主要成果
大手CDMOであるLonza社と、細胞外マトリックス(ECM)生物学の専門企業であるEngitix Ltd.は、細胞外マトリックスを標的とする癌および線維症治療薬の開発を目的とした、抗体薬物複合体(ADC)技術プラットフォームのライセンス契約を締結しました。この戦略的提携により、EngitixはLonzaの確立された先進的なADC技術スイートにアクセスできるようになり、新たな作用機序を持つ革新的な治療薬の開発が加速されます。
技術・ビジネス詳細
Engitixは、Lonzaの以下の主要なADC技術プラットフォームを利用できるようになります。
- SYNtecan Eリンカー-ペイロード技術:これは、強力なペイロードを抗体に結合させるための最先端のリンカー技術であり、安定性と腫瘍特異的なペイロード放出のバランスを最適化します。
- GlycoConnect結合技術:抗体の特定のグリカン部位にペイロードを結合させる部位特異的(site-specific)結合技術です。これにより、薬物抗体比(DAR)が均質で、再現性と安定性に優れたADCを製造することが可能になります。従来のランダム結合法と比較して、より均質で安全性の高いADCを生み出す利点があります。
- HydraSpace極性スペーサー技術:この技術は、ADCの溶解性と薬物動態特性を改善するために設計された極性スペーサーを組み込むことで、より高いペイロード負荷量や、特定の組織への送達効率の向上に貢献します。
Engitixは、これらのLonzaの技術を活用して、ECMの特定の成分を標的とするADCを開発する計画です。ECMは、癌の増殖、転移、薬剤耐性、および様々な線維性疾患の病態生理に重要な役割を果たすことが知られています。ECMを標的とすることで、癌細胞だけでなく、腫瘍微小環境や線維症に関わる細胞への特異的な薬物送達が可能になり、治療効果の向上と副作用の低減が期待されます。
背景・業界文脈
ADCは、癌治療における最も有望なモダリティの一つとして、近年その開発が加速しています。しかし、その設計と製造には高度な専門知識と技術が必要です。Lonzaは、長年にわたりADCのCDMO(医薬品受託製造開発機関)として業界をリードし、独自の技術プラットフォームを確立してきました。一方、Engitixは、ECM生物学の深い理解に基づき、癌や線維症における新たな治療標的を特定する専門知識を持っています。この提携は、両社の強みを組み合わせることで、複雑な病態に対する画期的な治療薬の創出を目指すものです。
今後の展望
LonzaとEngitixのこのライセンス契約は、次世代ADCの開発に大きな影響を与えるでしょう。部位特異的で均質なADCの製造を可能にするLonzaの技術は、ADCの治療ウィンドウを広げ、より安全で効果的な薬剤を市場に提供する上で不可欠です。ECMを標的とするアプローチは、癌治療だけでなく、慢性腎臓病、肝硬変、特発性肺線維症などの線維性疾患に対する新規治療薬の開発にも応用される可能性を秘めています。この提携は、アンメットメディカルニーズが高い疾患領域における革新的な治療法の開発をさらに推進することが期待されます。
元記事: https://www.biopharminternational.com/view/lonza-engitix-adc-deal-ecm-cancer-fibrosis
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます

コメント