主要成果
三菱ケミカル株式会社は、半導体パッケージの製造過程および動作時に発生する反り(ワーページ)を大幅に抑制する革新的な負膨張フィラー「M-Filleris™ NTE(エム・フィラリス エヌティーイー)」の事業化を開始したと発表した。この新材料は、特に高集積化が進む先端半導体の熱マネジメントにおいて重要な役割を果たし、製品の信頼性向上と製造効率化に貢献する。
技術・臨床詳細
M-Filleris™ NTEは、加熱すると収縮する「負の熱膨張」特性を持つ特殊なセラミックス材料を微粒子化したフィラーである。半導体パッケージに用いられる封止材やアンダーフィル材などの樹脂にこのフィラーを配合することで、樹脂全体の熱膨張係数を精密に制御することが可能となる。半導体パッケージでは、チップと基板、樹脂材料の熱膨張係数の違いにより、加熱・冷却時に反りが発生し、これが接続不良(はんだクラックなど)や、製造歩留まりの低下を引き起こす主要因となっていた。M-Filleris™ NTEは、この熱膨張ミスマッチを解消することで、反りを従来の材料と比較して大幅に(具体的な数値は記載されていないが、発表では「大幅に抑制」とされている)抑制することに成功した。これにより、パッケージの薄型化・大型化、さらには異なる材料間の接合においても、信頼性の高い半導体デバイスの実現に貢献する。
背景・業界文脈
近年、AI、5G、データセンターなどの進展により、半導体デバイスはさらなる高性能化、高集積化が求められている。これに伴い、半導体パッケージはチップの発熱量増大と、それに伴う熱膨張・収縮による反り問題がより顕著になっていた。特に、フリップチップや2.5D/3D積層パッケージといった先端パッケージング技術では、わずかな反りでも電気的接続不良や構造的欠陥に直結するため、その抑制が不可欠であった。三菱ケミカルは、長年の材料開発で培ったノウハウを活かし、この業界の喫緊の課題に応えるべく、M-Filleris™ NTEを開発した。
今後の展望
M-Filleris™ NTEの事業化は、半導体パッケージ材料市場に新たな選択肢を提供し、先端半導体のさらなる進化を後押しする。このフィラーは、高性能CPU、GPU、AIアクセラレーターなどのロジック半導体だけでなく、メモリデバイスやパワー半導体など、幅広い分野での採用が期待される。三菱ケミカルは、M-Filleris™ NTEを通じて、エレクトロニクス産業のサプライチェーンにおける重要パートナーとしての地位を強化し、熱マネジメント技術の革新をリードしていく方針である。今後、顧客との連携を深め、特定のアプリケーションニーズに応じたカスタマイズや、さらなる高性能化に向けた開発も進められると見込まれる。
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