愛媛大学とマイオリッジ社、T細胞培養向け無血清培地「EMTM」を共同開発
2026年4月9日、愛媛大学医学部と株式会社マイオリッジは、共同研究の成果として、T細胞の増殖培養に特化した革新的な無血清培地「EMTM(Ehime-Myoridge T cell Medium)」の開発成功を発表しました。このプロジェクトは2024年3月に開始され、T細胞培養における長年の課題解決を目指していました。
研究の背景と主要な成果
T細胞は、がん免疫療法(CAR-T療法など)や再生医療において不可欠な細胞であり、その増殖培養は細胞治療薬製造の根幹をなします。従来のT細胞培養では、牛胎児血清(FBS)などの動物由来成分を含む培地が広く用いられてきましたが、FBSにはロット間差、異種タンパク質による免疫原性リスク、病原体汚染の可能性といった課題が常に指摘されていました。これらの課題は、治療薬の安全性、品質の一貫性、そして製造コストに大きな影響を与えます。
愛媛大学とマイオリッジ社の共同研究チームは、T細胞の最適な増殖に必要不可欠な栄養素や成長因子などの成分を網羅的に解析し、それらを特定することに成功しました。この知見に基づき、特定の必須成分のみで構成される「EMTM」を開発。EMTMは、化学的に完全に定義された無血清培地であり、動物由来成分を一切含まないため、前述の課題を根本的に解決します。これにより、T細胞培養の安全性プロファイルが向上し、品質の一貫性が保証されやすくなります。
技術的意義と将来の展望
EMTMの開発は、T細胞治療薬の製造プロセスに革命をもたらす可能性を秘めています。無血清・化学的定義培地の利用は、規制当局からの承認取得を容易にし、製造コストの削減にも寄与します。また、ロット間のばらつきが少ないため、細胞治療製品の再現性と信頼性が向上し、臨床応用の加速が期待されます。
この技術的進歩は、特にがん免疫療法において重要です。T細胞の効率的かつ安全な増殖は、CAR-T細胞などの生産量を増やし、より多くの患者に治療を届けることを可能にします。さらに、EMTMは、iPS細胞から分化誘導されたT細胞の培養など、再生医療の他の領域への応用可能性も秘めています。愛媛大学とマイオリッジ社は、今後もこのEMTMの実用化を推進し、細胞培養技術のさらなる発展と、それを通じた医療の進歩に貢献していく方針です。
元記事: https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/immunology/20260409-2/


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