空気を狭い空間で素早く混ぜると逆火の危険が上がり、広い空間で旋回流を使って混ぜると火炎が戻りやすい。そこで、通常は8本のノズルを持つ設計を、 多数の小さなノズルに変え、空気を噴射しながら水素を吹き込んで旋回流を使わず小さなスケールで混ぜる、というものです(分散希薄燃焼)。ここでも、ノズルの形状と材料が鍵だと述べています事実。
メーカー公称の「◯%」を、条件つきで並べる
下の図は、各社が公表している「何%まで」を、製品仕様・公称、実証、開発中・計画に分けて並べたものです。条件が違うため、優劣を示すものではありません。 同じ SGT-400 でも、DLE バーナー(低 NOx)なら30 vol%、拡散バーナー(NOx の抑制なし)なら65 vol%、実証では100%と、数字は条件で3通りに分かれます。
5. 素材技術者の視点①:水素に触れる場所と、水蒸気に触れる場所は違う
「水素を燃やすと材料に何が起きるか」と聞かれたら、まずどの場所の話かを分けて考える必要があります。ガスタービンの中には、水素に触れる場所と、水素が燃えた後の水蒸気を含むガスに触れる場所があり、材料の問題は別物です。
| 場所 | 何に触れるか | 材料の論点(一次情報で確認できた範囲) |
|---|---|---|
| 燃料供給系統(配管、弁、継手、シール) | 水素そのもの。比較的低温 | NASA の水素安全標準は、水素脆化を環境脆化・内部脆化・反応脆化の三つの形に分け、強度の高い合金ほど水素の悪影響を受けやすいとしている[参考資料14]。GE Vernova は、混焼のための改造に「新しい燃料系統(配管とチューブを含む)」「窒素パージ」が必要になりうると述べている[参考資料13]。ガスタービンの燃料系統に使う個別の材料のデータは、本稿では確認できなかった |
| 燃焼器(ノズル、ライナー、遮熱コーティング) | 火炎と高温の燃焼ガス | 逆火・自着火による過熱、燃焼振動による振動負荷(第3章)。MHI は、燃料ノズルと燃焼器の形状・材料、遮熱セラミックコーティングの質と粒子径の調整を、試行錯誤で最適化していると述べている[参考資料3] |
| 高温部(タービン動翼・静翼、遮熱コーティング) | 燃焼後のガス。水素の燃焼で水蒸気が増える | 水蒸気が増えると、保護酸化膜や遮熱コーティングに何が起きるか ― 米国 NETL の研究がある(次章)。水素専焼の実機での寿命データは、本稿では確認できなかった |
表の第2・3列の記述は事実(NASA[参考資料14]、GE Vernova[参考資料13]、MHI[参考資料3])。場所で分けるという整理は本記事による解説です。燃焼後のガスに未燃の水素が残る場合の影響は、本稿では確認していません。
NASA の標準は、内部・環境脆化の影響が多くの金属で200〜300 K 付近で最大になり、反応脆化は高温で起きやすいとしています事実。 水素に触れる上流の燃料系統は、比較的低温で高圧の水素に曝される部位で、水素脆化の知識がそのまま効きます(本記事による解説)。 いっぽう、高温部は燃焼で水素が消費された後のガスで、主役は水蒸気になります。「水素だから脆化する」という一言では、ガスタービンの材料の話は片づきません。
6. 高温部材と水蒸気 ― 米国 NETL の研究で分かっていること
高温部材と水素の関係で最も具体的な一次情報の一つが、米国エネルギー省 NETL の資金による、カリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine、Daniel Mumm 教授)の研究報告書です(2010年9月〜2013年8月の研究、2014年6月28日提出)。 対象は石炭ガス化の合成ガスと高水素含有(HHC)燃料が高温部材の保護酸化膜と遮熱コーティング(TBC)に与える影響で、水素専焼のガスタービンそのものの報告ではありません。この点を踏まえて読みます。

| 項目 | 報告書の記述 |
|---|---|
| 水蒸気の量 | 高水素含有燃料では燃焼領域の水蒸気が増える。報告書が引用する NETL の研究では、水蒸気はタービン排気の12〜14%、NOx 抑制のための蒸気噴射を含めると25〜30%になり、天然ガス燃焼の最大4倍に当たりうる |
| 実機の現場試験 | MCrAlY ボンドコートの現場試験では、合成ガスを使うと、天然ガスに比べて熱成長酸化物(TGO)の中に「理想的でない」酸化物(スピネル)が増える。理想は、ボンドコートと YSZ の間にできる、薄く(5 µm 未満)連続した保護性の α-Al2O3 の膜 |
| 室内試験 | 0〜45 vol% の水蒸気を含む雰囲気で酸化。初期(遷移期)に生じるスピネルの量は、雰囲気の水蒸気量に依存する。10 vol% は平均的な燃焼環境、30 vol% は蒸気添加を含む IGCC で想定される最高値。スピネルの厚さは1〜33 µm で、現場試験の結果とおおよそ同じ |
| 試験の落とし穴 | 高温・水蒸気中では酸化物が揮発・再析出し、試験の見かけの結果をゆがめる。Al が減った表面は大量の「理想的でない」酸化物を作り、金属水酸化物を出して他の面に再付着する。遷移期に生じたスピネルは、時間と水蒸気量に応じて揮発して消える。報告書は、揮発を考慮していない過去の文献の結論は再評価すべきだとしている |
| YSZ の安定剤の揮発 | 1,000〜1,500℃の高水蒸気環境で Y2O3 の揮発を調べた。装置由来の不純物の付着に悩まされ、白金のライナーを付けて再測定すると、試験した温度では揮発は無視できた。結論:水蒸気による安定剤イットリアの優先的な揮発で YSZ が劣化するという有意な証拠はない |
| TBC の相の不安定化 | YSZ の t′ 相が、立方晶・単斜晶へ変わっていく速さが、乾燥環境と高水蒸気環境(1,300℃、水蒸気分圧 20 kPa)で違うかを Raman と XRD で調べた。報告書は「追加の検証が必要だが、燃料の種類がTBC劣化の速さに重要な役割を持つことを示唆する」としている |
| 溶融堆積物(CMAS 類) | 燃料に含まれる不純物や灰が、運転温度で溶ける堆積物をつくり、TBC に浸透して腐食させる。等温試験では、通常の溶射膜(APS)は厚さ全体に浸透して構造が失われたが、縦割れ構造(セグメント)の膜は部分的な浸透にとどまり、コーティングの微細構造が被害を大きく左右した |
すべて事実(NETL/UC Irvine 最終報告書、2014年[参考資料2])。これは合成ガス・高水素含有燃料の研究で、約10年前の報告です。水素専焼の実機での結論として読むことはできません。
この報告書の読みどころは、水蒸気の影響を一つずつ切り分けたところです。保護酸化膜では、遷移期に生じる「理想的でない」酸化物(スピネル)の量が水蒸気量に依存することが確認された一方、YSZ の安定剤が水蒸気で揮発して劣化するという証拠は見つからず、 TBC の相の変化の速さへの影響は「追加の検証が必要」とされました。TBC の大きな被害は、水蒸気そのものよりも、燃料や空気の不純物がつくる溶融堆積物の浸透で起き、膜の微細構造が結果を左右しました。
実験の側では、揮発・再析出という試験のアーティファクトが結果をゆがめうるため、水蒸気中の酸化を評価するときは成長と揮発を一緒に見る必要がある、と報告書は注意しています。 材料の評価で、「環境を変えたら劣化が速くなった」という観察と、「水蒸気が原因だ」という結論の間には、切り分けの作業があるということです(本記事による解説)。
7. 素材技術者の視点②:燃焼振動は、壁の冷却とつながっている
第3章で見たとおり、予混合燃焼器は壁の冷却用空気や希釈空気をほとんど使わないため、音響の減衰が小さく、燃焼振動が起きやすい、とレビューは述べています事実。 低 NOx のために壁の冷却空気を絞る設計は、振動への余裕を小さくする設計でもあるということです。
- MHI の説明:水素と空気を狭い空間で混ぜると、燃料ノズルの噴流と火炎が近づいて逆火しやすくなる。振動が起きると燃焼器は一瞬で壊れる。だから、燃料の位置と方法だけでなく、吸音装置などの工夫を重ね、さらにノズルと燃焼器の形状・材料、遮熱セラミックコーティングの質と粒子径を最適化し続けている[参考資料3]事実。
- 読み取り:低 NOx(冷却空気を絞る)、音響安定性(減衰を確保)、逆火の抑制(火炎をノズルから離す)、部材の耐熱は、互いに引っ張り合っています。材料側から見ると、耐熱・遮熱の性能が上がれば、冷却に使う空気を減らして他の条件に回す余地が生まれるという関係です(本記事による解説。具体的な数値は資料にありません)。
8. 実証と計画 ― 公式資料で確認できること
実証の事実と、計画・目標を分けて表にします。数値は各社の発表で、独立機関の検証ではありません。水素の体積比で示されたものが大半です。
| 案件 | 確認できた事実(発表日) | 計画・未確定の事項 |
|---|---|---|
| HYFLEXPOWER(フランス Saillat-sur-Vienne、Siemens Energy・ENGIE ほか) | 1 MW の電解槽でつくった水素を約1 t のタンクに貯め、SGT-400 で発電。2022年12月15日:体積30%水素+70%天然ガスの試験完了[参考資料9]。2023年10月14日付の発表:最大100%水素でも、低排出(DLE)技術の機種を運転できると実証[参考資料8]。EU の Horizon 2020 から資金(協定番号 884229) | 産業用の熱供給など運転モードの拡大、商業化の検討未確定/将来 |
| Takasago Hydrogen Park の T-Point 2(MHI、兵庫県) | 2023年11月30日:1,650℃級の M501JAC(定格566 MW の実証設備)で、体積30%水素+天然ガスを部分負荷から全負荷まで運転。系統接続、同じ敷地でつくり貯めた水素を使用、NEDO の補助事業の成果、DLN 燃焼器[参考資料4] | 2024年に H-25(40 MW 級)で100%水素専焼、貯蔵設備を拡張して50%混焼の実証を行う、と当時発表。その結果は本稿では確認できなかった未確定/将来 |
| Georgia Power の Plant McDonough-Atkinson(米国、MHI) | M501GAC(約283 MW)で、2022年に体積20%、2025年5〜6月に5〜50%の複数の混合比を試験し、体積50%を部分・全負荷で完了(2025年6月16日発表)。天然ガス100%に比べ CO2 が約22%減ると発表[参考資料5] | Georgia Power は Plant Yates に、水素対応とされる三菱パワー製の単純サイクル3台を計画中未確定/将来 |
| Intermountain Power Project「IPP Renewed」(米国ユタ州、MHI) | M501JAC 2台(正味840 MW)を2023年に搬入[参考資料6]。事業サイトは「水素を利用できる天然ガス焚き発電設備」と表現し、建設は97%完了(掲載時点)[参考資料7] | 計画:2025年の運転開始時に体積30%水素、2045年までに100%水素[参考資料6・18]。水素混焼の運転が実際に始まったかは、本稿では確認できなかった未確定/将来 |
| GE Vernova の事例(2024年の資料) | NYPA Brentwood:LM6000 で水素と天然ガスの混焼を2022年に実証。中国・恵州:9HA.01 で体積10%の混焼を2023年から運転 | Duke Energy の Debary(7E で体積100%、2025年から)と EnergyAustralia の Tallawarra B(9F.05 で混焼、2025年から)は、資料の時点で「予定」。その後の実績は本稿では確認できなかった未確定/将来 |
「確認できた事実」の列は事実(各社の発表[参考資料4〜9, 13, 18])。GE Vernova は別の資料で「水素・関連燃料で運転する120台以上、1,000万運転時間以上」とも述べていますが、その中には水素を含むプロセスガスなどが含まれ、純水素や高率の混焼とは条件が違います(資料の2021年9月時点の数字は100台超・800万時間超)。MHI も、水素を燃料に使う約30か所の発電所にガスタービンを納め、運転時間は350万時間超としています(燃料の組成は資料に記載なし)。
9. システムとしての制約
燃焼器が水素に対応しても、発電所としての制約は残ります。メーカー自身の資料から、二点だけ確認できました。
- 往復の効率:Siemens Energy の白書(2026年)は、再生可能エネルギーの電力から水素をつくり、複合サイクルのガスタービンで再び発電する往復の効率は、有利な条件でも最大35〜40%にとどまるとしています事実。その結果、緑の水素による発電の均等化発電原価(LCOE)は、青の水素より現状で高いとも述べています。同社は、豊富で安い再エネの地域では、水素焚きの発電所を組み合わせるのが残余負荷をまかなう最も経済的な道になると見込んでいます(同社の見方)。
- 燃料の価格:GE Vernova の資料(2024年)は、低炭素水素の燃料費は、少なくとも2020年代末まで天然ガスの2〜10倍の水準が続くと予想し、水素は長距離輸送、海運、産業で広く使われてから、発電部門に広がるだろうと述べています(同社の予想)未確定/将来。
第2章の換算を使うと、体積30%の混焼で同じ熱量を得るのに要る燃料の体積流量は約1.27倍、100%では約3.32倍です本稿の計算。 前提と限界:理想気体で、温度・圧力を同じとした算術です。実際の燃料系統の設計では、圧力、温度、密度、流速、ノズル形状が絡むため、この倍率だけで設計の可否は判断できません。
10. 課題と、本稿で確認できなかったこと
(1) 「◯%対応」の意味は、条件ごとに違う
体積と熱量、DLE と拡散、NOx 抑制の有無、機種の大きさ、負荷、実証と製品仕様 ― 公表されている「◯%」は、これらの条件で意味が変わります。比較するときは、必ず条件をそろえて読む必要があります(第2・4章)。
(2) 高温部材の水素専焼データは、本稿では確認できなかった
NETL/UC Irvine の報告は合成ガス・高水素含有燃料の研究で、約10年前のものです。水素専焼の実機での高温部材の寿命や、水蒸気による劣化の定量的なデータは、本稿が開いた一次情報では確認できませんでした。
(3) 本稿で確認できなかったこと
- MHI の2024年に予定された100%水素専焼(H-25)と50%混焼の実証の結果、マルチクラスター燃焼器のその後の達成状況
- IPP Renewed で水素混焼の運転が実際に始まったか
- GE Vernova の Debary、Tallawarra B のその後の実績、Siemens Energy の他機種(SGT-800 など)の100%対応の達成状況
- 燃料系統のシール・弁・配管など、ガスタービン向けの個別材料のデータと、水素専焼でのNOx の実測値(各社の発表は「低 NOx を確認」などの記述で、数値は本稿が開いた発表になかった)
- 日本の制度(価格差支援など)とガスタービンの水素混焼・専焼との関係、NEDO のグリーンイノベーション基金での扱い
- Kawasaki、IHI、Solar Turbines、Baker Hughes など他社の公式資料
- 「30%混焼」は多くが体積比で、熱量では約1割。体積30%の水素は、メタンに混ぜた場合の本稿の計算で約11%、MHI の記載で10.1 cal%事実本稿の計算
- 課題は逆火・NOx・燃焼振動。純水素の断熱火炎温度はメタンより150 K 以上高く、着火遅れ時間は大幅に短い事実
- 燃焼方式で数字が変わる。SGT-400 は DLE で30 vol%、拡散(NOx 抑制なし)で65 vol%、実証では100%と、条件で3通りに分かれる事実
- 実証は進んでいる。体積30%(MHI、2023年)、体積50%(MHI/Georgia Power、2025年)、100%(Siemens Energy、2023年)。いずれも各社の発表事実
- 高温部材の主役は水蒸気。NETL の研究では、スピネルの量は水蒸気量に依存したが、YSZ の安定剤の揮発による劣化は見つからず、大きな被害は溶融堆積物の浸透だった。ただし合成ガスの研究事実
- 計画は未確定。IPP Renewed の30%(2025年)→100%(2045年)、MHI の100%専焼の実証、GE の Debary・Tallawarra B は、本稿では実績を確認できなかった未確定/将来
11. 用語集
- 混焼/専焼
- 天然ガスに水素を混ぜて燃やすのが混焼、水素だけで燃やすのが専焼。
- vol%(体積比)/cal%(熱量比)
- 水素の割合を体積で表すか、熱量で表すか。水素は体積あたりの発熱量が小さく、体積30%でも熱量では約1割。
- 低位発熱量(LHV)
- 燃焼で生じる水を水蒸気のままとした場合の発熱量。
- 希薄予混合燃焼(LPM)
- 燃料と空気を先に混ぜ、薄い混合気で燃やす方式。低 NOx の標準的な方式。
- DLE/DLN
- ドライ低排出/ドライ低 NOx。水や蒸気を使わずに NOx を抑える燃焼技術。
- 拡散燃焼
- 燃料と空気を燃焼領域で混ぜながら燃やす方式。安定だが NOx が出やすく、希釈などの対策が要る。
- マルチクラスター
- 多数の小さなノズルで水素と空気を小さなスケールで混ぜる、MHI の燃焼器の方式。
- 逆火(フラッシュバック)
- 火炎が燃焼領域から予混合部へ上流側に伝わる現象。
- 自着火
- 火種なしに、混合気が高温・高圧で自然に燃え出すこと。
- 熱音響不安定(燃焼振動)
- 火炎の熱の変動と燃焼器の音響が結びついて、圧力振動が育つ現象。
- TBC(遮熱コーティング)
- 高温部材の表面に施すセラミックの被覆。通常は YSZ(イットリア安定化ジルコニア)。
- TGO(熱成長酸化物)
- ボンドコートの表面に高温でできる酸化膜。理想は薄く連続した α-Al2O3。
- MCrAlY
- ボンドコートに使う合金(M=Ni・Co など)。Al を供給して保護酸化膜をつくる。
- CMAS
- Ca・Mg・Al・Si の酸化物を主とする溶融堆積物。TBC に浸透して損傷させる。
- HHC 燃料
- 高水素含有燃料。NETL の研究では、石炭ガス化の合成ガスなどを指す。
- GTCC
- ガスタービン複合発電。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせる。
12. 参考資料(一次情報)
- Beita, J., Talibi, M., Sadasivuni, S., Balachandran, R.(UCL ほか) "Thermoacoustic Instability Considerations for High Hydrogen Combustion in Lean Premixed Gas Turbine Combustors: A Review", Hydrogen 2, 33–57 (2021), DOI 10.3390/hydrogen2010003(CC BY 4.0) — mdpi.com
- UC Irvine(U.S. DOE NETL 向け) Mumm, D. R. "Mechanisms Underpinning Degradation of Protective Oxides and Thermal Barrier Coatings in High Hydrogen Content (HHC) – Fueled Turbines", Final Scientific/Technical Report, DE-FE0004727, 2014年6月28日 — osti.gov
- Mitsubishi Power(MHI) "HYDROGEN POWER GENERATION HANDBOOK (Fifth Edition)", 資料番号 METP-11GT02E1-E-0 (1.0)26-01(PDF) — power.mhi.com
- Mitsubishi Power(MHI) "Mitsubishi Power Successfully Operates an Advanced Class Gas Turbine with 30% Hydrogen Fuel Co-Firing at Grid-Connected T-Point 2", 2023年11月30日 — power.mhi.com
- Mitsubishi Power Americas/Georgia Power "50% hydrogen blend testing successfully completed at Georgia Power's Plant McDonough-Atkinson", 2025年6月16日 — power.mhi.com
- Mitsubishi Power Americas "Mitsubishi Power delivers Hydrogen-Ready Gas Turbines to 'IPP Renewed' Project in Utah to meet Decarbonization Goals in the Western US", 2023年7月 — power.mhi.com
- Intermountain Power Agency "IPP Renewed"(事業サイト、建設状況の表示を確認) — ipprenewed.com
- Siemens Energy "HYFLEXPOWER consortium successfully operates a gas turbine with 100 percent renewable hydrogen, a world first", 2023年10月14日 — siemens-energy.com
- Siemens Energy "First tests for Power-to-Hydrogen-to-Power HYFLEXPOWER demonstrator successfully completed", 2022年12月15日 — siemens-energy.com
- Siemens Energy "SGT-400 twin-shaft gas turbine"(製品ページ) — siemens-energy.com
- Siemens Energy "Decarbonization pathways for gas turbines", White paper, 2026(PDF) — assets.siemens-energy.com
- GE Vernova "Hydrogen-Fueled Gas Turbines"(解説ページ) — gevernova.com
- GE Vernova "Hydrogen overview"(2024年の資料、PDF) — gevernova.com
- NASA "Safety Standard for Hydrogen and Hydrogen Systems", NSS 1740.16, 1997年2月12日発効 — ntrs.nasa.gov
- NIST Chemistry WebBook, Methane(気体の生成エンタルピー) — webbook.nist.gov
- NIST Chemistry WebBook, Water(気体の生成エンタルピー) — webbook.nist.gov
- NIST Chemistry WebBook, Carbon dioxide(気体の生成エンタルピー) — webbook.nist.gov
- Mitsubishi Power(MHI) "Aiming for Clean Power Generation with 100% Hydrogen"(IPP の事例ページ) — power.mhi.com
13. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| LPM 燃焼器は一般に水素約30 vol%が上限(2021年のレビュー時点)、拡散燃焼器は100%まで可能だが高価な NOx 対策が要る。逆火の定義と四つの機構、水素の自己着火温度がメタンよりわずかに高いだけで着火遅れが大幅に短いこと、純水素の断熱火炎温度がメタンより150 K 以上高く、運転条件を変えないと NOx が増えること、熱音響不安定の結果(部材の振動・熱伝達率の増加・吹き消え・逆火・構造損傷)、LPM は壁の冷却・希釈空気が少なく音響の減衰が小さいこと、水素が火炎の形と位置を通じて安定化にも不安定化にも働くこと | Beita ら(UCL ほか)のレビュー 出典1 https://www.mdpi.com/2673-4141/2/1/3 | 事実 |
| NETL/UC Irvine の研究:排気中の水蒸気 12〜14%(蒸気噴射を含め 25〜30%、天然ガスの最大4倍)、MCrAlY の現場試験で合成ガスは天然ガスよりスピネルが増えること、0〜45 vol% 水蒸気での酸化試験とスピネルの水蒸気量への依存、揮発・再析出のアーティファクト、1,000〜1,500℃の Y2O3 の揮発試験(白金ライナーで無視できる)、1,300℃・20 kPa の相の不安定化試験(追加検証が必要)、CMAS 類の浸透と APS・セグメント構造の差。対象は合成ガス・高水素含有燃料 | NETL/UC Irvine 最終報告書 出典2 https://www.osti.gov/biblio/1149472 | 事実 |
| MHI のハンドブック:水素の混合比は体積比、体積と熱量の関係(20%→6.1、30%→10.1、79.3%→50 cal%)、3つの燃焼器の型と開発状況(拡散燃焼100%開発完了、予混合30%完了・50%は2022年に燃焼試験成功、マルチクラスター100%は2025年以降に完了予定)、マルチクラスターの発想(多数の小さなノズル、旋回流を使わない)、逆火・燃焼圧力変動・NOx が障害であること、振動が燃焼器を一瞬で壊すという発言、ノズル・燃焼器の形状と材料・遮熱セラミックの最適化、水素の炎の色、30%混焼の CO2 削減(約12%、図中は340→305 g/kWh)、体積30%混焼の実証(2023年11月)と50%の単体燃焼器試験、H-25(40 MW 級)・50% 混焼実証の計画 | MHI 水素発電ハンドブック 出典3 https://power.mhi.com/catalogue/pdf/hydrogen_en.pdf | 事実 |
| 2023年11月30日:M501JAC(1,650℃級)で体積30%水素+天然ガスを部分負荷から全負荷まで運転。T-Point 2(定格566 MW)、系統接続、同敷地の水素、NEDO の補助事業の成果、DLN 燃焼器、2024年に H-25 での100%専焼と50%混焼の実証を計画 | MHI 発表 出典4 https://power.mhi.com/news/231130.html | 事実 |
| 2025年6月16日:Plant McDonough-Atkinson の M501GAC(約283 MW)で体積50%混焼を完了、5〜50%の複数の混合比を試験、天然ガス100%に比べ CO2 約22%減、2022年に体積20%の試験、Plant Yates の水素対応の新設3台の計画 | Mitsubishi Power Americas/Georgia Power 出典5 https://power.mhi.com/regions/amer/news/250616 | 事実 |
| IPP Renewed の M501JAC 2台(840 MW)の搬入(2023年6月・7月)、2025年の起動時に体積30%水素、2045年までに100%水素の目標、電力の CO2 削減(75%超) | Mitsubishi Power Americas 出典6 https://power.mhi.com/regions/amer/news/20230727.html | 未確定/将来 |
| IPP Renewed が「水素を利用できる天然ガス焚き発電設備」と表現されていること、建設の進捗(97%完了と表示、日付の記載なし) | IPP Renewed 事業サイト 出典7 https://ipprenewed.com/ | 事実 |
| HYFLEXPOWER:SGT-400、1 MW の電解槽、約1 t のタンク、2022年の30%混焼、DLE 技術の機種で最大100%水素の運転を実証、体制(Siemens Energy、ENGIE、Centrax、Arttic、DLR、4大学)、Horizon 2020 の資金、今後の熱供給などへの拡張計画 | Siemens Energy 発表(2023年10月14日) 出典8 https://www.siemens-energy.com/global/en/home/press-releases/hyflexpower-consortium-successfully-operates-a-gas-turbine-with-.html | 事実 |
| 2022年12月15日:体積30%水素+70%天然ガスの試験完了、2023年に水素比率を最大100%へ上げる試験を継続する計画 | Siemens Energy 発表(2022年12月15日) 出典9 https://www.siemens-energy.com/global/en/home/press-releases/first-tests-power-hydrogen-power-hyflexpower-demonstrator-successfully-completed.html | 事実 |
| SGT-400 の水素能力:DLE バーナーで最大30 vol%、拡散バーナー(NOx 抑制なし)で最大65 vol%、出力10〜15 MW | Siemens Energy 製品ページ 出典10 https://www.siemens-energy.com/global/en/home/products-services/product/sgt-400.html | 事実 |
| 主要メーカーが2030年までの100%水素対応を公約していること、水素燃焼の課題(低い着火エネルギー、速い火炎速度、広い可燃限界)、13 MW の SGT-400 を100%水素・DLE モードで運転、SGT-800 と SGT-9000HL が次の100%対応の開発対象であること、水素の往復の効率が有利な条件で最大35〜40%、緑の水素の LCOE が青より高いこと | Siemens Energy 白書(2026年) 出典11 https://assets.siemens-energy.com/dam/51aba4eb-30bc-4582-b48a-b1e9009c4c8f/H2_GF_GT-White-Paper_released-pdf_Original%20file.pdf | 事実 |
| GE Vernova:水素混焼の改造範囲(混合設備、消火、制御、防爆機器、窒素パージ、新燃料系統、機関改造)、囲い・換気・検知器の考慮事項、5%〜100%(体積)の運転経験、120台以上・1,000万時間以上の運転経験(水素・関連燃料)、最大約100%(体積)の対応の主張 | GE Vernova 解説ページ 出典12 https://www.gevernova.com/gas-power/future-of-energy/hydrogen-fueled-gas-turbines | 事実 |
| GE Vernova の2024年の資料:NOx が天然ガスより増えうること、DLN2.6e による7HA・9HA の最大50/50混合、一部の機種は現在100%可能、100台超・800万時間超(2021年9月時点)、NYPA・恵州・Debary・Tallawarra B の事例、低炭素水素の燃料費が少なくとも2020年代末まで天然ガスの2〜10倍との予想 | GE Vernova 資料 出典13 https://www.gevernova.com/content/dam/gepower-new/global/en_US/downloads/gas-new-site/future-of-energy/GEA35685-GEV-Hydrogen-Overview_8.5x11_RGB_R4.pdf | 事実 |
| 水素脆化の三つの形、強度の高い合金ほど感受性が高いこと、内部・環境脆化が 200〜300 K で最大、反応脆化が高温で起きやすいこと | NASA NSS 1740.16 出典14 https://ntrs.nasa.gov/citations/19970033338 | 事実 |
| メタンの気体の生成エンタルピー −74.87 kJ/mol | NIST Chemistry WebBook(メタン) 出典15 https://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C74828&Units=SI&Mask=1 | 事実 |
| 水(気体)の生成エンタルピー −241.826 kJ/mol | NIST Chemistry WebBook(水) 出典16 https://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C7732185&Units=SI&Mask=1 | 事実 |
| 二酸化炭素の気体の生成エンタルピー −393.51 kJ/mol | NIST Chemistry WebBook(二酸化炭素) 出典17 https://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C124389&Units=SI&Mask=1 | 事実 |
| IPP の M501JAC 2台、体積30%水素(2025年)→100%水素(2045年までに)の計画、水素を燃料に使う約30か所への納入・350万時間超 | MHI の事例ページ 出典18 https://power.mhi.com/case/america_utah | 未確定/将来 |
| 体積割合と熱量割合の換算(10%→約3.2%、20%→約7.0%、30%→約11.4%、50%→約23.2%、79.3%→約53.6%)、必要な体積流量の比(約1.08〜3.32倍)、メタンの低位発熱量 802.29 kJ/mol、MHI の3点から逆算した天然ガスの1 mol あたり発熱量(約922〜931 kJ/mol、メタンの約1.15〜1.16倍) | 本稿の計算。理想気体、低位発熱量は NIST の生成エンタルピー(出典15〜17)から。MHI の組成は資料に記載なし | 本稿の計算 |
| MHI の2024年予定の実証の結果、マルチクラスター燃焼器の達成状況、IPP Renewed での水素混焼の開始、GE Vernova の Debary と Tallawarra B の実績、ガスタービン燃料系統の個別材料のデータ、水素専焼の NOx の実測値、日本の制度との関係、他社の公式資料、水素専焼の高温部材の寿命データ | 本稿の調査範囲では公開された一次情報で確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 体積と熱量の区別の整理、水素に触れる場所と水蒸気に触れる場所の整理、水素脆化の知識が上流側に効くという読み、水蒸気の影響の切り分けの読み、冷却空気・NOx・音響・材料が連動するという読み、MHI の天然ガスがメタンより発熱量が大きいという推測、図2・図3・図5が模式図であること、図4がAI生成イメージであること | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない(一部は推測と明記) | 解説 |
最終更新:2026年10月/出典は一次情報(メーカーの公式発表と製品ページ、米国エネルギー省 NETL の研究報告書、査読付きレビュー、NASA の標準、NIST のデータ)に限定しています。 材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 MHI の2024年予定の実証の結果、マルチクラスター燃焼器の達成状況、IPP Renewed での水素混焼の開始、他社の実績、燃料系統の個別材料データ、水素専焼の NOx の実測値、水素専焼の高温部材の寿命データは、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 メーカーの数値はメーカー公称で、条件(機種、燃焼方式、NOx の扱い、負荷、体積比か熱量比か)つきで示しています。実証は各社の発表で、独立機関の検証ではありません。 図1・図2・図3・図5はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。