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熱界面材料TIM 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

熱界面材料(TIM)
― 熱を邪魔しているのは材料ではなく、「接触面」である

チップが出した熱は、チップ → TIM1 → ヒートスプレッダ → TIM2 → ヒートシンクという経路で外へ出ていきます。 TIM(Thermal Interface Material)は、その継ぎ目に入れる材料の総称です。 カタログには熱伝導率(W/m·K)が大きく書かれていますが、実際の熱抵抗は厚みと接触の悪さでも決まります。 この記事では、熱の経路、熱抵抗の足し算、7種類のTIM、選び方の軸、評価の規格を、素材技術者の目線で整理します。

構成:DuPont(Laird)・Indium Corporation・Henkel の技術資料、ASTM・ISO・JEDEC の規格ページ、Panasonic の製品ページを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ヒーロー画像:チップ・TIM・ヒートスプレッダ・TIM・ヒートシンクが積み重なるパッケージの切り欠き断面
概念図(AI生成イメージ)。チップから放熱器までの積層(チップ、TIM1、ヒートスプレッダ、TIM2、ヒートシンク)を、切り欠き断面で表現したものです。実際の製品・各層の厚み・寸法比を示すものではありません。
この記事の構成
  1. TIMとは何か(3行でつかむ)
  2. 熱の経路:チップからヒートシンクまで
  3. なぜ必要か:2つの面は「点」でしか触れていない
  4. 熱抵抗の足し算:Rth = L/k + Rc1 + Rc2
  5. 本稿の計算:熱伝導率を10倍にしたら、熱抵抗はどうなるか
  6. 素材技術者の視点①:熱伝導率は「材料の値」、熱抵抗は「組み立てた状態の値」
  7. TIMの種類:7つの形
  8. 素材技術者の視点②:フィラーが9割を超える「樹脂のコンポジット」
  9. 選び方の4つの軸:熱抵抗・厚み・圧縮性・信頼性
  10. 評価:ASTM D5470 と、その限界
  11. 素材技術者の視点③:温度サイクルで何が壊れるのか
  12. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  13. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=メーカー・規格団体の公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
メーカーのカタログ値は「メーカー公称」と明記し、グレードや試験条件が違う値を並べて優劣をつけることはしません。

1. TIMとは何か(3行でつかむ)

TIM(Thermal Interface Material、熱界面材料)とは、「発熱する部品と、熱を逃がす部品のあいだの隙間に入れて、熱を通りやすくする材料」です。 グリース、シート、液状で硬化するもの、金属箔など、形はさまざまです。

  • 役目:DuPont の技術資料は、発熱は電子部品の故障の最大の原因であり、TIMはそこで熱を逃がし、信頼性を高めるために使われるとしています事実
  • 位置づけ:同資料は、TIM を TIM1 と TIM2 の2つに分けます。TIM1は「発熱するチップからその金属製のリッドまで」、TIM2は「半導体パッケージの外側からヒートシンク(やヒートパイプなど)まで」の熱の通り道をつくります事実
  • 見るべき数字:熱伝導率 k だけではなく、総熱抵抗 Rthです。DuPont は「総熱インピーダンスは、TIM材料単体の熱伝導率よりも熱性能のよい予測指標である」としています事実
この記事でいちばん大事な一行

TIMは「熱を通す材料」である以前に、「空気を追い出す材料」です。 Laird の資料は、2つの固体の面は実際に接触している面積が全体の10%未満で、熱は接触点を通ると図示し、空気の熱伝導率は 0.02 W/m·K、TIMは 0.5〜10 W/m·K としています事実。 隙間の空気を、はるかに熱を通す材料に置き換える——それがTIMの本業です。

この記事と本シリーズの関係

この記事はTIMの全体像です。種類ごとの詳しい話は、本シリーズの別の記事で扱います。 ペースト状・液状のギャップフィラーは「高熱伝導ペーストとギャップフィラー」編、シート状のサーマルパッドは「サーマルパッド」編、放熱器そのものは「ヒートシンク」編で詳しく扱います。 この記事では、それらに共通する考え方と、選び方・評価のものさしに集中します。

2. 熱の経路:チップからヒートシンクまで

プロセッサのような半導体パッケージでは、チップ(ダイ)の熱は何層もの材料を順に通って外へ出ます。 Indium Corporation は、その継ぎ目を TIM1(ダイからリッド)、TIM1.5(ダイからヒートスプレッダ/ヒートシンクへ直接)、TIM2(リッドからヒートスプレッダ/ヒートシンク)と呼び分けています事実。

熱の経路と、TIMが入る場所(概念図) リッド付きパッケージの断面を模式的に描いたものです。層の厚みは見やすさのため大きく誇張しています。 熱の流れ(チップ → 外気へ) ヒートシンク(フィン) ヒートシンク(ベース) TIM2(パッケージ外側と放熱器のあいだ) リッド(ヒートスプレッダ) TIM1(ダイとリッドのあいだ) ダイ(発熱するチップ) パッケージ基板 熱抵抗は直列につながるので、足し算になります R合計 = R(ダイ) + R(TIM1) + R(リッド) + R(TIM2) + R(ヒートシンク) + … ※ TIM1 と TIM2 の定義は DuPont[参考資料1]、TIM1.5 を含む呼び分けは Indium Corporation[参考資料3]によります。
図1 概念図(ベクター作図)。層の厚み・寸法比は模式的に誇張したもので、実際のパッケージ構造ではありません。TIM1/TIM2の位置は DuPont の技術資料[参考資料1]、TIM1.5 を含む呼び分けは Indium Corporation の資料[参考資料3]によります。「熱抵抗が直列で足し算になる」という整理は本記事によるものです。

DuPont は、TIM1 と TIM2 で求められる条件が違うことも書いています事実。

項目TIM1TIM2
場所チップ(ダイ)と金属のリッドのあいだ(パッケージの内側)パッケージの外側と、ヒートシンクなどのあいだ
信頼性試験の温度の目安−40℃〜150℃の温度サイクルに耐える必要がある上限は通常 120℃ほど
材料の傾向ほとんどがシリコーン系。硬化後もゲルのような低い弾性率を保ち、反りの応力をチップに伝えにくくする圧縮されて変形し、隙間を埋める。ギャップフィラー、ギャップパッド、テープ、相変化材料、グリースなど
圧力のかけ方チップが壊れるので、大きな圧力は避けるクランプで圧縮する。最も有利な圧縮は 20〜40 psi が目安とされる

すべて事実(DuPont 技術資料[参考資料1])。1 psi ≒ 6.9 kPa なので、20〜40 psi は約 0.14〜0.28 MPa です本稿の計算。

3. なぜ必要か:2つの面は「点」でしか触れていない

金属の面どうしは、見た目には平らでも、顕微鏡で見れば山と谷があります。 DuPont の資料は、表面粗さの谷が空気を閉じ込めて断熱材のように働き、熱抵抗を増やすと説明しています事実。 Laird の資料はさらに、接触面積は10%未満で、熱は接触点を通ると図示しています事実。

金属面の微細な凹凸を拡大した断面。左は山だけが触れ、谷に空気が残る。右はTIMが谷を埋め、空気の隙間を減らす。実際の表面粗さ・接触率・寸法を示す写真ではありません。
図2 概念図(ImageGen生成)。金属面の微細な凹凸を拡大した断面。左は山だけが触れ、谷に空気が残る。右はTIMが谷を埋め、空気の隙間を減らす。実際の表面粗さ・接触率・寸法を示す写真ではありません。
元のSVG模式図と出典の説明を見る
TIMは「隙間の空気」を置き換える(概念図) 上が放熱器、下が発熱側。2つの面の粗さを大きく誇張して描いています。 TIMなし:熱は接触点だけを通る TIMあり:谷が埋まり、通り道が広がる 谷は空気(熱伝導率 約0.02 W/m·K) 谷はTIM(熱伝導率 0.5〜10 W/m·K) ※ 空気 0.02 W/m·K、TIM 0.5〜10 W/m·K、接触面積が10%未満という数字は Laird の資料[参考資料2]によります。 ※ 山と谷の形、接触点の数、矢印の本数は説明のための模式で、実際の表面の測定結果ではありません。 ※ 金属の面どうしに限らず、パッケージ表面とヒートシンクなど実際の接合面でも同じ考え方が使われます(本記事による整理)。
図2 概念図(ベクター作図)。山と谷の形・接触点の数・矢印の本数は模式的なもので、実際の表面の測定結果ではありません。空気とTIMの熱伝導率の範囲、および接触面積が10%未満という数字は Laird の資料[参考資料2]、「谷が空気を閉じ込めて熱抵抗を増やす」という説明は DuPont の資料[参考資料1]によります。

4. 熱抵抗の足し算:Rth = L/k + Rc1 + Rc2

DuPont の資料は、TIMを挟んだ構成の総熱抵抗(インピーダンス)を、次の式で示しています事実。

TIMの熱抵抗の基本式

Rth = R(TIM) + Rc1 + Rc2 (DuPont の資料の式)
R(TIM) はTIM自体(バルク)の熱抵抗、Rc1 と Rc2 は、TIMと両側の面との接触熱抵抗です。

Laird の資料は、バルクの部分を厚み L と熱伝導率 k で書き、Rth = L/k + Rc1 + Rc2 としています。 そのうえで、総熱抵抗を小さくするには「k を上げる」「L を下げる」「Rc を下げる」の3つしかない、と整理しています事実。

この式から、DuPont の資料が指摘する、一見意外な結論が出ます。 熱伝導率が高くても、面になじまなくて接触抵抗が大きければ、熱伝導率が低くても接触抵抗が小さい材料より、総熱抵抗が大きくなることがある、というものです事実。 Laird の資料も、ギャップフィラーの実測の傾向として「熱抵抗が最も低いTIMは、熱伝導率が最も高いものとは限らない」としています事実。

単位に注意:W/m·K と cm²·K/W と K/W

  • 熱伝導率 k(W/m·K):材料の性質。厚みや面積に依らない値。
  • 熱抵抗 Rth(K/W):その部品の、その寸法・その条件での、熱の通りにくさ。面積が広いほど小さくなります。
  • 面積あたりの熱抵抗(cm²·K/W、K·mm²/W など):TIMのカタログや規格で使われる、面積で割った(かけた)形の値。DuPont の資料の K/W と、Indium・Laird の資料の cm²·℃/W や ℃·in²/W は、この違いです。

5. 本稿の計算:熱伝導率を10倍にしたら、熱抵抗はどうなるか

式の意味を、数字で確かめます。Laird の資料は、ギャップフィラーの検討用に厚み L = 0.75 mm(30 mil)、接触抵抗 Rc = 0.15 ℃·in²/Wという前提でグラフを描いています事実。 本稿はこの前提をそのまま借りて、熱伝導率 k だけを 1、3、6、10 W/m·K と変えて、総熱抵抗を計算しました本稿の計算。

本稿の計算(前提つき)

前提:L = 0.75 mm = 0.075 cm。Rc(接触抵抗の合計)= 0.15 ℃·in²/W = 0.15 × 6.4516 = 約0.97 K·cm²/W。TIMの k だけを変える。

式:Rth = L/k + Rc(k は W/cm·K に換算。1 W/m·K = 0.01 W/cm·K)。例:k = 3 W/m·K なら L/k = 0.075 ÷ 0.03 = 2.5 K·cm²/W、Rth = 2.5 + 0.97 = 3.47 K·cm²/W。

熱伝導率 kバルクの分 L/k接触の分 Rc総熱抵抗 RthRth に占める接触の割合
1 W/m·K7.50 K·cm²/W0.978.47約11%
3 W/m·K2.50 K·cm²/W0.973.47約28%
6 W/m·K1.25 K·cm²/W0.972.22約44%
10 W/m·K0.75 K·cm²/W0.971.72約56%

すべて本稿の計算。厚み 0.75 mm と Rc = 0.15 ℃·in²/W は Laird の資料[参考資料2]のグラフの前提です。実在の製品の値ではありません。

熱伝導率を上げると、「接触」の割合が大きくなる(本稿の計算) 厚み 0.75 mm、接触抵抗の合計 約0.97 K·cm²/W(一定)と仮定。棒の長さは総熱抵抗(K·cm²/W)。 k = 1 W/m·Kk = 3 W/m·K k = 6 W/m·Kk = 10 W/m·K Rth 8.47 接触 11%Rth 3.47 接触 28% Rth 2.22 接触 44%Rth 1.72 接触 56% TIM自体(バルク)の分 L/k 接触の分 Rc1 + Rc2 ※ k を 1 から 10 にすると、Rth は 8.47 から 1.72 へ、約1/5にしかなりません。k が無限大でも Rth は約0.97(接触の分)を下回りません。 ※ 前提は Laird の資料[参考資料2]のグラフと同じです。実在の製品の値ではなく、式の効き方を見るための計算です。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。厚み 0.75 mm・接触抵抗 0.15 ℃·in²/W という前提は Laird の資料[参考資料2]に、Rth = L/k + Rc という式は DuPont[参考資料1]・Laird の資料によります。各棒の長さと「接触の割合」は本記事が算出したもので、公表値ではありません。実際の接触抵抗は、材料・圧力・面の粗さで大きく変わります。

6. 素材技術者の視点①:熱伝導率は「材料の値」、熱抵抗は「組み立てた状態の値」

素材技術者の読みどころ:カタログの k だけで選ぶと外れる理由

熱伝導率 k は材料の性質です。ところが熱抵抗は組み立てた状態で決まります。 同じ材料でも、押し付ける圧力、面の粗さ、塗り方で、Rc も L も変わります。

上の計算が示すとおり、k を上げるほど、総熱抵抗に占める接触の割合は増えていきます(k が 1 なら約11%、10 なら約56%)本稿の計算。 つまり高熱伝導率化は、ある所から先は効きにくくなる。次に効くのは、厚みを減らすことと、Rc を減らすことです。

Indium Corporation の金属TIMの資料は、金属は熱伝導率が高いと言いながら、選定の鍵として熱伝導率に加えて長期信頼性、圧縮性、界面抵抗、使用温度を挙げています事実。 同資料の純インジウム(熱伝導率 86 W/m·K)の熱抵抗(100 psi)は 0.0514 cm²·℃/W(0.004インチ厚)と記載されています事実。

ここで、バルクの分を計算してみます。0.004インチ = 0.01016 cm、86 W/m·K = 0.86 W/cm·K なので、L/k = 0.01016 ÷ 0.86 = 約0.012 cm²·K/W。 記載の 0.0514 との差は約 0.040 で、全体の約77%がバルク以外(主に接触)という計算になります本稿の計算。 金属でも、熱抵抗の大半は「材料の中」ではなく「境目」にある、ということです(試料の厚みを表の表記のとおり 0.004インチと読んだ場合の見積もりです。圧縮で薄くなっていれば接触の割合はさらに大きくなります)。

だからTIMの開発は、「k を上げる」と「面になじませる(濡れ・柔らかさ)」の二本立てです。DuPont の資料も、TIM1 のフィラー粒子に表面処理を施して樹脂との濡れや熱伝導を高めていると説明しています事実(本記事による解説)。

7. TIMの種類:7つの形

TIMは、どんな形で隙間に入れるかで分けると整理しやすくなります。 下の表は、各社の資料に書かれている形・厚み・熱伝導率の範囲を並べたものです。 資料ごとに試験条件・グレード・発行年が違うので、数字の大小で製品や会社の優劣を比べることはできません。

種類形・入れ方資料に書かれている特徴資料の数字(メーカー公称または資料の記載)
① グリース・ペースト液状〜ペースト。塗布・印刷で薄く広げる接触抵抗が低く、薄い結合層(通常 50 µm 以下)で使う。比較的平らな面と、一定の圧力が前提。ポンプアウトへの耐性が性能項目に挙がる(Laird)熱伝導率 0.5〜7 W/m·K(Laird のグリースと相変化材料の一般的記述)
② ギャップフィラー(液状・硬化型)2液混合などで吐出し、その場で硬化して低弾性のエラストマーになる液状で濡れるので組み立て時に部品へ力がかからない。形状の自由度が高く、ディスペンサーで自動化しやすい(Henkel)。隙間 0.25〜5 mm、たわみ 10〜70%(Laird)Henkel GAP FILLER TGF 1000/1500/3600:熱伝導率 1.0/1.8/3.6 W/m·K、密度 1.6/2.7/3.0 g/cm³(2019年1月のカタログ)。Laird は 0.5〜10 W/m·K と記述
③ サーマルパッド(ギャップパッド)柔らかいシート。剥離フィルムをはがして貼る高さの違う部品を段差ごと吸収して筐体や大型ヒートシンクに接合できる。低弾性で衝撃や振動も吸収する(Henkel)Henkel GAP PAD TGP 1000VOUS/1500R/HC3000:熱伝導率 1.0/1.5/3.0 W/m·K、厚み 0.25〜6.4 mm(同カタログ)。個別は「サーマルパッド」編
④ 相変化材料(PCM)室温では固体。動作温度で軟化・溶融して面に濡れる動作温度付近で濡れて薄い結合層になる(Laird)。金属の相変化合金は 60℃で溶融する(Indium)熱伝導率 0.5〜7 W/m·K(Laird の一般的記述、グリースと同じ範囲)
⑤ テープ・熱伝導性接着剤両面粘着の熱伝導性シート、または液状の接着剤クランプやネジなどの留め具が不要になる(Henkel)。ガラス繊維で補強したシートの両面に粘着剤をコートした構造Henkel BOND PLY TBP 850:0.8 W/m·K、厚み 0.13〜0.28 mm。LIQUI BOND TLB SA1800:1.8 W/m·K(同カタログ)
⑥ 金属系(インジウム箔・液体金属など)金属の箔、はんだ、ガリウム系の液体金属金属は非金属より熱伝導率が高い。選定の鍵は熱伝導率・長期信頼性・圧縮性・界面抵抗・使用温度(Indium)。液体金属は導電性なので漏れを防ぐ必要がある(Indium)Indium 99.99In:86 W/m·K、52In/48Sn:40 W/m·K(同社資料)。液体金属は融点 7.6〜17℃(同社ページ)
⑦ グラファイトシート黒鉛のシート。薄く、柔らかい面方向と厚み方向で熱伝導率が異なる異方性がある。導電性(Laird)Panasonic PGS:製品ページに 700〜1950 W/m·K と記載。ただし同ページで方向の区別は確認できなかった

すべて事実(Laird[参考資料2]、Henkel 日本語カタログ[参考資料5]、Indium Corporation[参考資料3・4]、Panasonic[参考資料9])。Henkel の値はカタログ記載のメーカー公称(代表値)で、試験法・条件はカタログでは確認できませんでした。カタログの発行は2019年1月です。

図4:TIMの実物(グリース、サーマルパッド、ギャップフィラー、相変化シート、グラファイト、金属箔)
図4 概念図(AI生成イメージ)。TIMの主な形(シリンジのグリース、淡い灰色のシート、カートリッジのギャップフィラー、薄い相変化シート、黒いグラファイトシート、銀色の金属箔)を、作業台の上に並べて表現したものです。実際の製品・色・寸法・包装を示すものではありません。
TIMの種類ごとの厚みの範囲(資料の記載を同じ軸に並べた図) 横軸は対数目盛り(mm)。資料ごとに条件が違うため、優劣の比較ではありません。 0.01 0.1 1 10 厚み(mm) グリース・相変化(資料の一般的記述) 結合層は通常 50 µm 以下 金属箔(Indium 掲載品) 0.10〜0.15 mm テープ(Henkel 掲載品) 0.13〜0.31 mm SIL PAD(Henkel 掲載品) 0.18〜0.41 mm GAP PAD(Henkel 掲載品) 0.25〜6.4 mm ギャップフィラー(Laird の一般的記述) 隙間 0.25〜5 mm ※ 左端の棒は「50 µm 以下」を示し、下限は資料に記載がありません。 ※ 金属箔は Indium Corporation のヒートスプリング等の厚み 0.004〜0.006 インチ(0.10〜0.15 mm)の換算です。
図5 概念図(ベクター作図)。各資料に書かれた厚みの範囲を、対数目盛りの同じ軸に並べた本記事の整理です。製品の優劣を示すものではなく、資料ごとに条件が違います。グリース・相変化材料と、ギャップフィラーの範囲は Laird の資料[参考資料2]、金属箔は Indium Corporation[参考資料3]、サーマルパッド・テープは Henkel のカタログ[参考資料5]によります。

8. 素材技術者の視点②:フィラーが9割を超える「樹脂のコンポジット」

素材技術者の読みどころ:樹脂は「つなぎ」、中身は粉

多くのTIMは、シリコーンなどの樹脂(または油)に、熱を通す粉(フィラー)を詰め込んだコンポジットです。 Laird の資料は、フィラーに窒化ホウ素(BN)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミナを挙げ、「質量で90%を超えるフィラー量は珍しくない」としています事実。 同資料はまた、複数のフィラー・樹脂・添加剤を組み合わせ、「充填(パッキング)とたわみ」のために設計する、とも述べています事実。

質量で9割と聞くと、ほとんど粉です。では体積ではどうか。 アルミナの密度を約3.9 g/cm³、シリコーンの密度を約1.0 g/cm³と仮定すると、アルミナ90質量%は 約69体積%になります本稿の計算 ((0.90÷3.9)÷((0.90÷3.9)+(0.10÷1.0))=0.23÷0.33)。体積の7割近くが粒子で、樹脂は粒のすきまを埋める役、と見るほうが実態に近いでしょう。この密度は本稿が置いた仮定で、特定製品の値ではありません。

密度のカタログ値にも、その傾向は見えます。Henkel の液状ギャップフィラー3品種は、熱伝導率が 1.0 → 1.8 → 3.6 W/m·K と上がるにつれて、密度が 1.6 → 2.7 → 3.0 g/cm³ と上がっています事実(メーカー公称、2019年1月のカタログ)。 熱伝導率を稼ぐために、重い無機フィラーの量を増やしている、と読めます(本記事による解説)。

そして、ここに設計上のジレンマがあります。 フィラーを増やすと、粘度と弾性率が上がり、塗りにくく、押し縮めにくくなります。押し縮めにくければ、結合層(BLT)が厚いままで残り、Rc も下がりにくい。 Laird の資料が、TIMに求められる性質に「低い総熱抵抗」と並べて「低弾性(低い応力)」「ポンプアウトしにくい」「ブリードしにくい」を挙げているのは、これらが互いに引っ張り合う条件だからです(本記事による解説)。

TIM1 でシリコーンが主流なのは、DuPont の資料によれば、150℃まで耐えるためです。エポキシなどでは、150℃で硬化が進んでかたくなり、剥離して熱的に壊れる可能性があるとしています事実。

9. 選び方の4つの軸:熱抵抗・厚み・圧縮性・信頼性

TIMの選定は、「熱伝導率が高いもの」を探す作業ではありません。資料に出てくる条件を整理すると、次の4つの軸になります(本記事による整理)。

軸何を見るか資料に書かれている手がかり
① 熱抵抗カタログの k ではなく、実際の厚みと圧力での総熱抵抗 Rth(接触の分を含む)DuPont:総熱インピーダンスのほうが熱性能のよい指標。Laird:Rth が最も低いものが k が最も高いものとは限らない。Indium:熱抵抗は接触界面を含むので実際の放熱をより表す
② 厚み(隙間)部品の高さの差・公差・反りを吸収できる厚みか。厚いほど L/k が増えるLaird:グリース・相変化は結合層 50 µm 以下、ギャップフィラーは隙間 0.25〜5 mm。図5のとおり、種類で守備範囲がほぼ分かれる
③ 圧縮性どれだけの圧力で、どこまで薄くなり、部品や基板に何の力がかかるかDuPont:TIM1 はチップに応力をかけたくないので大きな圧力は避ける。TIM2 は 20〜40 psi が目安。Laird:硬度(デュロメータ)はたわみ(圧縮)の代わりにはならず、押し込みの試験にすぎない
④ 信頼性温度サイクル、ポンプアウト、剥離、アウトガス、ブリード、電気絶縁性、難燃性、リワークのしやすさDuPont:温度サイクルと表面の密着が長期信頼性の課題。Laird:低アウトガス・低ブリード・高い体積抵抗率・リワークのしやすさを望ましい性質に挙げる。Indium:ヒートスプリングは、グリースのようなポンプアウトやベークアウトがないと説明

すべて事実(DuPont[参考資料1]、Laird[参考資料2]、Indium Corporation[参考資料3])。4軸への整理は本記事によるものです。

注意:特定の製品や種類が「一番よい」とは言えません

4つの軸は互いに引っ張り合います。たとえば、薄く塗れて接触抵抗が低いグリースは、隙間が広い所には使えません。厚みを吸収できるパッドは、圧縮の力が必要で、結合層は薄くなりにくい。 金属は熱伝導率が高いのですが、導電性や、接触面の濡れ(はんだ付けかどうか)、適用できるパッケージの制約を伴います。 用途ごとに最適が変わるので、この記事は優劣をつけません。

10. 評価:ASTM D5470 と、その限界

TIMの熱性能を測る代表的な規格が ASTM D5470(Standard Test Method for Thermal Transmission Properties of Thermally Conductive Electrical Insulation Materials)です。 ASTM のストアのページでは、現行版は D5470-17(2024年に再承認:D5470-17R24)とされています事実。 本文は有料のため、ここではページに公開されている適用範囲・意義の記述を要約します。

  • 何を測るか:熱伝導性のある電気絶縁材料の熱インピーダンスを測り、そこから見かけの熱伝導率を計算する方法です。液状の化合物から硬い固体まで扱います事実
  • なぜ「見かけ」か:「熱伝導率」は均質な材料にだけ当てはまる言葉で、TIMは通常は不均質(樹脂+粉)なので、混乱を避けて「見かけの熱伝導率」と呼びます事実
  • 試料の型:グリース・ペースト・相変化材料のような粘性の液体(Type I)、ゲルや柔らかいゴムのような粘弾性固体(Type II)、セラミックスや金属のような弾性固体(Type III)に分けています事実
  • 接触抵抗の分け方:厚みの違う試料の熱インピーダンスを測って厚みに対してプロットすると、傾きの逆数が見かけの熱伝導率、厚みゼロの切片が2つの面の接触抵抗の和になります事実
  • 使い方の注意:この方法は理想化した一様な熱の流れを前提にしており、測った熱インピーダンスは、その条件が成り立たない多くの実用の場面にはそのまま当てはめられないと、規格自身が述べています事実
厚みを変えて測ると、接触抵抗が分かれる(ASTM D5470 の考え方) 左:測定の考え方(模式) 右:厚みと熱抵抗の関係(模式、数値は省略) 加熱側の金属ブロック 冷却側の金属ブロック 試料(TIM) 熱の流れ 圧力 試料をはさみ、圧力と熱の流れをかけて熱インピーダンスを測る 熱インピーダンス 試料の厚み 切片 = 2つの接触抵抗の和 傾きの逆数 = 見かけの熱伝導率 ※ 左の装置の構成は考え方を示す模式図で、実際の装置の寸法・形状は規格本文によります。右の軸には数値を入れていません。 ※ 傾き・切片の考え方は ASTM D5470-17R24 のストアのページ[参考資料6]の記述によります。
図6 概念図(ベクター作図)。左は「試料を2つの金属ブロックではさみ、圧力と熱の流れをかけて熱インピーダンスを測る」という測定の考え方の模式図で、装置の詳細・寸法は規格本文によります。右は「厚みを変えて測り、プロットする」ことで、傾きと切片から見かけの熱伝導率と接触抵抗を分ける考え方の模式図で、軸の数値は例示ではなく省略しています。この手順の記述は ASTM のストアのページ[参考資料6]によります。

ほかの測り方と、実機での評価

  • ISO 22007-2:2022(Plastics — Determination of thermal conductivity and thermal diffusivity — Part 2: Transient plane heat source (hot disc) method)。プラスチックの熱伝導率・熱拡散率を、ホットディスク(過渡平面熱源)法で求める規格で、均質・等方の材料と、一軸構造の異方性材料の指針を含むとされています事実[参考資料7]。
  • Laird の資料は、熱伝導率の測り方としてASTM D5470(厚い材料向け)、ISO 22007-2(ホットディスク)、レーザーフラッシュを挙げ、D5470 は「異方性を測れない」「グリースや相変化材料のような薄くて高性能な材料は難しい」と注意しています。正確な評価には、サーマルテストビークル(TTV)や実際のアプリケーションでの試験を組み合わせるべきだとしています事実。
  • JEDEC JESD51-14(Transient Dual Interface Test Method for the Measurement of the Thermal Resistance Junction-to-Case of Semiconductor Devices with Heat Flow Through a Single Path、2010年11月発行)は、半導体デバイスの接合からケースまでの熱抵抗 RθJC を、過渡的な二重界面法で求める規格です事実[参考資料8]。TIMそのものの規格ではありませんが、パッケージ側の熱抵抗を測る際に TIM との関係が出てきます(本記事による解説)。
メーカー公称の熱伝導率を読むときの3つの確認
  • どの試験法か(D5470、ホットディスク、レーザーフラッシュ。方法によって値が変わりうる)
  • どの条件か(試料の厚み、圧力、温度)
  • 何の値か(バルクの熱伝導率か、接触を含む熱インピーダンスか)

本稿が読んだ Henkel の日本語カタログ[参考資料5]では、熱伝導率の試験法は確認できませんでした。値を使うときは、最新のデータシートで試験法と条件を確かめてください。

11. 素材技術者の視点③:温度サイクルで何が壊れるのか

素材技術者の読みどころ:TIMは「最初の熱抵抗」より「5年後の熱抵抗」

新品のときに熱抵抗が低くても、使っているうちに上がっては意味がありません。DuPont の資料は、温度サイクルと表面の密着がTIMの長期信頼性の主な課題だと述べています事実。

  • 反りとCTE差:チップと金属リッドのCTE(熱膨張係数)の大きな差が、加熱時の反りを生みます。DuPont は、これを信頼性問題の大きな原因とし、TIM1 の硬化後のゲル状の低弾性が反りの応力をチップに伝えない役目をすると説明しています事実。CTEの基礎は、本シリーズ「熱膨張係数」編で詳しく扱います。
  • 脆化と剥離:温度サイクルでTIMが硬化・脆化すると、面から剥離して熱的に壊れるとされます。原材料とフィラーは、これを避けるように選ぶ必要がある、と DuPont は述べています事実。
  • ポンプアウト・ベークアウト:Indium はヒートスプリング(金属の圧縮性TIM)の特長に「グリースのようなポンプアウトやベークアウトがない」を挙げています事実。Laird もグリースと相変化材料に「ポンプアウトへの耐性」を求める性質として挙げています。つまり、グリース系ではこれらが現実に起きる劣化として扱われています(本記事による解説)。
  • Indium の温度サイクル試験:同社の資料には、圧縮した状態で電力サイクルを1,000回かけたときの熱抵抗の推移を、ヒートスプリング、高分子の相変化TIM、グリースで比較したグラフがあります。ただし、本稿が読めた資料からは数値を読み取れなかったため、結果は紹介しません。

つまりTIMの寿命は、樹脂の柔らかさ・フィラーとの界面・面への密着の3つが温度サイクルで保たれるかどうかで決まります。 界面の話は、本シリーズ「ポリマーブレンドとフィラー」編の界面の議論と共通します(本記事による解説)。

12. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 種類ごとの熱抵抗の優劣は、資料から比べられない

Henkel の値は2019年1月のカタログの代表値、Indium は同社の試験グラフ、Laird は2014年の学会発表の一般的記述で、試験条件も時期もそろっていません。 本稿は「種類ごとに、どの熱抵抗が出るか」という比較表は作りませんでした。

(2) 最新の製品データシートは未確認

Henkel の英語サイトが本稿の作成時に表示できなかったため、最新の英語版データシートや製品ページは確認できませんでした。日本語カタログは2019年1月版です。

(3) グラファイトシートの厚み方向の熱伝導率は確認できなかった

Panasonic の製品ページには 700〜1950 W/m·K と書かれていますが、方向(面方向か厚み方向か)の区別はこのページでは確認できませんでした。 Laird の資料は異方性があると述べています。TIMとして使うときは、厚み方向の値と、押し付けたときの接触が重要です(本記事による解説)。

(4) 液体金属の長期信頼性・アルミニウムとの相性は確認できなかった

Indium のページは、液体金属が導電性で、漏れを防ぐ必要があるとしています。 接触する金属との相性や長期の挙動は、本稿が読んだ一次資料では確認できなかったため、扱っていません。

(5) 市場規模などは扱っていない

DuPont の資料には調査会社の市場推計の引用がありますが、本稿は使用していません。

この記事のまとめ
  • TIMは、チップの熱の経路の継ぎ目に入る材料です。TIM1 はダイとリッドのあいだ、TIM2 はパッケージ外側と放熱器のあいだです事実
  • 2つの面は点でしか触れておらず、谷には空気がある。TIMはそれを置き換えます事実
  • Rth = L/k + Rc1 + Rc2。k を1から10にしても、本稿の前提では Rth は約1/5にしかなりません本稿の計算
  • 7つの形(グリース、ギャップフィラー、パッド、相変化、テープ、金属、グラファイト)は、厚みの守備範囲でほぼ分かれます
  • 多くのTIMはフィラーが質量で9割を超えるコンポジットです事実。粘度・弾性率・熱伝導率が引っ張り合います
  • 選ぶ軸は4つ:熱抵抗、厚み、圧縮性、信頼性。カタログの k だけでは選べません
  • ASTM D5470 は厚みを変えて測り、傾きと切片で k と接触抵抗を分けます。ただし実機にそのまま当てはめられないと、規格自身が述べています事実

13. 用語集

TIM
Thermal Interface Material(熱界面材料)。発熱部品と放熱部品の隙間に入れ、熱を通しやすくする材料。
TIM1
チップ(ダイ)と、その金属リッド(ヒートスプレッダ)のあいだに入るTIM。パッケージの内側。
TIM2
パッケージの外側と、ヒートシンクなどのあいだに入るTIM。
TIM1.5
ダイから、リッドを介さずヒートスプレッダやヒートシンクへ直接つなぐTIM(Indium Corporation の呼び分け)。
熱伝導率 k
材料が熱をどれだけ通すかを表す性質。単位 W/m·K。
熱抵抗 Rth
その部品の熱の通りにくさ。単位 K/W(面積あたりなら cm²·K/W など)。
接触熱抵抗 Rc
TIMと、それを挟む面の境目で生じる熱抵抗。面への濡れが悪いと大きい。
BLT
Bond Line Thickness。接合された状態のTIMの厚み。
フィラー
樹脂に混ぜる粉。TIMでは熱を通す無機の粒(アルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛など)。
ポンプアウト
温度変化の繰り返しなどで、グリース状のTIMが接合部の外へ押し出される現象。
相変化材料(PCM)
室温では固体で、動作温度で軟化・溶融して面に濡れるTIM。
ギャップフィラー/サーマルパッド
隙間を埋めるTIM。液状で塗って硬化するものと、シート状のもの。
ASTM D5470
熱伝導性の電気絶縁材料の熱インピーダンスと、見かけの熱伝導率を測る規格。
見かけの熱伝導率
不均質な材料の熱インピーダンスと厚みから求める、みかけの熱伝導率。
CTE
熱膨張係数。温度が1℃上がったときの伸びの割合。
異方性
方向によって性質が異なること。グラファイトシートは面方向と厚み方向で熱伝導率が異なる。

14. 参考資料(一次情報)

  1. DuPont(Claire K. Wemp, Ph.D.)"Advanced Polymer Formulations for Thermal Management of Electronic Devices"(技術資料PDF)https://www.dupont.com/content/dam/dupont/amer/us/en/articles/corporate/Advanced%20Polymer%20Formulations%20for%20Thermal%20Management%20of%20Electronic%20Devices_r1_66.pdf
  2. Laird(J. Strader ほか)"Thermal Interface Materials (TIMs) and Challenges Faced by TIM Suppliers" Thermal & Fluids Analysis Workshop (TFAWS) 2014、NASA Glenn Research Center(発表資料PDF)https://s3vi.ndc.nasa.gov/ssri-kb/static/resources/TFAWS-2014-PT-06.pdf
  3. Indium Corporation"Thermal Interface Materials"(ブローシャ 99342 (A4) R4、PDF)https://www.indium.com/wp-content/uploads/2025/08/TIMs-Brochure-99342-A4-R4.pdf
  4. Indium Corporation"Liquid Metal and Liquid Metal Paste"(製品ページ)https://www.indium.com/products/thermal-interface-materials/liquid-metal/
  5. ヘンケルジャパン「放熱用サーマルインターフェース材料 Thermal Solutions」(BERGQUIST 製品カタログ、2019年1月現在、PDF)https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/brochure-bergquist-thermal-interface-materials-jp
  6. ASTM InternationalD5470-17R24 "Standard Test Method for Thermal Transmission Properties of Thermally Conductive Electrical Insulation Materials"(ストアのページ)https://store.astm.org/d5470-17r24.html
  7. ISOISO 22007-2:2022 "Plastics — Determination of thermal conductivity and thermal diffusivity — Part 2: Transient plane heat source (hot disc) method"https://www.iso.org/standard/81836.html
  8. JEDECJESD51-14 "Transient Dual Interface Test Method for the Measurement of the Thermal Resistance Junction-to-Case of Semiconductor Devices with Heat Flow Through a Single Path"(2010年11月)https://www.jedec.org/standards-documents/docs/jesd51-14-0
  9. Panasonic Industry"PGS Graphite Sheet"(製品ページ)https://na.industrial.panasonic.com/products/thermal-management/thermal-management/lineup/thermal-management-products/series/70458

15. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
TIM が TIM1 と TIM2 に分けられること。TIM1 はチップから金属のリッドまで、TIM2 は半導体パッケージの外側からヒートシンク(ヒートパイプなど)まで。発熱は電子部品の故障の最大の原因とされること。TIM1 の信頼性試験の温度は 150℃まで(−40℃〜150℃の温度サイクル)、TIM2 は 120℃ほどDuPont 技術資料[参考資料 1]https://www.dupont.com/content/dam/dupont/amer/us/en/articles/corporate/Advanced%20Polymer%20Formulations%20for%20Thermal%20Management%20of%20Electronic%20Devices_r1_66.pdf事実
TIM1・TIM1.5・TIM2 の呼び分け(TIM1 はダイからリッド、TIM1.5 はダイからヒートスプレッダ/ヒートシンク、TIM2 はリッドからヒートスプレッダ/ヒートシンク)。金属TIM選定の鍵が、熱伝導率・長期信頼性・圧縮性・界面抵抗・使用温度であること。熱抵抗(原文は resistivity)は接触界面を含むので実際の放熱をより表すことIndium Corporation ブローシャ[参考資料 3]https://www.indium.com/wp-content/uploads/2025/08/TIMs-Brochure-99342-A4-R4.pdf事実
TIM1 の多くがシリコーン系であること、硬化後にゲル状の低弾性を保ち反りの応力をチップに伝えにくいこと、フィラーの表面処理で濡れと熱伝導を高めること。エポキシ等が 150℃で硬化・剥離し得ること。TIM2 では 20〜40 psi が有利な圧縮の目安であること。総熱インピーダンスが材料の熱伝導率単体よりよい予測指標であること。Rth = R(TIM) + Rc1 + Rc2。熱伝導率が高くても接触抵抗が大きいと、総熱抵抗が高くなり得ること。温度サイクルと表面の密着が長期信頼性の課題であること。表面粗さの谷が空気を閉じ込めて熱抵抗を増やすことDuPont 技術資料[参考資料 1]https://www.dupont.com/content/dam/dupont/amer/us/en/articles/corporate/Advanced%20Polymer%20Formulations%20for%20Thermal%20Management%20of%20Electronic%20Devices_r1_66.pdf事実
接触面積が10%未満で熱は接触点を通ること。空気の熱伝導率 0.02 W/m·K、TIM は 0.5〜10 W/m·K。Rth = L/k + Rc1 + Rc2(総熱抵抗を下げるには k を上げる、L を下げる、Rc を下げる)。Rc = 0.15 ℃·in²/W、L = 0.75 mm の前提でのグラフ。Rth が最も低いTIMは k が最も高いものとは限らないことLaird 発表資料(TFAWS 2014)[参考資料 2]https://s3vi.ndc.nasa.gov/ssri-kb/static/resources/TFAWS-2014-PT-06.pdf事実
ギャップフィラーが隙間 0.25〜5 mm、熱伝導率 0.5〜10 W/m·K、たわみ 10〜70%、フィラーに BN・ZnO・アルミナ。グリースと相変化材料が結合層 50 µm 以下、熱伝導率 0.5〜7 W/m·K、ポンプアウトへの耐性が望ましい性質であること。質量で90%を超えるフィラー量は珍しくないこと。複数のフィラー・樹脂・添加剤の組み合わせで、充填とたわみのために設計すること。望ましい性質(低い総熱抵抗、低アウトガス・低ブリード、高い体積抵抗率、リワークのしやすさ、低弾性)Laird 発表資料[参考資料 2]https://s3vi.ndc.nasa.gov/ssri-kb/static/resources/TFAWS-2014-PT-06.pdf事実
熱伝導率の測定法として ASTM D5470、ISO 22007-2(ホットディスク)、レーザーフラッシュが挙げられ、D5470 は異方性を測れないこと、薄く高性能な材料は難しいこと、TTV や実アプリケーション試験との併用が必要なこと。硬度(デュロメータ)はたわみ(圧縮)ではないこと。グラファイトシートの異方性・導電性Laird 発表資料[参考資料 2]https://s3vi.ndc.nasa.gov/ssri-kb/static/resources/TFAWS-2014-PT-06.pdf事実
金属は非金属より熱伝導率が高いこと。99.99In が 86 W/m·K、52In/48Sn が 40 W/m·K、相変化金属合金が 60℃で溶融すること。ヒートスプリングの厚み(0.004〜0.006 インチ)とポンプアウト・ベークアウトがないこと。99.99In の熱抵抗 0.0514 cm²·℃/W(100 psi、0.004 インチ)。1,000回の電力サイクルでの熱抵抗の比較グラフがあることIndium Corporation ブローシャ[参考資料 3]https://www.indium.com/wp-content/uploads/2025/08/TIMs-Brochure-99342-A4-R4.pdf事実
液体金属が主にガリウム系で、融点 7.6〜17℃、導電性で漏れを防ぐ必要があることIndium Corporation 製品ページ[参考資料 4]https://www.indium.com/products/thermal-interface-materials/liquid-metal/事実
Henkel BERGQUIST の製品群(SIL PAD、GAP PAD、GAP FILLER、BOND PLY、LIQUI BOND)の形・特長・値。GAP FILLER TGF 1000/1500/3600 の熱伝導率 1.0/1.8/3.6 W/m·K と密度 1.6/2.7/3.0 g/cm³。GAP PAD TGP 1000VOUS/1500R/HC3000 の熱伝導率 1.0/1.5/3.0 W/m·K。BOND PLY TBP 850 の 0.8 W/m·K・0.13〜0.28 mm、LIQUI BOND TLB SA1800 の 1.8 W/m·K。カタログが2019年1月現在であることヘンケルジャパン カタログ[参考資料 5]https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/brochure-bergquist-thermal-interface-materials-jp事実
ASTM D5470 が熱インピーダンスと見かけの熱伝導率を測る方法であること、Type I〜III の区分、厚みを変えた測定で傾きの逆数が見かけの熱伝導率・切片が接触抵抗の和になること、理想化した熱の流れを前提とし多くの実用場面には直接当てはめられないこと、現行版が D5470-17R24(Active)であることASTM International ストアのページ[参考資料 6]https://store.astm.org/d5470-17r24.html事実
ISO 22007-2:2022(第3版)の題名と、プラスチックの熱伝導率・熱拡散率をホットディスク法で求めること、均質・等方材料と一軸構造の異方性材料の指針を含むことISO 公式ページ[参考資料 7]https://www.iso.org/standard/81836.html事実
JEDEC JESD51-14(2010年11月)が半導体デバイスの接合からケースまでの熱抵抗 RθJC を過渡的な二重界面法で求める規格であることJEDEC 公式ページ[参考資料 8]https://www.jedec.org/standards-documents/docs/jesd51-14-0事実
Panasonic PGS の熱伝導率が製品ページで 700〜1950 W/m·K と記載されていること(方向の区別は同ページで確認できなかった)Panasonic 製品ページ[参考資料 9]https://na.industrial.panasonic.com/products/thermal-management/thermal-management/lineup/thermal-management-products/series/70458事実
k を 1、3、6、10 W/m·K としたときの L/k(7.50、2.50、1.25、0.75 K·cm²/W)、総熱抵抗(8.47、3.47、2.22、1.72)、接触の割合(約11%、28%、44%、56%)、k を10倍にしても Rth が約1/5であること。20〜40 psi が約0.14〜0.28 MPa であること本稿の計算。前提(L = 0.75 mm、Rc = 0.15 ℃·in²/W = 約0.97 K·cm²/W)は Laird の資料のグラフと同じ。1 in² = 6.4516 cm²、1 psi = 6.895 kPa は単位換算本稿の計算
99.99In の L/k が約0.012 cm²·K/W、記載の熱抵抗 0.0514 との差が約0.040(約77%)であること本稿の計算。0.004 インチ = 0.01016 cm、86 W/m·K = 0.86 W/cm·K を用い、厚みが表の表記どおりと仮定した。圧縮で薄くなっていれば接触の割合はさらに大きい本稿の計算
アルミナ90質量%が約69体積%になること本稿の計算。アルミナの密度を約3.9 g/cm³、シリコーンの密度を約1.0 g/cm³と本稿が仮定した。特定製品の値ではない本稿の計算
Henkel の GAP FILLER 3品種で熱伝導率の上昇とともに密度が上がっているのは、重い無機フィラーの量を増やしているためと読めること。フィラーを増やすと粘度・弾性率が上がり、押し縮めにくくなるという整理。高熱伝導率化の限界と、「k を上げる」と「濡れ・柔らかさ」の二本立てという整理。4つの軸への整理。グリース系でポンプアウトなどが現実の劣化として扱われているという読み取り。TIMの寿命が樹脂の柔らかさ・フィラーとの界面・密着の維持で決まるという整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
種類ごとの熱抵抗の比較表を作らなかったこと。最新の英語版データシートを確認できなかったこと。グラファイトシートの厚み方向の熱伝導率、液体金属の長期信頼性・アルミニウムとの相性、Indium の温度サイクルグラフの数値本稿では確認できなかったため記載していない。Henkel の英語サイトは作成時に表示できなかった。Indium のグラフは本稿が読めた資料から数値を読み取れなかった解説
図1・図2・図3・図5・図6が実際の断面写真・測定結果ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(メーカーの技術資料・カタログ・製品ページ、規格団体のページ、学会発表)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 最新の英語版データシート、グラファイトシートの厚み方向の熱伝導率、液体金属の長期信頼性、種類ごとの熱抵抗の比較については、一次情報で確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図2・図3・図5・図6はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・測定結果・製品の実物を示すものではありません。