主要成果
AIチップ製造における先端パッケージング技術、特にTSMCのCoWoSが深刻な供給ボトルネックとなっており、主要なAIチップ設計企業であるNVIDIAが、その解決策として競合であるIntelのEMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)技術を将来のGPU生産に採用することを検討していると報じられました。この動きは、AIチップ需要の爆発的な増加が、ウェハ製造だけでなく、チップの最終的な統合と接続を担う後工程、特に2.5D/3Dパッケージング能力に新たな、より喫緊の制約をもたらしていることを明確に示しています。
技術・ビジネス詳細
- NVIDIAの動きは、市場の多様な先端パッケージングソリューションへの関心が高まっていることを示唆しており、IntelのEMIBは、異なるプロセスノードで製造された複数のダイ(チップ)を単一パッケージ内で接続する技術で、CoWoSとは異なるアプローチを提供します。この選択は、NVIDIAがサプライチェーンの柔軟性を高め、CoWoSの逼迫した供給状況から来るリスクを分散させようとする戦略的な試みと見られます。
- 世界中の主要なOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)プロバイダーも、この需要に応えるべく大規模な投資を発表しています。台湾のASE Technologyは、2026年の先端パッケージング売上が35億ドルを超え、前年比10%の成長を達成すると予測しており、業界の成長を牽引しています。
- 米国のAmkor Technologyは、アリゾナ州に70億ドルを投じて大規模な先端パッケージングおよびテスト施設を建設する計画を明らかにしました。この施設は2028年初頭に初期生産を開始し、AI、HPC(高性能コンピューティング)、通信、自動車、産業アプリケーション向けのチップのパッケージングを担う予定です。これは米国内における半導体サプライチェーンの強化を目指す動きの一環でもあります。
- 日本のIbidenは、AIサーバー向け高性能ICパッケージ基板の需要が2030年までに大幅に拡大すると予測しており、同分野での約5000億円の設備投資計画を2028年までに実行することを表明しています。また、日本の味の素は、ABF(Ajinomoto Build-up Film)と呼ばれる高性能パッケージ基板の層間絶縁材料市場で95%以上の圧倒的なシェアを維持しており、AIチップの性能向上を支える重要な材料サプライヤーとしての地位を確立しています。
- メモリ分野では、韓国のSK Hynixが次世代HBMであるHBM4E向けに改良されたMR-MUF(Mass Reflow Molded Underfill)プロセス技術を開発し、熱抵抗を従来のプロセスと比較して17%削減したと発表しました。これにより、HBMスタックの放熱性能が向上し、AIアクセラレータのさらなる高性能化と信頼性向上に貢献します。
背景・業界文脈
AIの進化は、CPUやGPUの演算能力だけでなく、それらを効率的に接続し、大量のデータを高速に処理するためのパッケージング技術とHBMのような高性能メモリの統合を不可欠にしています。現在のボトルネックは、単にチップ製造の最先端ノードだけでなく、これらのチップを統合する2.5D/3Dパッケージング能力、特にTSMCのCoWoSのような技術に集中しています。これにより、半導体業界全体で後工程、特に先端パッケージングと材料、そしてテストに対する大規模な設備投資と技術開発が急務となっています。
今後の展望
AIチップの需要は今後も指数関数的に増加すると予想されており、これに伴い先端パッケージング技術とそれに必要な材料、装置への投資はさらに加速するでしょう。NVIDIAがIntelのEMIBを検討するような動きは、サプライチェーンの多様化とリスクヘッジの重要性を浮き彫りにし、複数のパッケージング技術が共存する未来を示唆しています。ガラス基板のような次世代基板技術の開発や、HBMの熱管理技術の進化も、AIハードウェアの性能向上とコスト効率化に不可欠であり、これらの分野での競争と協力が今後の業界の動向を左右すると考えられます。
元記事: https://economy.ac/news/2026/07/202607289543
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