TECHNOLOGY EXPLAINER
再生医療の迅速化制度
― 審査は速くなっても、「製造の準備」は速くならない
細胞・遺伝子治療には、日米欧のそれぞれに、開発や審査を速めるための制度があります。 ただしFDAは、指定を受けても承認に必要なCMC(化学・製造・品質管理)の情報は変わらないと明記しています。 日本の「条件及び期限付承認」は、早く市場に出せる代わりに、期限内に再申請して有効性を検証することが前提です。 制度の違いを押さえると、材料・製造に求められる準備が見えてきます。
- 再生医療の迅速化制度とは(3行でつかむ)
- なぜ細胞・遺伝子治療に固有の制度が要るのか
- 米国 ― RMAT、Fast Track、優先審査、迅速承認
- 本稿の計算:RMATの申請と付与の数字
- 日本 ― 条件及び期限付承認と先駆的再生医療等製品
- 欧州 ― ATMP、PRIME、迅速審査
- 三極の整理
- 素材技術者の視点①:迅速化は、材料・製造の準備を前倒しにする
- 素材技術者の視点②:期限が付く承認は、「小さな量を、同じ品質で、数年間」供給する約束になる
- 課題と、まだ決まっていないこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=法令・通知・ガイダンス・公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=案(ドラフト)・改訂中・計画など、確定していない事項
このほか、制度の整理や材料・製造の観点からの読み取りは「解説」として区別しています。
本記事は、再生医療・細胞遺伝子治療に関する承認制度と、材料・製造との接点の解説です。個々の製品の有効性・安全性を評価・比較するものではなく、医療上の助言でもありません。 本文に出てくる製品名は、制度の運用例として規制当局が公表した情報に限って引用しています。治療についての判断は、必ず医療従事者にご相談ください。 承認制度の一般的な基礎(Breakthrough Therapy、優先審査、迅速承認、リアルワールドデータなど)は、本シリーズ「承認申請とリアルワールドデータ」編で扱っており、本記事は再生医療・細胞遺伝子治療に固有の部分に絞ります。
1. 再生医療の迅速化制度とは(3行でつかむ)
- 米国:再生医療の治療法に対してRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)指定があります。2016年12月13日の21st Century Cures Actで創設され、Fast TrackとBreakthrough Therapyの利点を合わせ持ちます事実[出典1、5]。
- 日本:2013年成立の改正(薬事法を医薬品医療機器等法に改称)で新設された「再生医療等製品」には、薬機法第23条の26の条件及び期限付承認があります。7年を超えない期限と条件を付して承認し、期限内に改めて申請して有効性を検証します事実[出典9、10]。
- 欧州:ATMP(先端医療医薬品)はすべて中央審査方式の対象で、EMAのPRIMEでは先端医療の委員会(CAT)の担当者が早期に付きます事実[出典22、26]。
FDAのRMAT等のガイダンス案(2025年9月)は、こう書いています—— 「迅速化プログラムのいずれの指定も、品質を保証するために承認に必要なCMC情報(製造施設のCGMP適合を含む)を変えない。承認には、強度、力価、同一性、純度について、あらかじめ定めた重要品質特性(CQA)を持つ一貫した製品を示す、工程管理の実証が重要である」 事実[出典6]。
審査や臨床が速くなるぶん、材料・工程・分析の準備が前倒しで求められる——これが素材技術者にとっての核心です(解説)。
2. なぜ細胞・遺伝子治療に固有の制度が要るのか
FDAの2026年5月のCMCガイダンスは、細胞・遺伝子治療(CGT)製品が通常の開発手法で進めるときの課題として、次を挙げています事実[出典7]。
- 製品の複雑さ、患者ごとの製造
- 高度な工程と先端技術
- 限られた患者数、少ない製造回数
- 製品の特性評価と分析試験
- 短い有効期間のため、製造から投与までの時間窓が狭いこと
日本の通知は、条件及び期限付承認の背景を、より素材寄りに書いています。「細胞、ウイルス等を構成体とする再生医療等製品は不均質であることが多く、有効性の証明には十分な被験者数を組み入れた臨床試験が重要である一方、希少疾患等で少数例の治験で評価せざるを得ないケースが多い」というものです事実[出典9]。 法律の条文も、条件及び期限付承認の第一の要件に「申請に係る再生医療等製品が均質でないこと」を置いています(第23条の26第1項第1号)事実[出典9]。
| 地域 | 固有の区分 | 範囲(要旨) |
|---|---|---|
| 米国 | regenerative medicine therapy(FD&C法506(g)) | 細胞治療、治療用の組織工学製品、ヒト細胞・組織製品、またはそれらを使った併用製品。ただし公衆衛生サービス法361条と21 CFR Part 1271のみで規制されるものを除く。FDAの解釈では一部のヒト遺伝子治療や異種細胞製品も含まれうる[出典1] |
| 日本 | 再生医療等製品(薬機法第2条第9項) | 再生医療に用いるヒト細胞加工製品(ex vivo遺伝子治療用の遺伝子導入細胞を含む)と、in vivo遺伝子治療用の製品が、医薬品・医療機器から独立した新しい区分に。2013年成立の改正で新設[出典9] |
| EU | ATMP(先端医療医薬品) | EMAは、すべてのATMPが中央審査方式の必須の対象で、EMAが科学的評価を行うとしている。ATMPかどうかの事前分類の相談もできる[出典26] |
すべて事実(FDA[出典1]、厚生労働省通知[出典9]、EMA[出典26])。範囲は要旨で、条文の全文ではありません。
3. 米国 ― RMAT、Fast Track、優先審査、迅速承認
RMAT指定 ― 何を満たせば、何が得られるか
FDAのRMATのページによると、次の3つをすべて満たす薬が対象です事実[出典1]。
- 再生医療の治療法(細胞治療、治療用の組織工学製品、ヒト細胞・組織製品、またはそれらを使った併用製品)であること
- 重篤または生命を脅かす疾患・状態の治療、修飾、進行の逆転、または治癒を目的とすること
- 初期の臨床的な証拠が、その疾患のアンメットメディカルニーズに応えうる可能性を示していること
申請はINDと同時、またはIND(治験届)の修正として行い、INDが臨床保留(クリニカルホールド)の間は付与されません。FDAは受領後60暦日以内に可否を通知します事実[出典1]。 2019年の確定ガイダンスは、RMAT指定の利点をFast TrackとBreakthrough Therapyのすべての利点(ローリング審査、第I相からの集中的な指導、上級管理職の関与など)と整理し、代替・中間エンドポイントについての早期の相談に使えるとしています事実[出典5]。
| 指定 | 求められる証拠の水準(FDA 2019年ガイダンス) | 主な利点 |
|---|---|---|
| Fast Track | 非臨床または臨床のデータが、アンメットメディカルニーズに応えうる可能性を示す。開発の早い段階で、in vitroや動物モデルの効果でも足りうる | 開発・審査を促進する措置。FDAが、提出された臨床データの予備的評価で有効性がありうると判断すればローリング審査の可能性。申請時のデータが支えれば優先審査の対象にもなりうる |
| Breakthrough Therapy | 初期の臨床的な証拠が、既存治療に対する大幅な改善を、臨床的に重要な1つ以上のエンドポイントで示しうる(Fast Trackより高い水準) | Fast Trackのすべての利点に加え、効率的な開発についての集中的な指導と、上級管理職の関与 |
| RMAT | 初期の臨床的な証拠が、アンメットメディカルニーズに応えうる可能性を示す。「大幅な改善」の証拠は要らない。歴史的対照、後ろ向き研究、症例集積、米国外の研究も、状況によっては可 | Fast TrackとBreakthrough Therapyのすべての利点。迅速承認を支える代替・中間エンドポイントの早期の議論。承認後の要件を満たす方法に関する規定 |
すべて事実(FDA「Expedited Programs for Regenerative Medicine Therapies for Serious Conditions」2019年2月[出典5])。表は要旨で、文書の全文ではありません。指定は承認ではなく、承認の統計的な基準を変えません。
承認の形 ― 迅速承認と、承認後の確認の手段
FD&C法506(g)(7)により、RMAT指定を受けて迅速承認を受けた製品は、承認後の要件を、従来の確認試験以外の臨床的証拠で満たせる場合があります。FDAのガイダンスは、その手段として次を挙げます事実[出典5]。
- 臨床的証拠、臨床試験、患者レジストリ、電子カルテなどのリアルワールドエビデンスの提出
- あらかじめ合意した、より大きな確認用データセットの収集
- 承認前に治療を受けた全患者の承認後の追跡
2025年9月の改訂案は、さらに、リアルワールドデータが治療群と対照群の役割を担う観察研究や、自然歴データを使った外部対照試験で、確認的な証拠の穴を埋められる「限られた場合」があるとし、受け入れの条件としてデータの信頼性と関連性、集団の比較可能性、欠測、選択バイアスなどを挙げています未確定/将来[出典6]。 基礎は本シリーズ「承認申請とリアルワールドデータ」編をご覧ください。
2019年の確定版と、2025年の改訂案
RMATのガイダンスは、2019年2月の確定版[出典5]があり、2025年9月に改訂案が公表されました。改訂案は、確定すれば2019年版を置き換えるとし、PDUFA VII(2022年のFDA使用者手数料再承認法)の約束にもとづくとしています事実[出典6、8]。 2026年5月のFDAのCMCガイダンスでも、この文書は引き続き「案」と記されています事実[出典7]。したがって改訂案の内容は、本稿の調査時点(2026年10月)で確定していません未確定/将来。 改訂案が2019年版と違って、はっきり書き加えた点は、素材技術者にとって重要です(第8章で扱います)。
RMAT指定を受けて承認された品目(FDAの公表)
FDAは、RMAT指定を受けて承認された品目の一覧を公表しています。2025年9月30日時点で14品目でした事実[出典3]。
| 承認日 | 販売名(一般名) | FDAの記載する用途(要旨) |
|---|---|---|
| 2021-02-05 | BREYANZI(lisocabtagene maraleucel) | 大細胞型B細胞リンパ腫(2回以上の前治療後) |
| 2021-06-15 | StrataGraft | 表皮が残る深さの熱傷の創閉鎖(成人) |
| 2021-10-08 | RETHYMIC(allogeneic processed thymus tissue) | 先天性無胸腺症の小児の免疫再構築 |
| 2023-05-19 | VYJUVEK(beremagene geperpavec) | 栄養障害型表皮水疱症の創傷(生後6か月以上) |
| 2023-06-29 | ROCTAVIAN(valoctocogene roxaparvovec) | 重症の血友病A(成人) |
| 2023-12-08 | CASGEVY(exagamglogene autotemcel) | 鎌状赤血球症(12歳以上) |
| 2023-12-08 | LYFGENIA(lovotibeglogene autotemcel) | 鎌状赤血球症(12歳以上) |
| 2024-02-16 | AMTAGVI(lifileucel) | 切除不能または転移性の悪性黒色腫 |
| 2024-03-18 | LENMELDY(atridarsagene autotemcel) | 異染性白質ジストロフィー(小児の特定の病型) |
| 2024-04-25 | BEQVEZ(fidanacogene elaparvovec) | 中等症〜重症の血友病B(成人) |
| 2024-08-01 | TECELRA(afamitresgene autoleucel) | 切除不能または転移性の滑膜肉腫(成人) |
| 2024-11-08 | AUCATZYL(obecabtagene autoleucel) | B細胞前駆細胞型急性リンパ芽球性白血病(成人) |
| 2024-12-19 | SYMVESS(acellular tissue engineered vessel) | 四肢動脈損傷の血管導管(成人) |
| 2025-04-28 | ZEVASKYN(prademagene zamikeracel) | 劣性栄養障害型表皮水疱症の創傷 |
すべて事実(FDA「CBER RMAT Approvals」2025年9月30日時点[出典3])。用途はFDAの記載の要旨で、製品の有効性・安全性の評価ではありません。RMATで承認された品目は細胞治療だけでなく、遺伝子治療や組織工学製品を含みます。迅速承認で承認されたかどうかは、この一覧には書かれていません。
4. 本稿の計算:RMATの申請と付与の数字
FDA(CBER)は、RMAT指定の申請の結果を年度別に公表しています。2016年12月13日から2025年9月30日までの集計は次のとおりです事実[出典2]。
| 年度 | 申請数 | 付与 | 却下 | 取り下げ |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 31 | 11 | 18 | 2 |
| 2018 | 47 | 18 | 27 | 2 |
| 2019 | 37 | 17 | 18 | 2 |
| 2020 | 34 | 13 | 21 | 0 |
| 2021 | 24 | 9 | 13 | 2 |
| 2022 | 30 | 14 | 15 | 1 |
| 2023 | 35 | 18 | 17 | 0 |
| 2024 | 59 | 43 | 14 | 2 |
| 2025 | 91 | 50 | 22 | 3 |
すべて事実(FDA「Cumulative CBER RMAT Designation Requests Received by Fiscal Year」[出典2])。FDAは「結果待ちの申請も申請数に含まれる」と注記しています。ページの更新日は2025年11月4日です。
上の表から、いくつかの数字を出します本稿の計算。
- 合計:申請 388件、付与 193件、却下 165件、取り下げ 14件。差引で結果待ちは16件(388 − 193 − 165 − 14)で、すべて2025年度の分(91 − 50 − 22 − 3 = 16)
- 付与率(結果が出たものの中で):193 ÷(193+165)= 約54%。年度別では、2017年度 38%、2020年度 38%、2023年度 51%、2024年度 75%、2025年度 69%(結果が出た分のみ)
- 申請の増え方:2020年度の34件から2025年度の91件へ、約2.7倍(91 ÷ 34)
- 承認との関係:承認は14品目(FDAの一覧、2025年9月30日時点)。付与193件に対し 14 ÷ 193 = 約7%。ただし指定から承認までには年単位の時間差があり、これは成功率ではありません
前提と限界:付与率は取り下げと結果待ちを除いた比率です。FDAの年度は会計年度(前年10月〜当年9月)で、承認一覧の「承認日」の暦年とは単位が違います。 FDAは、付与後に取り下げられた、または取り消された指定の数も年度別に表にしており、その表では2025年6月30日時点のデータとして全年度で0件でした[出典4]。
この数字から言えること(解説):2024〜2025年度に申請が増え、付与の割合も上がっています。一方で、承認された品目の数は、指定の数に比べてずっと少ないままです。 指定は、承認への道の入り口の一つにすぎません。FDAは、RMAT指定は承認と同じではなく、承認に必要な安全性・有効性の基準を変えないと明記しています[出典5・6]。
5. 日本 ― 条件及び期限付承認と先駆的再生医療等製品
条件及び期限付承認の仕組み(薬機法第23条の26)
厚生労働省の通知(2024年3月29日)は、条文を引用して要件を示しています事実[出典9]。
- 再生医療等製品が、次の3つのすべてに該当するとき、厚生労働大臣が、条件と7年を超えない範囲の期限を付して承認できる:
(1) 申請に係る再生医療等製品が均質でないこと/(2) 申請に係る効能・効果または性能を有すると推定されること/(3) 著しく有害な作用があって使用価値がないと推定されるものでないこと - 期限は、審査を適正に行うために特に必要があるとき、薬事審議会の意見を聴いて3年を超えない範囲で延長できる(同条第2項)[出典10]
- 承認を受けた者は、期限内に改めて承認申請をしなければならない(同条第5項)。改めて申請があったのに期限内に処分がされないときは、処分されるまで承認の効力は続く(同条第6項)[出典10]
通知は、制度の趣旨も強く書いています。「条件及び期限付承認を最終目的とした開発計画を立てるべきではなく、あらかじめ有効性の検証までを含めて計画すべき」、 また、期限内に改めて申請して市販後の評価を行った結果、有効性が確認されなければ、承認の継続は認められないとしています事実[出典9]。
8製品の経過(公表された事実だけ)
| 販売名(会社) | 条件及び期限付承認の日 | 期限・その後(公表資料の記載) |
|---|---|---|
| ハートシート(テルモ) | 2015-09-18 | 承認期限は5年+3年延長(2023年9月17日)。2023年9月7日に再申請。2024年7月25日に承認整理の届出[出典20] |
| ステミラック注(ニプロ) | 2018-12-28 | 承認期限は7年[出典21] |
| コラテジェン筋注用4mg(アンジェス) | 2019-03-26 | 承認期限は5年(2024年3月25日)。2023年5月31日に再申請。2024年6月27日に申請を取り下げ、承認は失効。市場に流通している製品は速やかに回収[出典21] |
| デリタクト注(第一三共) | 2021-06-11 | 承認期限は7年[出典21] |
| アクーゴ脳内移植用注(サンバイオ) | 2024-07-31 | 期限7年、先駆け審査指定、希少疾病用[出典19]。2025年12月8日の一変承認で、製造実績が限られることを踏まえた品質の同等性/同質性の評価に関する承認条件が対応済みとして削除[出典17] |
| エレビジス点滴静注(中外製薬) | 2025-05-13 | 条件及び期限付承認(ウイルスベクター製品、希少疾病用)[出典17] |
| リハート(クオリプス) | 2026-03-06 | 期限7年、申請2025年4月4日、希少疾病用[出典19、17] |
| アムシェプリ(住友ファーマ) | 2026-03-06 | 期限7年、申請2025年8月5日、先駆け審査指定、希少疾病用[出典19、17] |
すべて事実(PMDAの承認品目一覧[出典13〜18]、厚生労働省の通知・会議資料[出典9・19・20・21])。ステミラックとデリタクトの期限は、2024年6月27日付の通知に添付された資料(コラテジェンの失効の通知)にある「承認期限7年」の記載です。製品の効能・効果、臨床成績の評価は載せていません。
ここから読めること(解説):8製品のうち、公表資料で「承認整理」と「失効」が確認できるのは2製品(ハートシート、コラテジェン)で、他の製品は期限内か、結果が公表資料で確認できていません。 期限が付く承認は、「承認 → 通常承認」の一本道ではなく、期限の到来が供給の終わりにつながりうる制度だということが、公表された事実から分かります。
承認時と承認後の「品質」の扱い ― 2025年10月の通知
厚生労働省は2025年10月6日付の通知(医薬機審発1006第1号)で、条件及び期限付承認の取扱いを整理しました事実[出典10]。品質に関する第5章は、素材・製造の担当者にとって重要です。
- 再生医療等製品も医薬品と同様、重要な品質特性、重要な工程パラメータとその管理方法を含む品質管理戦略を構築する必要がある。「単に規格により品質を確保する」のではなく、原料から製品までの管理をどうすれば期待する品質が恒常的に得られるかが重要
- 条件及び期限付承認を得た時点での「複数回の繰返しの検討のみでは、工程パラメータや原料等の変動要因を十分に特定できていない可能性があり、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるとはいえない」ので、ベリフィケーションにより期待する品質の製品が得られたことを確認する必要がある場合がある
- 承認時点の品質管理戦略は暫定的であることもある。製造所で品質リスクマネジメントを使った管理を行い、製品の品質の照査などで蓄積する製造経験と、承認後に得られる追加の品質特性の知見に照らして、重要品質特性になりうる管理項目と工程パラメータを含めて継続的に改善する
この通知は、申請手続の面でも、製造販売後承認条件評価基本計画書(案)を申請時に添付すること、対象品目は原則として使用した症例の全例を製造販売後の評価の対象とすることを求めています[出典10]。 また、改めて申請した後に承認申請の取下げや承認整理が行われた場合でも、期限内に収集した試験成績はPMDAが審査し、審査報告書として公開するとしています[出典10]。
先駆的再生医療等製品の指定と、希少疾病用の指定
日本には、条件及び期限付承認とは別に、開発を促進する指定があります事実。
- 先駆け審査指定制度:革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品の早期実用化のため、2015年4月1日に創設。通常の新医薬品が12か月を目標とするところ、指定品目はPMDAの事前評価を活用して6か月を目標に審査する、と厚生労働省は説明しました(2017年10月5日の発表)[出典12]
- その後、2019年の法改正で法制化され、先駆的再生医療等製品の指定は薬機法第77条の2第2項にもとづきます。指定の要件は4つで、再生医療等製品では (1) 新規作用機序、(2) 生命に重大な影響がある重篤な疾患などであること、(3) 対象疾患に係る極めて高い有効性または安全性、(4) 世界に先駆けて(または最初の国の申請から3か月以内に)日本で早期に開発・申請する意思と体制、です[出典11]
- 指定を受けると、優先相談、事前評価の充実、優先審査、コンシェルジュが得られます[出典11]
- 希少疾病用再生医療等製品の指定は、対象患者が国内で5万人未満であることなどが必要で、優先的に審査されます(PMDA)[出典27]
上の8製品の中では、アクーゴとアムシェプリが先駆け審査指定の対象品目と、アクーゴ、エレビジス、リハート、アムシェプリが希少疾病用再生医療等製品と、公表資料に記載されています[出典16・17・19]。他の4製品の指定の有無は、本稿では確認していません。
6. 欧州 ― ATMP、PRIME、迅速審査
EMAは、すべてのATMPが中央審査方式の必須の対象であり、EMAが科学的評価を行うとしています事実[出典26]。 迅速化の中心はPRIME(PRIority MEdicines)で、アンメットメディカルニーズに対応する薬の開発を、早期の対話で支援する制度です事実[出典22]。
| PRIMEの利点(EMA) | 時期 | 内容(要旨) |
|---|---|---|
| CHMPまたはCATの担当者の早期指名 | PRIME適格の付与から1か月後 | 申請に向けた技術的・科学的な準備の議論。先端医療ではCATの担当者 |
| キックオフ会議 | 付与から3〜4か月後 | 全体の開発計画、今後の科学的助言、規制戦略について、担当者と専門家チームから助言 |
| 反復的な科学的助言 | いつでも/主要な節目 | HTA機関、患者、FDAなども関与できる。条件によって短縮した期間の追加助言 |
| 申請準備会議 | 販売承認申請の約1年前 | 開発状況とdossierの成熟度、申請の種類(条件付き販売承認など)、承認後の証拠創出 |
| 迅速審査の確認 | 販売承認申請時 | 審査期間の確実性を高める |
すべて事実(EMA「PRIME: priority medicines」[出典22])。中小企業とアカデミアには、非臨床の概念実証などで早い段階に付与される早期参入(Early Entry)PRIMEがあります。
PRIMEの数字 ― ATMPは申請の約27%、付与の46%
EMAのPRIME制度の5年報告(2016年3月〜2021年6月のデータ)は、ATMPについて次のように述べています事実[出典23]。
- ATMPはPRIME適格の申請の約27%だが、成功率は最も高く、PRIME製品全体の46%を占めた。理由として、申請が一般に「アンメットメディカルニーズに応える高い可能性」「非常に特異的な作用機序」「概念実証の強い証拠」を併せ持っていたことを挙げる
- 迅速審査(Accelerated Assessment)で開始したPRIME製品16件のうち7件(44%)がATMPだった。一方、PRIMEでない製品では、迅速審査で始まったATMPは1件(4%)
- 迅速審査から通常の審査に戻る理由として、ATMPでは品質に関する重大な懸念(規格、製造上の問題、工程管理)が多かった。通常審査への切り替えは、PRIMEの分析でも頻繁だった(56%)
その後のEMAのページでは、2026年7月時点の累計として、PRIMEの適格性の申請のうち付与26%、却下67%(残りは範囲外、取り下げ、移行)と公表されています[出典22]。ATMPに限った数字は、この更新ページでは確認できませんでした。
品質データの「道具箱」 ― EMAのToolboxガイダンス
EMAは2022年4月に、PRIME等の製品が品質(Module 3)のデータを揃えやすくするためのToolboxガイダンスを公表しました。ATMPも対象です事実[出典24]。素材・製造に関わる内容を抜き出します。
- 安定性:標準的な安定性データが揃わない場合、科学的な根拠のもとで、より短い期間(例:6か月)のデータ、場合により3ロット未満のデータで申請できる可能性がある
- 工程バリデーション:最終報告書の代わりにプロトコルを承認前に提出できる例として、新しいセルバンクの導入、新しい標準品の導入、保管時間の試験、輸送のバリデーションなどを挙げる。個別の事例ごとに、リスク評価のもとで承認後への先送りも可
- 出発材料のGMP水準:新しいセルバンクの確立はGMPに従うべきだが、例外的に、学術機関で作ったMCBを「適切な水準のGMPで製造された」とみなせる場合がある。トレーサビリティ、汚染防止、広範な特性解析、リスク評価などが条件(本シリーズ「細胞製造とセルバンク」編)
- 同等性(比較可能性):ATMPは出発材料の変動が大きく、ICH Q5Eの対象外。同等性の原則は適用されるが、ATMP向けの別のQ&A(EMA/CAT/499821/2019)と併せて読む
なお、EMAとFDAの共同Q&A(2023年12月)は、PRIMEとBreakthroughの品質・GMPの論点(管理戦略、工程バリデーション、安定性、GMP)を整理した文書ですが、FDA側はCDER所管の製品だけが対象で、CBER所管のATMPは範囲外と明記しています[出典25]。
7. 三極の整理
| 観点 | 米国(FDA/CBER) | 日本(厚生労働省/PMDA) | 欧州(EMA) |
|---|---|---|---|
| 再生医療に固有の指定 | RMAT指定(2016年12月13日のCures Actで創設) | 先駆的再生医療等製品の指定、希少疾病用再生医療等製品の指定 | ATMPに限った指定ではなく、全分野向けのPRIMEが中心。PRIMEの中でATMPが大きな割合を占める(付与の46%、2016〜2021年) |
| 指定の時期 | INDと同時またはIND修正として。回答は60暦日以内 | 事前に厚生労働省へ相談。指定は当面、年に2回程度(概ね4月と10月)(2024年1月の通知) | 探索的臨床試験の段階で申請(早期参入は非臨床データ中心) |
| 開発中の支援 | Fast Trackと Breakthrough の利点を併せ持つ。ローリング審査の可能性 | 優先相談、事前評価の充実、コンシェルジュ | CAT担当者の早期指名、キックオフ会議、反復的な科学的助言、申請準備会議 |
| 審査の短縮 | 優先審査(BLAの審査目標6か月) | 先駆け指定は6か月を目標(制度創設時の説明。通常の新医薬品は12か月) | 申請時に迅速審査の確認を受けられる |
| 承認の形 | 通常承認/迅速承認。RMATは確認を患者レジストリやRWEで満たせる場合がある | 条件及び期限付承認(期限7年以内、延長3年以内、期限内に再申請) | 条件付き販売承認(PRIME製品のATMPで多い) |
| 承認後 | 確認的な証拠の収集。取り消しがありうる(迅速承認の場合) | 原則として使用した全症例を承認条件評価の対象とする。再申請の取り下げや、期限到来後の不承認では承認は失効 | 条件付き承認は1年ごとの更新(本シリーズ「承認申請とリアルワールドデータ」編) |
| 品質(CMC)の柔軟性の文書 | 2026年5月のCMCガイダンス(CBER)。RMATの2025年改訂案 | 2025年10月6日の通知の第5章(品質管理戦略) | 2022年4月のToolboxガイダンス(ATMPも対象) |
| 確定の状況 | RMATのガイダンスは2025年9月の改訂案が未確定 | 確定した通知 | 確定したガイダンス |
表は事実の整理です(FDA[出典1・5・6・7]、厚生労働省・PMDA[出典9〜12]、EMA[出典22〜24])。「確定の状況」は本記事の調査時点(2026年10月)のものです。欧州の条件付き承認の更新は、本シリーズの別編に基づく要約です。
8. 素材技術者の視点①:迅速化は、材料・製造の準備を前倒しにする
ここまでの一次情報を、材料・工程の側から読み直します。FDAの2025年9月の改訂案、2026年5月のCMCガイダンス、EMAのToolbox、日本の2025年10月の通知が、同じ方向を向いています。
RMAT指定の申請には、初期の臨床的な証拠が必要ですが、FDAのガイダンスは、その証拠は開発に使う予定の製品で作られていることが不可欠だとしています事実[出典5]。 2025年の改訂案は、さらに具体的です。製造変更で、証拠を作った製品と開発製品に違いがあるときは、比較可能性のデータを添えることを推奨し、比較可能性が示せなければ、その証拠は「一般に、RMAT指定を支持しない」としています。 そして、指定を受けた後に製造変更をして、変更前の製品と比較可能性が示せないと、変更後の製品はRMATの要件を満たさなくなりうるとも書いています。ただし脚注は、製造変更が必ずしも初期の指定を妨げたり指定の取り消しにつながるわけではなく、個別に判断するとも述べています事実[出典6]。
材料の側から見ると、培地、血清代替、酵素、ビーズ、ベクター、容器、凍結保存液といった原材料・資材の変更は、すべて「製造変更」になりえます(解説)。 迅速化の指定を狙う開発ほど、初期の臨床ロットの段階から、後で変えない材料を選んでおくことの価値が上がります。 後から安価な代替に変えたい、供給元を増やしたい、という要望は、比較可能性の負担を連れてきます。
2025年の改訂案は、CMCの準備の例として、重要品質特性(CQA)に基づく品質管理戦略の設計、分析法バリデーションと商用の工程バリデーションの計画、スケールアップ・スケールアウトを含む製造変更のリスクベースの戦略を挙げ、 「重要な品質特性を特定できず、品質を確実にできないことで、後の開発が遅れるのを防ぐため、製品の特性評価を早期から開発全体を通して行うことが奨励される」と述べています事実[出典6]。
細胞製品のCQAには、原材料に由来するもの(成長因子の活性、酵素の残存、ビーズの残留、容器からの溶出物など)が含まれうるため、 材料メーカーに求められるのは、納入仕様の数値に加えて、「その材料のどの特性が、製品のどの品質特性に効くか」を、顧客が早期に調べられるだけの情報とサンプルだと読めます(解説)。
| FDA 2026年5月のCMCガイダンスの項目 | 記載(要旨) | 材料・容器に関わる点(解説) |
|---|---|---|
| 臨床開発中のCGMP | 第1相の治験薬の製造は一般に21 CFR Part 211の遵守を免除。ただし工程の特性解析は開発全体で行うことを推奨事実 | 免除は「GMP対応の書類が要らない」ではなく、後で商用に上がるときの宿題を残す |
| 放出試験の判定基準 | 初期は比較的緩い基準を受け入れうるが、第2・3相の開始前に判定基準をあらかじめ定める必要。検証的な試験の前に数値の基準を確立する時期を協議事実 | 原材料の受入基準が、製品の放出基準の根拠になる |
| 比較可能性 | すべての製造変更でリスク評価。軽微で低リスクなら、限られたデータを受け入れうる(変更後の製品の投与前に提出)事実 | 材料の変更は、リスク評価の最初の入力になる |
| プロセスバリデーション(PPQ) | 最小のPPQバッチ数の規定はなく、数を根拠づけて決める。承認後のPPQ完了や、基準を満たすPPQバッチの商用の同時出荷を検討しうる事実 | 少ないロット数で品質の一貫性を示すには、材料のロット間のばらつきが小さいことが前提 |
| 商用規格 | 製品ロットが少ない場合、統計的に頑健な商用基準を定められないことがありうる。承認後に基準を再評価する約束も検討できる。変更は事前承認の補足申請事実 | 承認後に蓄積する製造データ(材料のロットを含む)が、規格の根拠になる |
| 安定性 | 商用施設の3ロット・6か月以上のリアルタイムデータを一般に推奨。リスク評価で別のロット数も。臨床ロットのデータも、商用の工程・処方・容器で作られていれば使える事実 | 容器・栓の仕様は早く決めないと、安定性データを使い回せない |
| 保管サンプル・分析法 | 小さなロットや患者別ロットでは保管サンプルの例外を検討。迅速な微生物試験法など、局方に代わる分析法も、妥当性が示されれば検討事実 | 少量のサンプルで品質を判定できる分析と、容器の完全性評価の設計が効く |
左2列は事実(FDA「CMC Flexibilities for Developing Human Cellular and Gene Therapy Products for a BLA」2026年5月[出典7])。右端の列は本記事による解説です。このガイダンスは「柔軟性の説明」で、個別の製品ごとにFDAと事前に協議することが前提です。
日本の2025年10月6日の通知は、条件及び期限付承認の時点の品質管理について、「複数回の繰返しの検討のみでは、工程パラメータや原料等の変動要因を十分に特定できていない可能性があり、恒常的に製造できるとはいえない」と書いています事実[出典10]。 アクーゴ(2024年7月31日に条件及び期限付承認)では、承認条件として「製造実績が限られることを踏まえ、あらかじめ定めた計画に基づき品質に関する情報を速やかに収集し、治験製品と本品の品質の同等性/同質性を評価して結果を報告すること」、また「必要な承認事項の一部変更承認申請を行い、承認されるまでの間、本品の出荷を行わないこと」が付きました。 この条件は、2025年12月8日の一変承認で、対応済みとして削除されています事実[出典17]。
ここから読めること(解説):承認の時点では、材料や工程の変動要因がまだ十分には分かっていない、という前提で制度が設計されており、 承認後に、実際の製造実績から要因を特定し、必要なら承認事項を変えることが予定されています。材料メーカーにとっては、承認後も、ロットごとの特性データと変更管理の記録が、顧客の「同等性の評価」を支える資料になります。
9. 素材技術者の視点②:期限が付く承認は、「小さな量を、同じ品質で、数年間」供給する約束になる
- 量は小さい:厚生労働省の会議資料は、製造販売後の評価計画で想定する使用の規模を載せています。例えば、アムシェプリは7年間で35例程度、アクーゴは7年間で175例程度(1年25例程度)の使用を想定しています事実[出典19]。アムシェプリは「患者毎にiPS細胞の分化誘導段階から製造を始めるため供給に限界がある」とされ、有効期間は31時間と記載されています[出典19]。年に数例〜数十例の製造に使う材料は、使用量が小さく、しかし1ロットの失敗の重みは大きくなります(解説)
- 供給は承認の運命と連動しうる:ハートシートは2024年7月25日に承認整理の届出が出され、コラテジェンは申請の取り下げにより承認が失効し、市場の製品は速やかに回収されることになりました事実[出典20・21]。期限が付く承認では、材料の供給契約の期間や最小購入量が、製品の承認の結果によって変わりうることを、契約の段階から織り込む必要があります(解説)
- 承認後も変更の手続は続く:条件及び期限付承認を受けた製品でも、承認事項の一部を変更するときは大臣の承認が必要で、その後も先の期限は維持されます(通知)事実[出典10]。材料の変更や供給元の追加は、承認事項の変更に当たる場合があります(解説)。本シリーズ「QbDとCMC」編と「承認申請とリアルワールドデータ」編(DMF/MF)もご覧ください
これらから、細胞・遺伝子治療向けの材料ビジネスは、「大量に安く」ではなく「少量を、変えずに、確かな記録とともに、長く」という方向になりやすいことが読めます(解説)。
10. 課題と、まだ決まっていないこと
(1) RMATの改訂版は確定していない
FDAの「Expedited Programs for Regenerative Medicine Therapies for Serious Conditions」は、2019年2月の確定版[出典5]のほかに、2025年9月の改訂案[出典6・8]があります。2026年5月のFDA文書でも案のままです[出典7]。 本稿の調査時点(2026年10月)で、確定版は確認できませんでした未確定/将来。
(2) FDAの公表統計は更新が止まって見える
RMATの申請・承認の表は、2025年9月30日時点のデータで、ページの更新日は2025年11月です[出典2・3]。それ以降の申請や承認は、本稿では確認していません未確定/将来。
(3) 条件及び期限付承認の「結果」が出た製品は少ない
8製品のうち、期限内の再申請の結果が公表資料で確認できるのは、承認整理(ハートシート)と失効(コラテジェン)の2製品です[出典20・21]。 2026年3月に条件及び期限付承認を受けた製品の通常承認への移行は、まだ先の事項です未確定/将来。
(4) 「柔軟性」の範囲は、個別の協議で決まる
FDA・EMA・厚生労働省の文書は、いずれも「考慮しうる」「検討できる」という書き方で、事前の協議を前提にしています[出典7・24・10]。 どこまで認められるかは、製品・工程・データごとに異なり、本稿は一般化できません。
(5) PRIMEの数字は2016〜2021年のデータ
ATMPが申請の約27%、付与の46%という数字は、EMAの5年報告(2016年3月〜2021年6月)です[出典23]。その後のATMPの数字は、本稿では確認できませんでした。 EUのATMPのGMP(Part IV)は、Annex 1に合わせた改訂の概念文書が2025年3月に公表されています[出典28]。改訂版は確認できていません未確定/将来(本シリーズ「GMP」「細胞製造とセルバンク」編)。
(6) 制度の比較には限界がある
審査期間の定義(起算点、中断の扱い)、指定の要件、承認の形は、国ごとに異なります。本記事の表は見取り図であり、国どうしの優劣や、個々の製品の有効性・安全性の比較を示すものではありません。
- FDAのRMATは、Fast TrackとBreakthroughの利点を併せ持つ再生医療向けの指定です。2016年12月に創設され、2025年9月末までに14品目がRMAT指定を受けて承認されました事実
- RMATの付与は、結果が出た申請の約54%です。申請は2020年度の34件から2025年度の91件へ増えました本稿の計算
- 日本の条件及び期限付承認は、7年以内の期限内に再申請して有効性を検証する制度です。8製品が承認を受け、2製品は承認整理・失効になっています事実
- EUのPRIMEでは、ATMPが申請の約27%、付与の46%を占めました(2016〜2021年)事実。迅速審査から通常の審査に戻る理由には、ATMPで品質の懸念が多く挙げられました
- 指定を受けても、承認に必要なCMC情報は変わりません。臨床で使った製品と開発する製品の同等性、早期の特性評価、安定性と容器の早期の確定が、材料側にも前倒しで求められます(解説)
- 期限が付く承認では、少量・同一品質・長期供給の約束が、材料の契約にも及びます。承認整理や失効があれば供給は止まります(解説)
11. 用語集
- RMAT
- Regenerative Medicine Advanced Therapy。米国の再生医療向けの指定。Fast TrackとBreakthrough Therapyの利点を併せ持つ。
- IND/BLA
- 米国の治験薬申請(IND)と生物製剤承認申請(BLA)。細胞・遺伝子治療はBLAで承認される。
- CBER/OTP
- FDAの生物製剤評価研究センターと、その中で細胞・遺伝子治療を担当する部署。
- ローリング審査
- 申請書の一部が整った段階から順次、審査のために提出できる仕組み(Fast Track等)。
- 迅速承認
- 代替・中間エンドポイントにもとづいて承認し、承認後に確認する仕組み。
- 再生医療等製品
- 日本の薬機法の区分。ヒト細胞加工製品(遺伝子導入細胞を含む)と遺伝子治療用製品。
- 条件及び期限付承認
- 日本の薬機法第23条の26。不均質な再生医療等製品に、条件と7年以内の期限を付して承認し、期限内に再申請させる。
- 先駆的再生医療等製品
- 日本の指定制度。新規作用機序・重篤性・極めて高い有効性または安全性・日本での早期申請が要件。
- 承認条件評価
- 条件及び期限付承認の後に、使用した症例を対象に有効性と安全性を確かめる評価。
- ATMP
- 先端医療医薬品。EUで細胞治療・遺伝子治療・組織工学製品を指す区分。中央審査方式の対象。
- CAT
- EMAの先端医療委員会。ATMPの評価を担当する。
- PRIME
- EMAの優先医薬品制度。アンメットメディカルニーズの薬の開発を早期の対話で支援する。
- CQA/CPP
- 重要品質特性と重要工程パラメータ。品質を決める製品の特性と、それに影響する工程条件。
- PPQ
- プロセスパフォーマンス適格性評価。商用規模の工程の性能を確認するバリデーションの重要な段階。
- 比較可能性(同等性/同質性)
- 製造変更の前後で、製品の品質が同じ(または影響がない)と示すこと。
- RWE
- リアルワールドエビデンス。日常診療のデータの解析から得られる臨床的な証拠。
12. 参考資料(一次情報)
- U.S. FDA(CBER)「Regenerative Medicine Advanced Therapy Designation」(ページ更新日 2025年11月4日) https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/regenerative-medicine-advanced-therapy-designation
- U.S. FDA(CBER)「Cumulative CBER Regenerative Medicine Advanced Therapy (RMAT) Designation Requests Received by Fiscal Year」(2025年9月30日時点のデータ) https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/cumulative-cber-regenerative-medicine-advanced-therapy-rmat-designation-requests-received-fiscal
- U.S. FDA(CBER)「CBER Regenerative Medicine Advanced Therapy (RMAT) Approvals」(2025年9月30日時点のデータ) https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/cber-regenerative-medicine-advanced-therapy-rmat-approvals
- U.S. FDA(CBER)「CBER RMAT Designations Withdrawn after Granting or Rescinded by Fiscal Year」(2025年6月30日時点のデータ) https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/cber-regenerative-medicine-advanced-therapy-rmat-designations-withdrawn-after-granting-or-rescinded
- U.S. FDA(CBER)「Expedited Programs for Regenerative Medicine Therapies for Serious Conditions — Guidance for Industry」2019年2月(PDF) https://www.fda.gov/media/120267/download
- U.S. FDA(CBER)「Expedited Programs for Regenerative Medicine Therapies for Serious Conditions — Draft Guidance for Industry」2025年9月(PDF) https://www.fda.gov/media/188874/download
- U.S. FDA(CBER)「Chemistry, Manufacturing, and Controls Flexibilities for Developing Human Cellular and Gene Therapy Products for a Biologics License Application — Guidance for Industry」2026年5月(PDF) https://www.fda.gov/media/192321/download
- Federal Register「Expedited Programs for Regenerative Medicine Therapies for Serious Conditions; Draft Guidance for Industry; Availability」90 FR(2025年9月25日、FR Doc. 2025-18653) https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-09-25/pdf/2025-18653.pdf
- 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長医薬機審発0329第3号(令和6年3月29日)「再生医療等製品に係る条件及び期限付承認並びにその後の有効性評価計画策定に関するガイダンスについて」 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001631279.pdf
- 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長医薬機審発1006第1号(令和7年10月6日)「再生医療等製品の条件及び期限付承認の取扱いについて」 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001631280.pdf
- 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長医薬機審発0112第1号(令和6年1月12日)「『先駆的医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の指定等に関する取扱いについて』の一部改正について」(PMDA掲載) https://www.pmda.go.jp/files/000240376.pdf
- 厚生労働省報道発表資料「『先駆け審査指定制度』の対象品目の募集を開始します」平成29年10月5日 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179802.html
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2015年度承認品目一覧(再生医療等製品)」(PDF) https://www.pmda.go.jp/files/000228179.pdf
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2018年度承認品目一覧(再生医療等製品)」(PDF) https://www.pmda.go.jp/files/000231456.pdf
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2021年度承認品目一覧(再生医療等製品)」(PDF) https://www.pmda.go.jp/files/000246141.pdf
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2024年度承認品目一覧(再生医療等製品)」(PDF) https://www.pmda.go.jp/files/000274840.pdf
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2025年度承認品目一覧(再生医療等製品)」(PDF) https://www.pmda.go.jp/files/000280052.pdf
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2026年度承認品目一覧(再生医療等製品)」(PDF) https://www.pmda.go.jp/files/000282058.pdf
- 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課「再生医療等製品3品目の条件及び期限付き承認について」中医協 総-11 参考2、令和8年4月8日(PDF) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001687611.pdf
- 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課医薬機審発0725第1号(令和6年7月25日)「条件及び期限付承認された再生医療等製品の承認整理について」(保医発0725第4号に添付、PDF) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001284995.pdf
- 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課医薬機審発0627第1号(令和6年6月27日)「第23条の26第5項の規定に基づき行われた申請の取下げについて」(保医発0627第1号に添付、条件及び期限付承認を受けた製品の一覧を含む、PDF) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001284993.pdf
- European Medicines Agency「PRIME: priority medicines」 https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/research-development/prime-priority-medicines
- European Medicines Agency「PRIME: Analysis of the first 5 years' experience」2022年(PDF) https://www.ema.europa.eu/system/files/documents/report/2022-03_prime_5_years_report_updated_2022-04-05-en.pdf
- European Medicines Agency「Toolbox guidance on scientific elements and regulatory tools to support quality data packages for PRIME and certain marketing authorisation applications targeting an unmet medical need」2022年4月(EMA/CHMP/BWP/QWP/IWG/694114/2019、PDF) https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/toolbox-guidance-scientific-elements-and-regulatory-tools-support-quality-data-packages-prime-and-certain-marketing-authorisation-applications-targeting-unmet-medical-need_en.pdf
- EMA/U.S. FDA「EMA–FDA joint Q&As on Quality and GMP aspects of PRIME/Breakthrough therapy applications」2023年12月4日(EMA/CHMP/531552/2023、PDF) https://www.ema.europa.eu/en/documents/other/ema-fda-joint-qas-quality-gmp-aspects-prime-breakthrough-therapy-applications_en.pdf
- European Medicines Agency「Advanced therapies: marketing authorisation」 https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/marketing-authorisation/advanced-therapies-marketing-authorisation
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「2025年度承認品目一覧(新再生医療等製品)」ページ(希少疾病用再生医療等製品の説明を含む) https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/ctp/0017.html
- European Medicines Agency「Concept paper on the revision of Part IV Guidelines on Good Manufacturing Practice specific to Advanced Therapy Medicinal Products」2025年3月11日(EMA/INS/GMP/48771/2025、PDF) https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/concept-paper-revision-part-iv-guidelines-good-manufacturing-practice-specific-advanced-therapy-medicinal-products_en.pdf
13. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| RMATの適格要件(再生医療の治療法、重篤な疾患、初期臨床証拠によるアンメットメディカルニーズへの可能性)、申請はINDと同時またはIND修正で行い臨床保留中は付与されないこと、60暦日以内に回答すること、再生医療の治療法の範囲と一部の遺伝子治療・異種細胞製品も含まれうること。2016年12月13日のCures Actによる創設 | FDA RMATのページ 出典1 https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/regenerative-medicine-advanced-therapy-designation | 事実 |
| 年度別のRMAT申請数・付与・却下・取り下げ(2017〜2025年度)、結果待ちの申請も申請数に含まれること | FDA RMAT申請の累計表 出典2 https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/cumulative-cber-regenerative-medicine-advanced-therapy-rmat-designation-requests-received-fiscal | 事実 |
| RMAT指定を受けて承認された14品目(承認日、販売名、一般名、用途)。2025年9月30日時点 | FDA RMAT承認一覧 出典3 https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/cber-regenerative-medicine-advanced-therapy-rmat-approvals | 事実 |
| 付与後の取り下げ・取り消しが全年度で0件であること(2025年6月30日時点のデータ) | FDA RMAT取り下げ・取り消しの表 出典4 https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/cber-regenerative-medicine-advanced-therapy-rmat-designations-withdrawn-after-granting-or-rescinded | 事実 |
| Fast Track・Breakthrough Therapy・RMATの要件と利点の比較、ローリング審査、優先審査(60日で判断、6か月の審査目標)、迅速承認と506(g)(7)による承認後の要件の満たし方(患者レジストリ・RWEなど)、初期臨床証拠が開発に使う製品で生成されていることが不可欠であること、製造変更に関する脚注。2019年2月の確定版 | FDA 2019年ガイダンス 出典5 https://www.fda.gov/media/120267/download | 事実 |
| 改訂案が確定すれば2019年版を置き換えること、PDUFA VIIの約束にもとづくこと。CMC準備(CQAの理解、分析法・商用工程のバリデーション、製造変更・スケールアップ・スケールアウトのリスクベースの戦略、早期の特性評価)。指定がCMC情報の要件を変えないこと。比較可能性が示せない場合の指定への影響。RWEを確認的証拠の穴埋めに使える限られた場合と受け入れの要因。プラットフォーム技術指定への言及。2025年9月 | FDA 2025年改訂案 出典6 https://www.fda.gov/media/188874/download | 事実 |
| CGT製品の開発上の課題(複雑さ、患者別製造、高度な工程、少ない患者数・製造回数、分析、短い有効期間)。フェーズに応じたCGMP、放出基準の事前設定、リスクベースの比較可能性、先行知識の活用、PPQバッチ数・同時出荷、商用規格の柔軟性、分析法の検証、承認後の規格再評価、安定性(3ロット・6か月)、保管サンプルの例外、代替の分析法。2026年5月。RMATの改訂案が引き続き「案」と記されていること | FDA 2026年CMCガイダンス 出典7 https://www.fda.gov/media/192321/download | 事実 |
| RMATの改訂案が2025年9月25日付で公表され、確定すれば2019年2月の確定版を置き換えること(FR Doc. 2025-18653、コメント期限2025年11月24日) | Federal Register 2025年9月25日 出典8 https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-09-25/pdf/2025-18653.pdf | 事実 |
| 再生医療等製品の区分(薬機法第2条第9項)、条件及び期限付承認(第23条の26)の3要件(均質でない、有効性の推定、著しく有害でない)と7年を超えない期限、4製品(2024年3月時点)、趣旨(不均質な製品、希少疾患、少数例)、最終目的とせず有効性の検証まで計画すべきこと、有効性が確認されなければ承認の継続は認められないこと | 厚生労働省通知(令和6年3月29日) 出典9 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001631279.pdf | 事実 |
| 期限の延長(3年を超えない範囲、第23条の26第2項)、期限内の再申請(同第5項)と処分までの効力(第6項)、申請区分、承認条件評価基本計画書、全例を対象とすること、再申請後の取り下げ・承認整理でも成績を審査して公開すること、承認事項の変更手続(先の期限は維持)、品質管理戦略・ベリフィケーション・継続的改善(第5章) | 厚生労働省通知(令和7年10月6日) 出典10 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001631280.pdf | 事実 |
| 先駆的再生医療等製品の指定(法第77条の2第2項)の4要件、指定の方法(当面は年2回程度)、優先相談、事前評価の充実、優先審査、コンシェルジュ。令和6年1月12日の一部改正(令和2年8月31日の通知の改正) | 厚生労働省通知(令和6年1月12日) 出典11 https://www.pmda.go.jp/files/000240376.pdf | 事実 |
| 先駆け審査指定制度が2015年4月1日に創設されたこと、通常の新医薬品が12か月・先駆け指定品目が6か月を目標とすること(2017年10月時点の説明) | 厚生労働省 報道発表(平成29年10月5日) 出典12 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179802.html | 事実 |
| ハートシートが2015年9月18日に条件及び期限付承認とされたこと | PMDA 2015年度承認品目一覧 出典13 https://www.pmda.go.jp/files/000228179.pdf | 事実 |
| ステミラック注(2018年12月28日)とコラテジェン筋注用4mg(2019年3月26日)が条件及び期限付承認とされたこと | PMDA 2018年度承認品目一覧 出典14 https://www.pmda.go.jp/files/000231456.pdf | 事実 |
| デリタクト注が2021年6月11日に条件及び期限付承認とされたこと | PMDA 2021年度承認品目一覧 出典15 https://www.pmda.go.jp/files/000246141.pdf | 事実 |
| アクーゴ脳内移植用注が2024年7月31日に条件及び期限付承認とされ、希少疾病用・先駆け審査指定の対象であること | PMDA 2024年度承認品目一覧 出典16 https://www.pmda.go.jp/files/000274840.pdf | 事実 |
| エレビジス点滴静注(2025年5月13日)、リハート・アムシェプリ(2026年3月6日)が条件及び期限付承認とされたこと。アクーゴの2025年12月8日の一変承認で品質の同等性/同質性に関する承認条件が削除されたこと。希少疾病用・先駆け審査指定の記載 | PMDA 2025年度承認品目一覧 出典17 https://www.pmda.go.jp/files/000280052.pdf | 事実 |
| 2026年度(2026年7月17日までの掲載分)に条件及び期限付承認とされた新規の品目がないこと | PMDA 2026年度承認品目一覧 出典18 https://www.pmda.go.jp/files/000282058.pdf | 事実 |
| リハート・アムシェプリ・アクーゴの申請日、期限(7年)、希少疾病用・先駆け審査指定の記載、アムシェプリの有効期間31時間、市販後の使用の想定規模(アムシェプリ7年間で35例程度、アクーゴ7年間で175例程度・1年25例程度) | 厚生労働省 中医協資料(令和8年4月8日) 出典19 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001687611.pdf | 事実 |
| ハートシートの申請(2023年9月7日)、期限(2023年9月17日)、承認整理日(2024年7月25日) | 厚生労働省 通知(令和6年7月25日) 出典20 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001284995.pdf | 事実 |
| コラテジェンの期限到来日(2024年3月25日)、再申請(2023年5月31日)、申請取下げ(2024年6月27日)と承認の失効、流通品の回収。条件及び期限付承認を受けた4製品の承認日と承認期限(ハートシート5年+3年延長、ステミラック7年、コラテジェン5年、デリタクト7年) | 厚生労働省 通知(令和6年6月27日) 出典21 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001284993.pdf | 事実 |
| PRIMEの目的、利点(CHMP/CATの担当者の早期指名、キックオフ会議、反復的な科学的助言、申請準備会議、迅速審査の確認)、早期参入PRIME、申請の時期、2026年7月時点の累計(付与26%、却下67%) | EMA PRIMEのページ 出典22 https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/research-development/prime-priority-medicines | 事実 |
| ATMPがPRIME申請の約27%で付与の46%を占めること、迅速審査で始まったPRIME製品16件中7件(44%)がATMPで非PRIMEは1件(4%)、迅速審査から通常審査への切り替え理由にATMPの品質の懸念(規格、製造上の問題、工程管理)、PRIMEの分析で切り替えが56%。2016年3月〜2021年6月のデータ | EMA PRIME 5年報告 出典23 https://www.ema.europa.eu/system/files/documents/report/2022-03_prime_5_years_report_updated_2022-04-05-en.pdf | 事実 |
| 安定性(より短い期間、3ロット未満の可能性)、工程バリデーションのプロトコルの扱い(新しいセルバンクの導入など)、出発材料のGMP水準(学術機関のMCBの例外)、ATMPの比較可能性(ICH Q5E対象外、別のQ&A)、2022年4月 | EMA Toolboxガイダンス 出典24 https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/toolbox-guidance-scientific-elements-and-regulatory-tools-support-quality-data-packages-prime-and-certain-marketing-authorisation-applications-targeting-unmet-medical-need_en.pdf | 事実 |
| EMAとFDAの共同Q&Aの対象(FDA側はCDER所管の製品のみで、CBER所管のATMPは範囲外)、論点(管理戦略、工程バリデーション、安定性、GMP)。2023年12月4日 | EMA–FDA共同Q&A 出典25 https://www.ema.europa.eu/en/documents/other/ema-fda-joint-qas-quality-gmp-aspects-prime-breakthrough-therapy-applications_en.pdf | 事実 |
| EMAがすべてのATMPを中央審査方式の必須の対象として科学的評価を行うこと、ATMPかどうかの事前確認ができること | EMA ATMPの販売承認のページ 出典26 https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/marketing-authorisation/advanced-therapies-marketing-authorisation | 事実 |
| 希少疾病用再生医療等製品の指定要件(国内の対象患者5万人未満など)と、優先的に審査されること | PMDA 承認品目一覧のページ 出典27 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/ctp/0017.html | 事実 |
| EU GMP Part IVをAnnex 1に合わせて改訂する方針を示した概念文書(2025年3月11日付) | EMA 概念文書 出典28 https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/concept-paper-revision-part-iv-guidelines-good-manufacturing-practice-specific-advanced-therapy-medicinal-products_en.pdf | 事実 |
| RMATのガイダンス改訂案の確定、2025年11月以降のRMAT統計、2026年3月に条件及び期限付承認を受けた製品の通常承認への移行、PRIMEのATMP別の最新の数字、EU Part IVの改訂版 | いずれも本稿の調査時点(2026年10月)で一次情報から確認できなかった。案・改訂中・今後の事項を含む | 未確定/将来 |
| RMATの付与率(193÷358=約54%、年度別38%〜75%)、結果待ち16件(388−193−165−14)、申請の約2.7倍(91÷34)、承認14÷付与193=約7%、年別の承認数(2021年3、2022年0、2023年4、2024年6、2025年1)、条件及び期限付承認の8製品という数 | 本稿の計算。付与率は取り下げと結果待ちを除いた比率、年別の承認数はFDAの承認一覧の承認日から数えた値、8製品は厚生労働省の4製品(2024年3月時点)にPMDAの2024〜2026年度の一覧の4製品を加えた数。指定から承認までの時間差があり、成功率ではない | 本稿の計算 |
| 図1の3区分(開発中の助言/審査/承認の形)への整理と三極の表。制度の運用の違いが材料・製造の準備を前倒しにするという読み取り。臨床で使った製品と開発製品の同一性が材料の初期選択に及ぶという読み取り。材料メーカーに求められる情報(CQAとの関係)という整理。FDA 2026年CMCガイダンスの各項目が材料・容器に関わる点の解説。承認後の変更管理が顧客の同等性評価を支えるという整理。小さな量・変えない・長期供給の約束という整理。承認整理・失効が供給契約に影響しうるという指摘。図4の段階への並べ方 | 公表資料にもとづく本記事の整理・解説。FDA・EMA・厚生労働省・PMDAが表明した見解ではない | 解説 |
| 個々の製品の効能・効果、臨床成績、有効性・安全性の評価、製品どうしの比較 | 本記事は承認制度と材料・製造の接点の解説であり、評価・比較は行っていない。製品名は制度の運用例として当局が公表した情報に限って引用した | 解説 |
| 図1・図2・図3・図4が実際の手続書類や審査記録ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図5がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月1日/出典は一次情報(FDA・EMAの公表資料とガイダンス、厚生労働省の通知・会議資料、PMDAの承認品目一覧、Federal Register)に限定しています。 制度の整理や材料・製造の観点からの読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 RMATのガイダンスは2025年9月の改訂案が確定しておらず、FDAのRMAT統計は2025年9月30日時点のデータです。EMAのPRIMEのATMPの数字は2016〜2021年のものです。 審査期間・指定の要件は国ごとに定義が異なるため、国どうしの優劣を示すものではありません。市場規模・シェアの推計値は使用していません。 本記事は承認制度の解説であり、個々の製品の効果・安全性を評価するものではなく、医療上の助言でもありません。 図1〜図4はベクター作図、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の申請書類や審査の記録、製品の実物を示すものではありません。