ソウル大学病院とスタンフォード大学、難治性T細胞リンパ腫向け次世代同種CAR-T技術を開発

概要
ソウル大学病院とスタンフォード大学の共同研究チームが、難治性T細胞リンパ腫を対象とした次世代同種CAR-T細胞療法の基盤技術開発に成功しました。この革新的なアプローチは、患者自身の細胞を用いる従来の自家CAR-T療法の限界を克服することを目指しています。研究チームは、遺伝子編集技術を用いて「CD5遺伝子欠損同種CAR-T」プラットフォームを開発し、治療用T細胞が互いを攻撃する「共食い現象」を抑制し、GVHDのリスクを低減する効果が期待されます。
詳細

背景

CAR-T細胞療法は、一部の血液がんに対して目覚ましい効果を示している一方で、患者自身のT細胞を加工する必要があるため、製造に時間がかかり、コストが高いという課題があります。また、特にT細胞リンパ腫の場合、治療用T細胞自身もリンパ腫細胞と同じT細胞由来であるため、「共食い現象(fratricide)」と呼ばれる自己攻撃が発生し、治療効果を損なう問題がありました。これらの課題を克服し、より広範な患者に迅速かつ安全にCAR-T療法を提供するためには、ドナー由来の細胞を用いる「同種(allogeneic)」CAR-T細胞療法の開発が不可欠とされています。

主要内容

ソウル大学病院のコ・ヨンイル教授とカン・ヒョンジン教授が率いる国立戦略技術専門研究院の研究チームは、スタンフォード大学との共同で、難治性T細胞リンパ腫に対する次世代同種CAR-T細胞療法の基盤技術を確立しました。この技術の核心は、CRISPR遺伝子編集技術を用いて、通常のT細胞からCD5遺伝子とT細胞受容体(TCR)を削除することにあります。CD5はT細胞表面に広く発現する分子であり、これを削除することで、治療用T細胞が互いを攻撃する共食い現象を防ぎます。また、TCRを削除することで、ドナー細胞を用いた際に発生する可能性のある移植片対宿主病(GVHD)のリスクを低減します。この「CD5遺伝子欠損同種CAR-T」プラットフォームは、CAR-T細胞の製造プロセスを簡素化し、より安全で汎用性の高い治療法の開発を可能にするものです。研究成果は最近の米国癌学会年次総会で発表されました。

影響と展望

この次世代同種CAR-T技術の開発は、T細胞リンパ腫のような難治性血液がんに対する治療選択肢を大きく広げる可能性があります。従来の自家CAR-T療法が抱える製造上の課題や、T細胞リンパ腫特有の共食い現象といった障壁を克服することで、より多くの患者が迅速に治療を受けられるようになることが期待されます。特に、オフザシェルフ(既製)型CAR-T細胞療法の実現に一歩近づいたことは、治療アクセスの向上とコスト削減に寄与するでしょう。GVHDリスクの低減は、同種細胞療法の安全性を高める上で非常に重要です。今後、この基盤技術を応用した臨床試験が実施され、その有効性と安全性がさらに確認されれば、T細胞リンパ腫だけでなく、他のT細胞由来のがんや、さらには自己免疫疾患など、幅広い疾患への応用が期待されます。この研究は、韓国と米国間の国際的な共同研究の成功例としても注目され、再生医療分野における国際協力の重要性を示しています。

元記事: https://www.ikunkang.com/news/articleView.html?idxno=50831

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