主要成果
第一三共は、同社の革新的なDXd抗体薬物複合体(ADC)パイプラインにおいて、顕著な開発進捗を報告しました。特に、「ENHERTU(エンハーツ)」はHER2低発現および超低発現乳がんという、これまでのHER2標的薬では対応が困難だった新たな患者群において、その有効性が確認され、グローバルでの承認申請が積極的に進められています。さらに、もう一つの主要なDXd ADCであるDatopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー指定を獲得するという大きな成果を上げました。
技術・臨床詳細
ENHERTUは、HER2を標的とする抗体に強力なトポイソメラーゼI阻害薬をリンカーで結合させたADCです。従来のHER2陽性乳がんだけでなく、HER2の発現が低い(IHC 1+/FISH- または IHC 2+/FISH-)がんや、HER2超低発現(IHC 0)のがん細胞にも有効性を示すことが臨床的に確認されました。これにより、HER2低発現および超低発現乳がんという、広大なアンメットメディカルニーズが存在する患者集団に新たな治療選択肢を提供することになります。Dato-DXdは、TROP2を標的とするADCであり、EGFR変異陽性NSCLCにおいて、TROPION-Lung05試験のデータに基づき迅速承認申請が進行中です。ブレークスルーセラピー指定は、重篤な疾患に対する画期的な治療薬の開発・審査を加速するためのFDAの制度であり、Dato-DXdの臨床的意義の高さが評価されたことを示します。第一三共は、これらのADC開発と並行して、精密医療戦略を深く統合しており、大規模なデータセットとAI駆動型のマルチプレックス免疫組織化学(IHC)を活用して、治療効果予測やバイオマーカーの探索を行うトランスレーショナルリサーチを強化しています。
背景・業界文脈
抗体薬物複合体(ADC)は、特定の抗体ががん細胞表面の抗原に結合し、抗体に結合した強力な抗がん剤をがん細胞内に選択的に送達することで、治療効果を高めつつ全身性の副作用を軽減する、次世代のがん治療薬として確立されています。第一三共のDXd ADCプラットフォームは、その高い有効性と広い治療域により、この分野のリーダーとしての地位を確立しています。HER2低発現および超低発現乳がんは、これまでのHER2標的療法では対象外であり、治療選択肢が限られていたため、ENHERTUのこの領域での進展は、乳がん治療のパラダイムを大きく変える可能性があります。また、EGFR変異NSCLCは、既存のEGFR-TKI療法に耐性を示す患者が多く、新たな治療法が強く求められています。Dato-DXdのブレークスルーセラピー指定は、この領域におけるアンメットメディカルニーズの高さと、同薬剤の潜在的な貢献度を反映しています。
今後の展望
第一三共のDXd ADCパイプラインの進展は、今後数年間でがん治療に多大な影響を与えるでしょう。ENHERTUのHER2低・超低発現乳がんにおける承認は、より多くの乳がん患者に恩恵をもたらし、Dato-DXdの迅速承認は、EGFR変異NSCLCの患者に新たな希望を与えることになります。精密医療とAI駆動型研究の強化は、同社が今後も個別化された高精度な治療法を開発し続けるための基盤となります。これにより、第一三共は、グローバルのがん治療市場において、そのリーダーシップをさらに盤石なものとし、難治性のがんに対する画期的な解決策を提供し続けることが期待されます。
元記事: https://quartr.com/events/daiichi-sankyo-company-4568-status-update_F9EXqjpy
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