主要成果
南京大学のHairen Tan教授率いる研究チームは、オールペロブスカイトタンデム太陽電池モジュールの大規模化と高効率化という二つの大きな課題を同時に解決する画期的な成果を発表しました。彼らは「ナノ結晶調整型再結合」という新しい戦略を導入することで、これまで困難とされてきた大面積デバイスでの効率低下を抑制し、65 cm²という実用的なサイズのモジュールにおいてJET(日本電気安全環境研究所)認証で26.2%という電力変換効率を達成しました。この記録は、オールペロブスカイトタンデムモジュールとしては世界最高効率であり、次世代太陽電池の商業化に向けた重要なマイルストーンとなります。
技術・臨床詳細
オールペロブスカイトタンデム太陽電池は、上層と下層の両方にペロブスカイト材料を使用する構造であり、単一のペロブスカイトセルよりも広い太陽光スペクトルを効率的に利用できるため、30%以上の効率が期待されています。しかし、その製造プロセス、特に大面積化においては、ペロブスカイト層の均一性、界面欠陥、そして電荷輸送の最適化が複雑な課題として立ちはだかっていました。
Hairen Tan教授のチームが開発した「ナノ結晶調整型再結合」戦略の主な技術的特徴は以下の通りです。
- ナノ結晶制御: ペロブスカイト層内の結晶構造をナノスケールで精密に制御することで、電荷キャリアの寿命と移動度を向上させます。これにより、大面積モジュールでも効率的な電荷収集が可能になります。
- 再結合損失の抑制: 界面やバルクにおける電荷キャリアの非放射再結合を効果的に抑制します。これは、変換効率の低下を招く主要な原因の一つであり、その克服が成功の鍵となりました。
- 大面積での均一性: 新しい戦略は、大型基板上でも高品質で均一なペロブスカイト層を形成することを可能にし、モジュール全体の性能を安定させます。
この技術により、65 cm²というモジュールサイズで26.2%の効率を達成したことは、実験室レベルの小さなセルから実用的な大面積モジュールへのスケールアップにおいて、ペロブスカイト技術が直面する課題を克服しつつあることを示しています。
背景・業界文脈
再生可能エネルギーへの需要が高まる中、太陽光発電の効率向上は喫緊の課題です。ペロブスカイト太陽電池は、その高い効率と低コスト製造の可能性から、既存のシリコン太陽電池に代わる、あるいはそれを補完する次世代技術として期待されています。オールペロブスカイトタンデム太陽電池は、シリコンを使用しないため、さらに製造コストを削減し、特定の用途(フレキシブル、軽量など)での優位性を発揮できます。南京大学のこの成果は、中国がペロブスカイト太陽電池の研究開発において世界の最先端を走っていることを改めて示すものです。
今後の展望
Hairen Tan教授チームによる65 cm²オールペロブスカイトタンデムモジュールでの世界記録達成は、この技術の商業化を大きく前進させるものです。大面積での高効率化は、製品の競争力を高め、建材一体型太陽光発電(BIPV)やポータブルデバイス、そして大規模太陽光発電所など、幅広いアプリケーションへの導入を加速させるでしょう。今後、このナノ結晶調整型再結合戦略がさらに改良され、製造コストが低減されることで、オールペロブスカイトタンデム太陽電池は、世界のエネルギー転換において中心的な役割を果たす可能性が高まります。
元記事: https://www.nsfc.gov.cn/english/site_1/news/A2/2026/08-25/573.html
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます

コメント