主要成果
世界的なAIコンピューティングインフラブームがGPU、CPU、ASICといった高性能プロセッサの需要を劇的に押し上げており、その結果、ABF(Ajinomoto Build-up Film)基板業界は2026年から供給不足に陥り、2027年から2028年にはさらに不足が深刻化すると予測されています。この状況を受け、台湾、日本、韓国の主要なIC基板メーカーは、既に2029年から2030年までの受注を見通していると報じられています。これに対応するため、Ibiden(イビデン)、Unimicron(ユニマイクロン)、Kinsus(キンサス)、Nan Ya Printed Circuit Board(南亜プリントサーキットボード)、Leading(リーディング)、Samsung Electro-Mechanics(サムスン電機)といった各社が、新たな設備拡張投資ラウンドに突入しています。
技術・臨床詳細
ABF基板は、CPU、GPU、ASICなどの高性能ロジックICのパッケージ基板に使用される絶縁フィルムであり、多層化・微細化が進む先端パッケージングにおいて不可欠な材料です。AIチップがより大規模なパッケージと高集積度を要求するにつれて、ABF基板にはより多くの層と広い面積が求められ、その消費量が増加しています。例えば、高帯域幅メモリ(HBM)を搭載した2.5D/3Dパッケージングでは、複数のチップを接続するための複雑な配線パターンと、それを支える強固な基板構造が必要です。ABF材料は、このような微細な回路形成と高い電気的性能を両立させるために重要な役割を果たします。
背景・業界文脈
2021年から2022年にかけてもABF基板の不足は発生し、供給が需要を約20%下回っていました。その後、2023年に新たな生産能力が稼働し始めると不足は一時的に緩和されると予想されていましたが、現在のAI需要の急増は、それをはるかに上回るペースでABF基板の消費を押し上げています。この不足は、ダイ容量があったとしてもCPU、GPU、およびネットワークシリコンの生産量を制限する可能性があり、AIチップのサプライチェーンにおける隠れた、しかし決定的なボトルネックとなっています。味の素が世界のABF市場の約95%を独占している現状も、供給問題の深刻さに拍車をかけています。
今後の展望
ABF基板の供給不足は、短期的にはAIチップの生産計画に影響を及ぼし、高価格化を招く可能性があります。しかし、各メーカーによる大規模な設備投資は、中長期的には供給能力の改善につながるでしょう。台湾、日本、韓国の企業が投資を加速させることで、ABF基板の生産能力は徐々に増強されると期待されますが、需要の伸びによっては、依然としてタイトな供給状況が続く可能性もあります。この状況は、材料サプライヤーとIC基板メーカー間の協力関係をさらに強化し、サプライチェーン全体のレジリエンスを高めるための戦略的投資を促すことになるでしょう。
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