日立・インテル・産総研、NEDO事業で最先端1.8nm「Intel 18A」プロセスを用いた50量子ビット級シリコン量子チップ開発へ

財経新聞 日本
概要
日立製作所は2026年7月22日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択され、インテルの最先端1.8nmプロセス「Intel 18A」を用いて量子プロセッサを試作・製造する政府支援プロジェクトを開始すると発表しました。このプロジェクトは、日立、インテルの日本法人、産業技術総合研究所が参画し、2028年度には50量子ビット級のシリコン量子コンピュータのプロトタイプ、2030年度には1,000量子ビット規模の3D統合シリコン量子処理プラットフォームの実現を目指します。日本の量子技術開発における国際競争力強化と産業応用加速に貢献する重要な取り組みです。
詳細

主要成果

日立製作所は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択され、インテルの最先端1.8nmプロセス技術である「Intel 18A」を活用したシリコンスピン量子チップの開発プロジェクトを開始しました。2026年7月22日に発表されたこの国家プロジェクトには、日立製作所、インテルの日本法人、および産業技術総合研究所(産総研)が共同で参画します。具体的な目標として、2028年度末までに50量子ビット級のシリコン量子コンピュータのプロトタイプを開発すること、さらに2030年度末までには1,000量子ビット規模の3D統合型シリコン量子処理プラットフォームの実現を目指しています。この取り組みは、日本が量子コンピューティング分野における国際的な技術的優位性を確立するための重要な一歩となります。

技術・開発詳細

  • Intel 18Aプロセス技術: 本プロジェクトの核となるのは、インテルが開発した最先端の1.8nmプロセス技術「Intel 18A」です。この微細化技術は、トランジスタ密度と性能の向上を可能にし、シリコン量子ビットの集積度と安定性を高める上で極めて重要です。シリコンスピン量子ビットは、既存の半導体製造技術との互換性が高く、大規模化への道筋が比較的明確であるとされています。
  • 量子ビット数の目標: 初期の目標である2028年度末までの50量子ビット級は、現在のNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)デバイスの範囲内でありながら、特定の最適化問題やシミュレーションにおいて古典コンピュータでは困難な計算に挑むことが期待されます。最終目標である2030年度末の1,000量子ビット規模の3D統合プラットフォームは、フォールトトレラント量子コンピュータ(FTQC)実現に向けた大きなマイルストーンとなります。3D統合技術は、量子ビット間の接続性と制御信号のルーティングを最適化し、大規模化に伴う複雑性を軽減するために不可欠です。
  • 研究体制: 日立製作所は、長年にわたる半導体および量子デバイスの研究開発で培った知見を提供します。インテル日本法人は、先端プロセス技術に関する専門知識と製造ノウハウを、産総研は基礎研究から応用研究への橋渡しとなる役割を担います。この産学官連携により、研究開発の加速と実用化への道筋が強化されます。

このプロジェクトは、量子ビットのコヒーレンス時間延長、エラー率の低減、および高精度な制御技術の確立という、シリコン量子コンピュータ開発における主要な課題に取り組むことになります。

背景・業界文脈

量子コンピューティングは、医薬品開発、材料科学、金融モデリング、人工知能など、幅広い分野に革命をもたらす潜在力を持っています。米国や中国をはじめとする世界各国は、この分野での覇権を握るべく巨額の投資を行っています。日本政府も「量子未来産業創出戦略」や「量子技術イノベーション戦略」の下、量子技術を国家戦略として位置づけ、その研究開発と産業応用を強力に推進しています。NEDOの助成事業は、この国家戦略を具現化するための具体的なステップであり、日本の産業界が国際競争力を維持・向上させる上で不可欠な取り組みです。Intel 18Aのような最先端プロセス技術へのアクセスは、日本の量子技術開発を加速させる上で非常に大きな意義を持ちます。

今後の展望

日立・インテル・産総研によるこの共同プロジェクトは、シリコン量子コンピューティング技術の実用化を大きく前進させる可能性を秘めています。50量子ビット級のプロトタイプは、限られた範囲での実用的なアプリケーション探索を可能にし、1,000量子ビット規模のプラットフォームは、より複雑な問題解決や、将来のフォールトトレラント量子コンピュータへの道を開くでしょう。この成功は、日本の量子技術エコシステムを強化し、国内外の企業との連携を促進することで、新たな産業の創出と経済成長に寄与すると期待されます。また、世界的な量子技術競争において、日本が主導的な役割を果たすための基盤を築くことにもつながります。

元記事: https://www.zaikei.co.jp/article/20260724/862751.html

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