旭化成の新規正浸透膜蒸留システム、PeptistarのAPI製造施設に導入:熱に弱いペプチド・オリゴヌクレオチドの製造時間を短縮し、GMP生産へ

Asahi Kasei 日本
概要
旭化成は、熱に弱いペプチドやオリゴヌクレオチドなどの原薬(API)製造時間を短縮するため、新規の正浸透膜蒸留(FO-MD)システムを製薬CDMOのPeptistarのAPI製造施設に導入しました。このシステムは、熱や圧力を加えることなく液体を脱水・濃縮できるため、凍結乾燥のバッチ数と時間を大幅に削減します。現在、GMP生産に向けた製造スケールでの評価が開始されており、バイオ医薬品製造の効率化と品質向上に貢献することが期待されます。
詳細

主要成果

日本の大手化学メーカーである旭化成は、熱に弱い医薬品原薬(API)、特にペプチドやオリゴヌクレオチドの製造プロセスを革新するため、新規の正浸透膜蒸留(FO-MD)システムを製薬CDMOであるPeptistarのAPI製造施設に導入しました。この導入により、製造時間の劇的な短縮と、エネルギー消費の削減が期待されています。

技術・臨床詳細

正浸透膜蒸留(FO-MD)システムは、従来の蒸発濃縮や凍結乾燥といった熱を伴う濃縮・乾燥プロセスとは一線を画します。FO-MDは、高い浸透圧を持つ駆動液を利用して、熱や外部からの圧力を加えることなく、対象の液体(ここではAPI溶液)から水分子を効率的に引き抜きます。これにより、熱に非常に弱いペプチドやオリゴヌクレオチドといったデリケートな分子の品質劣化リスクを最小限に抑えながら、安全かつ効率的に脱水・濃縮が可能です。このシステムの導入により、PeptistarのAPI製造施設では、濃縮工程における凍結乾燥のバッチ数と処理時間が大幅に削減される見込みです。凍結乾燥は時間とエネルギーを要する工程であるため、その効率化は製造コストの削減に直結します。現在、このFO-MDシステムは、GMP(Good Manufacturing Practice)基準に準拠した製造スケールでの評価を開始しており、商業生産への適用可能性が検証されています。これにより、高品質なAPIを安定して供給する能力が向上します。

背景・業界文脈

バイオ医薬品市場は近年急速に成長しており、ペプチドやオリゴヌクレオチドといった新規モダリティの需要が高まっています。これらの薬剤は、疾患治療において高い特異性と有効性を示す一方で、製造プロセスにおいては、分子の複雑さや熱・pHに対する不安定性から、従来の小分子医薬品とは異なる特殊な技術が求められます。特に、熱に弱いAPIの製造においては、品質を維持しつつ生産性を向上させることが大きな課題でした。旭化成は、膜分離技術において長年の専門知識を有しており、このFO-MDシステムは、同社の技術的強みを活かしたものです。製薬CDMOであるPeptistarへの導入は、サプライチェーン全体における製造効率の向上と、コスト競争力の強化に貢献します。

今後の展望

旭化成のFO-MDシステムのPeptistar施設への導入は、バイオ医薬品製造プロセスの持続可能性と効率性を向上させる重要な一歩です。この技術がGMP生産スケールでの評価を成功裏に終えれば、ペプチドやオリゴヌクレオチドだけでなく、他の熱に弱いバイオ分子の製造にも広く応用される可能性があります。これにより、製造コストの削減、生産リードタイムの短縮、そして最終的には患者へのより迅速な医薬品供給に貢献することが期待されます。この技術革新は、バイオ医薬品製造業界におけるグリーンケミストリーの推進と、サプライチェーンの強靭化にも寄与するでしょう。旭化成は、今後もこの分野での技術開発とグローバル展開を加速させる方針です。

元記事: https://www.asahi-kasei.com/news/2026/e260625.html

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