主要成果
AIチップがより大規模かつ複雑なパッケージを要求するにつれて、次世代パッケージング材料としてのガラス基板を巡る開発競争が激化しています。この状況下で、日本の新光電気工業は、ガラス基板の両面にそれぞれ11層の銅配線層を積層した、合計22層のガラス基板の開発に成功しました。この重要な技術的ブレークスルーは、ガラス基板の多層化における主要な課題であった内部亀裂や層間剥離(一般にSeWaRe問題と呼ばれる)に対処するものです。新光電気工業は、2026年7月に開催されたAdvanced Packaging Summit 2026において、この最新のガラスコア基板を展示し、その技術力を世界に示しました。
技術・臨床詳細
ガラス基板の多層化は、AIチップの高密度相互接続を実現するために不可欠ですが、熱膨張係数の異なる材料を何層も積層する際に、内部応力による亀裂や剥離が発生しやすいという課題がありました。新光電気工業が開発した22層ガラス基板は、このSeWaRe問題を克服するための独自の材料設計とプロセス技術を組み込んでいると考えられます。具体的には、ガラスコアの選定、銅配線層と絶縁層の材料適合性、および積層時の温度プロファイルや圧力制御の最適化が鍵となります。これにより、優れた寸法安定性と電気的特性を維持しつつ、AIチップの高性能化に必要な広帯域幅と低電力損失を実現する、信頼性の高いパッケージ基板の提供が可能になります。ガラス基板はまた、既存の有機基板と比較して表面平坦性に優れるため、微細な配線パターン形成やチップレットの精密な配置にも有利です。
背景・業界文脈
高性能AIプロセッサは、HBM(高帯域幅メモリ)を始めとする多数のチップレットを統合する2.5D/3Dパッケージングを採用しており、このような複雑な構造を支える基板には、優れた熱安定性、信号完全性、および機械的強度が求められています。従来の有機基板では、反りや配線密度の限界から、AIチップのさらなる進化が困難になりつつあります。ガラス基板はこれらの課題に対する有望なソリューションとして、IntelやSKCなどの大手企業も開発を強化しており、世界的な技術競争が活発化しています。新光電気工業の今回の成果は、特に多層化技術において日本の材料技術が高い競争力を持っていることを示しており、次世代AIチップのサプライチェーンにおける日本の役割を強化するものです。
今後の展望
新光電気工業による22層ガラス基板の成功は、ガラス基板の量産化に向けた重要な一歩となります。これにより、より多くのAIチップがガラス基板を採用し、AIコンピューティングの性能と効率がさらに向上することが期待されます。今後は、製造コストの削減、生産スループットの向上、およびさらなる高層化・微細化技術の開発が焦点となるでしょう。また、サムスン電機が立ち上げに不確実性を抱えていると報じられているように、ガラス基板の製造には高度な技術と設備投資が必要であり、技術リーダーシップを持つ企業が市場を牽引していくと考えられます。ガラス基板は、将来のAIデータセンター、エッジAI、および高性能モバイルデバイスにおける半導体パッケージングの新たな標準を確立する可能性を秘めています。
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