香港科技大学、PEDOT:PSSフリー全ペロブスカイトタンデム太陽電池で29.1%効率と800時間安定性を実現

EurekAlert! 香港
概要
香港科技大学(HKUST)の研究者たちは、分子界面工学を通じてPEDOT:PSSフリーの全ペロブスカイトタンデム太陽電池の性能と耐久性を画期的に向上させました。この革新的なデバイスは、電力変換効率(PCE)29.1%を達成し、約40°Cでの連続動作800時間後も初期効率の90%を維持する優れた運用安定性を示しました。さらに、四端子全無機ペロブスカイトタンデムセルでは、認証効率21.54%を達成し、65°Cで1,210時間、85°Cで650時間の連続動作後も初期効率の80%を維持しています。この成果は、ペロブスカイト太陽電池の商業化における主要な障壁である安定性問題の解決に大きく貢献するものです。
詳細

主要成果

香港科技大学(HKUST)の研究者チームは、分子界面工学(molecular interface engineering)を駆使し、全ペロブスカイトタンデム太陽電池の性能と長期耐久性を大幅に向上させることに成功しました。特に、PEDOT:PSS(有機導電性ポリマー)を使用しない全ペロブスカイトタンデム太陽電池で、29.1%という高い電力変換効率を達成し、かつ優れた運用安定性を示しました。

技術・臨床詳細

この研究の鍵は、PEDOT:PSSを使用せずに、効率的かつ安定した電荷輸送を可能にする新しい界面層を設計した点にあります。PEDOT:PSSは一般的な正孔輸送材料ですが、吸湿性や化学的不安定性から長期安定性の問題を引き起こすことが知られています。HKUSTチームは、この有機材料を排除することで、デバイスの固有の安定性を向上させました。

開発された全ペロブスカイトタンデム太陽電池は、29.1%のPCEを達成し、これは単一のペロブスカイト層またはシリコン層を大きく上回る効率です。さらに重要なのは、約40°Cの環境下での連続最大電力点追従(MPPT)試験において、800時間後も初期効率の90%を維持したという運用安定性のデータです。これは商業化において最も重視される耐久性指標の一つです。

また、同チームは四端子全無機ペロブスカイトタンデムセルでも成果を上げており、認証効率21.54%を達成しました。この無機タンデムセルは、より厳しい環境下での安定性も検証され、65°Cで1,210時間、85°Cで650時間の連続動作後も初期効率の80%を保持しています。これは、高温環境や長期使用における堅牢性を示すものです。

背景・業界文脈

全ペロブスカイトタンデム太陽電池は、従来のシリコン系タンデムとは異なり、両方の層にペロブスカイト材料を使用するため、より柔軟な設計と製造コストの削減が期待されます。しかし、その実現には、各ペロブスカイト層の最適化に加え、界面における電荷輸送と安定性の課題が残されていました。特に有機材料の使用は、デバイスの長期信頼性にとって大きなボトルネックとなることが多いため、PEDOT:PSSフリーのアプローチは、業界にとって大きな意義を持ちます。香港は、高度な材料科学研究と製造技術のハブとして知られており、この研究はその地位をさらに強化するものです。

今後の展望

HKUSTの分子界面工学によるこのブレークスルーは、ペロブスカイト太陽電池が直面していた主要な耐久性問題に対する実用的な解決策を提示するものです。29.1%の高効率と優れた長期安定性の両立は、全ペロブスカイトタンデム太陽電池の商業化を加速させ、建物統合型太陽光発電(BIPV)、フレキシブル太陽電池、さらには車両統合型太陽光発電(VIPV)など、幅広いアプリケーションでの普及に道を開くでしょう。特に、有機材料を使用しないことで、より過酷な環境下での利用が可能になり、ペロブスカイト技術がエネルギー市場でより大きな役割を果たすための基盤を築きます。

元記事: https://www.eurekalert.org/news-releases/1136571

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