INSTITUTION PROFILE / 接着・封止材
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)
― 半導体の封止・パッケージの「測り方」と「寸法」をそろえる業界団体
SEMIは米国カリフォルニア州ミルピタスに本部を置く、半導体・エレクトロニクスの設計・製造サプライチェーンの業界団体です。 接着剤や封止材を作る会社ではありません。 接着・封止材との接点は2つあります。ひとつは半導体パッケージ用の封止樹脂などの試験方法や特性を、業界の任意の合意として規格にすること。 もうひとつはSEMICONなどの展示会や技術コミュニティで、先端パッケージを巡る情報交換の場を作ることです。 SEMI規格は任意で、法的拘束力を持つものではありません。 本稿では、SEMIの影響力の種類と届く範囲を、公式サイトで確認できた範囲に絞って整理します。

- 30秒でわかるSEMI
- どんな機関か ― 影響力の「型」
- 接着・封止材で何をしているか
- 影響力の範囲(権限と地域)
- 関わっている組織と規格・場の流れ
- 今後の見通し
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかる国際半導体製造装置材料協会(SEMI)
SEMIの規格は、供給側と需要側が合意した「任意の技術的な取り決め」です。SEMI自身が、規格は「voluntary technical agreements」であり、仕様・指針・試験方法・用語・ベストプラクティスなどの形をとると説明しています 事実。 国の機関ではなく、会員企業の専門家が規格案をつくります。 それでも接着・封止材に関わるのは、半導体パッケージでは封止樹脂やパネルの寸法を共通にしないと、装置や材料が使い回せないからです。 SEMIは、ウェハレベル・パネルレベルのパッケージ用封止材について「従来のパッケージ用の樹脂特性の規定はあるが、WLP・PLP用の規定はない」という課題を挙げて、規格づくりを進めています 事実。
2. どんな機関か ― 影響力の「型」
接着・封止材の記事に出てくる「機関」は、企業と違って自分では製品を作りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。 SEMIは、規格を策定する「標準」の型と、展示会・技術コミュニティの「場」の型の2つにまたがります。
3. 接着・封止材で何をしているか
SEMIの規格は16〜17の「巻(Volume)」に分けて出版され、その中にパッケージング(G)や3D IC(3D)などがあります 事実。接着・封止材に関わる主な規格を、SEMIのストアの表記でまとめます。
| 分野 | 規格(SEMIの表記) | 中身 |
|---|---|---|
| リードフレームと封止樹脂の密着 | SEMI G69 Test Method for Measurement of Adhesive Strength Between Leadframes and Molding Compounds | リードフレームと封止樹脂(モールディングコンパウンド)の接着強さの測り方。せん断試験・引張試験・3点曲げの3方法。1996年9月に初版、2023年8月に再承認 |
| 封止樹脂の基本特性 | SEMI G66、G13 Water Absorption Characteristics for Semiconductor Plastic Molding Compounds/Thermal Expansion Characteristics of Molding Compounds | 半導体用の封止樹脂の吸水特性、熱膨張特性の試験方法(技術解説の熱膨張係数・半導体封止材も参照) |
| ウェハレベル・パネルレベル用の封止材 | SEMI G98〜G104 Specification for ... of Encapsulation Materials for Wafer Level Packaging and Panel Level Packaging | 熱膨張係数(CTE)、流動性、ゲルタイム、弾性率、せん断強さ、粘度、濡れ性の7項目。液状・顆粒・シートの3種類の封止材に適用。SEMIは、従来のパッケージ用にはあるが、WLP・PLP用の規定がなかったと説明 |
| パネルの寸法 | SEMI 3D20 Specification for Panel Characteristics for Panel Level Packaging (PLP) Applications | PLP用パネルの外形寸法・厚さ・反り・質量を定める。510×515mmと600×600mmの2つのパネルサイズ(SEMIの活動報告による)。パネルFOUP(搬送容器)はSEMI E181 |
SEMI G98〜G104の標題はいずれも「Specification for ...」で、封止材のどの特性を、どの方法で測って表示するかをそろえる規格です。 材料の性能の下限値を決めるのではなく、メーカーのデータシートの数値を、同じ条件で比べられるようにする役割です 事実。 技術解説のモールディングやPLPで扱うパネル寸法は、SEMI 3D20が土台になっています。 封止材メーカーの視点では、SEMI規格の測り方に合わせたデータを出せるかどうかが、パッケージメーカーとの取引で参照されやすくなります(SEMI規格が実際にどの顧客の仕様書に引用されているかは、確認できなかった) 未確定/将来。
SEMIは、先端パッケージ・異種集積(APHI)の技術コミュニティも運営しています。 APHIは、事前競争的(pre-competitive)な技術開発の場として、技術のギャップを見つけ、規格が重複しないよう新しい規格の必要性を探ることを活動に挙げています 事実。
4. 影響力の範囲(権限と地域)
| 観点 | SEMIが持っているもの | 持っていないもの |
|---|---|---|
| 権限 | 会員企業の合意に基づき規格を発行する。規格投票(ballot)などの手続きで案を決める。規格は有償で提供され、収益は規格プログラムの運営費の一部を賄う | 規格を強制する権限や、法令を決める権限。規格は「voluntary」。認証制度については、確認した資料に記載がない |
| 地域 | 規格の技術委員会は、北米から始まり、1985年に欧州と日本に拡大し、現在は中国・韓国・台湾にもある。展示会SEMICONは米国・欧州・日本・中国・韓国・台湾・東南アジア・インドなどで開催 | 各国の法令上の位置づけ。国ごとに規格がどう扱われるかは、本稿では確認していない |
| 接着・封止の守備範囲 | 半導体の封止樹脂(モールディングコンパウンド)、WLP・PLP用封止材、リードフレームテープ、パネルの寸法の規格 | 接着剤一般の試験方法(ISO規格の領域)。アンダーフィルやダイアタッチ材の個別の規格は、今回の調査では見つけられなかった |
| 規模 | 会員企業4,000社超、委員会約150、技術コミュニティ20超(メンバーシップページの記載) | 職員数や、接着・封止材に関する委員会の人数は公表資料で確認できなかった |
会員数は、2025年の発表文では「3,000社超」、2026年8〜9月の発表文では「4,000社超」と書かれています 事実。 この間に実際に増えたのか、数え方(会員企業か、つながる企業か)が変わったのかは、公式ページから判断できません。本稿では最新の「4,000社超」を使い、 接着・封止材の関係者がその何割かは分からないことを付記します。
5. 関わっている組織と規格・場の流れ
SEMIの公式ページには、APHIコミュニティの委員長として、インテルとASEのフェローが名前を挙げられています 事実。 日本では、パネルFOUPの規格づくりのために、2018年5月に発足したタスクフォースに、40社超の参加企業と95人の登録メンバーが関わったと、日本のタスクフォースの活動報告が書いています 事実。 本シリーズの企業解説に出てくる接着剤・封止材メーカーが、これらの規格づくりにどう参加しているかは、今回確認した資料からは分からなかったため、本稿では書きません。
6. 今後の見通し
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| SEMICON West 2026は2026年10月13〜15日(サンフランシスコ・モスコーニセンター)、SEMICON Europa 2026は11月10〜13日(ミュンヘン)、SEMICON Japan 2026は12月9〜11日(東京)に開催予定 | SEMIのAPHIページとプレスリリース(2026年8月27日付) | 未確定/将来 |
| WLP・PLP用封止材の規格は、従来のパッケージ用に比べて新しく、今後も項目が追加・改訂される可能性がある | SEMI G102の説明文(WLP・PLP用の規定がなかったとする記述)と、パネルFOUPの規格が「業界からのフィードバックを受けて改訂する」と書かれた2021年の活動報告 | 推測 |
| パネル寸法の標準化が進むほど、PLP向けの封止材(液状・顆粒・シート)の評価条件の共通化の要望が強まる | SEMI 3D20(共通装置のためにパネル寸法の標準化が必要とする記述)とG98〜G104(大型パネルの封止工程のために特性の規定が必要とする記述) | 推測 |
7. 用語集
- SEMICON
- SEMIが開催する展示会シリーズ。米国、欧州、日本、アジア各地で開かれる。
- WLP/PLP
- ウェハレベルパッケージ/パネルレベルパッケージ。ウェハやパネルのままパッケージ工程を行う方式。
- FOUP
- Front Opening Unified Pod。基板を搬送・保管する容器。パネル用がSEMI E181で定められている。
- APHI
- Advanced Packaging & Heterogeneous Integration。SEMIの技術コミュニティの名称。
- モールディングコンパウンド
- 半導体を包む封止樹脂の総称。エポキシ樹脂にフィラーを加えたものが一般的(本シリーズの技術解説:半導体封止材)。
8. 出典
- SEMI About SEMI(1970年設立、150万人、SEMICON・規格・技術コミュニティ)。 https://www.semi.org/en/about-semi-membership/about-semi
- SEMI Standards(1,000件超の規格、ボランティア5,000人超、規格の巻の一覧、販売収益による運営費の一部負担)。 https://www.semi.org/en/products-services/standards
- SEMI About SEMI Standards(規格は voluntary technical agreements、北米から欧州・日本・中国・韓国・台湾へ拡大)。 https://www.semi.org/en/products-services/standards/using-semi-standards
- SEMI Membership(20超の技術コミュニティ、委員会150)。 https://www.semi.org/en/about-semi-membership/membership
- SEMI プレスリリース(2026年9月1日付、SEMICON Europa 2026の登録開始。会員企業4,000社超・専門家150万人)。 https://www.semi.org/en/semi-press-release/registration-opens-for-semicon-europa-2026-as-industry-leaders-gather-to-navigate-europes-semiconductor-future
- SEMI プレスリリース(2025年、世界の半導体装置出荷額に関する発表。会員企業3,000社超の表記)。 https://www.semi.org/en/semi-press-release/global-semiconductor-equipment-billings-surged-to-117-billion-dollars-in-2024-semi-reports
- SEMI プレスリリース(2026年8月27日付、SEMICON West 2026。ミルピタス発、2026年10月13〜15日・サンフランシスコ)。 https://www.semi.org/en/semi-press-release/semicon-west-2026-to-spotlight-1-trillion-dollars-semiconductor-milestone-and-technologies-powering-the-industrys-next-era
- SEMI APHI Technology Community(先端パッケージ・異種集積。2026年のSEMICONの開催日程、委員長)。 https://www.semi.org/en/industry-groups/advanced-packaging
- SEMI Japan Panel Level Packaging Panel FOUP Activity Highlights(Standards Watch、2021年6月。SEMI 3D20の2つのパネルサイズ、タスクフォースの規模)。 https://www.semi.org/en/standards-watch-2021June/japan-plp-panel-foup-highlights
- SEMI Store SEMI G69 Test Method for Measurement of Adhesive Strength Between Leadframes and Molding Compounds。 https://store-us.semi.org/products/g06900-semi-g69-test-method-for-measurement-of-adhesive-strength-between-leadframes-and-molding-compounds
- SEMI Store SEMI G102 Specification for Shear Strength of Encapsulation Materials for Wafer Level Packaging and Panel Level Packaging(G98〜G104の検索結果と、WLP・PLP用規定がなかったとする説明)。 https://store-us.semi.org/products/g10200-semi-g102-specification-for-shear-strength-of-encapsulation-materials-for-wafer-level-packaging-and-panel-level-packaging
- SEMI Store SEMI 3D20 Specification for Panel Characteristics for Panel Level Packaging (PLP) Applications。 https://store-us.semi.org/products/3d02000-semi-3d20-en-specification-for-panel-characteristics-for-panel-level-packaging-plp-applications
- SEMI Store SEMI E181 Specification for Panel FOUP for Panel Level Packaging。 https://store-us.semi.org/products/e18100-semi-e181-specification-for-panel-foup-for-panel-level-packaging
- SEMI Store SEMI G66(封止樹脂の吸水特性の試験方法)。 https://store-us.semi.org/products/g06600-semi-g66-test-method-for-the-measurement-of-water-absorption-characteristics-for-semiconductor-plastic-molding-compounds
- SEMI Store SEMI G13(封止樹脂の熱膨張特性の試験方法)。 https://store-us.semi.org/products/g01300-semi-g13-standard-test-method-for-expansion-characteristics-of-molding-compounds
- SEMI Store SEMI G75 Standard Test Method of the Properties of Leadframe Tape。 https://store-us.semi.org/products/g07500-semi-g75-standard-test-method-of-the-properties-of-leadframe-tape
9. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月3日/Troy Technical
本稿の数値と規格情報はSEMIの公式サイトとストアページに基づきます。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。