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インテリア・セラピューティクス|iPS細胞・再生医療 企業解説

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COMPANY PROFILE / iPS細胞・再生医療

インテリア・セラピューティクス
― 細胞を取り出さず、点滴1回で体内の遺伝子を編集する「体内ゲノム編集」に特化した会社

IntelliaはiPS細胞も細胞移植も扱いません。この分野の記事に載せる理由は、CASGEVYのような「体外で編集した細胞を戻す」治療と対極にある、「体内で直接編集する」方式の代表例だからです。会社は、体内ゲノム編集の候補を世界で初めて第3相に進めたと述べています。2026年4月にはHAELO第3相の主要評価項目を達成し、FDAへのローリングBLAを開始しました。一方、2025年10月にはnex-zの臨床保留もありました。本稿では何に資金を投じ、誰と組み、何を目指しているかに絞ります。

構成:Intelliaが米国SECに提出した2025年12月期 Form 10-K(2026年2月26日提出)と2026年6月期 Form 10-Q(2026年8月6日提出)を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるIntelliaと、iPS細胞・再生医療での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. iPS細胞・再生医療の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. iPS細胞・再生医療にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はiPS細胞・再生医療で何を目指しているか
  9. iPS細胞・再生医療分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるIntelliaと、iPS細胞・再生医療での立ち位置

正式名称Intellia Therapeutics, Inc.米国デラウェア州法人。2014年5月設立
本社米国・マサチューセッツ州
ケンブリッジ
40 Erie Street(10-K表紙)
上場Nasdaq: NTLA米国の上場企業
この分野での区分ゲノム編集・遺伝子治療体内で直接編集する方式に特化
治療の仕組み体内ゲノム編集
(LNPで肝臓へ・単回点滴)
iPS細胞や細胞移植は自社品目になし
主力品目lonvo-z(HAE)
nex-z(ATTR)
ともに第3相。未承認
従業員377人2026年2月13日時点。うち研究開発263人
現金などUS$628.4百万2026年6月30日時点
まず押さえるべき1点

IntelliaはiPS細胞も細胞移植も扱わない、「体内で直接ゲノムを書き換える」専業の会社です。会社は10-Kで、体内ゲノム編集の候補を世界で初めて第3相に進めたと述べています 事実。

この分野の記事に載せる理由は、iPS細胞・再生医療の主役である「CASGEVYのような体外編集の細胞治療」と、対極にある「細胞を取り出さず、点滴1回で体内の細胞を編集する」方式の代表例だからです。再生医療の周辺(細胞を作り、移植する流れ)にIntellia自身が踏み込んでいるわけではない点には注意してください 未確定/将来。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Intellia Therapeutics, Inc.。日本語の公式表記は、本稿が使った資料では確認できなかったため、英語表記で通します。 共同開発先のRegeneron Pharmaceuticals、CRISPR/Cas9の特許をライセンスしたCaribou Biosciencesは、いずれも別の会社です。 同じ「CRISPRの会社」であるCRISPR Therapeuticsとも別法人で、本シリーズには別記事があります。

公式サイト:https://www.intelliatx.com/

3. iPS細胞・再生医療の世界で、この会社はどこにいるか

iPS細胞・再生医療に関わる企業の3つの類型 同じ「再生医療の会社」でも、治し方がまったく違う 大手製薬・事業会社 ゲノム編集・遺伝子治療 iPS細胞・細胞治療 提携・買収で参入し、販売網を持つ 遺伝子を直接書き換えて治す 細胞そのものを作り、移植する Vertex/Novartis Bristol Myers Squibb ほか CRISPR Therapeutics/Intellia Beam/Prime Medicine ほか Fate/Sana クオリプス/Heartseed ほか 後期臨床と販売網の資金力 編集ツールと安全性評価の深さ 細胞製造と品質管理の量産力 自社の細胞・遺伝子の基盤は薄い 提携先の方針転換に左右される 製造費と長期の安全性が重い Intelliaは中央の枠。細胞を取り出さず、体内で編集する方式に特化した専業 細胞治療(同種CAR-T)は提携先へのライセンスで広げ、自社ではiPS細胞を扱っていない
図1 iPS細胞・再生医療に関わる企業の3類型と、Intelliaの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。中央の枠のみ強調しています。体内編集は、CASGEVYのような体外編集の細胞治療とは仕組みも製造も異なります。
治療の仕組みIntelliaの該当状況区分
ゲノム編集(体内で直接編集)lonvo-z(KLKB1遺伝子)、nex-z(TTR遺伝子)。脂質ナノ粒子(LNP)で肝臓へ届ける第3相。lonvo-zはローリングBLA提出中事実
ゲノム編集(体外で編集した細胞)自社品目は記載なし。AvenCell・Kyverna等にライセンス。Regeneronにも体外編集製品10件までの非独占権を許諾AvenCellの1件が第1相事実
同種の細胞治療(CAR-T)AvenCell(合弁)、Kyverna(KYV-201)が開発主体。Intelliaは出資・マイルストン・ロイヤルティ側提携先が主導事実
iPS細胞由来の細胞10-K・10-Qに「iPS」の記載なし確認できず未確定
AAVなどウイルスによる遺伝子導入主要品目はLNPを使用。AAVを使う品目の記載なし―事実
間葉系幹細胞・組織工学記載なし確認できず未確定

本シリーズの技術解説「ゲノム編集」「オフターゲット効果と安全性評価」「脂質ナノ粒子」「トランスサイレチン型アミロイドーシス」 「CAR-T細胞」が、表の各行の背景です。

4. 会社の規模

通貨は米ドル、会計年度は12月期です。Intelliaの売上はすべて提携契約からの収益で、製品の売上はありません 事実。

指標(US$百万)2024年2025年2026年上半期
提携収益57.967.722.7
研究開発費466.3388.9163.3
一般管理費125.8119.872.7
純損失519.0412.7202.9
現金・有価証券(期末)本資料では確認できず605.1628.4

従業員は2026年2月13日時点で377人(うち研究開発に主に従事263人、医師または博士号保持者106人)です 事実。2025年1月に人員削減を実施したことが10-Qに記載されています。

2026年4月には増資を行い、手取りUS$194.6百万を調達しました(1株US$10.75、16,744,187株。追加購入権の行使分を含む) 事実。2026年上半期の一般管理費は前年同期より約US$16.5百万増えました。10-Qはその理由を、法務費用の増加と、販売機能の立ち上げに伴う人件費・コンサルティング費用の増加と説明しています。

ここで注意

上の数字は会社全体のものです。iPS細胞・再生医療の事業規模を示す数字ではありません。会社は「これまでの収益はすべて提携収益」と明記しており、製品の売上はまだありません 事実。

5. iPS細胞・再生医療にかけているリソース

iPS細胞・再生医療に限った数字はありません。ゲノム編集の会社としての資源を、4点に沿って示します。

リソース内容区分
人(全社)377人(2026年2月13日)。研究開発263人、医師または博士号保持者106人。2025年1月に人員削減事実
人(iPS細胞・再生医療)該当する専任チームの記載なし確認できず
拠点本社はケンブリッジ(約65,000平方フィート)。同市内に複数の研究棟。ウォルサムに約158,000平方フィートの事務所・実験・製造スペース(2028年6月までに解約予定)。ケンブリッジのテクノロジースクエアに約125,000平方フィートを2026年9月から賃借事実
金(研究開発費)全社でUS$388.9百万(2025年)、2026年上半期US$163.3百万事実
金(現金)US$628.4百万(2026年6月30日)。2026年4月の増資で手取りUS$194.6百万事実
外部への出資・買収Rewrite Therapeuticsを買収(2022年、前払い約US$45.0百万+最大US$155.0百万のマイルストン。2023年にUS$25.0百万の研究マイルストンを支払い)。AvenCellの株式(当初33.33%、2025年12月末は10%未満)、Kyvernaの株式事実
導入(ライセンス)Caribou Biosciencesから、CRISPR/Cas9関連特許の独占ライセンス(2014年、ヒトの治療用途)。UC・ウィーン大・Charpentier博士の権利の独占サブライセンスを含む事実
導出・提携Regeneron(2016年4月〜):肝臓の編集の共同開発。1標的あたり最大US$320.0百万のマイルストンと売上の中位1桁%までのロイヤルティ。ATTRのnex-zは共同開発・共同販促で、Regeneronが開発費用と利益の約25%を負担。AvenCell・Kyverna・ONKとも契約事実
大学・研究機関・公的資金特許の権利者としてUC、ウィーン大。共同研究契約・補助金の記載はiPS細胞関連でなし事実/確認できず

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2014年5月デラウェア州で設立(当初の社名はAZRN, Inc.、7月に現社名へ変更)CRISPR専業として出発
2014年7月Caribou Biosciencesから、CRISPR/Cas9関連特許の独占ライセンスを取得編集の道具の権利を確保
2016年4月Regeneronとライセンス・共同研究契約(肝臓の編集が中心)遺伝子データベースとマウスモデルへのアクセスを得た
2016年12月UC、ウィーン大、Charpentier博士、Caribou、CRISPR Therapeuticsなどと、基本特許の管理を協調する契約特許をめぐる関係者が協調の枠組みを作った
2021年7月AvenCellを合弁で設立(同種の汎用CAR-T)細胞治療は合弁に出す形を選んだ
2021年12月Kyvernaに体外編集の同種CAR-Tの基盤を許諾(KYV-201)細胞治療は提携先が主導
2022年Rewrite Therapeuticsを買収(同年9月に合併)前払いと条件付きの支払いを組み合わせた買収
2024年nex-zのATTR心筋症向け第3相(MAGNITUDE)を開始。11月にATTRv-PN向け第3相(MAGNITUDE-2)のINDが受理体内編集の第3相入り
2025年1月HAELO第3相の最初の患者に投与。人員削減を実施開発に資源を集中
2025年9月HAELOの登録完了(80人)主要試験の患者集めが完了
2025年10月29日FDAがMAGNITUDEとMAGNITUDE-2に臨床保留。nex-zの投与後にGrade 4の肝酵素上昇とビリルビン上昇を示した患者が出たため。この患者は11月5日に死亡体内編集の安全性が最前面に出た
2026年1月・3月MAGNITUDE-2(1月)、MAGNITUDE(3月)の臨床保留がFDAにより解除開発再開
2026年4月HAELO第3相の主要評価項目達成を発表。FDAへのローリングBLAを開始。増資で手取りUS$194.6百万を調達承認申請に入った
2026年6月HAELOの結果がNEJMに掲載査読を通った第3相データ
2026年8月600検体超の遺伝子解析で、肝酵素の最高値が特定のHLAを持つ患者に集中していたと公表安全性の原因探索が進んだ

7. 今後の計画

lonvo-zのBLA2026年下期に
FDAが受理する見込み
ローリング提出中。承認の確約ではない
lonvo-zの発売2027年上期を
計画
承認された場合。会社の計画
MAGNITUDE-2の登録2026年下期に
完了予定
ATTRv-PNの第3相
nex-zのHLAFDAと協議中登録者にHLA型の結果を提供予定
MAGNITUDE登録を継続ATTR心筋症。推定登録約1,200人
新拠点2026年9月から
賃借開始
テクノロジースクエア約125,000平方フィート
Regeneron共同開発・共同販促nex-zはIntelliaが臨床・販売の主導側
iPS細胞関連計画の記載なし10-K・10-Qに見当たらない

表のうち、会社が時期まで書いているのはlonvo-zのBLAと発売、MAGNITUDE-2の登録です 事実。いずれも計画であり、承認や発売の確約ではありません 未確定/将来。

確認できなかったこと

次はいずれも、本稿が使った資料に記載がありません 未確定/将来。

lonvo-zの価格/FDAの承認の時期/nex-zの第3相の結果が出る時期/HLAと肝酵素上昇の因果関係/iPS細胞・再生医療分野への参入計画。報道にある時期や価格は一次資料で確認できないため、本稿では採用しません。

8. この会社はiPS細胞・再生医療で何を目指しているか

ここは会社が直接述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
自社で発売まで担う方針10-Kに「統合された商業体制を構築する」と明記。lonvo-zの発売を2027年上期に計画事実
細胞を取り出さない方式で、体外編集の治療が負う負担(細胞採取、前処置、製造拠点への輸送)を避けようとしている10-Kに「単回の点滴、外来で投与」と明記。体外編集の治療については一次資料に比較の記述なし推測
細胞治療は自社で持たず、ライセンスで広げるAvenCell・Kyverna・ONKへの許諾、Regeneronへの体外編集製品10件までの許諾。自社の細胞治療品目の記載なし推測
体内編集の安全性が最大の関門2025年10月に臨床保留、2026年8月にHLA解析を公表。HAELOでは重い有害事象なしと報告推測
肝臓以外の組織へ広げる意思10-Kに「肝臓以外の組織での遺伝子編集を進める」と記載事実
推測の根拠を1つだけ詳しく

2026年8月の発表は、免疫の型(HLA)が体内編集の安全性と結びつく可能性を示した点で、再生医療の読者にも重要だと本稿は読みます 推測。10-Qによると、600検体超の解析で、肝酵素の上昇が最も大きかったのは特定のHLAを持つ患者でした 事実。HLAは細胞移植で「拒絶」の鍵になる免疫の型で、本シリーズの技術解説「MHCとユニバーサルドナー」の主題でもあります。ただし会社はこの結果の仕組みを説明しておらず、FDAと協議中です。HLAが原因だと断定はできません 未確定/将来。

9. iPS細胞・再生医療分野の提携マッピング

Intelliaを中心とした遺伝子編集・細胞治療の提携関係 2025年12月期 Form 10-K と 2026年6月期 Form 10-Q に記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない Intellia ゲノム編集 Regeneron ATTRのnex-zを共同開発(約25%負担) Caribou Biosciences 基本特許を独占ライセンス(2014年) AvenCell 同種CAR-Tの合弁(出資10%未満) Kyverna 同種CD19 CAR-Tを導出(KYV-201) Rewrite Therapeutics 2022年に買収・合併 共同開発・導入(ライセンス)・導出 出資・買収
図2 Intelliaを中心とした遺伝子編集・細胞治療の提携関係。出典:2025年12月期 Form 10-K、2026年6月期 Form 10-Q。図に含めたのは両書類に記載がある関係だけです。ONK Therapeuticsとも契約がありますが、内容を本稿の資料で確認できなかったため除きました。

この図で見てほしいのは、Intelliaの細胞治療への関わりがすべて「出す側」であることです。AvenCellでは当初33.33%を持っていた持分が2025年12月末に10%未満になり、Kyvernaでは開発と費用を相手が負担します 事実。

10. 提供している技術・製品・サービス

品目仕組み対象状況
lonvo-z
(NTLA-2002)
肝臓のKLKB1遺伝子を体内で不活性化。LNPで運び、単回の静脈内投与(50 mg)遺伝性血管性浮腫(HAE)第3相(HAELO)で主要評価項目達成。ローリングBLA提出中。RMAT・オーファン等の指定
nex-z
(NTLA-2001)
肝臓のTTR遺伝子を体内で不活性化。LNPで運び、単回投与(55 mg)ATTRアミロイドーシス(心筋症、多発神経障害)第3相(MAGNITUDE、MAGNITUDE-2)。臨床保留は解除済み。Regeneronと共同
研究プログラム肝臓以外の組織への編集、DNA書き込みなどの新技術―前臨床・研究
提携先の細胞治療KYV-201(Kyverna)などの同種CAR-T。Intelliaの体外編集基盤を使う自己免疫疾患など提携先が開発

試験結果(数値は論文または10-Qから。比較対照と評価時点つき)

試験対象と方法結果評価時点・注意
HAELO(第3相、NCT06634420)16歳以上のHAE。80人を2:1で無作為化(lonvo-z 52人、プラセボ28人)、二重盲検、50 mgを単回投与5〜28週の月間発作数は、lonvo-zが0.26、プラセボが2.10(相対差87%減)。lonvo-z群に重い有害事象なし追跡期間の中央値7.5か月(2026年2月10日時点)。プラセボは28週でlonvo-zへの切り替えが可能
lonvo-zの第1/2相(10-K)32人が50 mgを投与。単群、比較対照なし血漿カリクレインの平均減少は24か月で89%。31人(97%)が発作なしかつ長期予防薬なし(データ時点)比較対照なし。2025年8月29日時点のデータ
nex-zの第1相 ATTR-CM(10-Q)36人。単群36か月に達した9人で血清TTRの平均減少は87%2025年8月23日時点。無作為化されない後付けの比較で、同条件の1,792人の別集団と死亡率を比べた記述もある(無作為化ではない)
nex-zの第1相 ATTRv-PN(10-Q)0.3 mg/kg以上の33人。単群24か月の血清TTRの平均減少は92%(36か月に達した12人では90%)3人にGrade 3以上の肝酵素上昇(重篤でなく、自然に回復)
素材技術者の視点:核酸と脂質の「化学製造」で作る治療

Intelliaの治療は、細胞ではなくCas9のmRNAとガイドRNAを脂質ナノ粒子(LNP)に包んだ薬です 事実。細胞を生かしたまま凍結・輸送する必要がなく、製造は核酸の合成と脂質の混合・精製という化学製造に近い工程になります 推測。

10-Kは、原薬、製剤、ウイルスベクターや編集した細胞の製造を、外部の製造会社と自社の能力で賄い、GMP施設で作ると述べています 事実。品質を決めるのは、脂質の組成と純度、粒子径のそろい、mRNAとガイドRNAの合成純度であり、体外編集の細胞治療で重視される培地・足場・凍結保存液とは材料の種類が異なります。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
安全性(nex-z)2025年10月にFDAが臨床保留。投与後にGrade 4の肝酵素上昇を示した患者が死亡(主治医の報告では、穿孔した十二指腸潰瘍に続く敗血症性ショックが死因で、経過には急性肝障害とそのステロイド治療も含まれた)。保留は解除されたが、HLAとの関係についてFDAと協議中事実
製品がまだない提携収益のみで、承認済みの製品はない。lonvo-zの承認と発売が最初の関門事実
現金の消耗2026年上半期の純損失はUS$202.9百万。増資で補っており、さらなる資金調達が要る可能性があると会社が記載事実
特許Caribou経由の基本特許は、Broad Institute・ToolGen・Sigma-Aldrichとの抵触審査の対象。いずれかが勝てば、自社品目の商業化に権利行使される可能性があると10-Kが記載事実
長期の安全性10-Kは、予期しない有害事象と、ゲノム編集の影響が永続的になりうる性質をリスクとして記載事実
提携先の方針Regeneronとの技術協力は2026年4月までの期間で、延長の記載は本稿の資料で確認できず事実/未確定

12. 用語集

体内(in vivo)編集
薬を点滴して、体の中の細胞を直接編集する方式。細胞を取り出さない。
LNP(脂質ナノ粒子)
核酸を包んで細胞に届ける、脂質でできた微小な粒子。
KLKB1/カリクレイン
HAEの発作に関わるカリクレインを作る遺伝子とその酵素。
HAE(遺伝性血管性浮腫)
腫れの発作を繰り返す遺伝性の病気。
ATTR(トランスサイレチン型アミロイドーシス)
TTRというタンパク質が組織にたまる病気。心筋症と神経障害の型がある。
BLA
生物学的製剤の承認申請(米国)。ローリング提出は、完成した部分から順に出す方式。
臨床保留(クリニカルホールド)
安全性などを理由に、FDAが治験の実施を止めること。
HLA
免疫が「自分」と「他人」を見分ける目印となる型。移植の拒絶に関わる。
同種CAR-T
健康な提供者のT細胞にがん等を狙う受容体を持たせ、多くの患者に使う細胞治療。
RMAT
再生医療の開発を速めるFDAの指定制度。遺伝子治療も対象になる。
概念図:細胞を取り出して編集する方式と、点滴1回で体内の細胞を編集する方式の違いAI生成による概念図
図3 Intelliaの体内編集の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. Intellia Therapeutics Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年2月26日)。事業の概要、lonvo-zとnex-zの臨床、Regeneron・AvenCell・Kyvernaとの契約、特許、従業員数、拠点、財務。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
  2. Intellia Therapeutics Form 10-Q for the quarterly period ended June 30, 2026(米国SEC提出、2026年8月6日)。HAELO第3相の結果、ローリングBLA、nex-zの臨床保留の解除、HLA解析、2026年上半期の財務。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
  3. ClinicalTrials.gov NCT06634420「HAELO:遺伝性血管性浮腫(HAE)を対象にNTLA-2002を評価する第3相試験」。開始2025年1月15日、登録80人、主要評価項目は確認されたHAE発作の時間補正後の回数。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06634420
  4. ClinicalTrials.gov NCT06128629「MAGNITUDE:ATTR心筋症を対象にNTLA-2001を評価する第3相試験」。推定登録1,200人、主要評価項目は心血管死亡と心血管イベントの複合。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06128629
  5. ClinicalTrials.gov NCT06672237「ATTRv-PNを対象にNTLA-2001を評価する第3相試験(MAGNITUDE-2)」。推定登録60人、主要評価項目はmNIS+7と血清TTR。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06672237
  6. N Engl J Med(PubMed収載) Cohn DM ほか「Lonvoguran Ziclumeran - In Vivo CRISPR Gene Editing in Hereditary Angioedema」N Engl J Med 2026(電子版2026年6月13日)。HAELO第3相の結果。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42294842/
  7. Intellia Therapeutics 公式サイト(会社概要・ロゴの確認用)。 https://www.intelliatx.com/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、本社所在地(ケンブリッジ)、Nasdaq: NTLA、2014年5月設立事実出典1・7 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm https://www.intelliatx.com/
提携収益・研究開発費・一般管理費・純損失(2024〜2025年)、現金(2025年末)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
2026年上半期の財務、現金US$628.4百万、増資の手取りUS$194.6百万、一般管理費の増加理由事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
従業員377人(2026年2月13日)、研究開発263人、2025年1月の人員削減事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
拠点(ケンブリッジ、ウォルサム、テクノロジースクエア)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
Caribouとの独占ライセンス(2014年)とUC・ウィーン大・Charpentier博士の権利事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
Regeneronとの契約(2016年、1標的あたり最大US$320.0百万、nex-zの約25%負担)事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
AvenCell(当初33.33%、2025年12月末10%未満)、Kyverna(KYV-201)、Rewrite買収の条件事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
ONK Therapeuticsとの契約の存在(内容は確認できず)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
lonvo-z・nex-zの仕組み(体内編集、LNP、単回投与)と第3相の位置づけ事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
HAELO第3相の結果(80人、0.26対2.10、相対差87%減、重い有害事象なし)事実出典2・6・3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42294842/ https://clinicaltrials.gov/study/NCT06634420
lonvo-zの第1/2相(32人、カリクレイン平均89%減、31人が発作なし)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
nex-zの第1相(ATTR-CM 36人・9人が36か月で87%減、ATTRv-PN 33人・24か月で92%減)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
MAGNITUDE(約1,200人)とMAGNITUDE-2(50人、ClinicalTrials.gov上は推定60人)の設計事実出典2・4・5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm https://clinicaltrials.gov/study/NCT06128629 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06672237
2025年10月29日のFDAによる臨床保留と、2026年1月・3月の解除、患者の死亡(11月5日)事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
2026年8月のHLA解析の公表(600検体超)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
ローリングBLAの開始(2026年4月)、発売計画(2027年上期)、MAGNITUDE-2の登録完了予定(2026年下期)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm
抵触審査(Broad、ToolGen、Sigma-Aldrich)と、権利行使される可能性事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm
3類型の区分(大手製薬/ゲノム編集・遺伝子治療/iPS細胞・細胞治療)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示
iPS細胞の使用、間葉系幹細胞、自社の細胞治療品目未確定/将来出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm 10-K・10-Qに記載なし。本稿では存在しないとも断定しない
lonvo-zの価格・承認時期、nex-zの第3相の結果時期、HLAと肝酵素上昇の因果関係未確定/将来出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm 10-Qに記載なし。報道の数字は採用しない
Regeneronとの技術協力の延長未確定/将来出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm 期間は2026年4月まで。延長は本稿の資料で確認できず
体外編集の負担を避けようとしているという読み推測出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm 本稿の解釈
細胞治療は自社で持たずライセンスで広げるという読み推測出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526076550/ntla-20251231.htm 本稿の解釈
体内編集の安全性が最大の関門という読み推測出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm 本稿の解釈
HLAの結果が免疫の型と体内編集の安全性を結びつけるという読み推測出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652130/000119312526337952/ntla-20260630.htm 本稿の解釈。会社は仕組みを説明していない
製造は核酸の合成と脂質の混合・精製という化学製造に近いという読み推測本稿の解釈(材料・プロセスの視点)

最終更新:2026年10月1日/Troy Technical
本稿の数値はすべて、Intelliaが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類、ClinicalTrials.gov、査読論文に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は企業の取り組みを整理したもので、特定の治療を勧めるものでも、医療上の助言でもありません。