Lonza、ADC需要増に対応しスイスVisp拠点で製造能力を大幅増強
大手CDMO(医薬品受託製造開発機関)であるLonza社は、急成長する抗体薬物複合体(ADC)市場の需要に対応するため、その製造能力を大幅に強化すると発表しました。同社は米国の大手製薬会社との提携を拡大し、ADCの製造プロセス全体におけるサポートを強化します。この戦略的投資は、ADC治療薬の開発および商業化の加速を目的としています。
ペイロードリンカー製造とHPAPI/ADCの新施設
Lonzaの能力強化の中心は、スイスのVispにある同社の主要な研究開発および製造拠点で行われます。具体的には、ADCの重要な構成要素であるペイロードリンカーの製造能力を増強します。ペイロードリンカーは、抗体と細胞傷害性ペイロードを連結する役割を担い、ADCの安定性、特異性、および治療効果に大きく影響します。
さらに、高活性原薬(HPAPI)およびADCの最終製品製造のための新しい商業規模の施設を確立する計画です。HPAPIは、その強力な薬理作用から非常に厳格な封じ込めと専門的な取り扱いが必要とされます。新しい施設は、これらの複雑な製造要件に対応できるよう設計されており、高度な技術と安全管理体制が導入されます。
背景と業界への影響
ADCは、特定の癌細胞に選択的に薬物を送達できる「魔法の弾丸」として注目され、近年、承認薬の増加とパイプラインの拡大により市場が急成長しています。しかし、その複雑な製造プロセス(抗体生産、ペイロード製造、リンカー合成、コンジュゲーションなど)は、高い技術力と専門的な設備を必要とし、製造能力のボトルネックがしばしば課題となっていました。LonzaのようなCDMOが能力を増強することは、製薬会社がより迅速かつ効率的にADC治療薬を市場に投入できるようになるため、業界全体にとって極めて重要です。
このVisp拠点のアップグレードは2028年に稼働開始予定であり、これによりLonzaは臨床段階から商業生産に至るまでのADCプログラムを支援する体制をさらに強化します。結果として、顧客企業は革新的なADC治療薬を患者に届けるまでの期間を短縮できるようになるでしょう。
今後の展望
Lonzaの戦略的な製造能力拡張は、ADC市場の持続的な成長と、複雑なバイオ医薬品製造における専門CDMOの重要性を浮き彫りにします。この投資は、同社がADCサプライチェーンの主要なプレーヤーとしての地位を維持・強化し、次世代の癌治療薬の開発を支援する上で不可欠です。今後、技術革新と製造効率の向上が進むことで、より安全で効果的なADCがさらに多く市場に登場し、癌患者の予後を改善する貢献が期待されます。
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