COMPANY PROFILE / バイオセンサー
センセオニクス
― 皮下に埋め込み、最長1年測り続けるCGM「Eversense」の専業。2026年に販売を自社へ戻し、財務は10-Kのとおり厳しい状況にある
バイオセンサーの話題でSenseonicsの名前が出るのは、体の中に小さなセンサーを埋め込んで、グルコースを最長1年連続して測る、世界でも珍しい埋め込み型CGM(連続グルコース測定)の専業だからです。 製品名はEversense(エバーセンス)。2025年の売上は3,526万ドル、研究開発費は3,159万ドル、従業員は130人(全員が米国)です(年次報告書〔10-K〕)。 2025年末まで販売を担っていたAscensia Diabetes Careから、2026年1月(米国)と6月(欧州の主要4か国)に販売事業を引き取りました。 本稿は、この会社が何を作り、何に投じ、どこと組み、何が課題かを、一次資料の範囲で整理します。財務状況は10-K等の記載のとおりに書き、評価はしません。製品の使用を勧める記事ではありません。
- 30秒でわかるSenseonicsと、バイオセンサーでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- バイオセンサーの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- バイオセンサーにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はバイオセンサーで何を目指しているか
- バイオセンサー分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるセンセオニクスと、バイオセンサーでの立ち位置
(蛍光ハイドロゲルを埋め込み)10-K:LEDで励起した蛍光量を光検出器で測る方式
Senseonicsは「センサーを体に貼る」のではなく「医療者が皮下に埋め込む」CGMの会社で、その分、センサーの寿命(最長1年)と埋め込み・抜去の手技(医療者が実施)が事業の前提になります 事実。 2025年末まで販売を担っていたAscensiaから、2026年に米国と欧州の主要4か国(イタリア、ドイツ、スペイン、スウェーデン)の販売を引き取りました(10-K、8-K)。 財務については、2026年3月の10-Kが「継続的な損失と流動性の不確実性から、継続企業として存続する能力に重要な疑義がある」と記載しています。同年8月の10-Qには同じ表現を本稿は確認していませんが、資金調達(2026年4〜6月期に約1億ドル超)の内容は後述のとおりです 事実。本稿は、これらを評価しません。
2. ロゴと社名の表記について
表記の注意:上場している法人名は Senseonics Holdings, Inc. で、FDAの承認の申請者は子会社の Senseonics, Incorporated です。 Eversense(E3、365、AP)は製品名、Gemini と Freedom は開発中の製品の呼び名であって、会社ではありません。 ロゴ画像は同社の公式サイト(senseonics.com)が公開しているもの(小さな画像)を取得しました。
公式サイト:https://www.senseonics.com/3. バイオセンサーの世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模
Senseonicsは埋め込み型CGMだけの会社で、会社全体の数値がそのままバイオセンサー事業の数値です。以下は10-K・10-Qの値です 事実。
| 指標(千ドル) | 2024年 | 2025年 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上合計 | 22,472 | 35,257 | +56.9%(本稿の計算) |
| うち関連当事者(Ascensia)向け | 18,499 | 18,173 | -1.8%(本稿の計算) |
| 売上総利益 | 533 | 15,763 | 粗利率は2.4%→44.7%(本稿の計算) |
| 研究開発費 | 41,144 | 31,592 | -23.2%(本稿の計算) |
| 販売費及び一般管理費 | 34,231 | 52,508 | +53.4%(本稿の計算) |
| 営業損失 | -74,842 | -68,337 | 損失は縮小 |
| 純損失 | -78,616 | -69,113 | 損失は縮小 |
| 2026年(千ドル) | 4〜6月期 2025年 | 4〜6月期 2026年 | 上半期 2026年 |
|---|---|---|---|
| 売上合計 | 6,649 | 14,483 | 26,194 |
| 売上総利益 | 3,121 | 8,559 | 15,499 |
| 研究開発費 | 7,715 | 11,639 | 20,250 |
| 販売費及び一般管理費 | 9,729 | 32,908 | 63,083 |
| 純損失 | -14,501 | -36,705 | -69,038 |
2026年6月30日の現金・制限付現金・現金同等物は1億4,300万ドル、利息を含む債務は5,550万ドルです(2026年8月の決算発表)。会社は2026年の通年の売上見通しを6,200万〜6,600万ドル(従来6,000万〜6,400万ドル)、粗利率を58〜61%に引き上げました(会社の見通し) 事実。
2026年の売上の急増には、販売を自社に移したことで、販売会社向けの売上から自社の直接販売の売上に計上の形が変わった影響があると考えられます(推測。会社は「米国売上が前年比150%超増」「米国の処方医が約130%増」と説明しており、数量の伸びも含まれます)。2025年と2026年の売上は、売り方が違うため、そのままでは比較できません。 同時に、販売・マーケティングの体制を自社で持つため、2026年4〜6月期の販売費及び一般管理費は前年同期の約3.4倍になっています 本稿の計算(32,908÷9,729)。
5. バイオセンサーにかけているリソース
| リソース | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 130人(2025年12月31日、全員が米国)。2026年8月の決算発表によると、挿入を担う看護師のネットワーク(Eon Care)は90人超で、Eversense挿入手技の約40%を担い、年末に100人が目標。研究開発の人員は非公表 | 事実/一部非公表 |
| 金(研究開発) | 2024年4,114万ドル→2025年3,159万ドル。2026年4〜6月期は1,164万ドル(前年同期772万ドル)で、会社は「Geminiの臨床とFreedomの開発」を理由に挙げる | 事実 |
| 製造 | 10-K:Eversenseの全部品の製造を、北米と欧州の契約製造会社に委託し、当面この方針を続ける。FDAのPMA補足には、2023年にセンサーの部品の新しい供給元の追加、センサー組立工程のスケールアップ、送信器の重要部品の新しい供給元の追加が載っている。契約製造会社の社名は10-Kに記載なし(FDA文書の最終包装・流通の拠点は別の事業者) | 事実/社名は確認できず |
| 買収・出資・融資 | ① Ascensiaからの販売資産の買収:2025年12月31日に基本契約。米国は2026年1月1日に完了。欧州はドイツ・スペイン・スウェーデンが2026年6月1日、イタリアが6月8日に完了。欧州分は主に在庫の帳簿価額相当を現金で支払う、と8-Kにある(総額は本稿で確認できず)。② 挿入ネットワークの買収:NPGの挿入ネットワーク資産を取得し、約30州で事業を行うEon Careとした(10-K)。③ 公募増資:2026年4月30日契約。普通株800万株と事前出資ワラント800万本を1株5.00ドルで募集、純手取りは約7,475万ドルの見込み(引受人の追加購入権は別)。④ Hercules Capitalの融資:最大1億4,000万ドルに拡大(2026年5月)。うち初回3,500万ドルは実行済み、1,000万ドルを追加実行など。満期は2029年9月3日 | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | ClinicalTrials.govで「Senseonics」が責任企業または協力者として登録された試験は12件(2026年10月4日に検索)。NIH等の公的資金による助成は10-Kで確認できず | 事実/公的資金は確認できず |
規制上の位置づけ(FDAの公式文書で確認できたもの)
| 製品 | 用途(FDA文書の記載) | 区分・番号 | 日付 |
|---|---|---|---|
| Eversense CGMシステム(90日型) | 糖尿病の成人(18歳以上)で、最長90日連続してグルコースを測る。処方用。リアルタイム値、傾向、低血糖・高血糖の検出・予測の警報 | PMA承認 P160048(製品コードQCD) | 2018年6月21日 |
| 同(指先穿刺の代替) | 治療判断に指先穿刺の代わりに使うことを表示に追加 | PMA補足の承認 P160048/S006 | 2019年6月6日 |
| Eversense E3 | 適応の拡大と、センサー設計の変更による最長180日の使用 | PMA補足の承認 P160048/S016 | 2022年2月10日 |
| Eversense AP CGMシステム(6か月型) | 糖尿病の成人で最長6か月。指先穿刺の代替。自動インスリン投与(AID)システムを含む機器と通信。処方用。デキサメタゾン(またはその酢酸エステル)が禁忌の人には禁忌 | De Novo認可 DEN230052(21 CFR 862.1357、製品コードSBA、Class II) | 2024年4月29日 |
| Eversense 365 | 糖尿病の成人(18歳以上)で最長1年。指先穿刺の代替。AIDを含む機器と通信。処方が必要 | 510(k)適合 K241335(製品コードSBA) | 2024年9月16日(会社の10-Kは9月17日と記載) |
PMA承認(原承認)、De Novo認可、510(k)適合と、3つの区分が混在しています。Eversense 365は、De Novoで作られたiCGM(デキサメタゾン酢酸エステルを含むセンサー用)の枠組みの上に、510(k)で認められました。 欧州では、E3が2022年6月にCEマークを得て、365が2026年1月にCEマークを得たと10-Kに記載されています。小児への適応は、本稿が確認したFDA文書にありません(10-Kは、小児の試験の承認〔IDE〕を2023年に得たと記載)。日本での承認・認証は本稿では確認していません 未確定/将来。
10-Kによると、Eversenseのセンサーは、カプセルの表面に重合で結合させたグルコース指示性のハイドロゲルをLEDで励起し、ハイドロゲルが発する蛍光の量を2つのフォトダイオードで測ります。蛍光量が間質液中のグルコース量に比例します。センサーには電池がなく、外に付ける送信器からNFC(近距離無線)の誘導で給電されます 事実。つまり、他社の皮下ワイヤ型のような酵素と電流ではなく、光学(蛍光)による測定です。 FDA文書(Eversense 365の510(k))は、センサーがシリコーンの襟状の部品を持ち、そこに抗炎症ステロイドのデキサメタゾン酢酸エステルが局所的に溶け出して、センサーのまわりの組織の炎症を抑えると説明しています。De Novoの決定要約には、全ロットでこのステロイドの溶出速度(in vitro elution)を試験し、PMA(P160048)で定めた規格に適合したとあります 事実。
2019年9月18日開始のリコール記録(1,344個、現在は終了)の原因は、センサーのグルコースを感じる表面の水和(ハイドロゲルが十分に水を含むこと)が不十分で、センサーが早く機能を止めたことでした 事実。ハイドロゲルの水和と、シリコーンからのステロイド溶出の制御が、埋め込み型の寿命(最長1年)を左右する素材の条件だと読めます 未確定/将来。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2017年9月 | Eversense XLがCEマーク(欧州・中東の一部で販売。180日) | 欧州での最初の展開(10-K) |
| 2018年6月21日 | Eversense CGMシステム(90日型)がPMA承認(P160048)。糖尿病の成人、最長90日 | 埋め込み型CGMの米国での出発点 |
| 2019年6月6日 | 指先穿刺の代替として治療判断に使う表示をPMA補足で承認(S006) | 10-Kは「インスリン投与を含む治療判断に使える」と説明 |
| 2019年9月18日 | センサー1,344個のリコール開始。グルコースを感じる表面の水和が不十分で、早く機能を止めた(FDA記録。現在は終了) | ハイドロゲルの素材管理に関わる記録 |
| 2020年8月 | Ascensiaと共同開発・販売契約。Ascensiaが世界での独占販売権を得た(10-K) | 販売を外部に任せる体制 |
| 2022年2月10日 | Eversense E3が最長180日で承認(PMA補足S016)。6月にCEマーク | 寿命の延長 |
| 2023年9月8日 | Hercules Capitalと融資契約(2025年9月に第1次、2026年5月に第2次の変更) | 債務による資金調達 |
| 2024年4月29日 | Eversense APがDe Novo認可(DEN230052)。最長6か月、AIDなどと通信するiCGMの枠組み | デキサメタゾン酢酸エステルを含むセンサー用の新区分(862.1357) |
| 2024年9月16日 | Eversense 365が510(k)適合(K241335)。最長1年。Ascensiaが2024年10月から米国で販売 | 最長1年の埋め込み型CGM |
| 2025年9月3日 | Ascensiaから販売事業を戻す覚書(MOU)を締結 | 10-Kの記載 |
| 2025年12月31日 | Ascensiaと、販売資産の基本買収契約を締結。米国は2026年1月1日に完了。改訂再契約でAscensiaの米国での販売権は終了し、欧州4か国では非独占に | 2026年1月から欧州4か国の売上の100%が自社のものに(10-K) |
| 2025年12月 | Geminiの臨床試験の申請(IDE)をFDAが承認。重要試験の登録を開始可能に | 電池内蔵の2-in-1型の開発(10-K) |
| 2026年1月 | Eversense 365がCEマーク | 欧州での発売は2026年下半期の予定 |
| 2026年4月30日〜5月 | 公募増資(800万株+事前出資ワラント800万本、1株5.00ドル)と、Hercules融資の拡大(最大1億4,000万ドル) | 2026年4〜6月期に1億ドル超を調達(会社) |
| 2026年6月1日・8日 | 欧州(ドイツ、スペイン、スウェーデンは6月1日、イタリアは6月8日)の販売資産の買収を完了 | 販売・マーケティングの体制を自社に統合 |
7. 今後の計画
ほかに、次の計画が一次資料に書かれています 未確定/将来。
- Gemini:電池を内蔵した埋め込みセンサーで、「体に付ける部品なしでスマートフォンをかざして読む(フラッシュ型)」と「送信器で連続測定する」を両立する2-in-1型。365日型センサーのプラットフォーム上で、電池の統合と機能の実証が中心。重要試験を開始可能(2025年12月のIDE承認)。
- Freedom:センサーにBluetoothを持たせ、体に付ける部品をなくす製品の構想(10-K)。
- AID連携の拡大:会社は、Eversense 365とtwiist(Sequel Med TechのAIDシステム)の組み合わせの利用が増えていると決算発表で述べる。連携先の全体像は本稿では確認できず。
- 追加の資金調達:Hercules融資の追加の枠(最大1億4,000万ドルのうち、条件を満たすと利用できる部分)、授権株式の倍増(7,000万株→1億4,000万株、2026年5月20日承認)。
Ascensiaからの買収の総額(米国分)/契約製造会社の社名と生産能力/Eversense 365の精度などの性能数値(10-Kには過去の試験のMARDの記載があるが、365日型の数値は本稿で未確認)/Geminiの発売時期/小児への適応のFDA判断/日本での承認・認証/公的資金による助成。本稿が確認した一次資料には見当たりません。
8. この会社はバイオセンサーで何を目指しているか
会社が「目指す」と直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は一次情報から本稿が読み取った解釈で、会社の公表内容ではありません。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 販売を自社に戻し、患者に直接届く経路を持つ | Ascensiaから米国(2026年1月)と欧州4か国(2026年6月)の販売資産を買収。直接消費者向けの広告が最大の新規患者の経路になったと決算発表が説明 | 事実/推測(狙い) |
| 埋め込み・抜去の手技の経路を自社で広げる | NPGの挿入ネットワークを取得してEon Careを設立。看護師90人超、挿入の約40%、年末100人が目標 | 事実(会社の目標) |
| 寿命を延ばし、1年に1回の手技を売りにする | Eversense 365(最長1年)の発売。会社は「The One Year. One CGM.」の広告を実施(10-K) | 事実 |
| 電池内蔵(Gemini)、体に付ける部品の不要化(Freedom)で次の世代へ | Geminiのコンセプトと、2025年12月のIDE承認。研究開発費の増加理由 | 事実(開発中)/推測(優先度) |
| AIDシステムと組み合わせて使われる形を広げる | 510(k)・De Novoの用途にAIDなどとの通信が含まれる。twiistとの組み合わせの利用増を会社が説明 | 事実 |
「患者に直接届く経路を持つ」という読みの根拠は、販売を戻すだけでなく、挿入を担う看護師のネットワークまで自社で持ったことです。埋め込み型は、医療者がセンサーを皮下に挿入し、期限が来たら抜去する手技が必ず要るため、製品の普及は手技を行える場所と人の数に左右されます。 10-Kは挿入ネットワークの取得を「米国での患者のアクセスを広げる手段」と説明し、2026年8月の決算発表は、Eon Careが挿入手技の約40%を占めると述べます 事実。 ただし、Eon Careの費用や収益への寄与は開示されていません(販売費及び一般管理費に含まれる)。経路を持つことの採算は確かめられません 未確定/将来。
9. バイオセンサー分野の提携マッピング
Ascensiaは、2025年末までEversenseの世界での独占販売会社であり、売上の相当部分を占める関連当事者でした(2025年は売上の約52%が関連当事者向け) 事実(18,173÷35,257、本稿の計算)。2026年の改訂再契約で、米国での販売権は終了し、欧州4か国では非独占になりました。Sequel Med Techとの関係は、会社が決算発表で組み合わせの利用に言及するのみで、契約の内容は本稿が確認した資料にありません。
10. 提供している技術・製品・サービス
Senseonicsの製品は、皮下に埋め込むセンサー、体の外に付ける送信器(充電式)、スマートフォンのアプリの3点で構成されます。センサーは医療者が専用の挿入器具で皮下に入れ、期限が来たら抜去します 事実。 性能の数値は、FDAの審査文書と会社の10-Kを区別して示し、異なる試験・製品の数値を並べた優劣の判断はしません。
| 製品 | 公式資料に載っている内容 | ひとこと |
|---|---|---|
| Eversense 365 | FDA文書(K241335):皮下に挿入するセンサーが、送信器から無線(RF)で給電され、5分ごとに間質液のグルコースを蛍光で測って送信器へ送る。センサーの動作寿命は最長1年。シリコーンの襟状の部品からデキサメタゾン酢酸エステルが溶け出す。送信器は充電式で、粘着パッチで体に固定し、Bluetooth(BLE)でアプリへ送る。処方が必要 | 10-Kは、非埋め込み型の7〜15日と比べて「最長12か月」と説明(会社の説明) |
| Eversense E3/AP | 10-K:センサー寿命は最長6か月。FDA(DEN230052):6か月型は糖尿病の成人向けで、AIDを含む機器と通信。送信器はMRIの検査では外す必要がある(MR Unsafe)とFDA文書にある | E3は2022年から、AP表示は2024年から |
| Gemini(開発中) | 10-K:電池を内蔵した埋め込みセンサー。送信器で連続読み取り、またはスマートフォンをかざす読み取りができる2-in-1型。IDEは2025年12月に承認 | 未承認。会社の開発計画 |
| Freedom(構想) | 10-K:センサーにBluetoothを持たせ、体に付ける部品をなくす構想 | 未承認。構想の段階 |
| Eon Care(挿入サービス) | 10-K・決算発表:挿入ネットワーク(約30州)。看護師が診療所や自宅でセンサーを挿入・抜去する。2026年8月時点で看護師90人超 | 製品ではなくサービス |
他社の皮下ワイヤ型CGMが酵素(グルコースオキシダーゼ)の反応から出る電流を測るのに対し、Eversenseはグルコースに応じて蛍光量が変わるハイドロゲルを、LEDで励起して光検出器で測ります(10-K) 事実。酵素の失活が寿命を縛る方式と違い、寿命の制約は、ハイドロゲルの安定性、表面の水和、周囲の組織反応(異物反応)に移ります。 そのため、FDA文書が示すように、センサーには抗炎症ステロイドを溶出するシリコーンの部品が付き、溶出速度は全ロットで試験されます。2019年のリコール記録は、グルコースを感じる表面の水和が不十分でセンサーが早く機能を止めたことを原因としています 事実。
電池を持たないセンサーを送信器から誘導給電する構成は、センサーの小型化と長寿命化に向きます。一方、送信器は電源と通信(BLE)を担い、粘着パッチで皮膚に固定され、MRIの前には外す必要があります。埋め込み型の「体内の部分」と「体外の部分」で、求められる素材の性質(生体適合性、長期安定性/電池、防水、粘着)が大きく異なる点が、設計の中心だと読めます 未確定/将来。
11. この企業が抱えるリスク
以下の財務に関する記述は、10-K等の記載のとおりに示し、本稿は評価しません。
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 継続企業の前提 | 2026年3月の10-Kは、「継続的な損失と、事業を効果的に運営できる十分な流動性を維持できるかの不確実性により、継続企業として存続する能力に重要な疑義がある」と記載。2026年8月の10-Qには、この表現を本稿は確認していない。2026年6月30日の現金等は1億4,300万ドル、債務は5,550万ドル(決算発表) | 事実(開示のとおり) |
| 損失の継続 | 2025年の純損失は6,911万ドル、2026年上半期の純損失は6,904万ドル。2026年4〜6月期の販売費及び一般管理費は3,291万ドルで、前年同期の約3.4倍 | 事実/本稿の計算 |
| 資金調達と希薄化 | 2026年4〜6月期に公募増資(1株5.00ドル)とHercules融資の拡大を実施。授権株式を7,000万株から1億4,000万株に倍増(2026年5月)。追加の株式発行の可能性がある | 事実/影響は推測 |
| 販売体制の移行 | 2026年に販売を自社に移し、欧州でも6月に移行を完了。2026年8月の決算発表は、欧州の売上が入札更新のタイミングの影響を受けたと説明 | 事実 |
| 製造を全面委託 | 全部品の製造を契約製造会社に委託。供給元の損失や施設の停止は粗利率と業績に影響しうると10-Kがリスクに挙げる。社名は記載なし | 事実(会社のリスク認識) |
| リコール | FDAのリコール記録に、2019年9月18日開始のセンサー1,344個の回収(水和不足による早期の機能停止。現在は終了)。本稿が確認した範囲で、他の記録はない(1件) | 事実(FDA記録の記載) |
| 手技への依存 | センサーの挿入・抜去は医療者が行う。挿入できる場所と人の数が普及を左右するため、Eon Careを拡大中。手技に伴う安全性の情報は各FDA文書による。本稿は利用者への助言をしない | 事実/推測 |
| 競合と大手の存在 | 10-Kは、Dexcom、Medtronic、Abbottを資金力のある競合として挙げ、非埋め込み型CGMの寿命は7〜15日と比較する | 事実 |
| 性能数値の外部検証 | Eversense 365の精度などの性能数値は、本稿が確認した資料では限られる | 未確定/将来 |
12. 用語集
- 埋め込み型CGM
- センサーを皮下に埋め込み、間質液中のグルコースを連続して測る方式。センサーは医療者が挿入・抜去する。
- iCGM
- 他の機器(自動インスリン投与システムなど)と安全に接続して使うことを前提に、FDAが特別管理を定めたCGMの区分。
- PMA承認(approval)
- 高リスク機器に求められる、FDAの市販前承認。補足(supplement)で変更を承認する。
- De Novo認可
- 比較対象がない新しい種類の低〜中リスク機器を、FDAが新たに分類して認める手続き。
- 510(k)適合(clearance)
- 既に市場にある類似の機器(比較対象)と実質的に同等であることをFDAが認める手続き。
- 蛍光ハイドロゲル
- グルコースに応じて蛍光の強さが変わるゲル状の素材。光で励起して発光量を測る。
- NFC/RF給電
- 近距離の無線で、電池のない部品に電力と通信を送る方式。
- デキサメタゾン酢酸エステル
- 抗炎症作用をもつステロイド薬。センサーの部品から局所的に溶け出して、周囲の組織の炎症を抑える設計。
- 関連当事者
- 会社と特別な関係がある相手。取引条件が通常と異なりうるため、会計上、別に開示される。
- 事前出資ワラント
- 名目的な価格で普通株に交換できる権利。株式の保有比率の上限を避けたい投資家向けに使われる。

13. 出典
- Senseonics Form 10-K(2025年12月期、2026年3月2日提出)。事業概要、技術、規制の経緯、Ascensiaとの関係、製造、従業員、財務、リスク。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926022298/sens-20251231x10k.htm
- Senseonics Form 10-Q(2026年6月30日終了の四半期、2026年8月6日提出)。2026年4〜6月期・上半期の財務。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926092056/sens-20260630x10q.htm
- Senseonics Form 8-K Exhibit 99.1「Senseonics Holdings, Inc. Reports Second Quarter 2026 Financial Results」(2026年8月6日)。業績、2026年の見通し、Eon Care、資金。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926092018/sens-20260806xex99d1.htm
- Senseonics Form 8-K(2026年1月2日)。Ascensiaとの基本資産買収契約(2025年12月31日)と米国分の完了。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926000056/tm261636d1_8k.htm
- Senseonics Form 8-K(2026年3月12日)。欧州4か国の個別の資産買収契約。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926027055/tm268623d1_8k.htm
- Senseonics Form 8-K(2026年6月8日)。欧州の資産買収の完了(6月1日・8日)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926071370/tm2616827d1_8k.htm
- Senseonics Form 8-K(2026年5月1日)。公募増資の引受契約(800万株+事前出資ワラント800万本、1株5.00ドル)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926053515/tm2613286d1_8k.htm
- Senseonics Form 8-K(2026年5月4日)。Hercules Capitalとの融資契約の第2次変更。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926054861/tm2613400d1_8k.htm
- Senseonics Form 8-K(2026年5月20日)。授権株式の増加(7,000万株→1億4,000万株)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1616543/000110465926064540/tm2615102d1_8k.htm
- 米国FDA(openFDA) PMA P160048(Eversenseの原承認〔2018年6月21日〕と補足S006、S016、S024〜S026)。 https://api.fda.gov/device/pma.json?search=pma_number:P160048&limit=1000
- 米国FDA De Novo Decision Summary DEN230052(Eversense AP CGMシステム、2024年4月29日)。用途、構成、ステロイド溶出の試験。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/reviews/DEN230052.pdf
- 米国FDA 510(k) 適合通知と要約 K241335(Eversense 365、2024年9月16日)。用途、構成、素材。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf24/K241335.pdf
- 米国FDA(openFDA) 製品コードSBA(デキサメタゾン酢酸エステルを含むセンサーの統合型CGM、21 CFR 862.1357)の分類。 https://api.fda.gov/device/classification.json?search=product_code:SBA
- 米国FDA(openFDA) リコール記録 event 83896(Eversenseセンサー、2019年9月18日開始、終了)。 https://api.fda.gov/device/recall.json?search=res_event_number:83896
- ClinicalTrials.gov スポンサー/協力者「Senseonics」で登録された試験の件数(API。総数12件を確認)。 https://clinicaltrials.gov/api/v2/studies?query.spons=Senseonics&countTotal=true&pageSize=1&fields=NCTId
- Senseonics 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.senseonics.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月4日/Troy Technical
本稿の数値は、Senseonicsの法定開示書類(SEC提出書類)、米国FDAの公開文書、ClinicalTrials.gov、会社の公式発表に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は製品の使用や医療上の判断を勧めるものではありません。