COMPANY PROFILE / バイオセンサー
アイセンス
― 世界の血糖測定器向けにも試験紙を作る韓国の電気化学バイオセンサー企業が、自社の連続グルコース測定「CareSens Air」を海外へ広げている
バイオセンサーの話題でi-SENSの名前が出るのは、血糖測定用の試験紙(ストリップ)を年間約17億枚作る生産能力を持ち、その試験紙を自社ブランドと他社ブランド(ODM・OEM)の両方で世界に売る一方で、2023年に自社開発の連続グルコース測定(CGM)「CareSens Air」を発売したからです。 2025年の事業報告書(連結)によると、売上はKRW 315,445百万(前年比+8.3%)で、約8割が輸出です。2026年2月には、米国のLifeScanがi-SENSの技術と製造力でOneTouch Vitaブランドの連続測定を欧州で発売する提携を発表しました。 本稿は、この会社が試験紙とCGMにどれだけ投資し、どこに売り、どこまで認可を得ているかを、韓国の電子公示(DART)、会社の公式資料、FDAの公開文書の範囲で整理します。
- 30秒でわかるi-SENSと、バイオセンサーでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- バイオセンサーの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- バイオセンサーにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はバイオセンサーで何を目指しているか
- バイオセンサー分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるアイセンスと、バイオセンサーでの立ち位置
(従:体外診断・POCT)血糖測定器・試験紙が中心。CGMは新規の柱
試験紙とCGMセンサーCGMはGDH-FAD酵素の電気化学方式、装着15日(会社のマニュアル)
i-SENSは「自社ブランドのCGMを売る新しい会社」である前に、「血糖測定器の試験紙を世界の他社ブランド向けにも作る製造の会社」です。 事業報告書は、主要ブランドとして自社ブランドのCareSens、CareSens Air、NoCoding1、A1Careと、ODM(相手先ブランドの設計・製造)のReliOn Premier、BGStar、Barozen、OEMのAi-Sensorを挙げ、最大の顧客としてArkray, Inc.(2025年の連結売上の約14.8%、本稿の計算)を開示しています 事実。 CGMは2023年9月に自社ブランドで発売し、2026年2月にLifeScanとの提携(OneTouch Vitaブランド、2027年の初めまでにドイツ・アイルランド・ポルトガル・ベルギーで発売を見込む)を発表しました 未確定/将来。 CGMの売上額は事業報告書に単独では出ていません。FDAのデータベースにも、i-SENSのCGMは確認できませんでした。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は i-SENS, Inc.(韓国語は「주식회사 아이센스」)で、日本語では「アイセンス」と書きます。社名の「i-SENS」は、ハイフンと大文字の表記が正式です。 CareSens(血糖測定器のブランド)、CareSens Air(CGM)、A1Care(HbA1c)、i-Smart(電解質・血液ガス)、Coag-Sense(血液凝固)は製品・ブランドの名前です。 ReliOn Premier、BGStar、Barozen は他社のブランドで、i-SENSが製造を受託している製品名(ブランドの所有者は本稿の資料では確認できていません)。 AgaMatrix、CoaguSense、i-SENS USAなどは子会社です。 ロゴ画像は同社の公式サイト(i-sens.com)で使われているロゴ(緑の点つきの文字ロゴ)を取得しました。
公式サイト:https://i-sens.com/3. バイオセンサーの世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模
連結の主な数字です(韓国のIFRS、単位は百万ウォン。為替換算はしません) 事実。
| 指標(KRW百万) | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年上半期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上 | 265,120 | 291,138 | 315,445 | 163,804 |
| 営業利益 | 10,929 | 2,658 | 7,887 | 7,545 |
| 当期純利益 | 3,404 | -1,953 | -6,690 | 5,571 |
| 研究開発費 | 27,661 | 30,999 | 33,124 | 20,707 |
| 研究開発費の売上比 | 10.4% | 10.6% | 10.5% | 12.6% |
2025年の営業利益の増加について、会社は連続血糖測定器の売上増加と海外子会社の業績改善を理由に挙げています。当期純損失の内訳は、本稿では確認していません。 2025年の売上の内訳は、血糖測定器・ストリップ・HbA1cの機器など255,909(81.1%)、電解質・血液ガス分析器とカートリッジ18,954(6.0%)、血液凝固の機器とストリップ19,055(6.0%)、商品(測定器・コネクター)18,987(6.0%)、その他2,540(0.9%)です。 輸出は247,034(約78.3%、本稿の計算)で、顧客の所在地別では米国99,830、韓国66,826、欧州48,152、アジア45,096、その他55,541です。
| 主要顧客・製品の指標 | 2024年 | 2025年 | 会社の説明 |
|---|---|---|---|
| Arkray, Inc. への売上(KRW百万) | 51,108 | 46,671 | 主要な顧客として開示。2025年は連結売上の約14.8%(本稿の計算)。取引の内容は書かれていない |
| 血糖ストリップの生産(枚) | 1,755,896,750 | 1,668,042,000 | 年間の生産能力は17.2億枚。稼働率96.9%(2025年) |
| 連続血糖測定器の生産(個) | 183,570 | 563,598 | 年間の生産能力は200万個。稼働率28.2%(2025年)。2026年上半期の生産は563,216個 |
事業報告書は、CGMだけの売上額を開示していません。会社の2025年10月のリリースは、CGMの売上が2024年の通年でKRW 6.0十億、2025年上半期でKRW 6.7十億(前年同期比+88%)だったとします。この数字は会社の発表で、事業報告書の連結売上の内訳とは別の数字です 未確定/将来。
5. バイオセンサーにかけているリソース
| リソース | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 提出会社(単体)の従業員は957人(2025年末。男性579、女性378)、2026年6月末は997人。研究開発は3つの研究所・12チーム:センサー研究所(5チーム。試験紙、電解質・血液ガスのカートリッジ、HbA1c・免疫センサー)、デバイス研究所(5チーム)、CGMS研究所(2チーム。CGMのセンサー開発とデータ管理)。CGM専任の人数は非公表 | 事実/一部非公表 |
| 金(研究開発) | 2025年はKRW 33,124百万(売上の10.5%)、2026年上半期はKRW 20,707百万(12.6%)。政府補助金の控除前の額で、補助金は2025年にKRW 476百万、2024年に737百万、2023年に666百万。CGMだけの額は非公表 | 事実/一部非公表 |
| 金(設備投資) | 2025年の有形固定資産の増加はKRW 23,052百万(生産設備表)。松島(仁川)第2工場の土地・建物はKRW 66,500百万を投資済み。CGMの生産設備は総額KRW 33,910百万の計画で、うち11,510百万が投資済み、残りを第26期3,000百万、第27期10,000百万、第28期以降9,400百万と記載。ソウル・麻谷(マゴク)産業団地への入居契約に基づく約定が2026年6月末でKRW 12,044百万 | 事実/未確定/将来(計画) |
| 買収・出資・事業売却 | AgaMatrix, Inc.(米国、2023年7月10日取得、持分100%、取得額KRW 37,437百万)、CoaguSense, Inc.(米国、2016年に取得、持分75.3%)。そのほか、連結子会社12社、経営参加の出資10社、単純出資11社。2024年4月にKRW 50,000百万の私募転換社債を発行(満期2029年)、2026年に一部が株式に転換。事業売却は確認できず | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | 研究開発の政府補助金(上記)。2020年12月に保健福祉部の「革新医療機器企業」に指定(会社の沿革)。2025年12月に韓国糖尿病教育看護師協会(KADNE)とCareSens Airのシンポジウムを共催(約40人)。大学との共同研究や公的助成の具体的な課題名は確認できず | 事実/一部確認できず |
規制上の位置づけ(確認できた範囲)
| 製品 | 用途(intended use) | 区分 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| CareSens N Premier(血糖測定器) | 指先の毛細血管の全血のグルコースを定量。糖尿病の人が自宅で行う自己検査(一般用=OTC)。新生児・糖尿病の診断・スクリーニングには使わない | FDA 510(k) clearance(K170614。製品コードNBW) | 2017年10月19日 | 出典14 |
| ReliOn Premier BLU(ODM製品) | 同上(指先の毛細血管の全血、自己検査、OTC) | FDA 510(k) clearance(K230625。申請者はI-Sens, Inc.) | 2023年8月10日 | 出典15 |
| そのほかの血糖測定器・ケトン測定器 | CareSens N Feliz(K201394、2021年10月5日)、CareSens S Clear BT(K192859、2020年1月24日)、KetoSens(β-ケトン、K170463、2018年4月13日)など。I-Sens, Inc.を申請者とするFDA 510(k)は27件(2008〜2023年) | FDA 510(k) clearance | 2008〜2023年 | 出典13 |
| AgaMatrix(子会社)の血糖測定器 | WaveSense Jazz(K241304)など | FDA 510(k) clearance | 2024年6月6日 | 出典16 |
| CareSens Air(CGM) | 間質液のグルコースの連続測定。18歳以上の糖尿病の人。マニュアルは「通常の血糖測定の代わりに治療判断に使うことを意図する(別の指示がない限り)」と記載。妊娠中・授乳中、透析中、重症の人は評価・承認されていない | 欧州:CEマーク(改良版は2025年3月25日に承認と会社が発表。欧州の認定代理人はドイツの会社)。韓国:2023年9月に発売(会社の沿革)。米国:FDAのデータベースで確認できず。日本:確認できなかった | 2023年9月(韓国発売)/2025年3月25日(改良版のCE) | 出典3・7・10 |
FDAの「510(k) clearance」は、既に販売されている同等の機器との実質的同等性を認める区分で、「De Novo認可」や「PMA承認(approval)」とは異なります。
i-SENSの原材料の購入額では、カーボンペースト(血糖ストリップの原材料)が2025年にKRW 14,942百万(購入額の15.4%)、測定器の部材(表記は「IR Sensor」)が27,448百万(28.2%)です 事実。 ストリップは「血液中のグルコースと反応して電気化学反応を起こす酵素を含む」使い捨て品と事業報告書に書かれ、CGMのセンサーはマニュアルでGDH-FAD(FAD依存型グルコース脱水素酵素)の電気化学方式、測定範囲40〜500 mg/dLとされています 事実。 どの酵素・メディエーター・電極材料・拡散制限膜を使うかは、CGMのマニュアルに酵素の種類以外は書かれていません 未確定/将来。詳しくは第10章に書きます。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2000年5月4日 | 設立(事業報告書) | 現在の代表取締役は車根植氏と南鶴鉉氏の2人で、ともに光云大学の化学の教授だった経歴(事業報告書の役員経歴。在職25年超) |
| 2003年 | 採血量0.5マイクロリットル、測定5秒の血糖測定器CareSensを発売(会社の記述) | 試験紙の性能の訴求点(会社の主張) |
| 2013年1月 | KOSDAQに上場。同年に米国のNano-Ditech社の持分を取得 | 現場検査(POCT)への展開の入口 |
| 2016年 | CoaguSense, Inc.(血液凝固)を取得、ドイツ・マレーシアに現地法人を設立 | POCTと海外拠点の拡大 |
| 2018年 | 国内の血糖測定器の市場でシェア1位(31%と会社の沿革に記載)。年産16億枚超の試験紙の生産能力 | 会社の記述。市場シェアの出典は確認していない |
| 2020年12月 | 保健福祉部の「革新医療機器企業」に指定 | 公的な指定 |
| 2023年7月 | AgaMatrix, Inc.(米国)を取得(KRW 37,437百万、持分100%) | 米国の血糖測定器の事業と顧客基盤 |
| 2023年9月 | CareSens Air(CGM)を発売(韓国初の国産CGMと会社の沿革に記載)。10月に松島第2工場が竣工 | 自社CGMの入口 |
| 2024年 | 欧州などで発売(2024年末までに14か国)。4月にKRW 50,000百万の私募転換社債 | 海外展開と資金調達 |
| 2025年3月 | 改良版のCareSens Airが韓国・欧州で発売。欧州でCEの承認(3月25日)。ウォームアップを2時間から30分に短縮、任意の較正、スマートウォッチのアプリ | 会社の発表 |
| 2025年4月 | サムスンと「My Health Phone」を発売(会社の沿革) | スマートフォン・ウォッチとの連携 |
| 2025年10月・11月 | CareSens Air Receiver(専用表示器)を欧州で発売。2025年末までに30か国超へ拡大する計画、保険償還は韓国を含む6か国で確保と会社が発表 | 欧州の償還・公共調達の要件を満たすための表示器 |
| 2026年2月 | LifeScanとの提携を発表。OneTouch Vitaブランドの連続測定を、ドイツ・アイルランド・ポルトガル・ベルギーで2027年の初めまでに発売する見込み | 会社のCGMの供給・製造を他社ブランドに広げる |
| 2026年3月・9月 | ATTD 2026で次世代の「CareSens Air 2」を紹介。EASD 2026(9月28日〜10月2日)では、2027年の初めの発売予定、小型・軽量のセンサー、装着期間の延長、新しいアプリ、Samsung Healthとの連携を紹介と案内 | 会社の案内(確認できた範囲) |
7. 今後の計画
以下はいずれも会社の計画・見込みであり、達成された事実ではありません 未確定/将来。
CGMの売上額(事業報告書の連結売上の内訳)、CareSens Air 2の承認の状況と装着日数、米国(FDA)への申請の有無、日本での位置づけ、LifeScanとの契約の金額・期間・独占条件、CGMセンサーの酵素以外の材料(電極・膜)、試験紙の酵素・メディエーター、CGMの製造委託先・部材の供給元、大学や公的機関との共同研究の具体名。
8. この会社はバイオセンサーで何を目指しているか
会社が資料に直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は一次情報から本稿が読み取った解釈です。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 試験紙の製造力を、CGMの製造・供給にも生かし、他社ブランドで売る | LifeScanのリリースは「i-SENSの先進技術と製造能力」と「OneTouchのブランドと流通網」を組み合わせると説明。IR資料にも「CareSens Airまたはプライベートブランドの供給」と読める記載 | 事実(提携の内容)/推測(試験紙の経験との関係) |
| 欧州で、償還と公共調達の要件に合わせて製品を揃える | 専用表示器(Receiver)を、ドイツ・オランダの償還の要件、イタリア・フィンランド・スペインの公共調達の要件のために発売したと会社が説明 | 事実(会社の説明) |
| CGMをデータ管理とスマートフォン・時計の連携まで含めて広げる | Sens365(医療従事者向けのデータ管理)、スマートウォッチのアプリ、Samsung Healthとの連携、サムスンとのMy Health Phone | 事実(製品・連携)/推測(狙い) |
| CGMの生産に大きな余力を先に作る | 生産能力200万個/年に対し、2025年の生産は56万個(稼働率28.2%)。設備投資の残りが続く | 事実(数字)/推測(先行投資の意図) |
「CGMの生産に大きな余力を先に作っている」という読みの根拠は、事業報告書の生産表です。 2025年のCGMの生産能力は年200万個(前年の50万個から4倍)、生産実績は563,598個(前年183,570個)で、平均稼働率は28.2%でした。2026年上半期の生産実績は563,216個で、半年で前年の通年に並びました 事実。 会社は2025年10月に「松島第2工場の自動化ラインの完成で年200万個の能力を確保」と説明しています。一方、この能力が埋まるだけの注文があるかは書かれておらず、LifeScan向けの供給量も開示されていません 未確定/将来。
9. バイオセンサー分野の提携マッピング
確認できる関係は、LifeScan(CGMの提携)、サムスン(機器・アプリの連携)、Arkray(最大の顧客)、AgaMatrixとCoaguSense(子会社)です 事実。 ODMのブランド(ReliOn Premier、BGStar、Barozen)の所有者、OEM先の社名、CGMの部材の供給元は、確認した資料にありません 未確定/将来。
10. 提供している技術・製品・サービス
以下の性能値はメーカー公称(会社のマニュアル)で、試験の条件(参照法・被験者数)とセットで読む必要があり、異なる試験の値や他社製品と並べて優劣をつけることはできません。
| 区分 | 公式資料に載っている内容 | ひとこと |
|---|---|---|
| 血糖測定器とストリップ(CareSens、NoCoding1ほか) | 測定器、酵素を含むストリップ、ランセット。2025年のストリップ生産は16.7億枚。自社ブランドとODM・OEM。ISO 15197に適合する体制と事業報告書に記載 | FDAの一般用(OTC)の血糖測定器の区分。技術解説「電気化学センサー」を参照 |
| CGM(CareSens Air) | センサーを上腕の背側に装着、最長15日、5分ごとにBluetoothで送信。寸法35.2×19.2×5.0 mm、重さ4.5 g。防水IP48(水深1 mで24時間)。電池はCR1632。EO滅菌、有効期間18か月 | 装着部位と日数はマニュアルの記載 |
| 表示器・アプリ・データ管理 | CareSens Air Receiver(専用表示器)、CareSens Airアプリ、Sens365(医療従事者との共有) | スマートフォンが使えない場合などに表示器を使う |
| POCT(現場検査) | i-Smart 30・300(電解質・血液ガス)、A1Care(HbA1c)、Coag-Sense(血液凝固)、免疫測定の分析器。2025年の売上は電解質・ガス18,954百万、凝固19,055百万 | 光学測定を使う機器も含む |
| 動物用の診断 | 動物病院向けの診断システム(公式サイトの製品区分) | 本稿では詳しく扱わない |
CareSens Airの性能(会社のマニュアル)
| 項目 | 値 | 条件・出所 |
|---|---|---|
| 全体のMARD | 9.5%(2022年の試験)/8.7%(2024年の試験) | 2022年:18歳以上の1型・2型糖尿病50人、比較値は静脈血。2024年:同30人、比較値は毛細血管血。同じ条件の比較ではない |
| 装着日数別のMARD(2022年) | 1日目11.6%、2日目10.3%、5日目9.4%、6日目9.3%、10日目9.1%、15日目7.7% | 同じ試験 |
| 装着期間別のMARD(2024年) | 2〜5日9.7%、6〜10日7.9%、11〜15日8.5% | 同じ試験 |
| 測定範囲・方式 | 40〜500 mg/dL、電気化学、GDH-FAD | マニュアルの技術データ |
| 使用・保管条件 | 使用10〜45°C/保管5〜30°C | 使用中の表面温度は最大48°C |
マニュアルは、組織間液のグルコースは血中の値より5〜15分遅れて変わること、ビタミンCの点滴で測定値が実際より高く出ることがあること、X線・MRI・CTの前にセンサーを外すこと、妊娠中・授乳中・透析中・重症の人は評価・承認されていないことを書いています 事実。本稿は測定値の読み方や使い方を助言するものではありません。
試験紙とCGMのどちらも、酵素が起こした反応を電極で電流として読む点は共通です(本シリーズの技術解説「酵素と電極界面の材料」を参照)。 事業報告書から読み取れる素材の点は次のとおりです 事実。
- 電極のペースト:カーボンペーストが原材料の購入額の15.4%(2025年)。印刷した電極の品質が、試験紙の安定性(生産工程の安定化)を決めると会社は説明します。
- CGMの酵素:GDH-FAD。FAD-GDHは酸素の濃度の影響を受けにくい酵素として一般に説明されます(本稿の解説)。ビタミンC(アスコルビン酸)の点滴で高く出ることは、電極で酸化されやすい物質の影響という電気化学方式に共通の課題です(本稿の解説)。
- 滅菌と保管:EO滅菌、有効期間18か月、保管5〜30°C。包装はTyvekとPET、PETとアルミのシート、乾燥剤入り。
- 皮膚への固定:会社は「安全で耐久性のある皮膚用の粘着テープ」と説明し、装着15日と防水IP48に耐えることが設計課題です(本シリーズの技術解説「パッチ型センサーと皮膚接着」を参照)。
- 測定器の筐体:FDA文書(K170614)には、測定器のケースの材質がPC→PMMA(画面)、POM(排出ボタン)、TPE(足)、シリコーンゴム(ボタン)に変わったと書かれています。
一方、CGMの電極材料・メディエーター・拡散を制限する膜、試験紙の酵素の種類は、確認した資料に書かれていません。本稿は推測で補いません。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 顧客・OEM/ODMへの依存 | Arkray, Inc. が2025年の連結売上の約14.8%(前年約17.6%)。売上の多くをODM・OEMの取引先が占める。取引の内容は書かれていない | 事実/推測(依存の度合い) |
| 利益の変動 | 連結の当期純損益は、2024年がKRW -1,953百万、2025年が-6,690百万の赤字、2026年上半期は5,571百万の黒字。営業利益は2024年に2,658百万まで低下。赤字の主な要因は本稿では確認していない | 事実 |
| 為替 | 輸出が売上の約8割で、米ドルとユーロの為替リスクがある。一部を為替予約などで抑えると事業報告書に記載 | 事実 |
| CGMの立ち上がり | CGMの生産能力に対する2025年の稼働率は28.2%。売上は小さく(2025年上半期KRW 6.7十億)、事業報告書の連結売上の内訳には単独で出ない。米国(FDA)での位置づけは確認できなかった | 事実/未確定/将来 |
| 競合との差 | 事業報告書は、世界の大手4社と比べて資金力とブランド認知度が弱いと自ら述べる | 事実 |
| 子会社の損失と財務 | CoaguSenseや香港子会社などで当期純損失(2025年)。負債比率は70.7%(前年72.3%)。CBの残りKRW 19,242百万、麻谷産業団地への約定KRW 12,044百万 | 事実 |
| 提携の内容の非公開 | LifeScanとの提携の金額・期間・独占条件、発売時期は2027年初めまでの見込み。CareSens Air 2の承認は確認できていない | 未確定/将来 |
| 材料・干渉 | CGMはビタミンCの点滴で高く出ることがあるとマニュアルが記載。電気化学方式に共通の課題 | 事実 |
12. 用語集
- ODM/OEM
- ODMは相手先のブランドで売る製品を設計から製造まで受託する形、OEMは相手の設計で製造を受託する形。
- ストリップ(試験紙)
- 血液をつけて使う使い捨ての電極つきの試験紙。酵素を含み、反応を電流にして測る。
- CGM(連続グルコース測定)
- 皮下の間質液のグルコースを、センサーで連続して測る方式。
- GDH-FAD
- FAD依存型のグルコース脱水素酵素。グルコースを酸化し、電子を電極に渡す側の酵素。
- MARD
- 平均絶対相対差。センサーの値と比較値の差の割合を平均した指標。試験の条件で値が変わる。
- POCT
- 現場検査。中央検査室ではなく患者のいる場所で行う検査。
- DART
- 韓国の電子公示システム。上場企業の事業報告書・半期報告書などが公開される。
- KOSDAQ
- 韓国の新興企業向けの株式市場。
- 510(k) clearance
- FDAが、既に販売されている同等の機器との実質的同等性を認める区分。De Novo認可やPMA承認とは異なる。
- OTC(一般用)
- 処方箋なしで使える区分。FDAの血糖測定器の製品コードNBWは一般用の血糖測定システム。

13. 出典
- DART(韓国の電子公示) 事業報告書(2025年12月期、2026年3月18日提出、第26期)。会社概要、主要製品と売上、原材料・生産設備、販売実績、研究開発、財務、従業員、子会社・出資、MD&A。 https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20260318001657
- DART(韓国の電子公示) 半期報告書(2026年6月30日、2026年8月14日提出、第27期)。2026年上半期の売上・利益、生産、研究開発、資金調達、偶発債務。 https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20260814001297
- i-SENS 公式サイト History(沿革)。 https://i-sens.com/history/
- i-SENS 公式ニュース「LifeScan Announces Transformational Partnership with i-SENS to Launch OneTouch Continuous Glucose Monitoring System」(2026年2月)。 https://i-sens.com/lifescan-announces-transformational-partnership-with-i-sens-to-launch-onetouch-continuous-glucose-monitoring-system/
- LifeScan プレスリリース(2026年2月11日)。i-SENSとの提携でOneTouch Vitaブランドの連続グルコース測定を欧州で発売予定。 https://www.lifescan.com/news-and-updates/2026-press-releases/lifescan-announces-transformational-partnership-with-i-sens-to
- i-SENS 公式ニュース「i-SENS Announces Global Launch of CareSens Air Receiver」(2025年10月)。 https://i-sens.com/i-sens-announces-global-launch-of-caresens-air-receiver/
- i-SENS 公式ニュース「Spotlight on i-SENS at ATTD 2025」。改良版CareSens AirのCE承認(2025年3月25日)、ウォームアップの短縮。 https://i-sens.com/spotlight-on-i-sens-at-attd-2025/
- i-SENS 公式ニュース「i-SENS to Showcase Next-Generation CGM Innovations at EASD 2026」。CareSens Air 2、Sens365、Samsung Health連携。 https://i-sens.com/i-sens-to-showcase-next-generation-cgm-innovations-at-easd-2026/
- i-SENS 公式ニュース「i-SENS Unveils the Next Chapter of CGM at ATTD 2026」。 https://i-sens.com/i-sens-unveils-the-next-chapter-of-cgm-at-attd-2026/
- i-SENS CareSens Air ユーザーマニュアル(15日版、PCGAA-000123 REV6、2026年3月)。用途、禁忌、仕様、精度。 https://caresensair.com/downloads/3168/
- i-SENS CareSens Air 公式製品ページ(15日、5分ごと、寸法、防水)。 https://caresensair.com/en_US/content/product_01/
- i-SENS Company Presentation 4Q 2024(IR資料、一部の文字が欠けて読める範囲のみ確認)。 https://i-sens.com/PDF/i-SENS-Company-Presentation-4Q-2024.pdf
- FDA(openFDA) 510(k) データベースでの I-Sens, Inc. の記録(27件、2008〜2023年の判定)。 https://api.fda.gov/device/510k.json?search=applicant:%22I-Sens%22&limit=30
- FDA 510(k) K170614 CareSens N Premier Blood Glucose Monitoring System(2017年10月19日)。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf17/K170614.pdf
- FDA 510(k) K230625 ReliOn Premier BLU Blood Glucose Monitoring System(2023年8月10日)。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K230625.pdf
- FDA(openFDA) 510(k) データベースでの AgaMatrix の記録(K241304 WaveSense Jazz、2024年6月6日など)。 https://api.fda.gov/device/510k.json?search=applicant:AgaMatrix&limit=20
- i-SENS 公式サイト(トップページ。ロゴ画像の取得元)。 https://i-sens.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月3日/Troy Technical
本稿の数値は、i-SENSのDART事業報告書・半期報告書、会社の公式サイトとマニュアル、LifeScanのリリース、FDAの公開文書に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません(会社の沿革にある市場シェアは、会社自身の記述として断って使用)。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は製品の使用を勧めるものではなく、治療や測定値の読み方に関する助言ではありません。