延世大学チョン・ジンセ教授、革新的遺伝子編集で難聴患者に希望を

概要
第33回医堂学術賞を受賞した延世大学医学部のチョン・ジンセ教授は、革新的な遺伝子編集技術を通じて難聴患者に希望を与えることに尽力しています。彼の研究は、遺伝性難聴の診断と治療、特にKCNQ4遺伝子変異による進行性難聴の治療に焦点を当てています。チームは、CRISPR-Cas9ベースの遺伝子矯正技術と、ウイルスを使用しない新しい送達プラットフォームeVLP(engineered Virus-Like Particles)を開発し、聴覚機能の回復の可能性を示しました。
詳細

背景

先天性難聴は新生児の約1,000人に3~4人が罹患し、その約半数が遺伝的原因によるものですが、根本的な治療法はいまだ確立されていません。特に遺伝性難聴の患者は、診断を受けても治療の選択肢が限られているのが現状です。従来の治療法は症状の緩和に留まり、根本的な聴覚回復には至らないことが多かったため、革新的なアプローチが強く求められていました。遺伝子編集技術の進歩は、この分野に新たな治療の可能性をもたらしています。

主要内容

延世大学医学部のチョン・ジンセ教授は、長年にわたり難聴の診断と治療に関する研究を推進し、第33回医堂学術賞を受賞しました。彼の研究チームは、10年以上にわたって3,500人以上の遺伝性難聴患者のコホートを構築し、進行性難聴の原因遺伝子としてKCNQ4遺伝子など主要な原因遺伝子を特定しました。チームは、KCNQ4変異誘発性難聴を治療するためのCRISPR-Cas9ベースの遺伝子矯正技術の研究に取り組んできました。2022年には、AAV(アデノ随伴ウイルス)を用いた内耳への遺伝子送達により聴覚改善の可能性を確認しましたが、ウイルスベース送達の安全性上の限界を認識し、2025年には遺伝子編集ツールを内耳に送達するための新しい非ウイルス性プラットフォームであるeVLP(engineered Virus-Like Particles)を開発しました。このeVLPシステムは、迅速な遺伝子編集と迅速な分解を可能にするよう設計されており、約20dBの聴覚改善と最大50%の遺伝子編集効率を達成しました。これは、非ウイルス性送達システムを用いた耳での聴覚機能回復を世界で初めて実証したものです。

影響と展望

チョン・ジンセ教授らの研究は、遺伝性難聴の根本的な治療に向けた大きな一歩となります。非ウイルス性送達システムであるeVLPの開発は、遺伝子治療における安全性と臨床応用への道筋を大きく改善する可能性を秘めています。従来のウイルスベクターが抱える免疫原性や挿入変異のリスクを回避できるため、特に繊細な内耳組織への適用において有利です。約20dBの聴覚改善という成果は、患者の日常生活の質を大幅に向上させる可能性を示唆しています。この技術がさらに発展し、臨床応用されれば、これまで治療法がなかった多くの難聴患者に、聴覚回復という新たな希望をもたらすことができるでしょう。また、この非ウイルス性送達技術は、内耳疾患だけでなく、他の遺伝性疾患に対する局所的な遺伝子治療への応用も期待されます。韓国発のこの革新的な研究は、グローバルな遺伝子治療分野において重要な貢献を果たすものと評価されます。

元記事: https://www.joongang.co.kr/article/25424638

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次