レゾナック・ホールディングス、ナノカーボン材料規制に関する日本の意見書を支持し科学的根拠に基づく議論を要求

概要
レゾナック・ホールディングスは、ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)がドイツ連邦労働安全衛生研究所(BAuA)によるREACH規則改訂案に対して提出したポジションペーパー(意見書)への賛同を発表した。NBCIの意見書は、BAuAが多様なカーボンナノチューブ(CNT)をその形状とサイズのみに基づいて一律にグループ化しようとする提案が科学的根拠を欠いていると批判している。レゾナックは、このような規制がCNTの幅広い産業応用を阻害し、欧州市民および国際社会がその恩恵を享受できなくなる可能性があるとの懸念を共有し、ナノ材料の安全性評価と規制に関する科学的エビデンスに基づいた継続的な議論の必要性を強調している。
詳細

背景にあるナノマテリアル規制の課題

カーボンナノチューブ(CNT)に代表されるナノマテリアルは、そのユニークな物理的・化学的特性から、エレクトロニクス、エネルギー、自動車、医療といった幅広い産業分野で革新的な応用が期待されています。しかし、その微細なサイズと高い比表面積ゆえに、従来の化学物質とは異なる安全性評価が必要とされており、各国で適切な規制枠組みの構築が模索されています。特に欧州連合のREACH規則(化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規則)は、化学物質規制の国際的な基準の一つですが、ナノマテリアルの特殊性に対応するための改訂が議論されています。この議論の中で、ドイツ連邦労働安全衛生研究所(BAuA)が提唱する改訂案が、産業界と科学界から懸念の声を集めています。

ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)の意見書とレゾナックの賛同

BAuAのREACH規則改訂案は、多様なCNTを、その物理的特性(特に形状とサイズ)のみに基づいて、世界保健機関(WHO)が定義する「繊維状物質」として一律にグループ化し、規制を強化しようとするものです。これに対し、日本のナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)は2026年1月にポジションペーパー(意見書)を提出し、以下の点を強く批判しました。

  • 科学的根拠の欠如: CNTはその製造方法や構造によって特性が大きく異なり、一律に「繊維状物質」として分類することは科学的合理性を欠く。例えば、単層CNTと多層CNTでは生体内での挙動や毒性プロファイルが異なる可能性があり、個別具体的な評価が不可欠である。
  • イノベーション阻害の懸念: 不適切な一律規制は、CNTの持つ広範な産業応用(高性能電池、複合材料、電子デバイスなど)の可能性を制限し、技術革新を阻害する恐れがある。これは、欧州および国際社会全体がナノテクノロジーの恩恵を享受できなくなることを意味する。

日本の大手化学メーカーであるレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工)は、このNBCIの意見書に強く賛同する意を表明しました。レゾナックは、ナノカーボン材料の開発・製造に携わる企業として、安全性確保の重要性を認識しつつも、科学的エビデンスに基づかない規制が産業の健全な発展を妨げることに警鐘を鳴らしています。

国際的な影響と今後の展望

ナノマテリアルの規制問題は、一国や一地域の枠を超えたグローバルな課題です。欧州におけるREACH規則の改訂は、世界の他の地域におけるナノ材料の製造、使用、貿易に大きな影響を与える可能性があります。特に、日本のようなナノテクノロジー先進国からの意見は、国際的な規制議論において重要な意味を持ちます。

レゾナックとNBCIの行動は、産業界が安全性とイノベーションのバランスを追求し、科学的根拠に基づいた建設的な対話を求める姿勢を明確に示しています。今後、REACH規則改訂に関する議論は、ナノテクノロジーが持続可能な発展を遂げるために、より深く、多角的な科学的対話と国際的な協調が必要となることを示唆しており、その動向が注目されます。

元記事: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000185.000102176.html

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